質問1 児童合唱曲を中学生が歌うことに関して

 『あわていきもののうた』は「児童/女声合唱のための」となっていますよね。これは中学生がコンクールで演奏してもよろしいのでしょうか?「児童」という言葉をどう解釈していいものやら・・・以前も候補に挙がりましたが、やめておきました。もし、お時間がありましたらそのあたりのこと教えていただけたらありがたいです。

埼玉県 S.T.

解答
 なかなかいいところを突いたご質問です。
「あわていきもののうた」は、'90年にひばり児童合唱団(指揮 三林輝夫氏)によって委嘱初演された同声三部合唱曲で、'91年にカワイ出版から楽譜も出ています。

 さて、児童合唱の定義ですが、ふつう、児童といえば小学生を指しますよね。でも、いわゆるプロ的な児童合唱団は、小学校高学年の男・女子と、中、高校生の女子から構成されることが多いようです。この曲集を初演してくれたひばり児童合唱団も、東京放送児童合唱団もそうです。要するに、声変わりしてしまう男子は、中学生になって児童合唱団で歌い続けることは不可能ですが、女子の場合は、中、高校生まで歌い続けることに問題はなく、かえって児童だけで歌うよりも、発声や表現力に安定性と幅をもたらしているのです。中、高校生までなら、声もストレートで、運動性にも優れていますから、声質さえ統一されていればいいわけです。

 ですからご質問に戻ると、中学生でしたら、あまりに子供っぽい内容でさえなければ、児童合唱曲を歌ってもまったく問題無いと思います。ただし、高校生となると、その合唱団の声質に依って違ってきます。割合発声が浅めで軽めの声なら問題ありませんが、すでに深くて重めの声に統一されている合唱団の場合は、もう少し大人向きの選曲をしたほうがいいかもしれません。大人向きのいうのは、けっして技術的な難易度のことではなく、大人の声向きの曲ということです。

 また、完全な大人の声(おかあさんコーラスなど)で児童合唱曲を歌うことも可能ではあるのですが、その場合は、テンポ設定や表現に、ある種の配慮が必要となってきます。この話を始めると長くなるのでまた別の機会に・・。

2000.5.29