IIIF画像API 3.0
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本バージョン: 3.0.0
最新安定版: 3.0.0
旧バージョン: 2.1.1
編集者:
- Michael Appleby , Yale University
- Tom Crane , Digirati
- Robert Sanderson , J. Paul Getty Trust
- Jon Stroop , Princeton University Library
- Simeon Warner , Cornell University
Copyright © 2012-2020 Editors and contributors. Published by the IIIF Consortium under the CC-BY license, see disclaimer.
目次
- 1. はじめに
- 2. URI構文
- 3. 識別子
- 4. 画像リクエスト
- 5. 画像情報
- 6. 準拠レベルとプロファイル・ドキュメント
- 7. サーバー応答
- 8. 認証
- 9. URIのエンコーディングとデコーディング
- 10. セキュリティに関する留意点
- 11. 付録
1. はじめに
このドキュメントは、IIIF(International Image Interoperability Framework、「トリプル・アイ・エフ」と発音)コンソーシアムが定める画像配信APIについて記述しています。IIIF画像APIは、標準的なHTTPやHTTPSのリクエストに応答して画像を返すウェブ・サービスの仕様を定めています。URIによって、リクエストする画像の領域、サイズ、回転、品質特性およびフォーマットを指定できます。また、クライアント・アプリケーションをサポートするために、画像に関する基本的な技術情報をリクエストするようにURIを構成することもできます。このAPIは、文化遺産機関が管理しているデジタル画像リポジトリの画像資源を体系的に再利用可能とするために考案したものですが、いかなる画像リポジトリやサービスにも採用でき、これを利用することで、適切に構成されたURIへの応答として静止画像を読み出すことができます。
フィードバックはiiif-discuss@googlegroups.comにお送りください。
1.1. 対象者と範囲
このドキュメントは、とりわけ文化遺産機関、博物館、図書館、公文書館のデジタル画像を共有、利用するためのアプリケーションを構築する設計者と開発者を対象としています。ターゲットとしているアプリケーションには次のものが含まれます。
- デジタル画像リポジトリおよび分散型コンテンツ・ネットワーク
- パン/ズーム・ビューア、ブック・リーダーなどの、画像に重点を置いたウェブ・アプリケーション
- 分析や比較のために画像コンテンツを利用するクライアント・アプリケーション
この仕様で取り上げるのは、クライアントによる画像リクエストであり、サーバーによる画像管理ではありません。この仕様は、特定のURI構文に従ったリクエストに対する応答方法についてはカバーしていますが、回転アルゴリズム、トランスコーディング、カラー・マネジメント、圧縮などの実装方法や、既定の構文に準拠していないURIに対する応答方法についてはカバーしていません。これにより、一般的なケースにおける相互運用性をサポートしつつ、特定の制約やコミュニティー固有の慣習が存在する領域においても柔軟な実装が可能となります。
実装では、事前に生成されたファイルを静的なウェブ資源として提供しても、豊かなユーザ体験を実現できます。 動的な画像サーバーの実装では、ベースとなる準拠レベルを超える追加機能を提供できます。
1.2. 用語
基礎となる画像コンテンツという用語は、情報源の画像データを指すために用います。その形式や構造に関する想定はありません。これは、1つ以上の情報源の画像から得られる場合もありますが、動的に生成することもできます。
フル画像という用語は、画像情報ドキュメントで指定されているピクセルの大きさで、基礎となる画像コンテンツの領域全体を指すために用い、これは、画像リクエストの開始点として想定されます。
このドキュメントの「しなければならない(must)」、「してはならない(must not)」、「必須である/要求される(required)」、「することになる(shall)」、「することはない(shall not)」、「すべきである/する必要がある(should)」、「すべきでない/する必要がない(should not)」、「推奨される(recommended)」、「選択できる/任意である(optional)」というキーワードは、RFC 2119で記述されているように解釈されるべきです。
2. URI構文
IIIF画像APIは、次の2つの方法で呼び出すことができます。
- 画像をリクエストする。これは、基礎となる画像コンテンツから得られる。
- 画像サービスに関する情報をリクエストする。これには、特性、利用可能な機能、および関連サービスが含まれる。
どちらも、リクエスト情報を、クエリのパラメータとしてではなく、URIのパス・セグメントで伝えます。これにより、サーバーや標準的なウェブ・キャッシュ基盤が応答をより容易にキャッシュできるようになります。マッチング用のディレクトリ構造内の事前処理済みファイルを用いた最小限の実装も可能です。
リクエストには共通するパラメータが4つあり、他のIIIF仕様もあります。
名前 | 説明 |
---|---|
scheme | サービスの呼び出しにおけるHTTPまたはHTTPSのプロトコルの使用を示します。 |
server | サービスが存在するホスト・サーバー。パラメータにはポート番号を含むこともできます。 |
prefix | サービスに対するホスト・サーバー上のパス。この接頭辞はオプションですが、ホスト・サーバーが複数のサービスをサポートしている場合に有用でありえます。接頭辞には、スラッシュで区切った複数のパス・セグメントを含むことができますが(may)、他のすべての特殊文字はエンコードしなければなりません(must)。詳細は、URIのエンコーディングとデコーディングを参照してください。 |
identifier | リクエストされる画像の識別子。これは、ARK、URN、ファイル名、その他の識別子でありえます。特殊文字にはURIエンコードを行わなければなりません(must)。 |
これらのパラメータの組み合わせにより、画像サービスの基底URIが形成され、基礎となる画像コンテンツが識別されます。これは次のURIテンプレート(RFC6570)に従って構成されます。
{scheme}://{server}{/prefix}/{identifier}
基底URIを逆参照した時には、その相互作用により画像情報ドキュメントが得られるべきです(should)。応答は、303ステータスによる画像情報ドキュメントのURIへのリダイレクションであることが推奨されます(recommended)。実装では、HTTPリクエストのヘッダーとメソッドに応答して、基底URIに対して、この仕様の範囲を超える他の挙動を示すことも可能です(may)。
拡張の余地を残すために、この仕様では、基底URIまたは下記のURI構文のいずれにも適合しないリクエストを受け取った時のサーバーの挙動は定義していません。
2.1. 画像リクエストURI構文
画像リクエスト用のIIIF画像APIのURIは、次のURIテンプレートに準拠していなければなりません(must)。
{scheme}://{server}{/prefix}/{identifier}/{region}/{size}/{rotation}/{quality}.{format}
例えば、次のとおりです。
https://example.org/image-service/abcd1234/full/max/0/default.jpg
画像リクエストURIのパラメータには、region(領域)、size(サイズ)、rotation(回転)、quality(品質)、format(フォーマット)があり、これらによって、返される画像の特性が定まります。これらに関する詳細は、画像リクエストで説明しています。
2.2. 画像情報リクエストURI構文
画像情報リクエスト用のURIは、次のURIテンプレートに準拠していなければなりません(must)。
{scheme}://{server}{/prefix}/{identifier}/info.json
例えば、次のとおりです。
https://example.org/image-service/abcd1234/info.json
情報リクエストのコンポーネントであるscheme(スキーム)、server(サーバー)、prefix(接頭辞)、identifier(識別子)は、画像情報ドキュメントに記述する画像コンテンツに関する上記の画像リクエストと同じでなければなりません(must)。画像情報ドキュメントの詳細は、画像情報の項で説明しています。
3. 識別子
APIは、サーバーが使用またはサポートする識別子の形式に制限を設けません。クライアントの予測不可能な挙動を避けるため、すべての特殊文字(例えば、?
や#
)にURIエンコードを行わなければなりません(must)。URI構文は、スラッシュ(/
)という区切り文字に依存しているため、識別子内のあらゆるスラッシュはURIエンコード(「パーセント・エンコード」とも呼ばれる)されていなければなりません(must)。URIのエンコーディングとデコーディングにおけるさらなる議論を参照してください。
4. 画像リクエスト
IIIF画像APIに準拠したURIを構築するためには、下記のすべてのパラメータが必要です。URI内のパラメータの順序は、下記の順序でなければなりません(must)。パラメータの順序は、サービスが画像コンテンツを処理すべき操作順序のニーモニックでもあります。したがって、リクエストされた画像コンテンツは、最初にフル画像領域として抽出され、その後、リクエストされたサイズへの拡大・縮小、反転および/または回転が行われ、最後にリクエストされた色品質とフォーマットに変換されます。その結果の画像が、URIに対する表現として返されます。
サイズと領域のパラメータのピクセル数は、負でない整数でなければなりません(must)。サイズと領域パラメータ、および回転パラメータのパーセンテージは、正の浮動小数点数か整数でなければなりません(must)。IIIF URIの浮動小数点数の表現の詳細については、浮動小数点値の項を参照してください。
サーバーは、画像の応答でCORSをサポートすべきです(should)。
4.1. 領域
region(領域)パラメータは、基礎となる画像コンテンツのうち、返される矩形部分を定義します。領域は、ピクセル座標、パーセンテージ、またはフル画像を返すべきと指定するfull
という値で指定できます。
形式 | 説明 |
---|---|
full |
切り取りが行われていないフル画像が返されます。 |
square |
領域は、幅と高さの両方がフル画像の短い方の辺の長さと同じである領域と定義されます。領域は、サーバーの裁量により、フル画像の長い方の辺のどこにでも置くことができますが、多くの場合、中央に配置するのがデフォルトとして妥当です。 |
x,y,w,h |
返すべきフル画像の領域を絶対ピクセル値で指定します。x の値は、水平軸の0の位置からのピクセル数を表します。y の値は、垂直軸の0の位置からのピクセル数を表します。したがって、0,0というx,y の位置は、画像の一番左上のピクセルです。w は領域の幅を、h は領域の高さをピクセルで表します。 |
pct:x,y,w,h |
返すべき領域を、画像情報ドキュメントで報告されているフル画像の大きさに対するパーセンテージで指定します。したがって、x は、報告されている幅のパーセンテージとして計算された、水平軸上の0の位置からのピクセル数を表します。w は、同じく報告されている幅のパーセンテージとして計算された領域の幅を表します。それぞれy とh にも同様にあてはまります。 |
画像情報ドキュメントで報告されているフル画像全の大きさを超える領域がリクエストされた場合には、サービスは、空白を追加するのではなく、画像の端で切り取った画像を返すべきです(should)。
リクエストされた領域の高さや幅が0であったり、領域が報告されている大きさの境界から完全に外れていたりすれば、サーバーは400(Bad Request)のステータス・コードを返すべき(should)です。
例:
1 region=full
|
2 region=square
|
3 region=125,15,120,140
|
4 region=pct:41.6,7.5,40,70
|
5 region=125,15,200,200
返される画像が175,185ピクセルであることに注意 |
6 region=pct:41.6,7.5,66.6,100
返される画像が175,185ピクセルであることに注意 |
4.2. サイズ
size(サイズ)パラメータは、抽出される領域(フル画像の場合もある)が拡大・縮小されるべき大きさを指定します。w,h
と^w,h
の形式を除き、返される画像は、抽出される領域の縦横比を可能な限り厳密に維持します。サイズに^
という接頭辞を付与することにより、抽出される領域の大きさが拡大・縮小される領域の大きさよりも小さい場合に、その領域を拡大できます。
形式 | 説明 |
---|---|
max |
抽出される領域は、利用可能な最大サイズで返されますが、拡大はされません。結果として得られる画像は、技術プロパティーの項で定義しているmaxWidth 、maxHeight 、またはmaxArea によって、より小さなサイズに制限されていない限り、抽出される領域の大きさになります。 |
^max |
抽出される領域は、技術プロパティーの項で定義しているmaxWidth 、maxHeight 、またはmaxArea によって許される最大サイズに拡大・縮小されます。結果として得られる大きさが抽出される領域の幅と高さより大きい場合、抽出される領域は拡大されます。 |
w, |
抽出される領域は、返される画像の幅がw と完全に等しくなるように拡大・縮小されるべきです。w の値は、抽出される領域の幅を超えてはなりません(must not)。 |
^w, |
抽出される領域は、返される画像の幅がw と完全に等しくなるように拡大・縮小されるべきです。w が抽出される領域の幅より大きい場合、抽出される領域は拡大されます。 |
,h |
抽出される領域は、返される画像の高さがh と完全に等しくなるように拡大・縮小されるべきです。h の値は、抽出される領域の高さを超えてはなりません(must not)。 |
^,h |
抽出される領域は、返される画像の高さがh と完全に等しくなるように拡大・縮小されるべきです。h が抽出される領域の高さより大きい場合、抽出される領域は拡大されます。 |
pct:n |
返される画像の幅と高さは、抽出される領域の幅と高さのn パーセントに拡大・縮小されます。n の値は100以下でなければなりません(must not)。 |
^pct:n |
返される画像の幅と高さは、抽出される領域の幅と高さのn パーセントに拡大・縮小されます。n の値が100より大きい場合、抽出される領域は拡大されます。 |
w,h |
返される画像の幅と高さは、w とh のとおりになります。返される画像の縦横比が抽出される領域と大きく異なることがありえ(may)、その結果、歪んだ画像になります。w とh の値は、抽出される領域の対応するピクセルの大きさを超えてはなりません(must not)。 |
^w,h |
返される画像の幅と高さは、w とh のとおりになります。返される画像の縦横比が抽出される領域と大きく異なることがありえ(may)、その結果、歪んだ画像になります。w および/またはh が抽出される領域の対応するピクセルの大きさより大きい場合、抽出される領域は拡大されます。 |
!w,h |
抽出される領域は、縦横比を維持しながら、返される画像の幅と高さがw とh 以下になるように拡大・縮小されます。返される画像は可能な限り大きくなければなりませんが(must)、抽出される領域、w やh 、またはサーバーが課している制限を超えてはなりません。 |
^!w,h |
抽出される領域は、縦横比を維持しながら、返される画像の幅と高さがw とh 以下になるように拡大・縮小されます。返される画像は可能な限り大きくなければなりませんが(must)、w 、h 、またはサーバーが課している制限を超えてはなりません。 |
^
という接頭辞なしにサイズに対するリクエストを行った結果、抽出される領域の大きさよりも、拡大・縮小される領域の方が大きくなる場合は、400(Bad Request)というステータス・コードのエラーになるべきです(should)。
^
という接頭辞付きのサイズに対するリクエストで、拡大が必要な場合に、サーバーが拡大をサポートしていなければ、501(Not Implemented)のステータス・コードになるべきですが(should)、その他のクライアントのリクエストの構文エラーへの応答では400(不正なリクエスト)ステータス・コードが返されるべきです(should)。例えば、^pct:120
というサイズに対するリクエストは、サーバーが拡大をサポートしていなければ、501のステータス・コードになるべきです。
すべてのリクエストにおいて、拡大・縮小された領域の大きさは、1ピクセル未満であったり、サーバーの制限を超えたりしてはなりません(must not)。これらのサイズの画像を生成しようとするリクエストはエラーであり、その結果は400(Bad Request)のステータス・コードになるべきです(should)。
例:
1 size=max
画像が200ピクセルの |
1 size=^max
画像が360ピクセルの |
2 size=150,
|
2 size=^360,
|
3 size=,150
|
3 size=,^240
|
4 size=pct:50
|
4 size=pct:120
|
5 size=225,100
|
5 size=^360,360
|
6 size=!225,100
返される画像が150,100ピクセルであることに注意 |
6 size=^!360,360
返される画像が360,240ピクセルであることに注意 |
4.3. 回転
rotation(回転)パラメータは、反転と回転を規定します。先頭の感嘆符(「!」)は、回転が適用される前に垂直軸に基づいて画像が反転されるべきであることを示します。数値は、時計回りの回転角度を表し、0から360までの浮動小数点数でありえます。
形式 | 説明 |
---|---|
n |
0から360までの時計回りの回転角度。 |
!n |
上記のとおり、画像は反転後に回転されるべきです。 |
範囲外であったり、サポートされていない回転の値は、400(Bad Request)のステータス・コードになるべきです(should)。
ほとんどの場合、回転によって、返される画像の幅と高さが変わります。サービスは、サイズ・パラメータによる指定と返される画像ファイルの大きさが異なっていても、領域とサイズ・パラメータでリクエストされたすべての画像コンテンツが含まれている画像を返すべきです(should)。画像コンテンツは、回転の結果として拡大・縮小されるべきではなく(should not)、回転した画像コンテンツの角と返される画像のバウンディング・ボックス(bounding box)の間に余分な空間があるべき(should)ではありません。
回転角度が90度の倍数でない場合は、クライアントはpng
などの透過をサポートするフォーマットの画像をリクエストし、サーバーは背景が透明の画像を返すことを推奨します(recommended)。APIには、クライアントが特定の背景色やその他の塗りつぶしパターンをリクエストする機能はありません。
例:
1 rotation=0
|
2 rotation=180
|
3 rotation=90
|
4 rotation=22.5
|
5 rotation=!0
|
6 rotation=!180
|
4.4. 品質
quality(品質)パラメータは、カラー、グレースケール、黒白のいずれで画像が配信されるかを決定します。
品質 | 返されるパラメータ |
---|---|
color |
画像は、すべての色情報を備えて返されます。 |
gray |
画像はグレースケールで返され、個々のピクセルは黒、白、またはその間のグレーです。 |
bitonal |
返される画像は2値で、個々のピクセルは黒か白です。 |
default |
画像は、その画像に対するサーバーのデフォルト品質(例えば、color 、gray またはbitonal )で返されます。 |
default
の品質は、コレクションの個々の画像の品質が不明である準拠レベル0の実装をサポートするために存在しています。これは、どの品質が利用できるのかを知るためにしか役立たない予備的な画像情報リクエストを避けられるという点で、クライアントが品質以外のリクエストのパラメータ値をすべて知っている場合に利便性を提供することにもなります(例えば、サムネイルをリクエストするために、.../full/120,80/90/{quality}.png
)。
準拠レベルに関係なく、default
を超える追加品質を提供するサービスでは、画像情報リクエストへの応答のextraQualities
プロパティーにその品質を列挙しなければなりません(must)。サポートされていない品質の値を持つ画像に対するリクエストには、400(Bad Request)のステータス・コードを返すべきです(should)。
画像のcolor
品質に対するリクエストには、画像を返さなければなりません(must)。この画像は、サーバーが用意できる色情報がグレースケールや2値のピクセルのみであれば、それのみで構成できます。そのような場合、サーバーはextraQualities
のリストにcolor
を含めるべきではありませんが(should not)、color
品質に対するリクエストの結果はエラーになってはなりません(must not)。同様に、グレースケール品質に対するリクエストに、2値のピクセルのみで構成される画像を返すこともできます。
例:
1 quality=default
|
2 quality=color
|
3 quality=gray
|
4 quality=bitonal
|
4.5. フォーマット
返される画像のフォーマットは、一般的なファイル名拡張子を反映した、URI末尾の接尾辞として表されます。
拡張子 | MIMEタイプ |
---|---|
jpg |
image/jpeg |
tif |
image/tiff |
png |
image/png |
gif |
image/gif |
jp2 |
image/jp2 |
pdf |
application/pdf |
webp |
image/webp |
フォーマットの値がサポートされていなければ、400(Bad Request)のステータス・コードになるべきです(should)。
例:
.../full/max/0/default.jpg
.../full/max/0/default.png
.../full/max/0/default.tif
4.6. 実装の順序
URIのパラメータの順序は、基礎となる画像コンテンツに画像操作が行われる順序のニーモニックです。同じパラメータを異なる順序で適用すると異なる画像が配信されることが多いため、画像サービスを実装する際に、これを考慮することは重要です。
パラメータは、画像操作の順序が次のとおりであるものとして解釈すべきです。
Region THEN Size THEN Rotation THEN Quality THEN Format
(Region その次が Size その次が Rotation その次が Quality その次が Format)
回転パラメータに反転(!
)が含まれていれば、回転の前に反転が適用されます。
1 region=125,15,120,140 size=90, rotation=!345 quality=gray
|
4.7. 浮動小数点値
パーセンテージで指定されたサイズと領域のパラメータ、および回転パラメータでは、正の浮動小数点数の値が許されています。可能な場合は、整数の値を用いるべきです(should)。浮動小数点値を用いる場合、10進数と「.」のみで構成(例えば、+0.9ではなく0.9)しなければならず(must)、1未満の場合は先頭を0で表す(例えば、.9ではなく0.9)べきであり(should)、末尾にゼロを含めない(例えば、0.90ではなく0.9)ようにすべきです(should not)。計算途中には浮動小数点数を使用でき、端数の処理方法は実装固有です。
4.8. 正規URI構文
異なるパラメータの組み合わせを用いて同じ画像をリクエストできます。クライアントが使いやすい形式でリクエストを表現できれば便利ですが、正規のURI構文の方が望ましい理由がいくつかあります。
- 固定的な、ファイル―システム・ベースの実装が可能となり、これにはコンテンツを入手できるURIが1つだけ存在する。
- 用いるURIがシステムとセッションとの間で同じであれば、クライアントとサーバー側の両方でキャッシュが著しく効率的になる。
- リクエストされた非正規のURI構文から正規の形式を直接用いた正規の構文へのリダイレクトを避けることにより、応答時間を改善できる。
上記の要件をサポートするために、可能であれば、クライアントは次の正規のパラメータ値を用いて画像リクエストURIを構成すべきです(should)。画像サーバーは、クライアントを非正規のURIから正規のURIにリダイレクトさせることができます(may)。
パラメータ | 正規の値 |
---|---|
region | フル画像をリクエストする場合はfull 、そうではない場合は x,y,w,h という構文。 |
size | 拡大なしの最大サイズをリクエストする場合はmax 、拡大した最大サイズをリクエストする場合は ^max 、そうでない場合、リクエストするサイズが拡大を必要としない場合は w,h 、または、リクエストが抽出される領域の拡大を必要とする場合は ^w,h 。 |
rotation | 画像を反転させる場合は! で、可能であれば、その後に整数を置き、そうでない場合は、浮動小数点値の項の推奨に従って表される浮動小数点値を置きます。 |
quality | サーバーのデフォルト品質をリクエストする場合はdefault 、そうではない場合は品質を文字列で。 |
format | 明確なフォーマットの文字列は常に必要。 |
クライアントが画像をリクエストした時には、サーバーは、そのリクエストに対する正規URIを示すリンク・ヘッダーを応答に追加できます(may)。
Link: <http://iiif.example.com/server/full/400,300/0/default.jpg>;rel="canonical"
サーバーはこのリンク・ヘッダーを画像情報の応答に含めることもできますが(may)、読み出されるJSON表現にこれが含まれているため、その必要はありません。
4.9. 拡張
IIIF画像APIは、領域、サイズおよび回転のパラメータに新たなパラメータのパターンを追加するか、品質およびフォーマットのパラメータに新たな値を追加することにより、画像情報リクエストURI構文内で拡張できます。既存のパラメータの範囲を超えるリクエスト情報は、クエリのパラメータとして画像サーバーに渡すことができます。拡張機能は、追加機能の項のガイドラインに従って、画像情報ドキュメントに記述すべきです(should)。
5. 画像情報
サーバーは画像情報に対するリクエストをサポートしなければなりません(must)。応答は、フル画像に関する技術プロパティーが含まれているJSONドキュメントです。また、権利情報や画像に関連するサービスを含むこともできます。
5.1. 画像情報リクエスト
画像情報に対するリクエストは、次のURIテンプレートに準拠していなければなりません(must)。
{scheme}://{server}{/prefix}/{identifier}/info.json
応答の構文はJSON-LDです。Accept
ヘッダーが含まれているリクエストをサーバーが受け取ると、内容交渉の規則に従って応答すべきです(should)。リクエストのAccept
ヘッダーで提供されるコンテンツ・タイプには、profile
やcharset
などのパラメータが含まれる場合がある(may)ことに注意してください。
リクエストにAccept
ヘッダーが含まれていない場合は、応答のHTTP Content-Type
ヘッダーには、profile
パラメータをコンテキスト・ドキュメント(http://iiif.io/api/image/3/context.json
)として指定したapplication/ld+json
(JSON-LD)という値が含まれているべきです(should)。
Content-Type: application/ld+json;profile="http://iiif.io/api/image/3/context.json"
サーバー設定の詳細が原因でContent-Type
ヘッダーのapplication/ld+json
を生成できない場合、Content-Type
ヘッダーは、profile
パラメータのないapplication/json
(通常のJSON)になるべきです(should)。
Content-Type: application/json
サーバーは、画像情報の応答でCORSをサポートすべきです(should)。
5.2. 技術プロパティー
JSONの応答には、画像コンテンツで利用可能な機能を記述するいくつかの技術プロパティーがあります。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
@context |
必須 | @context プロパティーは、JSON表現の最初のキー-値のペアとして出現すべきです(should)。その値は、http://iiif.io/api/image/3/context.json というURI、またはhttp://iiif.io/api/image/3/context.json というURIを最後のアイテムとして持つJSON配列のいずれかでなければなりません(must)。@context は、リンクト・データのプロセッサに画像情報の解釈方法を伝えます。拡張を用いる場合は、そのコンテキスト定義をこの最上位の@context プロパティーに含めるべきです(should)。 |
id |
必須 | スキーム、サーバー、接頭辞、識別子が含まれていて、末尾にスラッシュがない、URI構文で定義されているとおりの画像の基底URI。 |
type |
必須 | 画像APIのタイプ。値はImageService3 という文字列でなければなりません(must)。 |
protocol |
必須 | ドキュメントが、IIIF画像APIの1つのバージョンである画像サービスを記述したものであると判断するために使用できるhttp://iiif.io/api/image というURI。 |
profile |
必須 | サービスが完全にサポートしている最も高い準拠レベルを示す文字列。値はlevel0 、level1 、level2 のうちの1つでなければなりません(must)。 |
width |
必須 | フル画像の幅のピクセル数。整数で指定します。 |
height |
必須 | フル画像の高さのピクセル数。整数で指定します。 |
maxWidth |
オプション | この画像でサポートされている最大の幅のピクセル値。クライアントは、この値より大きい幅のリクエストがサポートされることを期待してはなりません(must not)。maxHeight が指定されている場合は、maxWidth を指定しなくてはなりません(must)。 |
maxHeight |
オプション | この画像でサポートされている最大の高さのピクセル値。クライアントは、この値よりも大きい高さのリクエストがサポートされることを期待してはなりません(must not)。maxWidth が指定されていて、maxHeight が指定されていなければ、クライアントはmaxHeight = maxWidth であると推測すべきです。 |
maxArea |
オプション | この画像でサポートされている最大の領域のピクセル値。クライアントは、幅*高さがこの値より大きいリクエストがサポートされることを期待してはなりません(must not)。 |
width
とheight
のプロパティーはフル画像のサイズを示し、タイルのリクエストを構築するために必要です。
maxWidth
、maxHeight
、maxArea
のパラメータは、画像にサポートされているサイズの限界を画像サーバーが表す方法を提供します。maxWidth
のみ、またはmaxWidth
とmaxHeight
が指定されている場合は、クライアントは、それより大きな長さのリクエストは拒否されると予期すべきです。maxArea
が指定されている場合は、クライアントは、それより大きなピクセル領域のリクエストが拒否されると予期すべきです。maxWidth / maxHeight
とmaxArea
のパラメータは独立しており、サーバーはどちらか一方または両方の限界を実装できます。サーバーは、sizes
またはtiles
のプロパティーで指定されたサイズが、表されているサイズの限界の範囲内にあることを保証しなければなりません(must)。クライアントは、表されているサイズの限界を上回るリクエストを行うべきではありません(should not)。
{
"@context": "http://iiif.io/api/image/3/context.json",
"id": "https://example.org/image-service/abcd1234/1E34750D-38DB-4825-A38A-B60A345E591C",
"type": "ImageService3",
"protocol": "http://iiif.io/api/image",
"profile": "level2",
"width": 6000,
"height": 4000,
"maxHeight": 2000,
"maxWidth": 3000,
"maxArea": 4000000
}
5.3. サイズ
JSONの応答にはsizes
プロパティーを含むことができ(may)、これは、フル画像の表現に対する望ましいheight
とwidth
の組み合わせを記述するために用います。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
sizes |
オプション | height とwidth のプロパティーを持つJSONオブジェクトの配列。これらのサイズは、フル画像の拡大・縮小バージョンに対して、サイズ・リクエスト・パラメータのw,h 構文で提供される優先値を指定します。任意のサイズに対するリクエストをサポートしていないサーバーの場合、これらのみが使用できるサイズでありえます。サーバーは、任意の幅と高さをサポートしていなくても、これらのサイズを用いたw,h という構文で構成されるリクエストはサポートしなければなりません(must)。 |
sizes
配列内のJSONオブジェクトは、以下の表のプロパティーを持っています。これらのサイズに対する画像リクエストは、full
の領域パラメータ、正規のw,h
フォームのサイズ・パラメータ、および0
という回転率を持っているべきです(should)。したがって、jpg
というフォーマットでdefault
という品質を持つ画像の完全なURLは、{scheme}://{server}/{prefix}/{identifier}/full/{width},{height}/0/default.jpg
でしょう。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
type |
オプション | オブジェクトのタイプ。存在している場合は、値はSize という文字列でなければなりません(must)。 |
width |
必須 | リクエストされる画像の幅(ピクセル)。整数で指定します。 |
height |
必須 | リクエストされる画像の高さ(ピクセル)。整数で指定します。 |
{
"@context": "http://iiif.io/api/image/3/context.json",
"id": "https://example.org/image-service/abcd1234/1E34750D-38DB-4825-A38A-B60A345E591C",
"type": "ImageService3",
"protocol": "http://iiif.io/api/image",
"profile": "level2",
"width": 6000,
"height": 4000,
"sizes": [
{ "width": 150, "height": 100 },
{ "width": 600, "height": 400 },
{ "width": 3000, "height": 2000 }
]
}
5.4. タイル
JSONの応答は、視覚的につなぎ合わせることができる、一貫した高さと幅を持つ画像領域の(連続する解像度上の)集合を記述したtiles
プロパティーを持つことができます(may)。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
tiles |
オプション | サーバーが効率的に配信する画像領域(タイル)をリクエストするために用いるパラメータを記述したJSONオブジェクトの配列。それぞれの記述は、幅、正方形ではないタイルの高さ(オプション)、それらの大きさのタイルを入手できる倍率を示します。 |
tiles
配列内のJSONオブジェクトは、以下の表のプロパティーを持っています。width
とheight
は、サイズ・パラメータを埋めるために用い、画像リクエストの領域パラメータを計算するためにscaleFactors
と一緒に用いるべきです。これに関しては実装ノートで詳細に説明しています。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
type |
オプション | オブジェクトのタイプ。存在している場合は、値はTile という文字列でなければなりません(must)。 |
scaleFactors |
必須 | 画像の定義済みタイルに対する解像度倍率。フル・サイズの画像を分割するための正の整数で表現されます。例えば、4という倍率は、フル画像の1/4または25%の高さと幅の画像群をサービスが効率的に配信できることを示します。特定の倍率の値はtiles 配列内に1度だけ出現すべきです(should)。 |
width |
必須 | リクエストされる定義済みタイルの幅(ピクセル)。整数で指定します。 |
height |
オプション | リクエストされる定義済みタイルの高さ(ピクセル)。整数で指定します。JSONで指定されていない場合は、width と同じデフォルト値になり、その結果、正方形のタイルになります。 |
tiles
配列内のオブジェクトはそれぞれ、width
とheight
の一意の組み合わせを持っていなければならず(must)、明示的に指定されていない場合は、height
= width
です。
{
"@context": "http://iiif.io/api/image/3/context.json",
"id": "https://example.org/image-service/abcd1234/1E34750D-38DB-4825-A38A-B60A345E591C",
"type": "ImageService3",
"protocol": "http://iiif.io/api/image",
"profile": "level2",
"width": 6000,
"height": 4000,
"tiles": [
{ "width": 512, "scaleFactors": [ 1, 2, 4, 8, 16 ] }
]
}
5.5. 優先フォーマット
JSONの応答は、この画像サービスの1つ以上のフォーマットのパラメータ値を列挙したpreferredFormats
プロパティーを持つことができます(may)。これにより、公開者はクライアントがリクエストするフォーマットのプレファレンスを表し、例えば、webpなどのより効率的なフォーマットの利用を奨励したり、ライン・アートやグラフィックス用にロスレスのwebpやpngなどの画像コンテンツにより良い結果をもたらすフォーマットを提案したりすることができます。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
preferredFormats |
オプション | プレファレンス順に配置された、優先フォーマットのパラメータ値である文字列の配列。列挙されるフォーマットのパラメータ値は、参照先のプロファイルで指定されているもの、またはextraFormats プロパティーに列挙されているものでなければなりません(must)(追加機能を参照)。 |
{
"@context": "http://iiif.io/api/image/3/context.json",
"id": "https://example.org/image-service/",
"type": "ImageService3",
"protocol": "http://iiif.io/api/image",
"profile": "level2",
"width": 6000,
"height": 4000,
"extraFormats": [ "webp" ],
"preferredFormats": [ "webp", "png" ]
}
5.6. 権利
rights
プロパティーは、プレゼンテーションAPIと同じセマンティクスと要件を持っています。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
rights |
オプション | この画像のコンテンツに適用されるライセンスや権利ステートメントを識別する文字列。このプロパティーの値は、クリエイティブ・コモンズのライセンスURI、RightsStatements.orgの権利ステートメントURI、または既知の拡張のレジストリのメカニズムを介して追加されたものから取得した文字列でなければなりません(must)。このプロパティーを含めることは有益であり、例えば、権利の言明を表すアイコンを表示するために使用できます。 |
この画像の公開者が、表示時に追加情報の表示を求める場合は、リンク付けプロパティーの項で説明しているように、プレゼンテーションAPIのマニフェストでその情報を提供すべきです。
{
"@context": "http://iiif.io/api/image/3/context.json",
"id": "https://example.org/image-service/abcd1234/1E34750D-38DB-4825-A38A-B60A345E591C",
"type": "ImageService3",
"protocol": "http://iiif.io/api/image",
"profile": "level2",
"width": 6000,
"height": 4000,
"rights": "http://rightsstatements.org/vocab/InC-EDU/1.0/"
}
5.7. 追加機能
JSONの応答には、画像サービスを介して利用できる追加機能を記述するプロパティーを含むこともできます(may)。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
extraQualities |
オプション | default に加えて、品質パラメータとして使用できる文字列の配列。 |
extraFormats |
オプション | 参照先のプロファイルで指定されるものに加えて、フォーマットのパラメータとして使用できる文字列の配列。 |
extraFeatures |
オプション | 参照先のプロファイルで指定されるものに加えて、サービスがサポートする機能を識別する文字列の配列。これらの文字列は、下記の表で定義されているか、拡張を登録することにより定義されます。 |
次の機能は、extraFeatures
プロパティーで用いるために定義しています。
機能名 | 説明 |
---|---|
baseUriRedirect |
サービスの基底URIにより画像情報ドキュメントにリダイレクトされます。 |
canonicalLinkHeader |
画像の応答で正規の画像URI HTTP linkヘッダーが提供されます。 |
cors |
すべての応答でCORS HTTPヘッダーが提供されます。 |
jsonldMediaType |
リクエストされた時にJSON-LDメディア・タイプが提供されます。 |
mirroring |
画像が垂直軸で回転し、その結果、コンテンツが左から右へ反転します。 |
profileLinkHeader |
画像の応答でプロファイルHTTP linkヘッダーが提供されます。 |
regionByPct |
フル画像の領域をパーセンテージでリクエストできます。 |
regionByPx |
フル画像の領域をピクセルの大きさでリクエストできます。 |
regionSquare |
幅と高さがフル画像のより短い辺の長さと同じである正方形の領域をリクエストできます。 |
rotationArbitrary |
90度の倍数以外の値を用いて画像の回転をリクエストできます。 |
rotationBy90s |
90度の倍数で画像の回転をリクエストできます。 |
sizeByConfinedWh |
!w,h の形式で画像サイズをリクエストできます。 |
sizeByH |
,h の形式で画像サイズをリクエストできます。 |
sizeByPct |
pct:n の形式で画像サイズをリクエストできます。 |
sizeByW |
w, の形式で画像サイズをリクエストできます。 |
sizeByWh |
w,h の形式で画像サイズをリクエストできます。 |
sizeUpscaling |
^ という接頭辞が付与されている画像サイズをリクエストできます。 |
sizeByW
もsizeByWh
もサポートしないサーバーは、sizes
プロパティーで記述されている、または、画像情報ドキュメントのtiles
プロパティーで暗示されている画像サイズを提供すれば良いだけであり、それによって、静的なファイル実装が可能となります。
sizeUpscaling
をサポートするサーバーは、maxWidth
またはmaxArea
を指定しなければなりません(must)(技術プロパティーを参照)。
サポートされている機能、フォーマット、品質の集合は、外部プロファイル・ドキュメントで宣言されているものと、extraQualities
、extraFormats
、およびextraFeatures
のプロパティーで追加されたものの和集合です。機能が、プロファイル・ドキュメントにもextraFeatures
プロパティーにも存在していなければ、クライアントは、その機能はサポートされていないと見なさなければなりません(must)。
extraQualities
、extraFormats
、extraFeatures
のプロパティーで用いられる追加の文字列、またはこの仕様では定義していない、画像情報で用いられる追加のプロパティーは、追加のコンテキスト・ドキュメントを用いてRDFの述語にマッピングすべきです(should)。これらの拡張は、最上位の@context
プロパティーに追加すべきです(should)(技術プロパティーを参照)。スコープ付きコンテキストとして知られている、述語固有のコンテキスト定義のJSON-LD 1.1の機能を用いて、拡張間の衝突を最小限に抑えなければなりません(must)。コミュニティーでの利用を目的とした拡張は、拡張レジストリに登録すべきですが(should)、登録は必須ではありません。
{
"@context": "http://iiif.io/api/image/3/context.json",
"id": "https://example.org/image-service/abcd1234/1E34750D-38DB-4825-A38A-B60A345E591C",
"type": "ImageService3",
"protocol": "http://iiif.io/api/image",
"profile": "level2",
"width": 6000,
"height": 4000,
"extraFormats": [ "gif", "pdf" ],
"extraQualities": [ "color", "gray" ],
"extraFeatures": [ "canonicalLinkHeader", "rotationArbitrary", "profileLinkHeader" ]
}
5.8. リンク付けプロパティー
JSONの応答には、ビューアで追加機能を提供するサービスなど、外部資源を参照するリンク付けプロパティーを含むことができます(may)。リンク付けプロパティーは、プレゼンテーションAPIと同じセマンティクスと要件を持っています。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
partOf |
オプション | この画像サービスを参照する別の資源へのリンク。例えば、カンバス(Canvas)やマニフェスト(Manifest)へのリンク。値はJSONオブジェクトの配列でなければなりません(must)。各アイテムには、id とtype のプロパティーがなければならず(must)、label のプロパティーがあるべきです(should)。 |
seeAlso |
オプション | XMLやRDFの記述など、この資源に関連する外部の機械可読資源へのリンク。外部資源のプロパティーは、クライアントが複数の記述(提供されている場合)から選択し、ドキュメントを適切に使用できるように指定すべきです。ドキュメントのURIは、1つのデータの表現を特定の形式で識別しなければなりません(must)。値はJSONオブジェクトの配列でなければなりません(must)。各アイテムには、id とtype のプロパティーがなければならず(must)、label 、format 、profile のプロパティーがあるべきです(should)。 |
service |
オプション | 認証サービスへのリンクなど、クライアントが追加の情報や機能を取得するために直接相互作用する可能性のある外部サービスへの参照。値はJSONオブジェクトの配列でなければなりません(must)。各オブジェクトは、サービスの定義に応じたプロパティーを持ちますが、他のIIIF APIとの下位互換性のために、id とtype のプロパティー、または@id と@type のプロパティーのいずれかを持っていなければなりません(must)。各オブジェクトはprofile プロパティーを持っているべきです(should)。既知のサービスのタイプについては、サービス・レジストリを参照してください。 |
partOf
、seeAlso
、およびservice
のJSONオブジェクトには、次の表で示すプロパティーがあります。
プロパティー | 必須? | 説明 |
---|---|---|
id |
必須 | 外部資源のURI。(上記のとおり、下位互換性のために、service オブジェクトで@id プロパティーを使用できます(may)。) |
type |
必須 | この資源のタイプまたはクラス。画像、テキスト、音声などの基本的なタイプに関する推奨は、プレゼンテーションAPIで提供されています。(上記のとおり、下位互換性のために、service オブジェクトで@type プロパティーを使用できます(may)。) |
label |
推奨 | この資源に対する人間が読めるラベル。label プロパティーは完全に国際化することができ、各言語は複数の値を持つことができます。このパターンについては、プレゼンテーションAPIの言語の項で詳細に説明しています。 |
format |
seeAlso 用に推奨 |
「image/jpeg」などの、このコンテンツ資源の特定のメディア・タイプ(MIMEタイプと呼ばれることが多い)。これは、XML内のテキストとプレーン・テキストとを区別するなど、全体として同じ種類の資源の様々なフォーマットを区別するために重要です。値は文字列でなければならず、この資源が逆参照されたときに返されるContent-Typeヘッダーの値であるべきです。 |
profile |
seeAlso 、service 用に推奨 |
この資源から使用できるスキーマまたは名前付き機能の集合。プロファイルは、外部資源のtype および/またはformat をさらに明確化することができます。値は、プロファイルのレジストリまたはURIのいずれかから取得した文字列でなければなりません。 |
{
"@context": [
"http://iiif.io/api/image/3/context.json"
],
"id": "https://example.org/image-service/abcd12345/1E34750D-38DB-4825-A38A-B60A345E591C",
"type": "ImageService3",
"protocol": "http://iiif.io/api/image",
"profile": "level2",
"width": 6000,
"height": 4000,
"seeAlso": [
{
"id": "https://example.org/image1.xml",
"label": { "en": [ "Technical image metadata" ] },
"type": "Dataset",
"format": "text/xml",
"profile": "https://example.org/profiles/imagedata"
}
],
"partOf": [
{
"id": "https://example.org/manifest/1",
"type": "Manifest",
"label": { "en": [ "A Book" ] }
}
],
"service": [
{
"@id": "https://example.org/auth/login",
"@type": "AuthCookieService1",
"profile": "http://iiif.io/api/auth/1/login",
"label": "Login to Example Institution"
}
]
}
5.9. 完全な応答
以下に、すべての必須プロパティーとオプションのプロパティーを含んだ画像情報の応答を示します。
{
"@context": [
"http://example.org/extension/context1.json",
"http://iiif.io/api/image/3/context.json"
],
"id": "https://example.org/image-service/abcd1234/1E34750D-38DB-4825-A38A-B60A345E591C",
"type": "ImageService3",
"protocol": "http://iiif.io/api/image",
"profile": "level1",
"width": 6000,
"height": 4000,
"maxWidth": 3000,
"maxHeight": 2000,
"maxArea": 4000000,
"sizes": [
{ "width": 150, "height": 100 },
{ "width": 600, "height": 400 },
{ "width": 3000, "height": 2000 }
],
"tiles": [
{ "width": 512, "scaleFactors": [ 1, 2, 4 ] },
{ "width": 1024, "height": 2048, "scaleFactors": [ 8, 16 ] }
],
"rights": "http://rightsstatements.org/vocab/InC-EDU/1.0/",
"preferredFormats": [ "png", "gif"],
"extraFormats": [ "png", "gif", "pdf" ],
"extraQualities": [ "color", "gray" ],
"extraFeatures": [ "canonicalLinkHeader", "rotationArbitrary", "profileLinkHeader" ],
"service": [
{
"id": "https://example.org/service/example",
"type": "Service",
"profile": "https://example.org/docs/example-service.html"
}
]
}
6. 準拠レベルとプロファイル・ドキュメント
画像情報ドキュメントは、profile
プロパティーの値として準拠レベルを含めることで、APIがサポートされている範囲を指定しなければなりません(must)。準拠レベルは、画像API準拠ドキュメントに列挙されており、以下の表で示しているもののうちの1つでなければなりません(must)。準拠レベルは、すべての要件が満たされる最も高い準拠レベルであるべきです(should)。 準拠レベルはそれぞれ、画像情報の項で論じているように、そのレベルに必要な一連の機能を記述するプロファイル・ドキュメントに対応しています。サーバーは、様々な識別子を持つ画像に様々な準拠レベルを宣言できます(may)。
準拠レベル | プロファイル・ドキュメントURI |
---|---|
level0 |
http://iiif.io/api/image/3/level0.json |
level1 |
http://iiif.io/api/image/3/level1.json |
level2 |
http://iiif.io/api/image/3/level2.json |
準拠レベルは、画像と画像情報の両方の応答において、rel="profile"
というパラメータのプロファイル・ドキュメントのURIを用いて、HTTP Link
ヘッダー(RFC5988)で提供することもできます。完全なヘッダーは次のようなものでありえます。
Link: <http://iiif.io/api/image/3/level1.json>;rel="profile"
このヘッダーをApacheのHTTPサーバーで設定するための秘訣は、Apache HTTPサーバー実装ノートで示されています。
7. サーバー応答
サーバーは、画像API資源の検索用にHTTP GETメソッドをサポートしなければなりません(must)。サーバーはCORSのプリフライト・リクエストのパターンの一部としてHTTP OPTIONSメソッドをサポートすべきであり(should)、実装でHTTP HEADメソッドもサポートすることをお勧めします(recommended)。
7.1. CORS
サーバーは、Access-Control-Allow-Origin
ヘッダーやプリフライト・リクエストのパターンなど、CORS仕様の関連要件に従うことにより、画像API資源の再利用をサポートすべきです(should)。これらの挙動を可能とするための秘訣は、Apache HTTPサーバー実装ノートで提供されています。
7.2. 成功の応答
リクエストがうまく処理された時には、サーバーは200(成功)または3xx(リダイレクト)のステータス・コードでHTTP応答を送信できます。ステータス・コードが200の時のエンティティ・ボディは、リクエストされた画像または情報ドキュメントでなければなりません(must)。ステータス・コードが301、302、303または304の時のエンティティ・ボディには制限はありませんが、空であることが推奨されます(recommended)。ステータス・コードが301、302または303の時は、Location HTTPヘッダーにリクエストを満たす画像のURIを含むように設定しなければなりません(must)。これにより、サーバーが正規のURIを1つ持つことができ、応答のキャッシュが促進されます。ステータス・コード304は、HTTPの仕様どおりに処理されます。クライアントは、これらのすべての状況に遭遇するものと想定すべきで(should)、初期応答のエンティティ・ボディに必ず画像データが含まれていると想定してはなりません(must not)。
7.3. エラー状況
サーバーがリクエストを解析し、エラーを検出する順序は規定していません。リクエストは、最初のエラーに遭遇した時に失敗となる可能性が高く、下記リストで提供している一般的なコードを用いて適切なHTTPステータス・コードを返します。エラー応答の本文に、人間が読めるエラーの記述がプレーン・テキストかhtmlのいずれかで含まれていることが推奨されます(recommended)。
ステータス・コード | 説明 |
---|---|
400 Bad Request | クライアントが行ったリクエストの構文が正しくないため、サーバーがリクエストを満たすことができません。 |
401 Unauthorized | 認証が必要ですが、提供されていません。詳細に関しては認証の項を参照してください。 |
403 Forbidden | ユーザ(認証済みであろうがなかろうが)はリクエストされた操作を実行することを許されていません。 |
404 Not Found | 識別子で指定された画像資源が存在しない、パラメータの1つ以上の値がこの画像サービスではサポートされていない、または、リクエストされたサイズが定められている限界より大きい。 |
500 Internal Server Error | サーバーは、リクエストの実行を阻止した予想外のエラーに遭遇しました。 |
501 Not Implemented | サーバーは、実装されていない正当なIIIFリクエストを受け取りました。 |
503 Service Unavailable | 読み込み/メンテナンスの問題のため、サーバーがビジー/一時的に利用不可です。 |
7.4. HTTPのバージョン
同じクライアントからの多数の同時リクエストに応答する必要性が予測される実装では、接続の開閉の繰り返しを回避するために、HTTP/2を介してAPIを使用できるようにすべきです(should)。これにより、HTTP 1.1を介したサイトごとの同時接続数に関するブラウザの制限も回避されます。
8. 認証
一般的に、画像はウェブ・ページやアプリケーションの二次資源です。ウェブ・ページの場合、画像はHTMLのimg
タグに組み込まれており、HTTPリクエストを追加することで読み出されます。ユーザがウェブ・ページを読み込むことができない時には、ユーザを別のページにリダイレクトし、認証の機会を提供することができます — そして、これは一般的に受け入れられている挙動です。画像などの二次資源の場合にはこれはできず、ユーザには壊れた画像アイコンが提供されるだけです。
新たな認証メカニズムも、承認ビジネス・ロジックに対する役割も提案しません。代わりに、認証の要件とプロセスは、IIIF固有のコンテキストの外であっても、IIIFに対応したアクセス管理ワークフロー内で処理されることが期待されます。IIIF認証仕様を参照してください。
9. URIのエンコーディングとデコーディング
このAPIのURI構文は、エンコードしてはならない(must not)スラッシュ(/
)区切り記号に依存しています。クライアントは、特殊文字(下記のto-encodeの集合: パーセントとRFC3986のコロンを除くgen-delims)と、リクエストのコンポーネント内のUS-ASCII集合以外の文字をパーセント・エンコードしなければなりません(must)。例えば、URIの識別子部分に含まれているあらゆるスラッシュをパーセント・エンコードしなければなりません(must)。その他のコンポーネントには特殊文字が含まれていないため、エンコーディングは識別子にのみ必要です。他の文字をパーセント・エンコードしても曖昧さは生じませんが、必要性がないのです。
to-encode = "/" / "?" / "#" / "[" / "]" / "@" / "%"
パラメータ | URIパス |
---|---|
identifier=id1 region=full size=max rotation=0 quality=default | id1/full/max/0/default |
identifier=id1 region=0,10,100,200 size=pct:50 rotation=90 quality=default format=png | id1/0,10,100,200/pct:50/90/default.png |
identifier=id1 region=pct:10,10,80,80 size=50, rotation=22.5 quality=color format=jpg | id1/pct:10,10,80,80/50,/22.5/color.jpg |
identifier=bb157hs6068 region=full size=max rotation=270 quality=gray format=jpg | bb157hs6068/full/max/270/gray.jpg |
identifier=ark:/12025/654xz321 region=full size=max rotation=0 quality=default | ark:%2F12025%2F654xz321/full/max/0/default |
identifier=urn:foo:a123,456 region=full size=max rotation=0 quality=default | urn:foo:a123,456/full/max/0/default |
identifier=urn:sici:1046-8188(199501)13:1%3C69:FTTHBI%3E2.0.TX;2-4 region=full size=max rotation=0 quality=default | urn:sici:1046-8188(199501)13:1%253C69:FTTHBI%253E2.0.TX;2-4/full/max/0/default |
identifier=https://example.com/?54#a region=full size=max rotation=0 quality=default | http:%2F%2Fexample.com%2F%3F54%23a/full/max/0/default |
任意のエンコードが行われた識別子を処理できないサーバーは、クライアントが文字のエンコードを全く行わないと思われる画像識別子のみを提供するように最善を尽くすべきで(should)、したがって、識別子の文字を、文字、数、下線文字に制限することが推奨されます(recommended)。
10. セキュリティに関する留意点
このAPIは、そのコンポーネントに関連するURI構文とセマンティクスを定義しています。URIの構成には、URI内の機密情報の露出やユーザの閲覧/表示行動の漏洩の可能性を除き、セキュリティに関する留意事項はほとんどありません。
このAPIを実施するサーバ・アプリケーションは、DoS攻撃や、DNS偽装による認証脆弱性の可能性を考慮すべきです。アプリケーションは、オーバーフロー攻撃、インジェクション攻撃やディレクトリ・トラバーサル攻撃を避ける方法で、慎重に受信リクエスト(URI)の解析・サニタイズを行わなければなりません。
早期のURIのサニティー・チェック(長さ、末尾のGET、不正な文字、範囲外のパラメータ)と、適切な応答コードを用いた拒絶を推奨します(recommended)。
11. 付録
A. バージョン付け
バージョン2.0から、この仕様はセマンティック・バージョニングに従っています。実施方法の詳細については、APIのバージョン付けのノートを参照してください。
B. 謝辞
継続的な関与、革新的なアイデア、およびフィードバックに関し、IIIFコミュニティーのメンバーに感謝申し上げます。
C. 変更履歴
日付 | 説明 |
---|---|
2020-06-03 | バージョン3.0 (Orange Blooms) 変更履歴を表示 |
2017-06-09 | バージョン2.1.1 変更履歴を表示 |
2016-05-12 | バージョン2.1 (Crowned Eagle) 変更履歴を表示 |
2014-09-11 | バージョン2.0 (Voodoo Bunny) 変更履歴を表示 |
2013-09-17 | バージョン1.1 (名称なし) 変更履歴を表示 |
2012-08-10 | バージョン1.0 (名称なし) |