53 新たな趣味

 本体だけなら500gほどだが、レンズが重いのでたぶん1kgくらいになるだろう。カメラ片手にというにはやや重いが、持てないこともない。一眼レフさえ買えば一件落着と思ったら、実は大切なのはレンズのほうだったみたい。一眼レフの長所はレンズ交換できるところで、マクロから超望遠まで各種の高性能レンズをつけることであらゆる撮影が可能になる。私の夢見る野鳥撮影には500〜600mmの超望遠レンズが必要と言われていて、それらは目眩するほど高価。が・・2本セットでカメラに付属してきたレンズの性能程度だとその辺のコンパクトカメラと大差ない(腕もないことだし)ばかりか、カメラの性能がいい分、かえって写真の粗が目立つようだ。しまった、何だかとんでもない世界に足を踏み入れてしまったのでは・・。

 まあいい。さしあたって何も考えずいろいろ撮ってみた。まずは安易にベランダからの風景。ひとりごと50話「公園デビュー」に冬景色が載っているので、比較していただければわかるが、今や木々が茂って完全樹海状態。すごいでしょう。朝はいろんな野鳥の声が賑やかに聞こえるけれど、あまりに木が生い茂って鳥の姿は全く見えない。冬なら見下ろせる井の頭池も完全に木々に隠れてしまっている。

次に井の頭公園の風景を。ここはどんなに暑い日でも木が多いので日陰がたくさんあってすずしい。大きな池、鳥たちや花、散歩で次々通りかかる犬たち等、いい被写体だらけ。このあたりが素晴らしいのは、井の頭公園だけ独立していないで、周辺にも、井の頭自然文化園(有料)や玉川上水など、立派な木々の生い茂る武蔵野の広々とした林が広がっていることだ。ああ、これからのカメラ・ライフが楽しみだ。下は公園と文化園分園のけしき。

 

 

 せっかく鳥のために買ったカメラなので早速撮ってみたいが、手持ちレンズは55-200mmズーム(しかも暗い)なので、本当の野鳥は無理。ではということで井の頭公園に隣接する自然文化園へ。ここは入場料が400円かかるが、私は地元民なので年間パスポートを\1,600で購入、毎日のお散歩コースに入れている。本園と分園に分かれていて、本園にはこじんまりした動物園と彫刻園、分園には水生動物園がある。動物園の奥に場違いという感じで存在する彫刻園は、長崎の平和祈念像で名高い「北村西望」のすばらしい彫刻の数々が展示されている非常に見応えのある彫刻園だが、どういう訳か全然宣伝していなくて、ひっそりしている。だいたい子供向きの動物園の奥にこんな素晴らしい彫刻館があるなんて普通誰も気づかないと思うぞ。だがこの話は別の機会にまわすとして。

 このこじんまりした動物園には優しいおっとり系の動物が多く、いつも地元の幼稚園児の遠足でにぎわっている。モルモットやアヒルと遊ぼう!なんてイベントなどもよくやっていて、大人がひとりで白昼堂々入るのには少々勇気がいる。が意外にも野鳥、特に小さな和鳥は充実していて、ガラス越しに観察できるコーナーはいつまで見ていても飽きない面白さ。野鳥舎周辺には園児もあまりいないし。野生を撮るのはまだ無理という入門カメラマンにとっては格好の練習場といえるだろう。ケージの中とはいえちょこまか飛び回ってばかりなので、ぼけでない写真を撮るのに一苦労。でも200mm程度でも普通のレンズよりは小鳥を大写しできて、ちょっとばかり鼻が高い。

アオゲラ。トントン木をつつく。    アオジの雌。地味だが人なつこい。     ゴイサギ。彫像のように動かない。

キビタキ。鮮やかな黄色。        ルリビタキの雌。かわいい!       コクチョウ。酷暑にめげずスイスイ。

 こんな鳥たちを自然の状態で撮影できたら凄いんだが。それにしても小鳥って雄雌で外見が全然違う(まるで別種)ものが多くかなり戸惑う。華やかなのはだいたい雄で、図鑑にも雄しか載ってないものが多いので雌の区別は初心者にはなかなかわかりません。おまけに同じ雄でも夏と冬で模様が変わったりする。野鳥図鑑はよく見るが、鳥ってぷっくり羽を膨らませていると全然違う形になるし、色も図鑑とは微妙に違っていて。動物園ならケージに名前が載っているから判別できそうなものだが、小さい野鳥は一つのケージにいろんな種類入れられていて、どうやら表記のない鳥も入っているので・・。(上段真ん中の鳥を、最初「ノジコ」の雌と表示していましたが、自然保護レンジャーの方からメールをいただき、ノジコでなく「アオジ」の雌、と教えていただきました。ありがとうございました。)

 写真がいいのは、地元で気軽に楽しめるところ。特に作曲の締め切りがあって、遠出はできないが気分転換はしたい、というとき最高。午前中創作で疲れたら、昼休みに散歩がてら一時間くらい公園を回って写真をとってくるだけで、驚くほど元気になる。午後の仕事も捗るというものだ。

2004.7.23