武蔵野うどん

     
■由来■

『武蔵野うどん』は、荒川以西の西埼玉と多摩川以北の多摩地域の郷土料理である。
田んぼの少ない武蔵野台地では、さつまいもと同じ畑に麦が作られていました。
昔は今と違って、結婚式も葬式もみんな自宅で開かれ、人が集まる宴席では、この麦を使った手打ちうどんが、何よりのご馳走でした。
大勢のお客様の料理を用意するのは大変です。そんな時は地域の人たちが協力しあって宴席の準備にあたっていました。

うどん粉に水加減に注意しながら練っていきますが、生地がまとまったら、ビニールのふろしきに包んで上からどんどん踏みしめます。 踏めば踏むほどコシが強くなる。また冬場はビニールのふろしきに包んだまま放置すると微熱で粘りがでます。
うどんづくりには力が必要で、おいしいうどんを打てることが、一人前の男性のあかしでもありました。
こねあがったら、麺棒に巻いて薄くのばしていきます。リズムに乗って調子よく伸ばすのがうどんづくりの秘訣です。

薄くのばした生地を折りたたんで、一定の幅で切り、煮たった大きい釜や鍋で茹で、水にさらします。
武蔵野台地では江戸時代はうどんはハレの日の行事食でもあり、旧家では現在でも冠婚葬祭などの祝い事、 親戚の集まりには(細く長く良い事が続くように)うどんを出す事が多く、かつてはうどんが打てなければ嫁に入る事が出来なかった。

小生も小学生の頃、母の実家(今の狭山市)での正月の集まりには正月料理のあと最後は「肉汁」に「野菜の糧(かて)」で手打ちうどんを頂きました。
今でも我が家(所沢市)でも手打ちうどんではありませんが、「肉汁」に「野菜の糧」のうどんが家庭の味として生きています。


■特徴■

もともと郷土料理であるため、使用される小麦粉は武蔵野台地で生産されたものを使用する事が原則(地産地消)でした。
麺は、一般的なうどんよりも太く、色はやや茶色がかっている。加水率は低く塩分は高めで コシがかなり強く、食感は力強い物でゴツゴツしている(つるりとはしていない)。
食するときには麺は、ざるに盛って「ざるうどん」もしくは「もりうどん」とする。

つけ麺の汁は、かつおだしを主とした強い味で甘みがある。
豚肉の細切れを具にしたメニューの「肉汁うどん」などは明治時代中期以降の食べ方です。 天ぷらうどんのような食べ方は元々なく、「糧(かて)」と呼ばれる具(主に茹でた茄子やほうれん草やネギなどの野菜)が付く程度である。

夏場は冷やしてざるうどん、冬場は煮込みうどんです。太さはまちまちでもコシがある食感は格別です。
「肉汁」と「野菜の糧」に「コシがある食感の手打ちうどん」が『武蔵野うどん』の特徴と言えます。    
 

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