発見の日々(2)

カーナビはもう必需品

私はプリウスを買う以前からカーナビを利用していた。このカーナビというものは、一度慣れてしまうと手放せないものになる。最近はもっぱらカーナビを利用するため、一応非常用に地図を車に積んではいるが、全くと言っていいほど使わなくなってしまった。


カーナビがあると、クルマを使った行動パターンに変化が訪れる。今まで億劫で行くことも考えなかった未知の場所に、実に気軽に行くようになるのである。

たとえば、飯能に「飯能川原」と言う場所があり、クルマを乗り入れてバーベキューなどができることで知られている。兼ねてからその存在は知っていたのだが、いちいち場所を調べて行くほどのことはないと思っていた。

ところが、この夏休み暇そうにしている子供を見て、どこかに連れていってやりたくなり、子供を連れて下調べもせずにプリウスに乗り込んだのである。その時実際に行ったことはいとも単純。車に乗り込むと、プリウスのカーナビで飯能駅を探し、それらしきところに目的地を設定する。それで終わりである。指示に従って、今まで通ったこともない道を進むと、実に簡単にその川原にたどり着いた。帰り道、その複雑なルートをたどりながら、「こりゃカーナビ無しなら来なかっただろうな」と言うことを確信したのである。


実はこういう実用的な利点以外に、心理的副産物というものがカーナビには存在する。カーナビがあると、ドライブ時に精神的安心感があるのである。特に夜間見知らぬ土地を手探り状態で走らねばならないとき、自分がどこにいるのかがわかることは、大変安心感を感じるものだ。また、家族で旅行を行く折りにも、カーナビがあれば助手席の家内とああだこうだと言い合うことが無くて、実に精神衛生的によい(実はこれが一番の御利益であったりするのだが、やっちんさん、笑ってはいけません)。カーナビは家庭にも平和をもたらすというわけだ。

VICS と言うユニットは、これまた精神衛生によい。普通は自分の車が渋滞に巻き込まれると、一体どこまで渋滞なのか、抜け道を通ったらよいが、そこも込んでいたらどうなるのか、一昔前の漫才よろしく「一体渋滞の先頭は何を...」などと、いろいろ考えを巡らせながら、イライラしてしまったものである。ところが、VICS では都内全域の渋滞情報がカーナビ画面の地図に示されるので、自分が渋滞のどこら辺にいるのかがわかり、ある意味の覚悟ができてしまうのである。また、大体の到着予想時刻もわかるので、停車した折りに携帯電話で行く先に連絡を取る余裕も出てくる。

VICS はまた動的経路探索システムと連動していて、とりあえず一番先に目的地に着きそうなルートを探して、表示してくれる。したがって燃費が悪化する極端な渋滞を回避するのにも有効だ。ただどうやら実際の状況と、VICS 情報の間に時差のようなものがあり、迷路のような大変な迂回をして回避したはずの渋滞が実は存在しなかった、と言うことが良くある。関係各省庁には、ここら辺を早く改善していただきたい。

また、カーナビというシロモノは、同乗者に対するインパクトが大変強いようだ。自慢好きの人は、まずカーナビをつけるべきである。私は職業柄、良く海外の研究者を成田に迎えに行ったりするが、彼らが日本の誇るハイブリッドシステムよりも先ず驚くのがこのカーナビである。

どうやら日本のように、カーナビがほぼ標準でついてくる状況というのは、外国ではあまり無いらしい。最初彼らは、ここまでやるか、と言う顔をしているが、彼らがひとたび都内の渋滞を見ると、「このシステムは東京で走るクルマには必需品だね」と納得するようになる。


渋滞とVICS の話が出たついでに、カーナビは目的地に早く着くのに本当に効果があるのかという、この有史以来繰り返されてきた様な質問について考えてみよう。私はその経験から、「効果あり」と断言することができる。

研究室で伊豆に旅行に行ったときのことであるが、昼の1時に修善寺を同時に出発し、カーナビ無しのクルマと我がプリウスで、どちらが早く埼玉県の研究所に着けるか試したことがある。勿論、高速道路などでは法定速度を遵守した。結果は、プリウスが夕方5時に無事到着(途中休憩あり)したのに対し、相手の車はなんと夜9時過ぎに到着した(遅いので途中夕食を食べたそうではあるが)。

実は、プリウスは全く迷うことなく高速のインターに到着したのだが、その間相手の車は一度道を間違えた結果、若干遅れて高速のインターに到着した。この時すでに、渋滞が始まっており、東京までの道のりで大変な差がついてしまったらしいのである。これは極端な例かもしれないが、やはりカーナビ凄しと言わざるを得ない。


さてプリウスに搭載されているトヨタ純正のカーナビの評価について、若干記してみたい。私の個人的印象では、位置表示の正確さ・検索の早さという点はかなり優れているようである。ただし、見やすさという点では、以前使っていたパナソニックのものが一日の長があるようである。これは、プリウスのマルチモニター画面が横長で、二画面表示に適している反面、若干表示が小さく見えるせいかもしれない。一方ソフト的にもパナソニックのような、曲がり角に来たときに必要最小限のランドマークのみ表示して、鳥瞰図から徐々に平面図に移り変わっていく形式の方がわかりやすいような気がする。また、最初リモコンがないことにとまどった。しかし、マルチモニター部のボタンが存外操作し易くできており、この点で不自由を感じることはなかった。


今、カーナビに関しては2つだけ不満なことがある。それは、メーカーオプションで取り付けられるのが、当初CD-ROM 版だけであり、DVD-ROM 版 が無かったこと、後もう一つは地域詳細版の関東地方のものが、東京+東関東か東京+西関東のどちらかを選択しなければならないことである。

ここ以外にも、プリウスのホームページがいろいろあるが、それらを見ていただくと、プリウスオーナーが実に最新のもの積極的に取り入れる人たちであるかがわかる。プリウスはラテン語で「さきがけ」と言う意味らしいが、オーナ連中がまさに「プリウス」タイプの人たちなのである。したがって、無理難題を承知で言えば、プリウスの標準装備というのはもっと徹底的にとんがっていて良かったのではないだろうかと私は思う。

具体的には、カセットテープは止めてMDを標準で搭載し、カーナビはDVD ヘッドライトはディスチャージ型、クルマの表面はハイドロテクト・コート済みで、ついでにMonetまで 標準で着けちゃったっていいんじゃないかと思うのである(やりすぎか?)。

せっかくついているCD-ROM 型のナビを捨てて、DVDナビに交換すると、またしても一万円札20枚ほどに羽がついて飛んでいくそうである。ここはいましばらく、辛抱するしかない。


今後の「発見の日々(3)」「革新的エコ・エンスーという概念」「プリウスが語るクルマの未来とは」

全てが必要ではないと言うこと

作り手が見えてくるクルマ

燃費向上の奥義:コンピュータとのシンクロが大切(プリウスはエバか?)

ハイブリッドの位置づけ

クルマの未来はどっちだ!

いったい日本人は未来への投資家となれるのか?

をお届けする予定です。(何か書くことがどんどん増えていくなぁ〜)次回アップも一体いつになるのかわかりませんが、見捨てずにまた来てください。

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