一人旅のすすめ(Vol.22)
移動中の時間・・・



VOL.22:移動中の時間・・・

なんとなく邪魔者扱いされているような
移動に使う時間。その時間の有効な過ごし方を考えてみましょう。


旅行中に誰もが避けて通れない体験が乗り物による移動(笑)。
もちろんそれも旅行の楽しみの一つで、それ自体が旅行の目的という場合も少なくないかもしれない。
特に長距離を移動する乗り物は個性豊かなものが多く、列車、飛行機、船、車やバス他・・
宿や観光地と並んで、旅行の印象を決定付ける重要なファクターのひとつでもある。
乗り物について思い出付けられるのは、乗り物の設備やそこで過ごす時間、そこでの思い至った考えなど、
人それぞれではあるが、多くの場合、旅行中はどちらかというと(それに乗ること自体が目的や1イベントな場合は除いて)、
乗り物による移動中の時間は、あまり意味がないものと見られがちなように思う。
そこで、今回はその厄介者な(笑)時間とどう付き合うかを考えてみよう。


列車

列車の場合は、基本的には目的地にちゃんと時間通り着くこともあって、
車内での過ごし方は落ち着いたものとなることが多いと思う。車内も広く、よほどすごい乗車率(笑)でもない限りは、
少し歩いて体を動かすといった気晴らしも気軽に行えるし、流れる車窓をゆったり楽しむことも出来るだろう。
昼行列車の場合は、本を読んだり音楽を聴いたり、特急列車などでは飲食など、普段と変わらない過ごし方が多く、
どうってことはない(笑)のだが、夜行列車の場合は、過ごし方、楽しみ方がさらに広がってくる。
もちろん夜行列車は夜中に走るので、ひたすら寝るというのが王道(笑)かもしれないが、
ただでさえ非日常な一人旅のその中でもさらに非日常な夜行列車で過ごす時間、どのように過ごせば堪能できるだろうか・・・。

筆者の好きな過ごし方は、個室寝台の場合は、出来るだけ部屋の照明を落として、夜の車窓を楽しむ。
街ならともかく、山の中では光もないし何も見えないよ・・と思いがちだがなかなかどうして、
目が慣れてくれば、光のない山や森なども結構よく見えるようになる。知らない街の夜の風景もさることながら、
人のほとんど立ち入らない夜の山や森の風景など、それこそ非日常的な風景の最たるもののひとつ、
中々趣が深くて素晴らしいものである。さらに、そこから街中に出て、(夜中で人がいなくても)駅などの風景を見ると、少しほっとした気分になったりもする(笑)。
これに好きな音楽、好きなお酒などがあれば、筆者にとってはそれだけでひとつの旅行として十分に成立したりする(笑)。

開放型寝台の場合は、そこに乗り合わせた人にも拠るが、通路に小さな椅子があるので、そこに座って大きな窓から
車窓を見るのが好きである。この場合は照明を落とせないので暗い風景はほとんど見えないが、車窓と広い車内の通路を
眺めながらボーっと過ごすのも、夜行列車ならでわの過ごし方なのではないかと思う。


バス

バスの場合は、スペースの狭さも相まって、なかなかのびのびと過ごすことができない。
渋滞の可能性が付きまとうので、厳密なスケジュールを組んでいる場合は使いにくい・・・しかし、筆者は高速バスも好きである(笑)。
特に知らない街を走るような場合はまず最初に高速バスという選択肢を探すこともある。
その理由は、バスは普段人が生活で使う道路を走っているので、その街の様子が列車以上によくわかるからである。
高速道路が好きという理由もあるが、列車のように列車しか走らない線路ではなく、街の中、交差点、店の前、行きかう人々の横を
通っていくバスは、知らない街を訪ねるという旅行には、非常に合っているものなのかもしれない。
なので、バスでの移動中に過ごす場合は、やはり車窓の風景を堪能することに尽きるのではないかなと思う。
ちなみに、筆者は夜の高速道路(特にPAやSAなど)が好きなので、夜行バスの休憩も大好きである(笑)。


車での過ごし方・・これはもう運転以外の何者もあるまい(笑)。
・・と言ってしまえばそれまでだが、車ならでわの利点、すなわち行きたい場所にすぐいけるという点を
最大限に発揮するために、マメに地域情報を取得することをお勧めする。
ちょっとコースから外れて立ち寄った場所が、一生涯忘れることの出来ない場所になるかもしれない(笑)。


飛行機

飛行機の利点は超長距離を短時間で結ぶことにあるので、そこでの時間を楽しむというのは、
上級クラスでないと中々難しいかもしれない。しかし、これも窓から見る空の風景は、文句なしに非日常の最たるもののひとつなので、
それをひたすら楽しむのがいいかもしれない。特に外国に行く場合などは、想像を絶するような風景が飛び込んでくる場合も多々ある(笑)。


一番ゆったりとした時間を堪能、裏を返せば時間をもてあます(笑)のが船である。
船はその基本的な広さゆえ、人との距離的ゆとりが比較的大きいこともあり、行動の自由度は他の乗り物の比ではない。
ひたすら寝ていてもいいし、デッキに出て飽きるまで海を眺めてもいい、レストランやベンチでのんびり食事をしてもOK、
まさに移動している時間を楽しむのに最適な乗り物である。しかし、そののんびりさ故に、船によってはかなり時間をもてあましてしまうことも少なくない。

筆者は最近小笠原によく行くが、片道25時間の船旅である。都心有明を朝10時に出航し、翌朝11時半頃つくので、
昼〜夜〜朝〜昼という比較的過ごしやすいタイムスパンではあるのだが、それでも結構時間をもてあます(笑)。
乗る前は、あれをしてこれをして・・などというバラ色のクルーズライフ(笑)を考えているのだが、実際に乗ってしまうと、
乗り合わせた人と話したり、食事したり、風景を眺めたり、酒を飲んだり(笑)、ボーっとしたりしてなんとなく時間は過ぎていく(笑)。
船でのお勧めの過ごし方は、ズバリ、”何もしない時間”である(笑)。船のような広い空間では、そのような時間をとても快適に過ごしやすいのである。


何もしない時間

何もしない時間・・・ひたすら目を閉じて微動だにせず呼吸だけを・・・などという修行のようなものではない(笑)。
考えるに、何もしない時間というのは、何も計画せずにいて、その時に思い立った方法で過ごす時間・・・なのではないかと思う。
たとえば船の場合は、本を読むもよし、海を眺めるもよし、ひたすら船をグルグル闊歩するもよし(笑)、
行き当たりばったりで、何の打算も公算もなく、目の前のやりたいことを躊躇なく過ごす時間・・・それがなにも(頭で打算を考えることを)しない時間なのではないだろうか。

そういった日常よくある、「これをしなければ!」というようなことがない、その時思い立った事で過ごす”何もしない時間”というのは、
旅行中ならでわの貴重な時間でもあると思う。

また、面白いことに、普段の生活で中々しないようなことをはじめることもある。
普段の生活の事を客観的に考えたり、色々な考えのまとめから、果ては財布の中のカード整理などまで(笑)、
そのうちやろうやろう・・でも後で・・と思っていた事に対するスイッチが入ってしまう事も何故か少なくない(笑)。
一人旅というのは、普段の生活の中でたくさんある、”出来るのにやれていないこと”に向き合うような時間でもあるのかもしれない。





普段の生活と同じ時間の流れのはずなのに、
旅行中での時間はすっ飛ぶように(笑)流れていきます。
一見意味のないような移動中の時間の過ごし方は、
料理で言うところの深みとコクを出すものなのかもしれません(笑)。

これらの記事に関するご感想等を頂ければ幸いです。


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