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RDFスキーマはRDFデータのためのデータ・モデリング語彙を提供します。RDFスキーマは基礎的なRDF語彙を拡張したものす。
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このドキュメントは、W3Cメンバー、ソフトウェア開発者、他のW3Cグループ、および他の利害関係者によりレビューされ、W3C勧告として管理者の協賛を得ました。これは確定済みドキュメントであり、参考資料として用いたり、別のドキュメントで引用することができます。勧告の作成におけるW3Cの役割は、仕様に注意を引き付け、広範囲な開発を促進することです。これによってウェブの機能性および相互運用性が増強されます。
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RDFスキーマは、RDFデータのためのデータ・モデリング語彙を提供します。これは、RDFの基本概念および抽象構文[RDF11-CONCEPTS]、RDFの形式意味論[RDF11-MT]、およびTurtle[TURTLE]、TriG[TRIG]、JSON-LD[JSON-LD]などのRDFの様々な具象構文を記述したいくつかの関連ドキュメントによって補足されます。RDF入門[RDF11-PRIMER]は、このドキュメントで指定している概念の使用に関する非形式的な序論と例を提供します。
このドキュメントは、形式意味論の仕様[RDF11-MT]が難しいと考える人々に、RDFスキーマの明確な仕様を提供することを意図しています。したがって、このドキュメントでは、RDFセマンティクスの仕様で定められている部分も繰り返しています。このドキュメントとRDFセマンティクスの仕様に相違がある場合は、RDFセマンティクスの仕様が正しいと考えるべきです。
RDFスキーマはRDFのセマンティックの拡張です。これは、関連する資源のグループとこれらの資源間の関係を記述するメカニズムを提供します。RDFスキーマは、このドキュメントで記述されている用語を使用してRDFで記述されます。これらの資源は、プロパティーの 定義域や値域などの他の資源の特性を決定するために使用されます。
RDFスキーマのクラスとプロパティーのシステムは、Javaなどのオブジェクト指向プログラミング言語の型システムに似ています。インスタンスが持つことができるプロパティーに関してクラスを定義するのではなく、RDFスキーマはそれらが適用する資源のクラスに関してRDFスキーマがプロパティーを記述するという点において、RDFスキーマはそのような多くのシステムと異なっています。これが、この仕様で述べている定義域および値域のメカニズムの役割です。例えば、eg:author
プロパティーを定義してeg:Document
の定義域とeg:Person
の値域を持つことができますが、従来のオブジェクト指向システムでは、タイプeg:Person
のeg:author
という属性でクラスeg:Book
を定義できるのが一般的です。RDFのアプローチを用いると、他の人がのちにeg:Document
の定義域やeg:Person
の値域を持つプロパティーを追加定義するのが容易になります。これは、これらのクラスの最初の記述を再定義する必要なく行えます。RDFのプロパティー中心のアプローチの1つの利点は、だれでもが既存の資源の記述を拡張できるということであり、これはウェブのアーキテクチャ原則[BERNERS-LEE98]の1つです。
この仕様では、RDFのクラスとプロパティーの意味の表現のありうる形式をすべて列挙しようとはしていません。その代わりに、RDFスキーマでは、クラスとプロパティーの意味を記述できる多くのテクニックがあるということを認めるという方針をとります。OWL[OWL2-OVERVIEW]、推論規則言語、および他の形式(例えば時相論理)などの、より豊かな語彙や「オントロジー」言語はそれぞれ、ウェブ上のデータに関する重要な概括を得るのに役立ちます。
この仕様に基づいて定義される言語は、アプリケーション固有のRDF語彙で他のRDF資源を記述するのに使用できるRDF資源の集まりで構成されています。コア語彙は、ここで非形式的にrdfs
と呼んでいる名前空間で定義されています。その名前空間は、
http://www.w3.org/2000/01/rdf-schema#
というIRIで識別され、慣習上、接頭辞rdfs:
で関連付けられます。この仕様では、RDF名前空間を参照するために接頭辞rdf:
も使用します。
http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#
利便性と読み易さのために、この仕様では省略形を用いてIRIを表現しています。接頭辞:接尾辞の形式の名前は、接尾辞と連結した接頭辞を伴うIRIから成るIRIと解釈すべきです。
資源は、クラスと呼ばれるグループに分割できます。クラスのメンバーは、クラスのインスタンスとして知られています。クラスはそれ自身が資源です。これは、しばしばIRIで識別され、RDFプロパティーを用いて記述できます。rdf:type
プロパティーは、資源がクラスのインスタンスであると述べるために使用できます。
RDFは、クラスとそのインスタンスの集合を区別します。各クラスには、クラスのインスタンスの集合である、クラスのクラス外延と呼ばれる集合が関連付けられています。2つのクラスは、同じ集合のインスタンスを持ちながらも異なるクラスでありえます。例えば、税務署は、このドキュメントの編集者と同住所に暮らす人々のクラスを定義できます。郵政省は、著者の住所と同じ郵便番号の住所の人々のクラスを定義できます。これらのクラスは、全く同じインスタンスを持つことができ、さらに、異なるプロパティーを持つこともできます。クラスの一方のみが税務署によって定義されたプロパティーを持ち、もう片方のみが郵政省によって定義されたプロパティーを持ちます。
クラスは、自身のクラス外延のメンバーでありえ、自身のインスタンスでありえます。
RDFスキーマのクラスである資源のグループ自身は、rdfs:Class
と呼ばれるクラスです。
クラスCがクラスC'のサブクラスである場合、CのすべてのインスタンスはC'のインスタンスでもあるでしょう。rdfs:subClassOfプロパティーは、1つのクラスが別のクラスのサブクラスであると述べるために使用できます。スーパークラスという用語は、サブクラスの逆として使用されます。クラスC'がクラスCのスーパークラスである場合、CのすべてのインスタンスはC'のインスタンスでもあります。
RDF概念および抽象構文[RDF11-CONCEPTS]仕様は、RDFデータ型のRDF概念を定義しています。すべてのデータ型はクラスです。データ型であるクラスのインスタンスは、データ型の値空間のメンバーです。
RDFで記述されたすべての事物を資源といい、クラスrdfs:Resource
のインスタンスです。これは、すべてのもののクラスです。他のすべてのクラスは、このクラスのサブクラスです。rdfs:Resource
はrdfs:Class
のインスタンスです。
これは、RDFクラスである資源のクラスです。rdfs:Class
はrdfs:Class
のインスタンスです。
クラスrdfs:Literal
は、文字列や整数などのリテラル値のクラスです。テキストの文字列などのプロパティー値がRDFリテラルの例です。
rdfs:Literal
はrdfs:Class
のインスタンスです。rdfs:Literalはrdfs:Resourceのサブクラスです。
rdfs:Datatype
は、データ型のクラスです。rdfs:Datatype
のすべてのインスタンスは、RDF概念仕様[RDF11-CONCEPTS]で記述されているデータ型のRDFモデルに相当します。rdfs:Datatype
は、rdfs:Class
のインスタンスとサブクラスの両方です。rdfs:Datatype
の各インスタンスはrdfs:Literalのサブクラスです。
クラスrdf:langString
は、言語タグ付き文字列値のクラスです。rdf:langString
は、rdfs:Datatype
のインスタンスであり、rdfs:Literal
のサブクラスです。
この項は非規範的です。
クラスrdf:HTML
は、HTMLリテラル値のクラスです。rdf:HTML
は、rdfs:Datatype
のインスタンスであり、rdfs:Literal
のサブクラスです。
この項は非規範的です。
クラスrdf:XMLLiteral
は、XMLリテラル値のクラスです。rdf:XMLLiteral
はrdfs:Datatype
のインスタンスであり、rdfs:Literal
のサブクラスです。
rdf:Property
は、RDFプロパティーのクラスです。rdf:Property
は、rdfs:Class
のインスタンスです。
RDF概念および抽象構文仕様[RDF11-CONCEPTS]では、RDFプロパティーの概念を主語資源と目的語資源との関係として記述します。
この仕様では、サブプロパティーの概念を定義しています。rdfs:subPropertyOf
プロパティーは、1つのプロパティーが別のプロパティーのサブプロパティーであると述べるために使用できます。プロパティーPがプロパティーP'のサブプロパティーである場合、Pによって関連付けられているすべての資源の対はP'によっても関連付けられています。スーパープロパティーという用語は、サブプロパティーの逆としてよく用いられます。プロパティーP'が'プロパティーPのスーパープロパティーである場合、Pによって関連付けられているすべての資源の対はP'によっても関連付けられています。この仕様では、すべてのプロパティーのスーパープロパティーであるトップ・プロパティーは定義していません。
rdfs:domain
とrdfs:range
によって提供される基本機能では、クラスにローカルであるプロパティーの制限を示す直接的な方法は提供されません。rdfs:domain
とrdfs:range
の使用をサブプロパティーの階層構造と結合することはできますが、このような宣言の直接的なサポートは、OWL[OWL2-OVERVIEW]などのより豊かなウェブ・オントロジー言語によって提供されます。
rdfs:range
は、プロパティーの値が1つ以上のクラスのインスタンスであると述べるために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。
以下のトリプル
P rdfs:range C
は、Pがクラスrdf:Property
のインスタンスであり、Cがクラスrdfs:Class
のインスタンスであり、述語がPであるトリプルの目的語によって示される資源がクラスCのインスタンスであると述べています。
Pが複数のrdfs:range
プロパティーを持つ場合、述語Pを持つトリプルの目的語によって示される資源はrdfs:rangeプロパティーによって述べられるすべてのクラスのインスタンスです。
rdfs:range
プロパティーは、自身に適用できます。rdfs:range
のrdfs:rangeはクラスrdfs:Class
です。これは、rdfs:range
プロパティーの値である資源は、rdfs:Class
のインスタンスであるということを示しています。
rdfs:range
プロパティーは、プロパティーに適用されます。これは、rdfs:domain
プロパティーを使用することでRDFで表現できます。rdfs:range
のrdfs:domain
はクラスrdf:Property
です。これは、rdfs:range
プロパティーを持つ資源はrdf:Property
のインスタンスであるということを示しています。
rdfs:domain
は、プロパティーを持っている資源は複数のクラスのインスタンスであると述べるために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
P rdfs:domain C
は、Pがクラスrdf:Property
のインスタンスであり、Cがクラスrdfs:Class
のインスタンスであり、述語がPであるトリプルの主語によって示される資源がクラスCのインスタンスであると述べています。
Pが複数のrdfs:domainプロパティーを持つ場合、述語Pを持つトリプルの主語によって示される資源はrdfs:domain
プロパティーによって述べられるすべてのクラスのインスタンスです。
rdfs:domain
プロパティーは自身に適用できます。rdfs:domain
のrdfs:domainはクラスrdf:Property
です。これは、rdfs:domain
プロパティーを持つ資源は、rdf:Property
のインスタンスであるということを示しています。
rdfs:domain
のrdfs:range
はクラスrdfs:Class
です。これは、rdfs:domain
プロパティーの値である資源はrdfs:Class
のインスタンスであるということを示しています。
rdf:type
は、資源がクラスのインスタンスであると述べるために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
R rdf:type C
は、Cがrdfs:Class
のインスタンスであり、RがCのインスタンスであると述べています。
rdf:type
のrdfs:domain
はrdfs:Resourceです。rdf:typeのrdfs:range
はrdfs:Class
です。
プロパティーrdfs:subClassOf
は、1つのクラスのすべてのインスタンスが別のクラスのインスタンスであると述べるために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
C1 rdfs:subClassOf C2
は、C1がrdfs:Class
のインスタンスであり、C2がrdfs:Class
のインスタンスであり、C1がC2のサブクラスであると述べています。rdfs:subClassOf
プロパティーは推移的です。
rdfs:subClassOf
のrdfs:domain
はrdfs:Class
です。rdfs:subClassOf
のrdfs:range
はrdfs:Class
です。
プロパティーrdfs:subPropertyOf
は、1つのプロパティーによって関連付けられているすべての資源は別のものによっても関連付けられていると述べるために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
P1 rdfs:subPropertyOf P2
は、P1がrdf:Property
のインスタンスであり、P2がrdf:Property
のインスタンスであり、P1がP2のサブプロパティーであると述べています。rdfs:subPropertyOf
プロパティーは推移的です。
rdfs:subPropertyOf
のrdfs:domain
はrdf:Property
です。rdfs:subPropertyOfのrdfs:range
はrdf:Property
です。
rdfs:label
は、人間が読めるバージョンの資源の名前を提供するために使用できるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
R rdfs:label L
は、Lが人間が読めるRに対するラベルであると述べています。
rdfs:label
のrdfs:domain
は、rdfs:Resource
です。rdfs:labelのrdfs:range
は、rdfs:Literal
です。
多言語のラベルは、RDFリテラルの言語タグ付け機能を使用することでサポートされます。
rdfs:comment
は、人間が読める資源の記述を提供するために使用できるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
R rdfs:comment L
は、Lが人間が読めるRの記述であると述べています。
rdfs:comment
のrdfs:domain
は、rdfs:Resource
です。rdfs:commentのrdfs:range
は、rdfs:Literal
です。
テキストのコメントは、RDFのクラスとプロパティーの意味を明確化するのに役立ちます。このようなインライン・ドキュメンテーションは、形式的なテクニック(オントロジーと規則言語)と非形式的なテクニック(散文的なドキュメンテーション、例、テストケース)の両方の使用を補完します。RDF語彙で記述されたクラスとプロパティーの意図された意味を示すために、様々なドキュメンテーションの形式を結合できます。RDF語彙はRDFグラフとして表現されるため、他の名前空間で定義された語彙は、より豊かなドキュメンテーションを提供するために使用できます。
多言語のドキュメンテーションは、RDFリテラルの言語タグ付け機能の使用でサポートされています。
この項は非規範的です。
この仕様では、RDFデータのプロパティーとクラスの重要な使用を記述するためのRDF語彙を紹介します。例えば、RDF語彙は、あるプロパティーに適した値のタイプにおける制限を記述できたり、そのようなプロパティーの原因になるのが当然であるクラスにおける制限を記述できたりします。
RDFスキーマは、この情報を記述するためのメカニズムを提供しますが、アプリケーションを使用すべきかどうかや、どのように使用すべきかについては述べません。例えば、RDF語彙では、author
プロパティーがクラスPerson
のインスタンスである資源を示すために用いられていると言明できますが、その値域情報を処理する際に、アプリケーションが動作すべきかどうかや、どのように動作すべきかについては述べません。異なるアプリケーションが異なる方法でこの情報を使用するでしょう。例えば、データ検証ツールがこれを使用してデータ・セットの誤りを発見したり、インタラクティブなエディターが適切な値を提案してくれたり、推論アプリケーションがこれを使用してインスタンスのデータから追加情報を推論したりといったことが可能です。
RDF語彙では、複数の独自開発した語彙の語彙項目間の関係を記述できます。IRIはウェブでクラスとプロパティーを識別するために用いられるため、別の名前空間で定義されたクラスを値として持っているdomain
(定義域)やrange
(値域)を持つ新しいプロパティーを作成できます。
この項では、コンテナとRDFステートメントを表現するための、そして、WWWでRDF語彙記述を配布するための構成子を含む、クラスとプロパティーを追加定義しています。
この項は非規範的です。
RDFコンテナは、コレクションを表現するために用いられる資源です。同じ資源が1つのコンテナ内で複数回出現可能です。物理的な世界の容器と異なり、コンテナは自身の中に含むことができます。
異なる3種類のコンテナが定義されています。3つのコンテナのクラスの形式意味論[RDF11-MT]は、すべて全く同じですが、追加情報を非形式的に示すために異なるクラスを使用できます。rdf:Bagは、コンテナが順不同であるということを示すために使用します。rdf:Seqは、コンテナのコンテナ・メンバーシップ・プロパティーの番号によって示される順序が重要であるということを示すために使用します。rdf:Altコンテナは、コンテナの典型的な処理がメンバーのうちの1つを選択することであるということを示すために使用します。
鶏小屋は、それが木でできているというプロパティーを持っていても、その鶏小屋に収容されている鶏がすべて木でできているということを意味するのではないのとちょうど同じように、コンテナのプロパティーは必ずしもそのすべてのメンバーのプロパティーであるわけではありません。
RDFコンテナは、以下のクラスとプロパティーによって定義されています。
rdfs:Container
クラスは、rdf:Bag
、rdf:Seq
、rdf:Alt
などのRDFコンテナ・クラスのスーパークラスです。
rdf:Bag
クラスは、RDF「バッグ」コンテナのクラスです。これはrdfs:Container
のサブクラスです。これは、形式的にはrdf:Seq
やrdf:Alt
と異りませんが、rdf:Bag
クラスは、コンテナが順不同であることを人間の読者に示すために慣習上用いられます。
rdf:Seq
クラスは、RDF「順序」コンテナのクラスです。これは、rdfs:Container
のサブクラスです。これは、形式的にはrdf:Bag
やrdf:Alt
と異なりませんが、rdf:Seq
クラスは、コンテナのコンテナ・メンバーシップ・プロパティーの数字上の順序が重要であることを人間の読者に示すために慣習上用いられます。
rdf:Alt
クラスは、RDF「代替」コンテナのクラスです。これは、rdfs:Container
のサブクラスです。これは、形式的にはrdf:Seq
やrdf:Bag
と異なりませんが、rdf:Alt
クラスは、その典型的な処理がコンテナのメンバーのうちの1つを選択することであるということを人間の読者に示すために慣習上用いられます。コンテナの最初のメンバー、すなわちrdf:_1
プロパティーの値が、デフォルトの選択です。
rdfs:ContainerMembershipProperty
クラスは、資源がコンテナのメンバーであると述べるために用いられるプロパティーrdf:_1, rdf:_2, rdf:_3 ...
をインスタンスとして持っています。rdfs:ContainerMembershipProperty
はrdf:Property
のサブクラスです。rdfs:ContainerMembershipProperty
のそれぞれのインスタンスは、rdfs:member
プロパティーのサブクラス(rdfs:subPropertyOf
the rdfs:member
property)です。
コンテナCの場合、以下の形式のトリプル
C rdf:_nnn O
は、nnn
が0が先行しない0以上の整数の10進による表現である場合、OがコンテナCのメンバーであると述べています。
コンテナ・メンバーシップ・プロパティーは、コンテナ以外の資源に適用できます。
rdfs:member
は、すべてのコンテナ・メンバーシップ・プロパティーのスーパープロパティーであるrdf:Property
のインスタンスです。すなわち、それぞれのコンテナ・メンバーシップ・プロパティーは、プロパティーrdfs:member
に対してrdfs:subPropertyOf
関係を持っています。
rdfs:member
のrdfs:domain
はrdfs:Resource
です。rdfs:member
のrdfs:range
はrdfs:Resource
です。
この項は非規範的です。
RDFコンテナは、それ以上のメンバーが全く存在しないと述べるためのメカニズムをコアRDF仕様では定義していないという意味で開いています。クラスとプロパティーのRDFコレクション語彙では、閉じたコレクション、すなわち、それ以上のメンバーを持てないものを記述できます。
コレクションは、Lispやそれと類似したプログラミング言語に経験がある人々がよく知っていると思われる表現である、項目のリストとして表されます。Turtle構文仕様には、コレクションを表現するための省略表現法があります。
RDFSでは、リスト状の構造の最初の要素が1つのみ存在することや、リストのような構造が最初の要素を持つことすら要求されません。
rdf:List
は、リストやその他のリスト状の構造の記述を構築するために使用できるrdfs:Class
のインスタンスです。
rdf:first
は、リストやその他のリスト状の構造の記述を構築するために使用できるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
L rdf:first O
は、LとOの間には最初の要素(first-element)の関係があると述べています。
rdf:first
のrdfs:domain
はrdf:List
です。rdf:first
のrdfs:range
はrdfs:Resource
です。
rdf:rest
は、リストやその他のリスト状の構造の記述を構築するために使用できるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
L rdf:rest O
は、LとOの間にはリストの残り(rest-of-list)の関係があると述べています。
rdf:rest
のrdfs:domain
はrdf:List
です。rdf:rest
のrdfs:range
はrdf:List
です。
資源rdf:nil
は、空のリストやその他のリスト状の構造を表現するために使用できるrdf:List
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
L rdf:rest rdf:nil
は、Lは1つの項目を持っているrdf:List
のインスタンスであると述べており、その項目は、rdf:first
プロパティーを使用して示すことができます。
この項は非規範的です。
rdf:Statement
は、rdfs:Class
のインスタンスです。これは、RDFステートメントのクラスを表現することを意図しています。RDFステートメントは、RDFトリプルのトークンによって作成されたステートメントです。RDFステートメントの主語は、トリプルの主語によって識別されるrdfs:Resource
のインスタンスです。RDFステートメントの述語は、トリプルの述語によって識別されるrdf:Property
のインスタンスです。RDFステートメントの目的語は、トリプルの目的語によって識別されたrdfs:Resource
のインスタンスです。rdf:Statement
は、プロパティーrdf:predicate
、rdf:subject
、rdf:object
の定義域にあります。異なる個々のrdf:Statement
インスタンスは、それらのrdf:predicate
、rdf:subject
、rdf:object
プロパティーに対して同じ値を持つことができます。
rdf:subject
は、ステートメントの主語を述べるために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
S rdf:subject R
は、Sがrdf:Statement
のインスタンスであり、Sの主語がRであると述べています。
rdf:subject
のrdfs:domain
はrdf:Statement
です。rdf:subject
のrdfs:range
はrdfs:Resource
です。
rdf:predicateは、ステートメントの述語を述べるために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
S rdf:predicate P
は、Sがrdf:Statement
のインスタンスであり、Pがrdf:Property
のインスタンスであり、Sの述語がPであると述べています。
rdf:predicate
のrdfs:domain
はrdf:Statement
であり、rdfs:range
はrdfs:Resource
です。
rdf:objectは、ステートメントの目的語を述べるために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
S rdf:object O
は、Sがrdf:Statement
のインスタンスであり、Sの目的語がOであると述べています。
rdf:object
のrdfs:domain
はrdf:Statement
です。rdf:object
のrdfs:range
はrdfs:Resource
です。
以下のユーティリティのクラスとプロパティーがRDFコア名前空間で定義されています。
rdfs:seeAlso
は、主語資源に関する追加情報を提供できる資源を示すために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。
以下の形式のトリプル
S rdfs:seeAlso O
は、資源OがSに関する追加情報を提供できるということを述べています。ウェブからOの表現を検索できるかもしれませんが、これは必須ではありません。このような表現が検索されるときには、その表現の形式には制約が置かれません。
rdfs:seeAlso
のrdfs:domain
はrdfs:Resource
です。rdfs:seeAlso
のrdfs:range
はrdfs:Resource
です。
rdfs:isDefinedBy
は、主語資源を定義する資源を示すために用いられるrdf:Property
のインスタンスです。このプロパティーは、資源が記述されるRDF語彙を示すために使用できます。
以下の形式のトリプル
S rdfs:isDefinedBy O
は、資源OがSを定義すると述べています。ウェブからOの表現を検索できるかもしれませんが、これは必須ではありません。このような表現が検索されるときには、その表現の形式には制約が置かれません。rdfs:isDefinedBy
は、rdfs:seeAlso
のサブプロパティーです。
rdfs:isDefinedBy
のrdfs:domain
はrdfs:Resource
です。rdfs:isDefinedBy
のrdfs:range
はrdfs:Resource
です。
rdf:value
は、構造化された値を記述する際に使用できるrdf:Property
のインスタンスです。
rdf:valueは、単独では意味を持ちません。これは、下記の例で示されているような成句で使用できる1つの語彙として提供されます。
<http://www.example.com/2002/04/products#item10245> <http://www.example.org/terms/weight> [ rdf:value 2.4 ; <http://www.example.org/terms/units> <http://www.example.org/units/kilograms> ] .
このプロパティーの意味には形式的な仕様がないにもかかわらず、この種の例での一般的な成句の使用を促進するために定義する価値があります。
rdf:value
のrdfs:domain
はrdfs:Resource
です。rdf:value
のrdfs:range
はrdfs:Resource
です。
この項は非規範的です。
この項の表は、RDFスキーマ語彙の概要を示します。
クラス名 | 説明 |
---|---|
rdfs:Resource | クラス資源、すべて |
rdfs:Literal | テキストの文字列や整数などのリテラル値のクラス |
rdf:langString | 言語タグ付き文字列リテラル値のクラス |
rdf:HTML | HTMLリテラル値のクラス |
rdf:XMLLiteral | XMLリテラル値のクラス |
rdfs:Class | クラスのクラス |
rdf:Property | RDFプロパティーのクラス |
rdfs:Datatype | RDFデータ型のクラス |
rdf:Statement | RDFステートメントのクラス |
rdf:Bag | 順不同コンテナのクラス |
rdf:Seq | 順序付きコンテナのクラス |
rdf:Alt | 代替コンテナのクラス |
rdfs:Container | RDFコンテナのクラス |
rdfs:ContainerMembershipProperty | rdf:_1、rdf:_2、...などのコンテナ・メンバーシップ・プロパティーで、そのすべてが「メンバー」のサブプロパティー |
rdf:List | RDFリストのクラス |
プロパティー名 | 説明 | 定義域 | 値域 |
---|---|---|---|
rdf:type | 主語はクラスのインスタンス | rdfs:Resource | rdfs:Class |
rdfs:subClassOf | 主語はクラスのサブクラス | rdfs:Class | rdfs:Class |
rdfs:subPropertyOf | 主語はプロパティーのサブプロパティー | rdf:Property | rdf:Property |
rdfs:domain | 主語プロパティーの定義域 | rdf:Property | rdfs:Class |
rdfs:range | 主語プロパティーの値域 | rdf:Property | rdfs:Class |
rdfs:label | 主語に対する人間が読める名前 | rdfs:Resource | rdfs:Literal |
rdfs:comment | 主語資源の記述 | rdfs:Resource | rdfs:Literal |
rdfs:member | 主語資源のメンバー | rdfs:Resource | rdfs:Resource |
rdf:first | 主語RDFリストの最初の項目 | rdf:List | rdfs:Resource |
rdf:rest | 主語RDFリストの最初の項目以外の残り | rdf:List | rdf:List |
rdfs:seeAlso | 主語資源に関する詳細 | rdfs:Resource | rdfs:Resource |
rdfs:isDefinedBy | 主語資源の定義 | rdfs:Resource | rdfs:Resource |
rdf:value | 構造化された値に用いられる成句的なプロパティー | rdfs:Resource | rdfs:Resource |
rdf:subject | 主語RDFステートメントの主語 | rdf:Statement | rdfs:Resource |
rdf:predicate | 主語RDFステートメントの述語 | rdf:Statement | rdfs:Resource |
rdf:object | 主語RDFステートメントの目的語 | rdf:Statement | rdfs:Resource |
これらのクラスとプロパティーに加え、RDFでは、rdf:_1
、rdf:_2
、rdf:_3
...などというプロパティーも使用し、それぞれがrdfs:member
のサブプロパティーとクラスrdfs:ContainerMembershipProperty
のインスタンスの両方です。空のrdf:List
であるrdf:nil
と呼ばれるrdf:List
のインスタンスもあります。
この項は非規範的です。
最初のRDFスキーマの設計は、RDFスキーマ・ワーキンググループ(1997年-2000年)によって作成されました。現在の仕様は、主にその設計を編集上明確化したものであり、RDFコア・ワーキンググループのメンバーの努力と、RDF利害団体の多くのメンバーからの実装に関するフィードバックの大いなる恩恵を受けています。2013-2014年に、RDF 1.1仕様に沿ったものとするために、Guus Schreiberは、RDFワーキンググループを代表してこのドキュメントを編集しました。
IBMのDavid Singerは、この仕様の開発のほとんどの期間中において最初のRDFスキーマ・グループの議長でした。Davidの尽力に感謝し、この活動における彼と我々に対するサポートに関してIBMに感謝申し上げます。この仕様の早期バージョンに対するAndrew Laymanの編集作業に対しても特に感謝申し上げます。
最初のRDFスキーマ・ワーキンググループのメンバには、以下の方々が含まれています。
Nick Arnett (Verity)、Dan Brickley (ILRT / University of Bristol)、Walter Chang (Adobe)、Sailesh Chutani (Oracle)、Ron Daniel (DATAFUSION)、Charles Frankston (Microsoft)、Joe Lapp (webMethods Inc.)、Patrick Gannon (CommerceNet)、RV Guha (Epinions、前Netscape Communications)、Tom Hill (Apple Computer)、Renato Iannella (DSTC)、Sandeep Jain (Oracle)、Kevin Jones、(InterMind)、Emiko Kezuka (Digital Vision Laboratories)、Ora Lassila (Nokia Research Center)、Andrew Layman (Microsoft)、John McCarthy (Lawrence Berkeley National Laboratory)、Michael Mealling (Network Solutions)、Norbert Mikula (DataChannel)、Eric Miller (OCLC)、Frank Olken (Lawrence Berkeley National Laboratory)、Sri Raghavan (Digital/Compaq)、Lisa Rein (webMethods Inc.)、Tsuyoshi Sakata (Digital Vision Laboratories)、Leon Shklar (Pencom Web Works)、David Singer (IBM)、Wei (William) Song (SISU)、Neel Sundaresan (IBM)、Ralph Swick (W3C)、Naohiko Uramoto (IBM)、Charles Wicksteed (Reuters Ltd.)、Misha Wolf (Reuters Ltd.)
この項は非規範的です。
RDF 1.1勧告の変更
RDF 1.1勧告編集案の変更
rdf:langString
とrdf:HTML
を追加した。rdf:HTML
とrdf:XMLLiteral
を非規範であると示した。