ウィリアム・ティムリン
William Timlin
(1893-1943)
イギリス生まれだが、生涯の大半を南アフリカのキンバリーで過ごす。その他はほとんど分かっていない。職業は建築家で、趣味でファンタジー絵画を描いた。「妖精の都」という連作もあるらしい。
ティムリンは生涯でただ一度、自作の物語に自作の挿絵を付けた上製本を発刊した。この本こそ、絵本関係者の間で史上最高のファンタジー本という折り紙がつけられたという「火星に旅した船・一つのファンタジー」
(1923)だ。この本はハリウッドが映画権を買い取り、「Out of the Earth」という題でセシル・B・デミル監督の手で映画化されるはずだった。しかし、膨大な予算がかかるというので中止されたという。
荒俣宏さんはこの本を何年もかけて手に入れたと著作の中で述べている。彼によると、
「なるほど、『火星に旅した船』は噂どおりすさまじい本であった」(妖精画廊)
という事だ。建築家らしい空間構成が快く、竒想とユーモアに満ちているという。我々は荒俣さんのおかげでその一部を拝見することが出来るわけだ。
「火星に旅した船」挿絵(1923)
(同上)
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