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【注意】 このドキュメントは、W3CのOWL 2 Web Ontology Language New Features and Rationale W3C Recommendation 27 October 2009の和訳です。
このドキュメントの正式版はW3Cのサイト上にある英語版であり、このドキュメントには翻訳に起因する誤りがありえます。誤訳、誤植などのご指摘は、訳者までお願い致します。

First Update: 2013年8月25日 | セマンティック・ウェブ関連用語集


W3C

OWL 2ウェブ・オントロジー言語
新機能と原理

W3C勧告 2009年10月27日

本バージョン:
http://www.w3.org/TR/2009/REC-owl2-new-features-20091027/
最新バージョン(シリーズ2):
http://www.w3.org/TR/owl2-new-features/
最新勧告:
http://www.w3.org/TR/owl-new-features
旧バージョン:
http://www.w3.org/TR/2009/PR-owl2-new-features-20090922/ (色分けした差分)
編集者:
Christine Golbreich, University of Versailles Saint-Quentin and LIRMM
Evan K. Wallace, National Institute of Standards and Technology (NIST)
貢献者:
Peter F. Patel-Schneider, Bell Labs Research, Alcatel-Lucent

このドキュメントに対する正誤表を参照してください。いくつかの規範的な修正が含まれているかもしれません。

このドキュメントは、規範以外の形式でも入手できます: PDFバージョン

翻訳版も参照してください。


要約

OWL 2ウェブ・オントロジー言語(非公式にはOWL 2)は、形式的に定義された意味を有するセマンティック・ウェブのためのオントロジー言語です。OWL 2オントロジーは、クラス、プロパティー、個体、データ値を提供し、セマンティック・ウェブ・ドキュメントとして保存されます。OWL 2オントロジーは、RDFで記述された情報と共に使用でき、OWL 2オントロジー自身は、主にRDFドキュメントの形式で交換が行われます。OWL 2ドキュメント概要は、OWL 2の全般的な状況を説明しており、他のOWL 2ドキュメントの前に読むべきです。

このドキュメントでは、OWLの最初のバージョンとOWL 2との違いに関する説明を含む、OWL 2ウェブ・オントロジー言語の新機能を簡潔に紹介しています。このドキュメントは、主な新機能の設計の動機となった要件、および、理論と実装の観点でその原理についても提示しています。

このドキュメントのステイタス

置き換えられる可能性

この項は、このドキュメントの公開時のステイタスについて記述しています。他のドキュメントがこのドキュメントに取って代わることがありえます。現行のW3Cの刊行物およびこの技術報告の最新の改訂版のリストは、http://www.w3.org/TR/のW3C技術報告インデックスにあります。

XMLスキーマ・データ型の依存性

OWL 2は、XMLスキーマ定義言語(XML Schema Definition Language)(XSD)で定義されたデータ型を用いるように定義されています。この文書の執筆時点では、XSDの最新のW3C勧告はバージョン1.0であり、バージョン1.1の勧告に向けて進行中です。OWL 2は、XSD 1.1の新しいデータ型や、より明確な説明を用いるように作られていますが、現在は、これらの利用は部分的に保留されています。具体的には、2.3項の適合性で詳細に述べるように、XSD 1.1がW3C勧告になるまでは、それに基づくOWL 2の要素は任意であると考えるべきです。XSD 1.1がW3C勧告として公表されたときに、これらの要素は任意ではなくなり、規定に従い、必須であると見なすべきです。

開発者やユーザは、当面、XSD 1.1勧告候補に従うことをお勧めします。スキーマ・ワーキンググループとOWLワーキンググループの議論を踏まえると、XSD 1.1が勧告になった際に、実装上の変更は必要なさそうです。

変更の概要

前バージョン以後は、実質的な変更はありません。軽微な変更に関する詳細は、変更履歴および色分けした差分を参照してください。

コメントの送信

public-owl-comments@w3.org公開アーカイブ)にコメントをお送りください。このドキュメントに対するOWLワーキンググループの作業は完了していますが、コメントは正誤表や今後の改定で扱われることがあります。開発者間の公開討論は、public-owl-dev@w3.org公開アーカイブ)で歓迎します。

W3Cによる承認

このドキュメントは、W3Cメンバー、ソフトウェア開発者、他のW3Cグループ、および他の利害関係者によりレビューされ、W3C勧告として管理者の協賛を得ました。これは確定済みドキュメントであり、参考資料として用いたり、別のドキュメントで引用することができます。勧告の作成におけるW3C の役割は、仕様に注意を引き付け、広範囲な開発を促進することです。これによってウェブの機能性および相互運用性が増強されます。

特許

このドキュメントは、2004年2月5日のW3C特許方針の下で活動しているグループによって作成されました。このドキュメントには、参考情報のみが含まれています。W3Cは、このグループの成果物に関連するあらゆる特許の開示の公開リストを維持し、このページには特許の開示に関する指示も含まれています。


目次

1 はじめに

このドキュメントでは、OWL 2の主な新機能の概要とその原理を提供しています。この機能は、実際のアプリケーションやユーザ、ツール開発者の経験に基づいて決定され、その一部は、OWLEDワークショップ・シリーズでドキュメント化されたものです。機能の導入は、W3C OWLワーキンググループに提供されたユースケースでサポートされており、その一部を7項で挙げています。さらに、このドキュメントは、OWL 2の開発中に行われた決定や、OWLウェブ・オントロジー言語(OWL 1)から意図的に引き継いだその他の設計の決定、特に、OWL 2の様々な具象構文、OWL 2とRDFの関係の一部について説明し、動機づけます(4項)。OWL 2は、OWL 1を拡張しつつ、OWL 1の言語機能、設計の決定およびユースケースを引き継いでいます。したがって、このドキュメントは、OWL 1の基礎となるユースケースおよび要件[OWL Use Cases and Requirements]を拡張したものです。

OWL 2は、プロパティーの表現力の強化、データ型のサポートの拡張、シンプルなメタモデリング性能、注釈性能の拡張、キーなどのいくつかの新機能をOWL 1に追加しています(2項)。OWL 2は、いくつかのプロファイル(特定の性能要件をより満たすことができる、または、より実装しやいOWL 2言語のサブセット)も定義しています(3項)。

2 機能と原理

ここでは、OWL 2の新機能を、次のカテゴリで構成して示しています。

  1. 一部の一般的なステートメントをより簡便に記述できるようにする糖衣構文
  2. 表現力を増強させる新しい構成子
  3. データ型のサポートの拡張
  4. シンプルなメタモデリング性能
  5. 注釈性能の拡張
  6. その他の更新、および小さな機能

各機能は、次の共通パターンで記述しています。

読者は、下のボタンを切り替えることで、例や関数型構文(FSS)、または例の中のRDF構文を選択的に表示したり隠したりできます。

2.1 糖衣構文

OWL 2では、共通パターンをより簡単に記述できるように糖衣構文を追加しています。この構成子はすべて単なる省略形であるため、言語の表現力やセマンティクス、複雑さは変わりません。しかし、実装では、より効率的な処理を行うために、これらの構成子を重要視する方が良いかもしれません。

2.1.1 F1: DisjointUnion

OWL 1は、いくつかの公理を用いて、サブクラスが、素でありスーパークラスを完全にカバーしていると定義する方法を提供しますが、これは簡潔には行えません。

DisjointUnionは、クラスが他のクラスの和集合である(そのすべてが対で素である)と定義します。これは、個別の公理を用いて、クラスを対で素にし、和集合のクラスを作る方法の省略形です。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

DisjointUnion ({ A } C CE1 ... CEn ) このとき、Cはクラス、CEi, 1 ≤ i ≤ nはクラス式、{ A }は0以上の注釈です。

DisjointUnion(:BrainHemisphere :LeftHemisphere :RightHemisphere) (UC#2) :BrainHemisphereは、:LeftHemisphere:RightHemisphereのいずれにも排他的で、これらの両方にはなりえません。
DisjointUnion(:Lobe :FrontalLobe :ParietalLobe :TemporalLobe
:OccipitalLobe :LimbicLobe) (UC#1)
:Lobeは、:FrontalLobe:ParietalLobe:TemporalLobe:OccipitalLobe:LimbicLobeのいずれにも排他的で、これらの2つ以上にはなりえません。
DisjointUnion(:AmineGroup :PrimaryAmineGroup :SecondaryAmineGroup
:TertiaryAmineGroup )(UC#3)
:AmineGroupは、:PrimaryAmineGroup:SecondaryAmineGroup:TertiaryAmineGroupのいずれにも排他的で、これらの両方にはなりえません。
DisjointUnion(:CarDoor :FrontDoor :RearDoor :TrunkDoor) (UC#4) :CarDoorは、のいずれにも排他的で、:FrontDoor:RearDoor:TrunkDoorのいずれにも排他的で、これらの2つ以上にはなりえません。

ユースケース#1 ユースケース#2 ユースケース#3 ユースケース#4

2.1.2 F2: DisjointClasses

OWL 1は、2つのサブクラスが素であると述べる方法を提供しますが、いくつかのサブクラスが対で素であると簡潔に述べることはできません。

DisjointClassesは、集合に属するすべてのクラスが、対で素であると述べます。これは、クラス間の2項の素の公理に対する省略表現です。規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

DisjointClasses ({ A } CE1 ... CEn ) このとき、CEi, 1 ≤ i ≤ nはクラス式、{ A }は0以上の注釈です。

DisjointClasses( :UpperLobeOfLung :MiddleLobeOfLung :LowerLobeOfLung ) (UC#2) :UpperLobeOfLung :MiddleLobeOfLung :LowerLobeOfLungは対で排他的です。
DisjointClasses( :LeftLung :RightLung ) (UC#2) 何ものも:LeftLung:RightLungの両方にはなりえません。
注: FMAは膨大な数の素のクラス[FMA C]を使用しています。左のX vs. 右のX(例えば、左の肺 vs. 右の肺)というテンプレートが3736、左のYのX vs. 右のYのX(例えば、右の胸の皮膚 vs. 左の胸の皮膚)というクラスが13989、男性YのX vs. 女性YのX(例えば、男性の胸の右側 vs. 女性の胸の右側)とうクラスが75あります。

ユースケース#1 ユースケース#2

2.1.3 F3: NegativeObjectPropertyAssertionNegativeDataPropertyAssertion

OWL 1は、個体に対するプロパティー値を言明する方法を提供しますが、個体が持っていない値(否定的事実)を直接言明するための構成子は提供しません。

NegativeObjectPropertyAssertion(または、NegativeDataPropertyAssertion)は、あるプロパティーがある個体(または、リテラル)に当てはまらないと述べます。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

NegativeObjectPropertyAssertion( { A } OPE a1 a2 ) このとき、OPEはオブジェクト・プロパティーの式、a1 a2は個体、{ A }は0以上の注釈です。

NegativeDataPropertyAssertion( { A } DPE a lt ) このとき、DPEはデータ・プロパティーの式、aは個体、ltはリテラル、{ A }は0以上の注釈です。

NegativeObjectPropertyAssertion( :livesIn :ThisPatient :IleDeFrance ) (UC#9) :ThisPatientは、:IleDeFrance地域には住んでいません。
NegativeDataPropertyAssertion( :hasAge :ThisPatient 5^^xsd:integer ) (UC#9) :ThisPatientは、5歳ではありません。

ユースケース#9

2.2 プロパティーの新しい構成子

OWL 1は、主にクラスと個体に関する情報を表現するための構成子に重点を置いており、プロパティーの表情力に関しては弱点を曝していました。OWL 2は、プロパティー制限の追加やプロパティーの新しい特性、プロパティーの不一致、プロパティー連鎖、キーを表わすための新しい構成子を提供します。

2.2.1 F4: 自己制限

OWL 1では、あるプロパティーで自身に関連づけられているオブジェクトのクラス(例えば、自身を制限するプロセスのクラス)の定義は認められていません。この「ローカルな反射性」は、多くのアプリケーションに(特に、グローバルな反射性が一般的にプロパティーに当てはまらないときに)有用ですが、ローカルの反射性は、オブジェクトの一部のクラスに当てはまります。OWL 2の構成子ObjectHasSelfにより、ローカルの反射性をクラスの記述に使用できるようになります。自己制限は、SROIQ[SROIQ]の一部で、決定可能性や実行可能性には影響を及ぼさずに、ユーザが要求する追加事項を提供するように設計された、OWL-DL(SHOIN)の基礎をなす記述論理の拡張です。SROIQは、FaCT++、HermiT、Pellet TOOLS[TOOLS]を含むいくつかの推論システムでサポートされています。

ObjectHasSelf制限で定義されたクラス式は、あるオブジェクト・プロパティーで自身に関連づけられているすべてのオブジェクトのクラスを示します。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

ObjectHasSelf (OPE) このとき、OPEはオブジェクト・プロパティー式です。

SubClassOf( :AutoRegulatingProcess ObjectHasSelf( :regulate ) ) 自動制御(Auto-regulating)処理は、自身を制御します。
SubClassOf( :Auto-Phosphorylating-Kinase ObjectHasSelf( :phosphorylate )) (UC#20) 自動リン酸化キナーゼ(Auto-Phosphorylating-Kinases)は、自身をリン酸化します。

ユースケース#5 ユースケース#3

2.2.2 F5: プロパティーの条件付きカーディナリティー制限

OWL 1では、例えば、少なくとも3人の子供がいる人の定義などの、プロパティーのインスタンス数の制限が可能ですが、例えば、少なくとも3人の女の子供がいる人のクラスの指定などの、インスタンスのクラスデータ値域を数えるために制限を行う方法(条件付きカーディナリティー制限)は提供されていません。OWL 2では、条件付きカーディナリティー制限と条件なしカーディナリティー制限の両方が可能です。条件付きオブジェクトデータのカーディナリティー制限は、SROIQに存在しており、うまく実装されました。これらは、既に様々なツールや推論システムでサポートされています(例えば、Protégé 4、FACT++、HermiT、KAON2、PELLETおよびRACER)[TOOLS] [OWL API]。

ObjectMinCardinalityObjectMaxCardinalityおよびObjectExactCardinality(または、DataMinCardinalityDataMaxCardinalityおよびDataExactCardinality)により、最小、最大または厳密な条件付きカーディナリティー制限、オブジェクト(または、データ)プロパティーの言明が可能となります。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

オブジェクト・プロパティーのカーディナリティー制限

ObjectMinCardinality ( n OPE [ CE ] ) このとき、nは負でない整数、OPEはオブジェクト・プロパティー式、[ CE ]は0または1つのクラス式です。

ObjectMaxCardinality ( n OPE [ CE ] ) このとき、nは負でない整数、OPEはオブジェクト・プロパティー式、[ CE ]は0または1つのクラス式です。

ObjectExactCardinality ( n OPE [ CE ] ) このとき、nは負でない整数、OPEはオブジェクト・プロパティー式、[ CE ]は0または1つのクラス式です。

ObjectMinCardinality( 5 :hasDirectPart owl:Thing ) 少なくとも5つの直接的な部分を持つオブジェクトのクラス
ObjectExactCardinality( 1 :hasDirectPart :FrontalLobe ) (UC#1) きっかり1つの前頭葉という型の直接的な部分を持つオブジェクトのクラス

OWL 1では、脳の半球に少なくとも5つの直接的な部分があることを表現できますが、UC#1で求められているように、脳の半球に前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉、辺縁葉という個々の特定の型に属する直接的な部分がきっかり1つあることは表現できません。OWL 2では、上記の例で示しているように、両方のステートメントが可能です。

ObjectMaxCardinality( 3 :boundTo :Hydrogen) (UC#3) 最大3つの異なる水素バインドされたオブジェクトのクラス
ObjectMaxCardinality( 5 :hasPart :Door ) (UC#4) 最大5つの:Doorを持つオブジェクトのクラス
ObjectExactCardinality( 2 :hasPart :RearDoor ) (UC#4) きっかり2つの:RearDoorを持つオブジェクトのクラス

データ・プロパティーのカーディナリティー制限

DataMinCardinality ( n DPE [ DR ] ) このとき、nは負でない整数、DPEはデータ・プロパティー式、[ DR ]は0または1つのデータ値域です。

DataMaxCardinality ( n DPE [ DR ] ) このとき、nは負でない整数、DPEはデータ・プロパティー式、[ DR ]は0または1つのデータ値域です。

DataExactCardinality ( n DPE [ DR ] ) このとき、nは負でない整数、DPEはデータ・プロパティー式、[ DR ]は0または1つのデータ値域です。

DataMaxCardinality( 1 :hasSSN ) 各個体には、最大1つの社会保障番号があります。

ユースケース#1 ユースケース#2 ユースケース#3, ユースケース#4 ユースケース#8

2.2.3 F6: 反射的、非反射的、非対称的オブジェクト・プロパティー

OWL 1では、オブジェクト・プロパティーが対称的または推移的であるという言明は可能ですが、プロパティーが反射的、非反射的または非対称的であるという言明はできません。

OWL 2の構成子ReflexiveObjectPropertyにより、オブジェクト・プロパティーの式がグローバルに反射的であると言明することが可能となります - つまり、プロパティーはすべての個体に当てはまります。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

ReflexiveObjectProperty ( { A } OPE ) このとき、OPEはオブジェクト・プロパティー式、{ A }は0以上の注釈です。

ReflexiveObjectProperty( :sameBloodGroup ) (UC#9) すべては、自身と同じ血液型を持っています。
ReflexiveObjectProperty( :part_of ) (UC#2) すべては、自身の:part_ofです。

注:メレオロジーの関係には様々な解釈があります。例えば、OBO(ユースケース#5)は、:part_ofは反射的と述べている一方で、ユースケース#1では、解剖学のエンティティー間のメレオロジーな関係anatomicalPartOfは、非反射的であると述べています。

OWL 2の構成子IrreflexiveObjectPropertyにより、オブジェクト・プロパティーの式が非反射的であると言明することが可能となります - つまり、プロパティーはどの個体にも当てはまりません。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

IrreflexiveObjectProperty ( { A } OPE ) このとき、OPEはオブジェクト・プロパティー式、{ A }は0以上の注釈です。

IrreflexiveObjectProperty( :proper_part_of ) (UC#5) 何ものも、自身の真部分(proper part)にはなりえません。
IrreflexiveObjectProperty( :boundBy ) (UC#1) 何ものも、自身でバインドすることはできません。
IrreflexiveObjectProperty( :flowsInto )(UC#6) 何ものも、自身に再帰(flow into)できません。

注: 上記の例は、ユースケース#1などで示されているユースケースのメレオロジーおよび位相的なプロパティーであるanatomicalPartOf :boundByに関するステートメントと一致します。しかし、他のアプリケーションでは、これらの用語を、異なる特性を有するプロパティーに使用できます。

OWL 2の構成子AsymmetricObjectPropertyにより、オブジェクト・プロパティーの式が非対称的であると言明することが可能となります - つまり、プロパティーの式OPEが、個体xyの間で成り立つ場合、yxの間では成り立ちません。非対称的が、単なる対称的でないよりも強力であることに注意してください。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

AsymmetricObjectProperty ( { A } OPE ) このとき、OPEはオブジェクト・プロパティー式、{ A }は0以上の注釈です。

AsymmetricObjectProperty( :proper_part_of )(UC#8) プロパティー:proper_part_ofは、非対称的です。

これらの構成子は、SROIQの一部であり、FaCT++、HermiTやPelletなどのSROIQ推論システムに実装されました。

ユースケース#5 ユースケース#6 ユースケース#8

注意: 多くのユースケースは、反射性、非反射性、非対称性、または、ローカルな反射性が好ましいことを示しています。保健医療と生命科学(Health Care and Life Sciences)の利害団体は、彼らの最終草案のコメントで、これらの機能の有用性について明確に述べています。また、セマンティック・ウェブ開発ワーキンググループ(SWD)は、例えば、SKOSの意味関係に関するアプリケーション固有の特殊化化に、反射性と非対称性が潜在的に有用であると明言しています(SWDのコメントを参照しください)。例えば、メレオロジーでは、partOf関係は、推移的、反射的、反対称的であると定義されます。例えば、生命科学やシステム工学において複雑な構造を記述するアプリケーションの多くは、この方法で公理化された部分―全体関係を大規模に使用する必要があります。オントロジーのモデリングで見かける他の関係でも、そのような公理化(恐らく、様々な特性の)が必要です(例えば、[OBO] [RO])。例には、真部分と位置関係(通常、推移的と非反射的)、因果関係(通常、推移的と非反射的)、メンバーシップ関係(通常、非反射的)が含まれています。もう一つの例は、skos:broader関係です。SKOSの仕様[SKOS]は、両方の解釈を可能にするskos:broaderの反射性または非反射性に関するステートメントを行いません。例えば、推論されたOWLサブクラス階層の直接変換に関しては反射的であるものの、ほとんどのシソーラスや分類体系に関しては非反射的であると考えるべきです。OWL 2の反射性/非反射性は、要求に応じて、これらの2つの機能のうち1つを追加できます。自己制限は、さらにきめが細かく、skos:broaderをローカルで反射的または非反射的、つまり、(公理のSubClassOfによって)特定のskos:Conceptに制限できます。

2.2.4 F7: 素のプロパティー

OWL 1は、クラスが素であると述べる手段を提供していますが、プロパティーが素であると述べることはできません。

OWL 2の構成子DisjointObjectPropertiesにより、複数のオブジェクトのプロパティーが対で非互換(排他的)であることを言明することが可能となります。つまり、2つの個体を、ある集合の異なる2つのプロパティーで結び付けることはできません。この構成子は、SROIQに含まれており、SROIQの推論システムで実装されています。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

DisjointObjectProperties( { A } OPE1 ... OPEn ) このとき、OPEi, 1 ≤ i ≤ nはオブジェクト・プロパティー式、{ A }は0以上の注釈です。

DisjointObjectProperties( :connectedTo :contiguousWith ) (UC#1) :connectedTo:contiguousWithは、排他的なプロパティーです。

注: ユースケース#1は、3番めの解剖のエンティティーで関連づけられている2つの解剖のエンティティーを、結び付いている(connected)と定義しますが、それらが隣接している場合には、接触している(contiguous)と述べます。

DisjointDataPropertiesにより、複数のデータのプロパティーが対で非互換(排他的)であることを言明することが可能となります。規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

DisjointDataProperties( { A } DPE1 ... DPEn ) このとき、DPEi, 1 ≤ i ≤ nはデータ・プロパティー式、{ A }は0以上の注釈です。

DisjointDataProperties( :startTime :endTime ) 何か(例えば、手術)の開始時間は、その終了時間とは異なっていなければなりません。

ユースケース#1 ユースケース#2 ユースケース#3

2.2.5 F8: プロパティー連鎖包含

OWL 1は、叔父を定義する場合のように、プロパティーが他のプロパティーの構成要素であることを定義する手段を提供しません。したがって、プロパティー(例えば、locatedIn)を、別のプロパティー(例えば、partOf)とともに伝えることはできません。SubObjectPropertyOf公理のOWL 2構築子ObjectPropertyChainにより、プロパティーが複数のプロパティーの構成要素であると定義可することが能となります。このような公理は、SROIQ(決定可能性に必要な正則性条件も定義する)では、複雑な役割の包含(complex role inclusion)として知られており、SROIQの推論システムで実装されています。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

公理SubObjectPropertyOfObjectPropertyChain( OPE1 ... OPEn ) OPE)は、オブジェクト・プロパティーの式の連鎖OPE1, ..., OPEnによって個体yと結び付けられている任意の個体xが必然的にオブジェクト・プロパティーOPEによってyと結び付けられていると述べます。

SubObjectPropertyOf ( { A } ObjectPropertyChain( OPE1 ... OPEn ) OPE ) このとき、OPEi, 1 ≤ i ≤ nはオブジェクト・プロパティー、{ A }は0以上の注釈です。

SubPropertyOf( ObjectPropertyChain( :locatedIn :partOf ) :locatedIn ) (UC#7) xがyに存在し、yがzの部分である場合、xはzに存在します。例えば、ある部分に存在する疾病は全体から見ても存在します。

ユースケース#1 ユースケース#5 ユースケース#7 ユースケース#8

2.2.6 F9: キー

OWL 1は、キーを定義する方法を提供しません。しかし、キーは、キー・プロパティー(の集合)の値により、あるクラスの個体を特定するために、多くのアプリケーションにとって極めて重要なものです。OWL 2の構成子HasKeyにより、あるクラスに対してキーを定義することが可能となります。OWL 2のキー・プロパティーは、関数型やすべてのプロパティーである必要はありませんが、必要であれば、キー・プロパティーが関数型であると別途述べることは常に可能です。OWL 2のキーは、DL Safe rule [DL-Safe]の形式の一つです。これは、HermiT、KAON2、およびPelletで実装されており、他の推論システムに追加できます。

HasKey公理は、クラスの個々の名前付きインスタンスが(データかオブジェクトの)プロパティーまたはプロパティーの集合によって一意に識別されると述べます。つまり、個々のキー・プロパティーに対する値において、クラスの2つの名前付きインスタンスが一致していれば、これらの2つの個体は同じです。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

HasKey( { A } CE ( OPE1 ... OPEm ) ( DPE1 ... DPEn ) ) このとき、CEはクラス式、OPEi , 1 ≤ i ≤ mはオブジェクト・プロパティー式DPEj, 1 ≤ j ≤ nはデータ・プロパティー式、{ A }は0以上の注釈です。

HasKey( :RegisteredPatient :hasWaitingListN ) 個々の登録済み患者([ABM全国臓器待機リストの])は、その人の待機リスト番号(UC#9)で一意に識別されます。
ClassAssertion( :RegisteredPatient :ThisPatient ) :ThisPatient:RegisteredPatientです。
DataPropertyAssertion( :hasWaitingListN :ThisPatient "123-45-6789" ) :ThisPatientの待機リスト番号は「123-45-6789」です。

この例では、:hasWaitingListN:RegisteredPatientというクラスのキーであるため、「123-45-6789」という番号は、:ThisPatientを一意に識別します。HasKeyという公理(:RegisteredPatient :hasWaitingListN)は、番号を割り当てられた2人の異なる患者が待機リスト上で同じ番号を持ちえないと述べているだけであり、:RegisteredPatientというクラスの2つの名前付きインスタンスに対して:hasWaitingListNの値が同じあれば、これらの2人の個人は同じでしょう。HasKey公理は、明示的に名前が付与されている個体にのみ適用可能であるという主な違いを除き、InverseFunctionalProperty公理と似ています。個々の登録済み患者が少なくともまたは最大1つの:hasWaitingListNの値を持っていることを示すものではありません。:hasWaitingListNを有する個々の患者が:RegisteredPatientというクラスに属するという推論を行うことはできません。

HasKey( :Transplantation :donorId :recipientId :ofOrgan ) 個々の移植は、ドナー、レシピエント、臓器(UC#9)で一意に識別されます。

移植を識別するためには、複数のプロパティーが必要で、実際に、1人のドナーが腎臓や肝臓などの複数の臓器を1人の人に提供したり、腎臓などの同じ臓器を2人のレシピエントに提供したり、あるいは異なる臓器を異なるレシピエントに提供することができます。

ユースケース#2 ユースケース#7 ユースケース#9

2.3 データ型性能の拡張

2.3.1 F10: 追加のデータ型およびデータ型制限

OWL 1は、データ型として整数と文字列のみをサポートし、これらのデータ型のサブセットはサポートしていません。例えば、すべての人には年齢(これは整数)があると述べることはできますが、そのデータ型の範囲を制限して、大人は18歳以上の年齢であると述べることはできません。OWL 2は、XMLスキーマと同様に、データ型に新しい性能を提供し、より豊かなデータ型の集合およびファセットによるデータ型の制限をサポートします。

OWL 2データ型には、a)様々な種類のが含まれており、広範囲なXMLスキーマのデータ型(倍、浮動小数点数、10進、自然数など)のサポートを強化し、例えばowl:realなどの独自のデータ型を提供します。また、b)(rdf:PlainLiteralデータ型を用いた)言語タグ付き(または、言語タグなし)の文字列が含まれておいます。さらに、c)ブール値、バイナリ・データ、IRI、時刻などが含まれています。

DatatypeRestrictionにより、データ型に許される値の範囲を制約する制約ファセットや、(文字列の)長さ(例えば、minLength、maxLength)、最小値/最大値(例えば、minInclusive、maxInclusive)により制約を行うという方法でデータ型の制限を定めることもできます。拡張データ型は、多くの記述論理で認められており、いくつかの推論システムでサポートされています。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

DatatypeRestriction( DT F1 lt1 ... Fn ltn ) このとき、DTは単項のデータ型、⟨ Fi lti、1 ≤ i ≤ nは制約ファセットとリテラルとの対です。

DatatypeRestriction(xsd:integer minInclusive 18) (UC#9) XMLスキーマ・データ型xxsd:integerにおいて下限が18である新しいデータ型

このデータ型は、例えば、病院の小児科サービスを受ける18歳未満(子供)の患者と、成人用サービスを受ける18歳以上(大人)を定義するために必要です。

ユースケース#9 ユースケース#11 ユースケース#12 ユースケース#18 ユースケース#19

2.3.2 F11: N項データ型

OWL 1では、例えば、正方形は縦と横の長さが等しい長方形であると表現するような、1つのオブジェクトに対する複数の値の間の関係を表わすことはできません。どのようなサポートを追加すべきかに関してのみが課題であったため、n項データ型のサポートはOWL 2に追加されませんでした。しかし、OWL 2には、n項データ型に必要とされる構文構成子が含まれており、拡張のための共通基盤が提供されています。データ値域拡張: 線型方程式は、有理係数を持つ線型方程式(不等式)の観点から、データの値域を定義するためにOWL 2に対する拡張を提案しています。

DataAllValuesFrom ( :admissionTemperature :currentTemperature
DataComparison(Arguments(x y) leq( x y )))) (UC#11)
:admissionTemperatureが自身の:currentTemperatureより小さいまたは等しい個人

ユースケース#10 ユースケース#11

2.3.3 データ型定義

OWL 1では、クラスの記述で新しいクラスを定義できますが、新しいデータ型を明示的に定義する方法は提供していません。オントロジーの記述、読み取り、維持を容易にするために、OWL 2では、データ型の定義用に新しい構成子を提供しています。これは、1つのオントロジーに同じデータ型を複数回使用する場合に特に便利です。

DatatypeDefinitionにより、新しいデータ型を明示的に指定できます。 規範構文 ダイレクト・セマンティクス RDFベースのセマンティクス

DatatypeDefinition ( { A } DT DR ) このとき、DTはデータ型、DRはデータ値域、{ A }は0以上の注釈です。

DatatypeDefinition( :adultAge DatatypeRestriction(xsd:integer minInclusive 18)(UC#9)
成人年齢は、XMLスキーマ・データ型xsdxsd:integerで18という下限を用いることにより定義されます。

ユースケース#9

2.3.4 データ値域の組み合わせ

OWL 1では、クラスを組み合わせて新たなクラスを作成できますが、データ型を組み合わせて新たなデータ型を作成する方法は提供しません。OWL 2では、この方法で、新たなデータ型を定義できます。

OWL 2では、データ値域の組み合わせは、データ値域の積集合(DataIntersectionOf)、和集合( DataUnionOf)、補集合(DataComplementOf)を用いて作成できます。

DataIntersectionOf ( { A } DR1 ... DRn ) このとき、DRi、1 ≤ i ≤ nはデータ値域、{ A }は0以上の注釈です。

DataUnionOf ( { A } DR1 ... DRn ) このとき、DRi、1 ≤ i ≤ nはデータ値域、{ A }は0以上の注釈です。

DataComplementOf ( { A } DR) このとき、DRi、1 ≤ i ≤ nはデータ値域、{ A }は0以上の注釈です。

DataComplementOf( :adultAge ) このデータ値域には、18以上の正の整数でないすべてのリテラルが含まれています。

ユースケース#9

2.4 シンプルなメタモデリング性能

2.4.1 F12: パニング

OWL 1 DLでは、クラス、個体などの名前間の厳密な区別が必要でした。OWL 2 DLでは、この区別を多少緩和し、同じ用語を異なる用途に用いることができます。例えば、鷲(Eagle)は、すべての鷲のクラスを表わすクラスと、すべての動植物の種の(メタ)クラスに属する鷲という種を表わす個体の両方に用いられます。しかし、OWL 2 DLでは、1つの名前をクラスとデータ型の両方には使用できず、1種類のプロパティーにのみ使用する必要があるという制限がさらに課されます。OWL 2ダイレクト・セマンティクスは、DLの推論システムで要求されるとおり、同じ名前の異なる使用を、完全に別のものとして扱います。

Declaration( Class( :Person ) ) (UC#13) (1) :Personはクラスであると宣言されています。
ClassAssertion( :Service :s1 ) (2) :s1:Serviceの個体です。
ObjectPropertyAssertion( :hasInput :s1 :Person )(3) 個体:s1は、:hasInputによって個体:Personに結び付けられています。

「:Person」という同じ用語は、(1)ではクラス、(3)では個体を表します。これはパニング(クラス↔個体)のおかげで、OWL 2では可能です。

Declaration( Class( :Deprecated_Properties ) ) (UC#14)(1) :Deprecated_Propertiesクラスであると宣言されています。
Declaration( ObjectProperty( :is_located_in ) ) (2) :is_located_inObjectPropertyであると宣言されています。
ClassAssertion( :Deprecated_Properties :is_located_in ) (3) :is_located_in:Deprecated_Propertiesの個体です。

「is_located_in」という同じ用語は、プロパティー(2)と個体(3)の両方を表します。これはパニング(プロパティー↔個体)のおかげで、OWL 2では可能です。

ユースケース#14は、:is_located_inというプロパティーで非推奨プロパティーという注釈を用いても表現可能で、これはより直観的、もしくは、よりよいモデリングでありえます。

Declaration( Class( :Person ) ) Declaration( Class( :Company ) ) (UC#15) (1) :Person:Companyはクラスであると宣言されています。
SubClassOf ( :PersonCompany :Association) (2) :PersonCompanyは、:Person:Companyのクラスの間の関係をクラスとしてモデル化するために用いられる:Associationのサブクラスを表します。
ObjectPropertyDomain( :PersonCompany :Person )(3) :PersonCompanyというプロパティーの定義域は:Personです。
ObjectPropertyRange( :PersonCompany :Company )(4) :PersonCompanyというプロパティーの値域は:Companyです。

:PersonCompanyという同じ用語は、クラス(2)とObjectProperty(3と4)の両方を表します。これはパニング(クラス↔ObjectProperty)のおかげで、OWL 2では可能です。

ユースケース#12 ユースケース#13 ユースケース#14 ユースケース#15

2.5 注釈の拡張

OWL 1では、ラベルやコメントなどの論理的ではない注釈を各オントロジーのエンティティーに付与できますが、例えば、誰が公理を言明したか、または、それがいつ行われたかに関する情報の付与などの公理の注釈は可能ではありませんでした。OWL 2では、オントロジー、エンティティー、匿名の個体、公理および注釈自身の注釈が可能です。

2.5.1 F13: 注釈

オントロジーのエンティティーおよび匿名の個体に関する注釈 OWL 2は、オントロジーのエンティティー(クラスやプロパティーなど)や匿名の個体の注釈のために、構成子AnnotationAssertionを提供しています。これらの注釈は、OWL 2ダイレクト・セマンティクスではセマンティクスを保持せず、DL推論システムを直接使用できます。

AnnotationAssertion( { A } AP s v ) このとき、APは注釈プロパティー、sはIRIまたは匿名の個体、vはリテラル、IRIまたは匿名の個体、{A}は0以上の注釈(注釈言明)です。

AnnotationAssertion (rdfs:label CARO:0000003 "anatomical structure" ) (UC#5) CAROオントロジーのIRIであるCARO:0000003は、rdfs:labelという注釈プロパティーの値として、「解剖学的構造」という人間が読めるラベルによって注釈が付与されています。
AnnotationAssertion (FMA:UWDAID FMA:Heart 7088 ) (UC#2) FMAのIRIであるFMA:Heartは、FMA:UWDAIDという注釈プロパティーの値として、整数7088(そのFMA Id)によって注釈が付与されています。

公理、注釈、オントロジーに関する注釈 OWL 2は、公理とオントロジーの注釈に対し、構成子Annotationを提供します。これは、注釈自身の注釈に使用することもできます。これらの注釈は、OWL 2ダイレクト・セマンティクスではセマンティクスを保持せず、DL推論システムを直接使用できます。

Annotation( {A} AP v ) このとき、APは注釈プロパティー、vはリテラル、IRIまたは匿名の個体、{A}は0以上の注釈です。

SubClassOf( Annotation( rdfs:comment "Middle lobes of lungs are necessarily right lobes since left lungs do not have middle lobe.") :MiddleLobe :RightLobe ) (UC#2) 「肺の中葉は必ず右葉である」というコメントは、なぜ:MiddleLobe:RightLobeのサブクラスであるかを説明するサブクラス公理の注釈です。

ユースケース#2 ユースケース#5 ユースケース#12 ユースケース#19

2.5.2 注釈プロパティーに関する公理

注釈プロパティーには、定義域(AnnotationPropertyDomain)と値域(AnnotationPropertyRange)を付与でき、注釈プロパティーの階層(SubAnnotationPropertyOf)に加えることができます。この特別な公理は、OWL 2ダイレクト・セマンティクスではセマンティックな意味を持ちませんが、RDFベースのセマンティクス(RDF語彙に対するマッピングによって)では標準的なRDFセマンティクスを持ちます。

注釈プロパティーのサブプロパティー

SubAnnotationPropertyOf( { A } AP1 AP2 ) このとき、AP 1とAP2は注釈プロパティー、{A}は0以上の注釈です。

SubAnnotationPropertyOf (:narrow_synonym :synonym ) (UC#5) :narrow_synonymというプロパティーは、:synonymのサブプロパティーです。

OBOオントロジー(特に、遺伝子オントロジー)は、exact_synonym、narrow_synonym、broad_synonymなどの異なる種類の同意語を区別します。

注釈プロパティーの定義域

AnnotationPropertyDomain ( { A } AP U ) このとき、APは注釈プロパティー、UはIRI、{A}は0以上の注釈です。
AnnotationPropertyDomain ( FMA:UWDAID FMA:AnatomicalEntity )(UC#2) FMA: AnatomicalEntityのみが、FMA:UWDAID(つまり、FMA ID)を持ちえます。

注釈プロパティーの値域

AnnotationPropertyRange ( { A } AP U ) このとき、APは注釈プロパティー、UはIRI、{A}は0以上の注釈です。
AnnotationPropertyRange ( FMA:UWDAID xsd:positiveInteger ) (UC#2) FMA: AnatomicalEntityのIDは正の整数です。

ユースケース#2 ユースケース#5

2.6 その他の更新

2.6.1 F14: 宣言

OWL 1では、クラスやオブジェクト・プロパティーなどのエンティティーは、事前通知なしにオントロジーでを使用できます。したがって、異なる公理においてエンティティー名が一致していることを保証する方法はありませんでした。実際に、ある公理においてエンティティー名がミスタイプされていても、そのエラーを見つける方法はありませんでした。OWL 2では、宣言は、あるエンティティーが、あるオントロジーの語彙の一部であるということを示唆します。さらに、宣言は、エンティティーのカテゴリー(クラス、データ型、オブジェクト・プロパティー、データ・プロパティー、注釈プロパティー、個体)を、宣言されたエンティティーに関連づけます。宣言は必ずしも必要ではありません(構文を参照)。宣言は、OWL 2オントロジーの意味には影響を及ぼさず、したがって、推論に影響を及ぼしません。実装においては、必要に応じて、すべての名前が宣言されているかをチェックすることを選択できます。

Declaration( A E ) このとき、Aは注釈、Eはエンティティーです。

次の宣言は、:PersonというIRIはクラスとして用いられ、:PeterというIRIは個体として用いられていると述べています。

Declaration( Class( :Person ) ) (UC#17) :Personはクラスであると宣言されています。
Declaration( NamedIndividual( :Peter ) ) :Peterは個体であると宣言されています。
Declaration( Class( CARO:0000003 ) ) (UC#5) CARO:0000003はクラスであると宣言されています。

ユースケース#17 ユースケース#5

2.6.2 最上位プロパティーおよび最下位プロパティー

OWL 1には、クラスに対し最上位と最下位の定義済みエンティティーのみがありました(owl:Thingとowl:Nothingの2つのクラス)が、OWL 2では、最上位と最下位のオブジェクト・プロパティーとデータ・プロパティー(つまり、owl:topObjectPropertyowl:bottomObjectPropertyowl:topDataPropertyowl:bottomDataProperty)も提供します。

2.6.3 IRI

OWL 1では、クラス、オントロジーおよびその他のオントロジーの要素を識別するために、URI(Uniform Resource Identifiers)が用いられていました。URIは、ASCIIのサブセットを用いて形成される文字列です。ASCIIには英語のアルファベットの文字のみが含まれているため、これは特に非英語の名前にとって非常に制限的でした。広範囲で国際的なニーズをサポートするために、OWL 2は、オントロジーとその要素の識別のためにIRI(Internationalized Resource Identifiers)([RFC3987])を用います。

2.6.4 インポートとバージョン付け

OWL 1では、オントロジーはセマンティック・ウェブのドキュメントとして保存でき、オントロジーは他のオントロジーをインポートできます。OWL 2では、このインポートがオントロジー・ドキュメントの位置に基づくものであることを明確にしています。

OWL 2は、オントロジー名(IRI)とその位置の関係も明確化し、いくつかの要求に応じて、バージョン名(IRI)によるシンプルなバージョン付けの手段を提供します。個々のOWL 2オントロジーはオントロジーのIRIを持つことができ、それはそのオントロジーを識別するために使用されます。OWL 2のオントロジーは、あるバージョンに対するIRIを持つこともでき、それはオントロジーの特定バージョンを識別するために使用されます。

OWL 2のオントロジーは、そのバージョンのIRIで保存され、そのオントロジーのIRIを持つオントロジーのうちの1つも、そのオントロジーのIRIで保存されます。どのバージョンが望ましいかが重要でない場合には、インポートにはオントロジーのIRIを使用できますが、特定のバージョンが望ましい場合には、そのバージョンのIRIを用います。

Ontology ( [O [ V ]] { Import ( O' ) } { A } { AX } ) このとき、[O]と[V]は0あるいは1つのオントロジーおよびバージョンIRI、{Import(O')}は0以上のインポート、O'はオントロジーIRI、{A}は0以上の注釈、{AX}は0以上の公理です。

オントロジーは、バージョンのIRI Vに保存されます。オントロジーのIRI Oを用いているバージョンの一つは、Oにも保存されるべきです。これは、オントロジーの現行バージョンと見なされます。

2.7 小さな機能

他のいくつかの変更がOWL 2構文に導入されましたが、これらはOWL 1の表現力を変更するものではありません。

2.7.1 匿名の個体

OWL 1では、匿名の個体は、識別子のない個体として導入されました。

Individual(value( :city :Paris ) value( :region :IleDeFrance )) この公理には、:city:regionのトリプルの主語の個体名が含まれていないため、導入されている固定は匿名の個体です。

一方で、OWL 2では、匿名の個体はノードIDを用いて識別されます。

ObjectPropertyAssertion( :city _:a1 :Paris ) (UC#9) この公理は、 ... パリ市にあるこの不明のアドレスに対し、明示的な匿名の個体である_:a1を導入しています。
ObjectPropertyAssertion( :region _:a1 :IleDeFrance ) IleDeFranceの地域でも同様です。

この変更は、主に新たな関数型構文に関する要件が動機となりました。抽象構文構造は(入れ子の)フレーム状の構造であるため、空白ノードを用いるパターンはノードIDなしに指定できましたが、関数型構文ではこれを行うことはできません。表現力は変わりません。RDF側には変更はなく、OWL 2の匿名の個体の処理も、OWL 1のそれと完全に下位互換性があります。上記の例では、「_:a1」は単にRDFグラフの空白ノードを表しています。

ユースケース#9

2.7.2 逆プロパティー

OWL 1では、プロパティーはすべてアトミックですが、あるオブジェクト・プロパティーが別のプロパティーの逆であると言明できます。OWL 2では、ObjectInverseOf( P )などのプロパティー式をクラス式で使用できます。これにより、逆を指定する必要が回避され、オントロジーの記述がより容易になります。

オブジェクト・プロパティーPa2a1に関連づけている場合に限り、逆のオブジェクト・プロパティー式ObjectInverseOf( P )は、個体a1a2に関連づけます。

ObjectInverseOf( P ) このとき、Pはオブジェクト・プロパティーです。

ObjectInverseOf( :partOf ) この式は、:partOfの逆プロパティーを表します。


逆のオブジェクト・プロパティー公理InverseObjectProperties( OPE1 OPE2 )は、2つのプロパティーが逆であると述べます。

InverseObjectProperties( OPE1 OPE2 ) このとき、OPE1OPE2はオブジェクト・プロパティー式です。

下記はOWL 1の逆プロパティー公理の例です。

ObjectProperty( :hasPart inverse :partOf ) :hasPartには、:partOfという名前の逆プロパティーがあります。

これは、:hasPart:partOfの逆であると述べている次の公理により、OWL 2で表わすことができます。

EquivalentProperties( :hasPart ObjectInverseOf( :partOf ) ) :partOfは、:hasPartの逆プロパティーと同じです。

このような公理は極めて一般的であるため、OWL 2は次の構文の省略表現を提供しています。

InverseObjectProperties( :hasPart :partOf ) :hasPart:partOfは逆プロパティーです。

3 プロファイル

3.1 F15: OWL 2 EL、OWL 2 QL、OWL 2 RL

OWL 1では、OWL DLとOWL Fullという2つの主な方言と、1つの構文のサブセット(OWL Lite)を定義しました。しかし、これは、OWLオントロジーの展開により、後に確認された要件に対応するためには十分ではなかったことが判明しました。

上記の要件に対応するために、OWL 2は3つの異なるプロファイルを定義しています。それらは、OWL 2 EL、OWL 2 QL、OWL 2 RL — 有用な計算特性(例えば、LOGSPACEからPTIMEまでの範囲の推論の複雑さ)や実装可能性(例えば、RDBを用いて実装可能な破片)を有するOWL 2のサブ言語(構文サブセット)です。これらについては、下記で簡潔に述べています。完全な説明については、プロファイル[OWL 2 Profiles]を参照してください。

3.1.1 OWL 2 EL

OWL 2 ELは、例えば、SNOMED CTやNCIシソーラスなどの多くの大規模オントロジーに用いられる表現力を有しています。

OWL 2 ELは、言語にいくつかの構文上の制限を置きます。

これらの制限の結果、OWL 2 EL推論システム(例えば、CEL [CEL])は、多項式の複雑さが最悪のケースであると知られている(OWL 2プロファイル[OWL 2 Profiles]のコンピュータ特性を参照)クエリ回答アルゴリズムを含む推論アルゴリズムを利用できます。ELという頭字語は、プロファイルの基礎が記述論理[EL++] [EL++ Update](特称量化のみを提供する論理)のELファミリーにあることを反映しています。

3.1.2 OWL 2 QL

OWL 2 QLは、シソーラスのようなシンプルなオントロジーで一般的に用いられる表現力と、(大部分の)ER/UMLスキーマの表現力を有しています。

OWL 2 QLは、言語にいくつかの構文上の制限を設けます。

これらの制限は、RDBMSとの密接な統合を可能にし、推論システムは、標準的なリレーショナル・データベース上に実装できます。したがって、このプロファイルは、比較的軽いオントロジーのみを必要とするけれども、個体数が非常に多く、リレーショナルなクエリ(例えば、SQL)でデータに直接アクセスすることが有益または必要なアプリケーションに特に適しています。クエリ回答を含む推論は、クエリの書き換え技術を用いて効率的に実行することができ、その複雑さは最悪のケースのNLogSpaceであると知られています(OWL 2プロファイル[OWL 2 Profiles]のコンピュータ特性を参照)。QLという頭字語は、標準的なリレーショナル・クエリ言語(Query Language)へのクエリの書き換えにより、クエリ回答が実行できるという事実を反映しています。

3.1.3 OWL 2 RL

OWL 2 RLは、言語の完全な表現力と引き換えに効率を得ることができるOWL 2アプリケーションと、OWL 2に追加された一部の表現力を必要とするRDF(S)アプリケーションの両方に対応することを目指しています。これは、規則ベースの技術を用いた実装に適したOWL 2の構文サブセットを定義することにより達成されます。

OWL 2 RLは、言語にいくつかの構文上の制限を設けます。

これらの制限により、規則を拡張したDBMSなどの規則ベースの技術を用いてOWL 2 RLを実装することが可能になり、その結果、クエリ回答を含む推論の複雑さを招き、最悪のケースの多項式になります(OWL 2の計算特性[OWL 2 Profiles]を参照)。規則ベースの実装は、RDFトリプルで直接操作でき(例えば、オラクルのOWLプライム[OWL Prime])、したがって、任意のRDFグラフ、つまり任意のOWL 2オントロジーに適用できます。この場合、クエリーに対する正しい回答のみが計算されます(推論は適切になる)が、すべての正しい回答を得ることは保証されません(完全ではないかもしれない)。プロファイルは、DLP[DLP]とpD*[pD*]から発想を得ており、RLという頭字語は、標準的な規則言語(Rule Language)を用いて推論を実行できるという事実を反映しています。

ユースケース#2 ユースケース#3 ユースケース#4 ユースケース#8 ユースケース#16

3.2 プロファイルの選択

アプリケーションの開発者は、どのプロファイルが自分達のニーズに最も適しているかを自問できます。様々なプロファイルのどれを選ぶかは、主に、アプリケーションに必要な表現力、クラスやデータの推論に対する優先度、データセットの大きさとスケーラビリティの重要性などによります。次の提案が有用かもしれません。

OWL 2 QLとOWL 2 RLは、ともに非常に大きなデータセットに比較的軽いオントロジーを用いるアプリケーションに適していることに注意してください。どちらを用いるかの選択は、処理するデータのタイプに依存し、リレーショナルなクエリ(例えば、SQL)でデータに直接アクセスすることが有用または必要な場合には、OWL 2 QLが良いかもしれず、RDFトリプル形式のデータで直接操作することが有用または必要な場合には、OWL 2 RLが良いかもしれません。

4 その他の設計の選択および原理

OWL 2は、OWL 1と完全な下位互換性を有していますが、その概念設計は、特にOWL 2の構文に関して、わずかな違いがあります。

4.1 構文

OWL 2オントロジーをシリアル化して交換するために利用できる様々な構文があります。OWL 2の主要な交換構文は、RDF/XML構文[RDF/XML]で、これは、実装でサポートしなければならない(MUST)唯一の構文です。以下で説明しているように、関数型構文[OWL 2 Specification]の主な目的は、言語の構造を指定することです。OWL/XML[OWL 2 XML]は、XMLベースのツールや言語とのより良い相互運用性に対する要望から作られたXMLシリアル化です。

規範構文
OWL 2オントロジーの必須の交換構文は、適合ドキュメント[OWL 2 Conformance]の2.1項で明示している下記のとおり、RDF/XMLのみです。

「OWL 2オントロジー・ドキュメントに対し、いくつかの構文が定められており、OWL 2ツールは、その一部またはすべてを、ドキュメントの交換用に使用できます。しかし、オントロジー・ドキュメントを入力データとして取り込む適合OWL 2ツールは、RDF/XMLシリアル化[OWL 2 RDF Mapping]を用いて、オントロジー・ドキュメントを受け入れなければならず、オントロジー・ドキュメントを作成する適合OWL 2ツールは、(例えば、HTTP内容交渉によって)要求された場合には、可能であれば、それをRDF/XMLシリアル化で作成できなければなりません。」

関数型構文
OWL 1の文法は、抽象構文(AS)で定義されていました。関数型統構文(FS)は、OWL 2で同様の役割を果たし、言語の文法を定義します。しかし、OWL 2は、文法だけでなく構造も規定できます。実際に、OWL 2では、関数型構文に加え、OWL 2オントロジーの概念構造を正確に指定するために構造仕様を導入しました。構造仕様は、統一モデリング言語(Unified Modeling Language;UML)を用いて定義されます。これには、オブジェクト指向のシステムに精通している人であれば容易に理解できると予想されるUML図の非常にシンプルな形式が用いられます。構造仕様は、規範的であっても規範外であってもOWL 2のすべての構文に規範的な抽象モデルを提供します。それは、OWL 2オントロジー用の任意の具象交換構文とは無関係です。関数型構文は、かなり厳密に構造仕様に従います。構文の明確さと読みやすさは、関数型構文の設計において重要な要素でした。関数型構文は、OWL 2の公理を容易に記述できるようにするために導入されました。OWL 2関数型構文のもう一つの利点は、一階論理で用いられる構文に似ているということで、それにより、一般的な文献へのOWL 2構築子の関連づけのみではなく、様々な仕様の課題がより容易になります。これは、OWL 2用のいくつかの構文(例えば、RDF/XML、マンチェスター構文)の一つです。

OWL 1は、クラス、プロパティー、個体のいくつかの機能を一挙に一つの公理として定義可能にするフレーム状の構文を提供します。実際にやってみると、これは問題を引き起こす可能性があります。最初に、特定のエンティティーの様々な側面を一つの公理にまとめます。これは、オントロジーを設計するときには便利かもしれませんが、それらをプログラムで操作するときには便利ではありません。実際、OWL 1のほとんどの実装は、このような公理をいくつかの「アトミックな」公理に分解し、それぞれは、エンティティーの一つの機能のみに対応しています。しかし、その過程でオントロジーの構造が壊れる可能性があるため、これはラウンド・トリップの問題を引き起こす可能性があります。次に、この種の公理は、特定のエンティティーの宣言や一意の「定義」であると、しばしば誤解されます。しかし、OWL 1では、エンティティーはそのような公理の主語でなくても使用でき、同じエンティティーに関連づけられたそのような公理は多数存在しえます。OWL 2では、複数の方法でこれらの問題に取り組みました。最初に、フレーム状の表記法をやめ、よりきめの細かい公理構造としました。個々の公理には、特定のエンティティーの1つの機能のみを記述します。次に、OWL 2は、明示的な宣言と、構造的整合性の概念に関する明示的な定義を提供します。OWL 2の方が冗長になりますが、ほとんどのOWLオントロジーがオントロジー・エンジニアリング・ツールで作成されるのであれば、それが問題となるとは考えられません。

下記は、OWL 1のフレーム状の公理の例です。

ObjectProperty( :partOf ObjectInverseOf( :containedIn ) inverseFunctional transitive

Annotation( rdfs:comment "an object is a part of another object."))

:partOfというプロパティーは、containedInという名前の逆プロパティーを持っており、逆関数型および推移的なプロパティーで、「オブジェクトが別のオブジェクトの部分であると指定する」という人間に分かりやすいコメントを持っています。

これは、次の公理を用いてOWL 2で表現できます。

Declaration( ObjectProperty( :partOf ) )
:partOfというオブジェクト・プロパティーの宣言
AnnotationAssertion( rdfs:comment :partOf "partOf means that an object is a part of another object." ) この言明は、「partOfは、オブジェクトが別のオブジェクトの部分であることを意味する」という、プロパティー:partOfに関するコメントを提供します。
InverseObjectProperties( :partOf :containedIn ) :partOf:containedInは逆プロパティーです。
InverseFunctionalObjectProperty( :partOf ) :partOfは逆関数型プロパティーです。
TransitiveObjectProperty( :partOf ) :partOfは推移的プロパティーです。

OWL 2の抽象構文(AS)に関し、ASが交換構文として用いられれば、ASで書かれたOWL 1オントロジーは、OWL 2ツールに入力され、有効なオントロジーであり続けるでしょう。しかし、これはツールの提供者の課題であることが強調されるべきです。つまり、OWL 2オントロジーの唯一の必須の交換構文はRDF/XMLであるため、AS(さらに言えば、FSかもしれない)でシリアル化されたオントロジーを受け入れるか否かの決定はツール次第です。

OWL/XML構文
OWLワーキンググループは、XMLシリアル化やOWL/XML[OWL 2 XML]と呼ばれるXMLスキーマ[XML Schema]に基づくOWL 2用のXML構文を定義しました。この構文は、OWL 2の構造仕様[OWL 2 Specification]を反映したものです。XML構文は、例えば、WSDL、XSLT/XQuery/XPath、スキーマを意識したエディタなどの、XMLに基づくツールや言語とのよりよい相互運用性を求めるOWLユーザをサポートしたいという要望が動機となりました。これは、XMLスキーマに利用できる広範囲な一連のツールにアクセスできるように、OWLツール業者がオプションでサポートできる標準形式です。したがって、これらの業者のツールを利用するOWLツールの開発者やユーザは、OWLで使用するためにXPath、XSLT、XQueryやCSSを書くことができます。OWL 1で利用できる唯一のXMLフォーマットであったRDF/XMLフォーマットを用いてこれを行うのは非常に難しいことでした。さらなる利点は、GRDDLを用いて、XMLデータをRDF/OWLアプリケーションから見えるようにできるということです。OWL/XMLの導入により、XMLに精通したユーザは、OWLを理解するためのより快適な手段を得ることができ、XMLのツール作成やトレーニングに相当の投資を行った機関や個人にとってOWLがより魅力的なものになります。このフォーマットと、必須の交換形式であるRDF/XMLとの変換に利用できるオープン・ソース・ツールキットが既に存在しています。したがって、OWL/XMLは、ツール間の相互運用性を損なわずに、既存のOWL 1のツールやデータを統合できます。

4.2 下位互換性

OWL 2の全体的な構造は、OWL 1と変わりません。OWL 2のほとんどすべての構成要素は、違う名前であった可能性があるものの、既にOWL 1に存在していました。

OWL 2ツールの唯一の必須の交換構文としてのRDF/XMLの中心的な役割と、ダイレクトとRDFベースのセマンティクスとの間の関係(つまり対応定理)は変わっていません。より重要なことに、OWL 1との下位互換性は、構文上もセマンティック的にも完全です。

5 要約表

この表は、主な新しい機能の要約を、それぞれの例とともに示しています。これは、ユースケース(1列目)と機能(2列目)と例(3列目)の関係を要約しています。ユースケースごとに、名前を太字で記述した1つの特定の機能を選択しています。対応する例を提供し(第3列)、その参照元を太字で示しています(第4列)。ユースケースが関連づけられているその他の機能をF1~F15の数字で示しています。(例は、各機能の容易で理解可能な実例、様々な定義域、そして、オンラインで入手可能な文書からの実例を一致させることを目指して選択しました。)

ユースケース 機能 参照
UC#1 直和(DisjointUnion)
F2 F5 F7 F8 F11
DisjointUnion(:Lobe :FrontalLobe :ParietalLobe :TemporalLobe :OccipitalLobe :LimbicLobe)

:Lobeは、 :FrontalLobe :FrontalLobe :ParietalLob :TemporalLobe :OccipitalLobe :LimbicLobeの直和(disjoint union)です。

[MEDICAL REQ]

[Ontology with rules] [Brain Imaging ]

UC#2 素のクラス(DisjointClasses)
F1 F2 F5 F7 F9
DisjointClasses( :LeftLung :RightLung )

:Lungは :LeftLung かつ :RightLungではありえません。

[FMA]
UC#20 ローカルな反射性(Local reflexivity)
ObjectHasSelf(  :phosphorylates)

自身を:phosphorylates(リン酸化する)すべての個体のクラス

[BIO]
UC#4 条件付きカーディナリティー(Qualified Cardinality)
F1 F15
ExactCardinality( 2 :hasPart :RearDoor )

きっかり2つの:RearDoor(後部ドア)を持つオブジェクトのクラス

[Auto]
UC#5 非対称的プロパティー(Asymmetric property)
F6 F8 F13
AsymmetricProperty( :proper_part_of)

pがqの真部分であれば、qはpの真部分でありえません。

[OBO]

[RO] [OBO2OWL]

UC#6 非反射的プロパティー(Irreflexive property) IrreflexiveProperty( :flowsInto )

何ものも、自身に:flowsInto(再帰)しません。

[Ordnance]
UC#7 プロパティー連鎖(Property chain)
F9
SubPropertyOf( ObjectPropertyChain( :locatedIn :partOf ) :locatedIn )

部分:locatedIn(存在)するものはすべて、全体:locatedIn(存在)します。例えば、疾病など。

[SNOMED REQ]
UC#8 反射的プロパティー(Reflexive property)
F5 F8
ReflexiveProperty( :partOf )

[Part Whole]は、反射的プロパティーとしてpartOfについて論じています。例えば、「車は車の部分です」。

[Part Whole]
UC#9 負のプロパティー(Negative property)
F9 F10
NegativePropertyAssertion( :hasAge :ThisPatient 5^^xsd:integer )

この患者は5歳ではありません。

[Transplant Ontology]

[Agence Biomedecine]

UC#10 N項(N-ary)
AllValuesFrom( :testDate :enrollmentDate x > y + 30)

:testDate(検査日)が:enrollmentdate(登録日) + 30より上である個体

[N-ary]
UC#11 N項(N-ary)
F10
AllValuesFrom( :admissionTemperature :currentTemperature x < y)

:admissionTemperature(入院時の体温)が:currentTemperature(現在の体温)より下である個体

[N-ary]
UC#12 データ型制限(Datatype restriction)
F5 F12 F13
DatatypeRestriction(xsd:integer minInclusive 18)

XMLスキーマ・データ型xsd:integerにおいて下限が18である新しいデータ型。例えば、成人というクラスを記述するためのもの。

[Protege]
UC#13 メタモデリング(metamodeling) Declaration( Class( :Person ) )

:Personはクラスであると宣言されています。
ClassAssertion( :Service :s1 )
:s1:Serviceのインスタンスです。
PropertyAssertion( :hasInput :s1 :Person )
:s1:Personというインプットを持っています。
これは、クラス↔個体のパニングの例です

[Web Service]

[Punning]

UC#14 メタモデリング(metamodeling) Declaration( ObjectProperty( :is_located_in ) )

:is_located_inObjectPropertyであると宣言されています。
ClassAssertion( :Deprecated_Properties :is_located_in )
:is_located_in:Deprecated_Propertiesというクラスの個体です。
これは、プロパティー↔個体のパニングの例です

[Wiki]

[Punning]

UC#15 メタモデリング(metamodeling) Declaration( Class( :Person ) ) Declaration( Class( :Company ) )

:Person:Companyはクラスであると宣言されています。
SubClassOf ( :PersonCompany :Association) )
:Person:Companyのクラスの間の関係
PropertyDomain( :PersonCompany :Person )
:PersonCompanyというプロパティーの定義域は:Personです。
PropertyRange( :PersonCompany :Company )
:PersonCompanyというプロパティーの値域は:Companyです。
これは、クラス↔ObjectPropertyのパニングの例です

[UML Association Class]

[Punning]

UC#16 プロファイル(Profiles) このユースケースは、結合クエリの回答が従来のリレーショナル・データベース・システムを用いて実行されるOWL QLのようなプロファイルを動機づけます。 [Who reads?]
UC#17 宣言(Declaration) Declaration( Class( :Person ) )

:Personはクラスであると宣言されています。

[Syntax Problem]

[TOOLS] [OBO2OWL]

UC#18 データ型(Datatype)
F5
DatatypeRestriction( xsd:integer minInclusive "18000"^^xsd:integer maxExclusive "19600"^^xsd:integer )

大気圏のデータ値域は、18000[フィート]より上、19600[フィート]より下です。

[VSTO]
UC#19 注釈(Annotation)
F10
SubClassOf( rdfs:comment ("data generated by the LogParser using the ObserverLog") :LogInformation :Information)

これは公理の注釈の例です。

[NCAR]

凡例:

F1 F2 F3 F4 F5 F6 F7 F8 F9 F10 F11 F12 F13 F14 F15
直和
(Disjoint Union)
素のクラス
(Disjoint Classes)
負のプロパティー言明
(Negative Property Assertion)
ローカルな反射性
(Local reflexivity)
条件付きカーディナリティー
(Qualified Cardinality)
反射的、非反射的、非対称的
(Reflexive, Irreflexive, Asymmetric)
素のプロパティー
(Disjoint properties)
プロパティー連鎖包含
(Property chain inclusion)
キー
(Keys)
データ型制限
(Datatype restriction)
N項データ型
(N-ary datatype)
シンプルなメタモデリング性能
(Simple metamodeling capabilities)
注釈の拡張
(Extended annotations)
宣言
(Declarations)
プロファイル
(Profiles)

6 参考文献

[OWL 2 Specification]
OWL 2 Web Ontology Language: Structural Specification and Functional-Style Syntax Boris Motik, Peter F. Patel-Schneider, Bijan Parsia, eds. W3C Recommendation, 27 October 2009, http://www.w3.org/TR/2009/REC-owl2-syntax-20091027/. Latest version available at http://www.w3.org/TR/owl2-syntax/.
[OWL 2 Direct Semantics]
OWL 2 Web Ontology Language: Direct Semantics Boris Motik, Peter F. Patel-Schneider, Bernardo Cuenca Grau, eds. W3C Recommendation, 27 October 2009, http://www.w3.org/TR/2009/REC-owl2-direct-semantics-20091027/. Latest version available at http://www.w3.org/TR/owl2-direct-semantics/.
[OWL 2 RDF-Based Semantics]
OWL 2 Web Ontology Language: RDF-Based Semantics Michael Schneider, editor. W3C Recommendation, 27 October 2009, http://www.w3.org/TR/2009/REC-owl2-rdf-based-semantics-20091027/. Latest version available at http://www.w3.org/TR/owl2-rdf-based-semantics/.
[OWL 2 RDF Mapping]
OWL 2 Web Ontology Language: Mapping to RDF Graphs Peter F. Patel-Schneider, Boris Motik, eds. W3C Recommendation, 27 October 2009, http://www.w3.org/TR/2009/REC-owl2-mapping-to-rdf-20091027/. Latest version available at http://www.w3.org/TR/owl2-mapping-to-rdf/.
[OWL 2 Profiles]
OWL 2 Web Ontology Language: Profiles Boris Motik, Bernardo Cuenca Grau, Ian Horrocks, Zhe Wu, Achille Fokoue, Carsten Lutz, eds. W3C Recommendation, 27 October 2009, http://www.w3.org/TR/2009/REC-owl2-profiles-20091027/. Latest version available at http://www.w3.org/TR/owl2-profiles/.
[OWL 2 Conformance]
OWL 2 Web Ontology Language: Conformance Michael Smith, Ian Horrocks, Markus Krötzsch, Birte Glimm, eds. W3C Recommendation, 27 October 2009, http://www.w3.org/TR/2009/REC-owl2-conformance-20091027/. Latest version available at http://www.w3.org/TR/owl2-conformance/.
[OWL 2 XML Serialization]
OWL 2 Web Ontology Language: XML Serialization Boris Motik, Bijan Parsia, Peter F. Patel-Schneider, eds. W3C Recommendation, 27 October 2009, http://www.w3.org/TR/2009/REC-owl2-xml-serialization-20091027/. Latest version available at http://www.w3.org/TR/owl2-xml-serialization/.
[OWL 2 Manchester Syntax]
OWL 2 Web Ontology Language: Manchester Syntax Matthew Horridge, Peter F. Patel-Schneider. W3C Working Group Note, 27 October 2009, http://www.w3.org/TR/2009/NOTE-owl2-manchester-syntax-20091027/. Latest version available at http://www.w3.org/TR/owl2-manchester-syntax/.
[OWL 1 Semantics]
OWL Web Ontology Language: Semantics and Abstract Syntax. Peter F. Patel-Schneider, Patrick Hayes, and Ian Horrocks, eds., W3C Recommendation, 10 February 2004.
[OWL 1 XML Syntax]
OWL Web Ontology Language: XML Presentation Syntax. Masahiro Hori, Jérôme Euzenat and Peter F. Patel-Schneider, eds., W3C Note, 11 June 2003.
[RFC 3987]
RFC 3987: Internationalized Resource Identifiers (IRIs). M. Duerst and M. Suignard. IETF, January 2005, http://www.ietf.org/rfc/rfc3987.txt
[RDF/XML]
RDF/XML Syntax Specification (Revised). Dave Beckett and Brian McBride, eds., W3C Recommendation 10 February 2004.
[OWL Use Cases and Requirements]
OWL Web Ontology Language: Use Cases and Requirements Jeff Heflin, ed. W3C Recommendation, 10 February 2004, http://www.w3.org/TR/2004/REC-webont-req-20040210/. Latest version available at http://www.w3.org/TR/webont-req/.
[SROIQ]
The Even More Irresistible SROIQ. Ian Horrocks, Oliver Kutz, and Uli Sattler. In Proc. of the 10th Int. Conf. on Principles of Knowledge Representation and Reasoning (KR 2006). AAAI Press, 2006.
[SHOIQ]
A Tableaux Decision Procedure for SHOIQ. Horrocks, I., and Sattler, U. In Proc. of 19th International Joint Conference on Artificial Intelligence (IJCAI 2005) (2005), Morgan Kaufmann, Los Altos.).
[Next Steps]
Next Steps to OWL. B. Cuenca Grau, I. Horrocks, B. Parsia, P. Patel-Schneider, and U. Sattler. In Proc. of OWL: Experiences and Directions, CEUR, 2006.
[Syntax Problem]
Problem with OWL Syntax. Boris Motik and I. Horrocks, OWLED 2006, 2006.
[CEL]
CEL—A Polynomial-time Reasoner for Life Science Ontologies. F. Baader, C. Lutz, and B. Suntisrivaraporn. In U. Furbach and N. Shankar, editors, Proceedings of the 3rd International Joint Conference on Automated Reasoning (IJCAR'06), volume 4130 of Lecture Notes in Artificial Intelligence, pages 287–291. Springer-Verlag, 2006.
[SNOMED EL+]
Replacing SEP-Triplets in SNOMED CT using Tractable Description Logic Operators. B. Suntisrivaraporn, F. Baader, S. Schulz, K. Spackman, AIME 2007
[EL++]
Pushing the EL Envelope. Franz Baader, Sebastian Brandt, and Carsten Lutz. In Proc. of the 19th Joint Int. Conf. on Artificial Intelligence (IJCAI 2005), 2005.
[EL++ Update]
Pushing the EL Envelope Further. Franz Baader, Sebastian Brandt, and Carsten Lutz. In Proc. of the Washington DC workshop on OWL: Experiences and Directions (OWLED08DC), 2008.
[DL-Lite]
Tractable Reasoning and Efficient Query Answering in Description Logics: The DL-Lite Family. Diego Calvanese, Giuseppe de Giacomo, Domenico Lembo, Maurizio Lenzerini, Riccardo Rosati. J. of Automated Reasoning 39(3):385–429, 2007.
[DLP]
Description Logic Programs: Combining Logic Programs with Description Logic. Benjamin N. Grosof, Ian Horrocks, Raphael Volz, and Stefan Decker. in Proc. of the 12th Int. World Wide Web Conference (WWW 2003), Budapest, Hungary, 2003. pp.: 48–57
[pD*]
Completeness, decidability and complexity of entailment for RDF Schema and a semantic extension involving the OWL vocabulary. Herman J. ter Horst. J. of Web Semantics 3(2–3):79–115, 2005.
[OWLPrime]
Implementing an Inference Engine for RDFS/OWL Constructs and User-Defined Rules in Oracle. Zhe Wu Eadon, G. Das, S. Chong, E.I. Kolovski, V. Annamalai, M. Srinivasan, J. Oracle, Nashua, NH; Data Engineering, 2008. ICDE 2008. IEEE 24th International Conference on, pages 1239-1248, Cancun, 2008.
[Metamodeling]
On the Properties of Metamodeling in OWL. Boris Motik. On the Properties of Metamodeling in OWL. Journal of Logic and Computation, 17(4):617–637, 2007.
[Datatype]
OWL Datatypes: Design and Implementation. Boris Motik, Ian Horrocks, ISWC 2008, Karlsruhe, Deutshland, 2008.
[XML Schema]
W3C XML Schema Definition Language (XSD) 1.1 Part 1: Structures. Shudi Gao, C. M. Sperberg-McQueen, and Henry S. Thompson, eds. W3C Candidate Recommendation, 30 April 2009, http://www.w3.org/TR/2009/CR-xmlschema11-1-20090430/. Latest version available as http://www.w3.org/TR/xmlschema11-1/.
[DL-Safe]
Query Answering for OWL-DL with Rules. Boris Motik, Ulrike Sattler and Rudi Studer. Journal of Web Semantics: Science, Services and Agents on the World Wide Web, 3(1):41–60, 2005.
[UML]
OMG Unified Modeling Language (OMG UML), Infrastructure, V2.1.2. Object Management Group, OMG Available Specification, November 2007, http://www.omg.org/spec/UML/2.1.2/Infrastructure/PDF/.


7 付録: ユースケース

7.1 ユースケース↔機能

ユースケース 直和(Disjoint Union) 素のクラス(Disjoint Classes) 負のプロパティー(Negative property) ローカルな反射性(Local reflexivity) 条件付きカーディナリティー(Qualified Cardinality) 反射的、非反射的、非対称的(Reflex., Irrefl., Asymm.) 素のプロパティー(Disjoint properties) プロパティー連鎖(Property chain) キー(Keys) データ型制限(Datatype restriction) N項データ型(N-ary datatype) メタモデリング(Meta-
modeling)
注釈の拡張(Extend. annot.) 宣言(Declarations) プロファイル(Profiles) 匿名の個体(Anonym. Individual)
UC#1
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UC#3
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UC#8
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UC#9
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下記のユースケースのリストは完全ではありません。そのリストに含まれているユースケースは - どのようなユーザ/実装者/理論的な理由であれ - この時点でOWL 2のワーキンググループが受け取っているOWL 2の新しい機能の動機となった多くの公表されたユースケースの一部のみです。今後必要となる可能性がある、この文書で指摘されているその他の拡張(規則、デフォルトなど)は、角括弧内に示しています。

すべてのユースケースは、概要、機能、例、参考文献のパターンで示しています。概要は、ユースケースの概要を示しているだけです。機能は、文書に従って、ユースケースで必要となった機能を列挙しています。は、OWL 2の特定の新しい機能について説明するために選択した機能と簡単な例を示しています。これと同じ情報を、表3.2で省略形で見ることができます。容易に入手できるように、参考文献は、付録の文献でURLを示している、オンラインで利用可能な関連文書にリンクしてあります。

7.2 ユースケース#1 - 脳神経外科のための脳画像注釈 [HCLS]

概要: 開発中のシステムは、脳神経外科の外科手術の準備に関係があります。具体的には、その目標は、病変の周囲にある皮質の頭回と頭溝を、切除を主目的として、ユーザがラベル付けできるようにすることです。特に言語運動皮質(eloquent cortex)において、解剖学上のランドマークを提供することは、手術において極めて重要です。脳画像の注釈は、臨床例の文書化にも役立ち、これにより、その後の手術における意思決定をサポートするために、類似例の検索が可能となります。解剖学上の特徴に基づいてインデックスが付与された、分散している多数の画像の情報源を統合するために、脳解剖学の共有オントロジーも必要です。これは、主要な脳病理学の脳画像の統計分析を行うための大規模統合システムに有用です。

機能: 直和、素のクラス、条件付きカーディナリティー制限、素のプロパティー、プロパティー連鎖包含公理、[N項]、[規則]

: 直和

参考文献: [MEDICAL REQ] [Ontology with rules] [Brain Imaging ]

7.3 ユースケース#2 – 解剖学の基礎モデル [HCLS]

概要: 解剖学基礎モデル(FMA;The Foundational Model of Anatomy)は、人間の「規範的な」解剖学の最も包括的なオントロジーです。解剖学は、生物医学において重要な役割を果たしており、多くの生物医学のオントロジーやアプリケーションは解剖学のエンティティーを参照します。FMAは、解剖学の知識を用いるアプリケーション間で情報共有を可能にするバイオインフォマティクス分野の素晴らしい資源です。その著者が主張しているとおり、FMAは、「...バイオインフォマティクスの既存のオントロジーと新しいオントロジーを調整し、解剖学の異なる観点を関連づけるための生物医学情報科学の参照オントロジー...」です。遺伝子および疾病の参照オントロジーとともに、解剖学のオントロジーは、将来の生命科学のセマンティック・ウェブのバックボーンの構成要素となります。しかし、一部のプロパティが排他的であることを記述するために(例えば、proper-partやboundBy)、FMAにとって、OWLの新しい機能が役立でしょう。多くの生物医学のオントロジーとアプリケーションが相互参照によりFMA解剖学のエンティティーを参照しているため、キーも有用でしょう。

機能: 直和、素のクラス、条件付きカーディナリティー制限、素のプロパティー、キー、拡張注釈、プロファイル

: 素のクラス

参考文献: [FMA]

7.4 ユースケース#3 - 化合物の分類 [HCLS]

概要: 官能基は、原子とその結合性に関する化学反応のセマンティクスを記述し、特徴のある化学反応が化合物に存在する場合にそれを示します。このユースケースでは、著者は、化合物を分類するために官能基のOWL-DLオントロジーを設計する方向へと最初の一歩を踏み出し、定義域の要件の観点から、OWL 1とOWL 1.1勧告案の性能と限界を明らかにしています。さらに、著者は、基礎的な関係のオントロジー設計において表現力のある機能を有するアプリケーションについて記述し、生命科学の知識を明確に記述するために上位レベルのオントロジーをどのように使用できるかを記述しています。著者は、知識の表現と質問への回答が可能となるように既存のオントロジーを強化した経験について報告しています。

「単環式および多環式の環状構造は、何種類かの化学反応に関わる分子の重要な要素です。」条件付きカーディナリティー制限などの新しいOWL言語機能は、官能基の数や型の記述に有用でしょう。

機能: 直和、素のクラス、条件付きカーディナリティー制限、プロファイル

: 条件付きカーディナリティー制限

参考文献: [Chemistry]

7.5 ユースケース#4 - 自動車会社の複数情報源に対するクエリ [自動車]

概要: 大企業は、多くの場合、情報や知識を、様々なモデルや形式で複数の情報システムに蓄積しています。このユースケースの主な目的は、大規模な自動車会社の複数のデータや知識の情報源から関連情報を検索することです。このアプリケーションでは、複数のデータベースに対するクエリの実行と、製品のParts Library ISO 13584規格(PLIB)オントロジー(Parts Library ISO 13584 Standard (PLIB) ontologies of Products)(特に、電子商取引カタログに使用される)の簡単な表現を可能とするプロファイルを持つ言語が有用でしょう。

機能: 直和(Disjoint Union)、条件付きカーディナリティー制限(Qualified Cardinality Restrictions)、プロファイル(ProfilesProfiles(OWL 2 QL))

: 条件付きカーディナリティー制限

参考文献: [Auto]

7.6 ユースケース#5 - 生物医学データ統合のためのOBOオントロジー [HCLS]

概要: オープン生物医学オントロジー(OBO;The Open Biomedical Ontologies)コンソーシアムは、共通の統制されたオントロジーを用いた注釈により、生物医学データの統合を実現するための計画を推進しています。遺伝子オントロジーが含まれている既存のOBOオントロジーを共同で改修しており、進行中のオントロジー開発を統制する共通原則を基礎として新しいオントロジーを作成しています。結果は、相互運用可能で、生物学的実際の正確な表現を組込むように設計されたOBOオントロジーの拡張版です。その取り組みにおいて、関係のOBOオントロジーは、自身のセマンティクスを用いた基礎的な関係を定義することを目指しています。OBOは、推移的、対称的、反射的、非対称的の特性を用いて、個々の関係を限定します。一般的にOBOフォーマットは、OBOオントロジーで使用するis_reflexive、is_symmetric、is_cyclic、is_anti_symmetricなどの構成子を提供します。OBOオントロジーの変換には、対応するOBO構築子をマッピングするために、反射的、非反射的、非対称的という新しいOWL 2プロパティー公理が必要で、そうでない場合には、これは注釈に変換されるべきです。

機能: ローカルな反射性、反射的、非反射的、非対称的、プロパティー連鎖包含公理、宣言[非対称的]

: 非対称的

参考文献: [OBO] [RO] [OBO2OWL]

7.7 ユースケース#6 – 英国陸地測量部における空間と位相の関係 [地球と宇宙]

概要: 陸地測量部(Ordnance Survey)は英国の国立地図製作局(National Mapping Agency)です。現在、英国の地形に関する絶えず更新されるデータベースを維持しています。このデータベースには、約4億4000万の人工的地形と自然の地形の特徴が含まれています。この特徴には、森林、道路、河川をはじめ、個人の住居、庭や郵便ポストにいたる、あらゆるものが含まれています。地形図の製作に加え、地図に正確に対応した航空写真、すべての属性の住所を提供するデータ、統一的な運送情報などの全く新しいレイヤーの情報がデータベースに徐々に追加されています。位相と空間の関係に関し、また、それ以外の多くの箇所でも、「我々の公理の真意を表わすためには、プロパティーが反射的か、非反射的か、非対称か、非対称的かを記述できる必要があります。」

機能: 反射的、非反射的、非対称的、[非対称的]

: 非反射的

参考文献: [Ordnance]

7.8 ユースケース#7 - 国際医療用語集 [HCLS]

概要: 国際医療用語集(SNOMED CT)は、医療領域を広くカバーしている臨床用語の取り組みで、米国、英国、カナダ、オーストラリア、デンマークなどを含む多くの国々で、電子医療アプリケーションに用いる国家規格に選ばれました。SNOMEDは、1976年に最初に公表されましが、SNOMED CTは、SNOMED RTと英国の臨床用語バージョン3との合併による大きな拡張として2002年に利用可能となりました。以前の版と異なる大きな特徴は、コードと用語を定義し組織化する記述論理(DL)を使用していることす。SNOMEDの別の大きな特徴は、その規模と複雑さです。350,000以上の概念コード(それぞれ異なるクラスを表わす)があり、これは、我々が知っている、次に最も大きいDLベースのオントロジーよりも1桁大きいです。

プロパティー連鎖包含公理がなければ、SNOMEDコミュニティーによるOWLの採用には、混乱や複雑さを伴う面倒な代替手段が必要となっていたでしょう(その方向への動きを効果的に止めた)。[これら]のおかげで、他の生物医学のオントロジーの開発や統合にOWL 2を用いる明確な道が開かれています。必須のプロパティー連鎖包含公理により、解剖学において最も重要なpart-ofなどの、別プロパティーへのプロパティーの継承をコード化できるようになります。例えば、has-locationproper-part-of < has-locationなどの公理を用いれば、指の傷は手の傷であると推論することができます。[SNOMED EL+]で報告されているように、このような方法でSNOMED-CTを再構成することにより、解剖学のクラスの数は54,380から18,125に減少し、CEL推論システム[CEL](バージョン0.94)の所要時間は900.15秒から18.99秒に減少しました。
FMAのように、概念IDでSNOMEDと他の生物医学オントロジーの間の相互参照を共用する場合には、キーも非常に有用でしょう。

機能: プロパティー連鎖包含公理、キー、プロファイル(OWL 2 EL)

: プロパティー連鎖

参考文献: [SNOMED REQ]

7.9 ユースケース#8 - OWLオントロジーの単純な部分―全体関係 [HCLS]

概要: 部分―全体関係を表現することは、セマンティック・ウェブ用オントロジーの開発に携わる者にとって、非常に一般的な課題です。OWLは、部分―全体関係に対して組み込み済みのプリミティブを提供しませんが(サブクラス関係に対しては提供しますが)、一般的なケースについては、すべてではないものの、ほとんどを捕捉する表現力を十分に備えています。部分―全体関係の研究は、それ自体がひとつの領域(「メレオロジー」)です。この説明では、部分―全体関係が含まれている単純なクラス定義の事例のみを扱います。部分―全体に必要な拡張、つまり、条件付きカーディナリティー制限、反射性、部分から全体への伝搬の必要性は、この研究で論じられています。

機能: 条件付きカーディナリティー制限、反射性、プロパティー連鎖包含

: Reflexive

注: OBOで提供されている定義に従えば、全体は部分と見なされますが[Part Whole]、「の部分」(part of)が反射的ではないと主張する論議を呼ぶ見解があります。

参考文献: [Part Whole]

7.10 ユースケース#9 - フランスの腎臓分配方針 [HCLS]

概要: フランスにおける分配は、生物医学庁(Agence de la biomedicine)の責任下にあります。これには、ドナー―レシピエントのABO式血液型の一致、全国待機リストにおける重複のない登録(待機リストの患者を一意に識別する登録番号は、待機リストへの登録時に割り当てられる)、臓器専用の全国的な優先分配順位の定義などの一般的な規則が含まれています。腎臓のレシピエントごとに、最小限のHLAの適合性と禁止されている抗原を指定できます。小児レシピエントは、小児ドナーに対して優先順位を有しています。腎臓は、(1)緊急患者、(2)特定の受容可能な抗原プロトコルに含まれるパネル反応性抗体のレベルが80%の患者またはドナーとのHLA不適合性が1の患者、(3)不適合性が0の患者、(4)移植の入手可能性が低い患者という優先順位で提供されます。地域に関する基準が含まれています。(移植地図の)各地域(例えば、イル・ド・フランス)は、その地域に住んでいる患者のみを担当することになっています。この現実のアプリケーションと分配制度は、大人と子供の区別が医療にいかに大きな影響があるかを示しています。病院では、18歳未満(子供)の患者は、小児科のサービスを受けますが、18歳以上(大人)は大人向けのサービスを受けます。移植を待っている16年未満の子供のみが待機リストで優先順位を持っています。

機能: 負のプロパティー言明、データ型制限、キー

: 負のプロパティー言明

参考文献: [Agence Biomedecine] [Transplant Ontology]

7.11 ユースケース#10 – 患者募集のための資格基準

概要: このユースケースは、臨床試験環境の医療提供において作成される臨床データの再利用と共有を可能とすることを目標とした現在進行中の臨床観察の相互運用性に関するW3Cタスクフォースに基づいています。特に、相互運用性アプローチの実現可能性を実証するために選択された最初のアプリケーションは、患者募集に関するものです。このケースでは、http://www.clinicaltrials.govで入手できる臨床試験プロトコルのサンプルの集合で、そのそれぞれに資格(採用か不採用かの基準)のリストが含まれています。これらの資格基準は、資格のある患者を識別するために用いられ、潜在的にSPARQLクエリの条件を形成したり、OWLクラスとして表わすことができます。これらは、上記のユースケースの議論のように、地図を作成する必要もあります。これらの臨床試験プロトコルの分析に基づく要件のリストは、http://esw.w3.org/topic/HCLS/ClinicalObservationsInteroperability?action=AttachFile&do=get&target=FunctionalRequirements_v1.xlsにあります。

特に、臨床試験のうちの1つは、臨床試験参加者の登録日は、患者が特定の治療を開始してから30日以内である必要があります。これにより、不同等性の表現を有するN項データ型の必要性が動機づけられました。

機能: [N項]

: N項データ型

7.12 ユースケース#11 – データ型上の複数のUC [HCLS]

概要: [N-ary]は、様々なデータ型拡張の恩恵を受ける多くのユースケースを示します。

機能: データ型制限、[N項]

: N項データ型

参考文献: [N-ary]

7.13 ユースケース#12 OWLユーザの経験に関するProtégéの報告 [Tool]

概要: [Protege]は、ProtégéのOWLサポートの開発での経験と当時のOWLのユーザ・コミュニティーの経験に関して2005年に報告を行いました。コミュニティーからの全般的なフィードバックは肯定的でしたが、彼らの経験により、ユーザの要件、OWLの表現力、OWLに対するユーザの理解の間に相当なギャップがあることが示唆されました。要約すると、彼らの経験に基づき、Protégéの開発者は、OWLの将来のバージョンに対し、ユーザ定義のデータ型(特に、数値域用)の統合、条件付きカーディナリティー制限、素の管理(owl:AllDisjoint)、より柔軟な注釈プロパティー(少なくともベスト・プラクティスとして)という多くの拡張を提案しました。この報告書では、ユーザが最も頻繁に不平を述べるOWL言語に欠落しているものの1つは、数値表現が貧弱であることであると強調しています。伝統的な医学用語を開発している人々を除き、ほとんどすべてのグループは、量的な情報を示すことができる必要が非常にあります。典型的な例としては、1mmから2mmの間の長さ、18歳以上の年齢、1035mbから1030mbの範囲の圧力などがあげられます。このような範囲の宣言は、個体を分類し、大人などのクラスの定義を構築するために必要で、したがって、推論システムにサポートされるべきです。現在のOWLのデータ型の形式が弱すぎて、ほとんどの現実世界のアプリケーションをサポートできず、多くの潜在的ユーザがOWLを採用できないということをユーザ・ベースは指摘しています。「ユーザ・コミュニティーは、xsd:minInclusiveなどのXMLスキーマのファセットを用いてユーザ定義のデータ型を表わすために、OWL仕様の拡張を心待ちにしている。」実装者の観点から、注釈やメタモデリングに関連したいくつかの制限についても指摘しています。「注釈プロパティーの値にもかかわらず、OWL DLでは、注釈プロパティーとして宣言されたプロパティーは、今まで非常に限られていたため、値域や定義域の制約を持つことができず、サブプロパティー階層に配置することもできない。プロパティーに関するこの種の情報により、ツールは注釈プロパティーが得ることができる値を制御できる。値域の制約なしに、ユーザに適切な入力ウィジェットを提供するのは難しい。同じような意味で、クラスを型に分類し、型ごとに異なるインターフェースを提供できるようなメタクラスを宣言することはしばしば有用である。現在、これらの機能を用いるためには、オントロジーはOWL Fullにせざるをえないことを意味する。」

機能: 条件付きカーディナリティー制限、データ型制限、注釈、メタモデリング

: 追加のデータ型

参考文献: [Protege]

7.14 ユースケース#13 - ウェブ・サービス・モデリング [Telecom]

概要: クラスを用いてあるプロパティーの値を指定したいことがしばしばあります。カールスルーエ大学(University of Karlsruhe)で始められた例[Web Service]は、サービス・モデリングです。サービスは、:Serviceクラスのインスタンスとしてモデル化されます。具体的なサービスごとに(つまり、:Serviceのインスタンスごとに)、ユーザは、サービスへの入力は何なのかを記述したいと考えます。ここに、サービス記述の一例があります。

(1) :Service rdf:type owl:Class
(2) :Person rdf:type owl:Class
(3) s1 rdf:type :Service
(4) s1 :input :Person

(1)と(3)により、s1はクラス:Serviceの個体で、(2)により、:Personはクラスです。したがって、(4)には、個体とクラスの間に:inputという関係があります。したがって、この問題を解決するためには、ある種のメタモデリングが必要です。1つの方法は、「Person」(人)という名前が、クラスとしての人と、個体としての人の両方を意味し、全体として人を表現できるというものでしょう(クラス↔個体)。

機能: メタモデリング

: シンプルなメタモデリング

参考文献: [Web Service] [Punning]

7.15 ユースケース#14 - 共同環境における語彙の管理 [Wiki]

概要: スキーマ要素間の実用的な関係を表わすために、スキーマ要素(クラス/プロパティー)を相互に関連づけることは有用でありえます。Semantic MediaWiki(シンプルでありながらも広く用いられているOWLに基づくセマンテック・コンテンツ管理システムで、軽くて表現力がある)[OWL1.1 Wiki]のアプリケーションで観察された例は、ユーザは、領域固有の関係を示し、一般的にオントロジーの語彙を組織化するために、スキーマ要素を関連づけることを望むというものです。例は、次のようなステートメントです。

これらは単なる実用的な記述であり、スキーマ・レベルでの論理的関係を意図したものではありません。しかし、語彙の共同作成においては、ユーザがそのような意図する関係を表現できることは意味のあることです。Semantic MediaWikiの重要な側面は、ユーザもセマンティックな情報に対してクエリを行うことができるということで、これは現在、パニングによって意図どおりに実現されます。Semantic MediaWikiは既に、既製のOWL推論システムを用いて拡張されており、このようなシステムが、そのようなシンプルな事例でパニングの使用に対応できることが望ましいでしょう。(クラス/プロパティー↔個体)

機能: メタモデリング

: シンプルなメタモデリング

参考文献: [Wiki] [Punning]

7.16 ユースケース#15 - UML関連クラス [Designer]

概要: 統一モデリング言語(UM;The Unified Modeling Language)には、UMLクラスとUML関連(クラス関係にクラスを定義するためのUMLの構築子Association)の機能を組み合わせた関連クラス(Association Class)として知られるモデリング要素が含まれています。関連クラス(例えば、人(Person)というクラスと会社(Company)というクラスとの関連)により、モデラーは関係を関連として定義し、同時にそれを具象化できるようになります。これは、関係自身の属性をモデル化したい場合に便利です。このような事例をサポートする1つの方法は、クラスとObjectPropertyのパニングかもしれません(クラス↔ObjectProperty)。

機能: メタモデリング

: シンプルなメタモデリング

参考文献: [UML Association Class] [Punning]

7.17 ユースケース#16 - データベース連合 [Designer]

概要: あるライフ・サイエンス・アプリケーションの設計者が、データベースの統合スキームを構築しています。スキームには、様々なデータベースのフィールドや値を記述するXMLスキーマの設計と、関連情報を有するデータベースに対するクエリ(複数のSQLの変形で)を、クエリ・インターフェースから記述できる関連するクエリのツールの設計が含まれています。これらの結果は、1つの総合された表示として示されます。彼は、OWLとセマンティック・ウェブの技術が、同じ機能を実装し、ウェブ標準を用いて提供するのにふさわしい技術でありえると聞きましたが、何から始めればよいかが分かりません。このアプリケーションは、自身のデータベースを使用し、楽しみながら簡単にクエリを行えるようにしたいと考える幅広いユーザ・コミュニティーの共通のニーズを示しています。これにより、従来のリレーショナル・データベース・システムを用いて結合クエリの回答を実行するプロファイルが動機づけられます。

機能: プロファイル(OWL 2 QL)

: プロファイル

参考文献: [Who reads?]

7.18 ユースケース#17 - ツールの開発者 [Tools]

概要: あるユーザがオントロジーに言明を追加しましたが、誤って個体のIRIをミスタイプしてしまいました。このエラーは、公理内の個体のIRIを、オントロジーの一部として明示的に宣言されているIRIとを比較することで検知可能であるべきです。その個体のIRIが明らかにオントロジーに導入されていなければ、ユーザには、自身のエラーを修正する機会が与えられるべきです。Protégé-OWLツール・セット・アーキテクチャー[TOOLS]に関わっているようなツール開発者はしばしば、宣言の不足に起因する問題(例えば、API[OWL API]に関する)について述べてきました。「最初の問題は、OWLでは、宣言 — あるクラス、プロパティーまたは個体がオントロジーに存在するという明示的な言明 — が認められていないということだ。OWL標準のこの側面は、しばしば誤解され、OWL APIの設計ミスを引き起こした」[Syntax Problem]。

機能: 宣言

: 宣言

参考文献: [Syntax Problem]

7.19 ユースケース#18 - 仮想太陽地球間観測所(Virtual Solar Terrestrial Observatory) [地球と宇宙]

概要: 多数の一分野および多分野の仮想観測所(例えば、http://vsto.orghttp://vmo.nasa.gov/)は、データのアクセスと統合を提供するためにセマンティック技術を使用し始めています。仮想観測所は、分散している製品リポジトリとサービス・プロバイダーの集合からユーザが資源(データ、ソフトウェア、ドキュメントと、これらを用いた画像製品やサービス)を一律に発見、アクセス、使用できるようにするコンピューターの集合上のソフトウェア・アプリケーションです。VOは、http://lwsde.gsfc.nasa.gov/VO_Framework_7_Jan_05.docのサービスおよび(または)多数のリポジトリを結合するサービスです。一部の仮想観測所は、データ収集時の来歴の符号化に大きく注目しています(例えば、http://spcdis.hao.ucar.edu/)。仮想太陽地球観測所(VSTO)は、研究者が太陽および太陽―地球のデータの発見を可能にする取り組みで、アメリカ国立科学財団(National Science Foundation)とアメリカ大気研究センター(National Center for Atmospheric Research)がサポートしています。これは、科学データに関する多くのオンライン・リポジトリへのアクセスに役立つ、セマンティックを強化したウェブサービスに対し、オントロジーを強化したインターフェースを提供しています。背景にあるOWLオントロジーには、機器、観測所、パラメーターなどの科学用語の用語記述が含まれています。ユーザは必然的に、特定の機器のクラスまたはそのクラスの記述、得られたデータの日付の範囲、パラメーターのいずれかを含む、検索したいデータの記述を指定する必要があります。それを適切な科学用語で指定するために、科学者は、数値の範囲と比較を表現できる必要があり、OWL 1の数値のサポートを超えてしまいます。そのアプリケーションは、空間の記述を含めるように拡張する必要もあります。空間/地理の包含に提供される場合には、表現力を用いるでしょう。

要件: 条件付きカーディナリティー、データ型制限、[デフォルト]

: データ型制限

参考文献: [VSTO]

7.20 ユースケース#19 – セマンティックな来歴の取込み [地球と宇宙]

概要: 科学データに加え、メタ情報を超える検索性能を提供することを目指し、SPCDISの取り組みでは、データの収集時に科学的な来歴情報の宣言記述を取り込むインフラストラクチャーを提供しています。取り組みの最初の領域は、太陽コロナの物理学です。この取り組みには、(数ある中で)拡張された注釈に加えて、データ型制限も必要です。

機能: データ型制限、注釈の拡張

: 注釈付与のための注釈の拡張

参考文献: [NCAR]

7.21 ユースケース#20 – 生化学の自己相互作用 [Chemical domain]

概要: 生化学では、一部の生体分子は、生物学的に重要な結果が出るように、自身を化学的に変化させます。i) プロテイン・キナーゼは、ターゲットとするタンパク質内にある、特定のアミノ酸にリン酸基を追加できる酵素です。自己リン酸化キナーゼとして知られている一部のキナーゼは、自身の一部である、特定のターゲットとするアミノ酸にリン酸基を加えるでしょう。ii) リボザイムは、触媒活性RNA分子で、そのうちの7つの自然種が、自身のRNA配列を開裂することが知られています。そのような開裂の結果、ウィルス複製、遺伝子発現、場合によっては、異なるタンパク質転写体の生成という重大な変化が生じるかもしれません。このような触媒活性の自己開裂RNAは、自己開裂リボザイムと呼ばれるリボザイムのサブクラスを作ります。このような生化学の自己相互作用はプロパティーのローカルな反射性の言明により捕捉できます。

機能: ローカルな反射性

: ローカルな反射性

参考文献: [BIO]

7.22 ユースケースの文献

[Medical Req]
Web ontology language requirements w.r.t expressiveness of taxonomy and axioms in medicine In Proc. of ISWC 2003
[Micro Theory]
Creation and Usage of a "Micro Theory" for Long Bone Fractures: An Experience ReportHoward Goldberg, Vipul Kashyap and Kent Spackman, In Proc. of KR-MED 2008..
[Ontology with Rules]
Ontology enriched by rules for identifying brain anatomical structures In RIF 2004, Washington, 2004. and Annex.
[Brain Imaging]
Towards an Hybrid System Using an Ontology Enriched by Rules for the Semantic Annotation of Brain MRI Images In Proc. of RR 2007
The Brain Anatomy Case Study In Proc. of Protege 2005.
[FMA]
The Foundational Model of Anatomy A
The Foundational Model of Anatomy B
The Foundational Model of Anatomy C.
[Chemistry]
Describing chemical functional groups in OWL-DL for the classification of chemical compounds Natalia Villanueva-Rosales and Michel Dumontier. In OWL: Experiences and Directions (OWLED 07), Innsbruck, Austria.
Modelling Life Sciences knowledge with OWL1.1 (OWLED 08 DC)
[Auto]
An exploratory study in an automotive company.
[OBO]
The OBO Foundry: coordinated evolution of ontologies to support biomedical data integration. Barry Smith et al. .
[RO]
Relations in Biomedical Ontologies. .
[OBO2OWL]
OBO to OWL: Go to OWL1.1! (OWLED 07)
OBO and OWL: Leveraging Semantic Web Technologies for the Life Sciences In Proc. of ISWC 2007.
[Ordnance]
Experiences of using OWL at the Ordnance Survey.
[SNOMED REQ]
An examination of OWL and the requirements of a large health care terminology.
[Agence Biomedecine]
Changing Kidney Allocation Policy in France: the Value of Simulation.
[Transplant Ontology]
Construction of the dialysis and transplantation ontology.
[Little Web]
A little semantic web goes a long way in biology Wolstencroft, K., Brass, A., Horrocks, I., Lord, P., Sattler, U., Stevens, R., Turi, D. In Proceedings of the 2005 International Semantic Web Conference (ISWC 2005), pp. 786-800. Springer, Berlin Heidelberg New York (2005).
[Part Whole]
Simple part-whole relations in OWL Ontologies Alan Rector, Chris Welty. W3C Editor's Draft 11 Aug 2005 .
[TOOLS]
Supporting Early Adoption of OWL 1.1 with Protege-OWL and FaCT++. Matthew Horridge and Dmitry Tsarkov and Timothy Redmond. In OWL: Experiences and Directions (OWLED 06), Athens, Georgia.
[OWL API]
Igniting the OWL 1.1 Touch Paper: The OWL API Matthew Horridge and Sean Bechhofer and Olaf Noppens (2007). In OWL: Experiences and Directions (OWLED 07), Innsbruck, Austria.
[Protege OWL]
The Protégé OWL Experience Holger Knublauch, Matthew Horridge, Mark Musen, Alan Rector, Robert Stevens, Nick Drummond, Phil Lord, Natalya F. Noy2, Julian Seidenberg, Hai Wang. In OWL: Experiences and Directions (OWLED 05), Galway, Ireland, 2005.
[N-ary]
N-ary Data predicate use case.
[Web Service]
Preference-based Selection of Highly Configurable Web Services Steffen Lamparter, Anupriya Ankolekar, Stephan Grimm, Rudi Studer: WWW-07, Banff, Canada, 2007.
[Wiki]
Reusing Ontological Background Knowledge in Semantic Wikis Denny Vrandecic, Markus Krötzsch, Proceedings 1st Workshop on Semantic Wikis. Budva, Montenegro, June 2006 .
[UML Association Class]
Association.
[Punning]
Punning Use Cases.
[Who reads?]
Who reads our documents?
NIF
NIF Data-Integration slides
[VSTO]
The Virtual Solar-Terrestrial Observatory: A Deployed Semantic Web Application Case Study for Scientific Research McGuinness, D.L., Fox, P., Cinquini, L., West, P., Garcia, J., Benedict, J.L., Middleton, D..
VSTO2.
VMO.
[NCAR]
Semantic Provenance Capture in Data Ingest Systems .
[BIO]
Springer.
pnas.
[SKOS]
W3C Working Draft 29 August 2008 .

8 付録: 更新履歴(参考情報)

8.1 勧告案以後の更新

この項は、2009年9月22日の勧告案以後のこのドキュメントへの更新をまとめています。

8.2 最終草案以後の更新

この項では、2009年6月11日の勧告候補以後のこのドキュメントへの更新をまとめています。

9 謝辞

OWL 2の開発の出発点は、OWL 1.1メンバーの提案で、それ自身は、ユーザと開発者のフィードバックの結果であり、特に、OWL経験と説明(OWLED)ワークショップ・シリーズの間に集まった情報です。ワーキンググループは、WebOntワーキングループ先送りされていた課題についても検討しました。

このドキュメントは、OWLワーキンググループによって製作され(下記を参照)、コンテンツはワーキンググループ全体の広範囲にわたる議論を反映しています。編集者は、徹底的なレビューに関し、Elisa Kendall (Sandpiper Software)、Peter F. Patel-Schneider (Bell Labs Research、Alcatel-Lucent)とAlan Ruttenberg (Science Commons)に特に謝意を表します。

このドキュメントの公表時点のOWLワーキンググループの会合の正規出席者は次の通りでした。Jie Bao (RPI)、Diego Calvanese (Free University of Bozen-Bolzano)、Bernardo Cuenca Grau (Oxford University Computing Laboratory)、Martin Dzbor (Open University)、Achille Fokoue (IBM Corporation)、Christine Golbreich (Université de Versailles St-Quentin and LIRMM)、Sandro Hawke (W3C/MIT)、Ivan Herman (W3C/ERCIM)、Rinke Hoekstra (University of Amsterdam)、Ian Horrocks (Oxford University Computing Laboratory)、Elisa Kendall (Sandpiper Software)、Markus Krötzsch (FZI)、Carsten Lutz (Universität Bremen)、Deborah L. McGuinness (RPI)、Boris Motik (Oxford University Computing Laboratory)、Jeff Pan (University of Aberdeen)、Bijan Parsia (University of Manchester)、Peter F. Patel-Schneider (Bell Labs Research, Alcatel-Lucent)、Sebastian Rudolph (FZI)、Alan Ruttenberg (Science Commons)、Uli Sattler (University of Manchester)、Michael Schneider (FZI)、Mike Smith (Clark & Parsia)、Evan Wallace (NIST)、Zhe Wu (Oracle Corporation)とAntoine Zimmermann (DERI Galway)。ワーキンググループの元のメンバーであるJeremy Carroll、Jim Hendler、Vipul Kashyapにも感謝申し上げます。