一人旅のすすめ(Vol.29)
繋がる一人旅



VOL.29:繋がる一人旅


最近では当たり前になったSNSなどで誰かと繋がる一人旅
その繋がりについて考えてみました。


一人だけど一人ではない時間

一人旅をしようと出発する。
しかし、その行程中”本当に一人でいる”時間は、今の時代殆どないのではないだろうか。
出先のいい風景、美味しいものを見つけたら携帯のカメラで撮り、それをその場でSNSなどに流す。
するとイイネ!やコメントが入る。それは行動は一人だが、一緒にいない誰かと繋がっている旅をしているとも言える。
筆者もそういうのが好きで(笑)よくやるし、それはある意味革新的な旅行の楽しみ方ともいえるので、
否定等をするつもりは毛頭ないが、だからこそ本当の意味での”一人旅の時間”の価値が見えてくるとも言えるかもしれない。


一人になった時

筆者はちょくちょく書いているように小笠原に行くのが好きである。
かの地に行くには現状片道25時間の船旅が必須で、当然海の上では携帯の電波は衛星タイプでもない限り繋がらない。
竹芝桟橋を出港した直後等は普通に電波も入るが、数時間たって東京湾を出ると、電波は途切れネットへの接続が出来なくなる。
旅の時間の過ごし方が、その境で激変する人も少なくない。
急にそわそわしだす人もいれば、携帯の電波で動いていたのかと思う程すぐ寝に入って動かなくなる人、
切り替えが早く椅子にでも座ってのんびり本を読み始めたりする人、最初から行動が殆ど変わらない人等、実に様々である。
個人的には、ある意味外部から繋がりを断たれているこの時間、しかも旅行という特殊な環境で、
完全に一人でいられる時間というのは、今の時代本当に貴重なのではないかと思う。

確かにネットで常に繋がっているのに慣れていると、こういう場合何をしようかと戸惑ってしまう事が多い。
そういう場合は何をすればいいか?答えは簡単である。なにもしなければいいのだ(笑)。
もちろんそれは考える事を辞めて動かなくなって・・・等というオカルトチックな話ではなく、
目の前に飛び込んでくる景色をなんとなく眺め続けたり、お気に入りの音楽をひたすら頭の中に流し続けたり、
普段やらないような事、風景をメモ用紙などにスケッチしてみたり、考えないようにしていた事を考えてみたり(笑)、
「あれをやろう、これをしてみないと・・・」等という計画性の欠片もないような事を、
思いつきでやる、それを気が向いた間だけやって、飽きたら他の事、疲れたら寝たり休む、
その繰り返しでいいのではないかと思う。

ネット上とはいえ常にあった繋がりを断たれた一種の不安感を感じる人もいるかもしれないが、
別に目の前にいる人たちに獲って喰われる訳でもなし(笑)、知り合いがいない寂しい時間なのではなく、
全部自分ひとりで使える時間という目で見ると、目先のやってみたい小さなことがわらわらと湧いてくる(笑)。

そして、それを堪能した頃には、通信も出来るようになり、繋がりが当たり前にある普段の時間に戻ったりして、
一人の時間の価値も、繋がりの有難さも両方感じられることになったりすることも多い。

前述の船だけではなく、山間を走る列車やトンネルを頻繁にくぐる高速バス等、
そういう時間を感じることのできる乗り物はたくさんあるし、
何より、携帯の電源を数時間だけ落す勇気(?)があれば、何時でも何処でもその時間を作り出すことが出来る。

楽しむ時間、繋がる時間

ネットで誰とでも繋がっていられる安心感は、一人旅のデメリットである寂しさをフォローするとても
大きな要素なのは間違いないが、そこでしか決して感じられないものを浴びている(笑)自分が、
その直後にいつも見慣れている画面とフォントでスポイルされてしまうのは、かなりもったいないとも思う。
行動中は写真等最低限に留めて目の前を楽しみ、繋がるのは夜に宿でのんびりしている時など、
明確に決めてしまうのがいいかもしれない。





旅行中に写真等をアップする行為は確かに楽しく、
個人的には、携帯はおろかコンデジ等で
撮った写真をwifiで携帯に送り、
わざわざそれをアップする事もあります(笑)。

これらの記事に関するご感想等を頂ければ幸いです。


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