【注意】 このドキュメントは、W3CのWhat’s New in RDF 1.1 W3C Working Group Note 25 February 2014の和訳です。
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First Update: 2014年3月1日
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このドキュメントでは、RDFバージョン1.1に導入されたRDFに対する変更点を要約してご紹介します。
この項は、このドキュメントの公開時のステータスについて記述しています。他のドキュメントがこのドキュメントに取って代わることがありえます。現行のW3Cの刊行物およびこの技術報告の最新の改訂版のリストは、http://www.w3.org/TR/のW3C技術報告インデックスにあります。
このドキュメントは、RDFバージョン1.1に導入されたRDFに対する変更点の要約を読者に提供することを目標としています。
このドキュメントは、RDFワーキンググループによってワーキンググループ・ノートとして発表されました。このドキュメントに関してコメントを行いたい場合には、public-rdf-comments@w3.org(購読、アーカイブ)にお送りください。どのようなコメントでも歓迎します。
ワーキンググループ・ノートとしての公開は、W3Cメンバーによる承認を意味するものではありません。これは草案ドキュメントであるため、他のドキュメントによって、随時更新されたり、置き換えられたり、廃止されることもありえます。このドキュメントを「作業中」以外のものとして引用することは適当ではありません。
このドキュメントは、2004年2月5日のW3C特許方針の下で活動しているグループによって作成されました。W3Cは、このグループの成果物に関連するあらゆる特許の開示の公開リストを維持し、このページには特許の開示に関する指示も含まれています。不可欠な請求権(Essential Claim(s))を含んでいると思われる特許に関して実際に知っている人は、W3C特許方針の6項に従って情報を開示しなければなりません。
このドキュメントは本来的に参考情報です。その目的は、RDFのバージョン1.0と1.1の違いの要約を示し、非常に簡単な方法で新しい追加要素を紹介することです。
RDFに関して知識がない読者は、RDF 1.1入門[RDF11-PRIMER]から始め、その後に最も興味がある仕様に進むべきです。このドキュメントは、RDF 1.0を既によく知っており、バージョン1.1の変更点を理解したい人で向けの手引として役立つことを目的としています。
RDFの規範的な仕様は、次のドキュメントで見ることができます。
このドキュメントでは、次の接頭辞を使用しています。
名前空間接頭辞 | 名前空間IRI | RDF語彙 |
---|---|---|
rdf | http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns# |
RDF組み込み語彙[RDF11-SCHEMA] |
xsd | http://www.w3.org/2001/XMLSchema# |
RDF互換XMLスキーマ・データ型 |
RDF 1.1の識別子は、IRIになりました。次の表で具体的な違いを要約しています。
RDF 1.0 | RDF 1.1 | |
---|---|---|
識別子 | RDF URI参照 | IRI |
追加文字 | 「<」、「>」、「{」、「}」、「|」、「\」、「^」、「`」、「"」(ダブル引用符)、「 」(空白) | なし。[RFC3986]の2.1項に記述されているパーセント・エンコーディングを用いなければなりません。 |
フラグメント識別子 | RDF/XML式に従って解釈されるフラグメント識別子 | 資源を示すフル形式のIRI(フラグメント識別子を含む可能性あり) |
空白ノード | RDF 1.0は空白ノードの内部構造を参照しません。2つの空白ノードがあった場合、それらが同じかどうか判断することができます。 | 空白ノードの識別子は、一部の具象RDF構文またはRDFストアの実装で用いられるローカルな識別子です。それは、常にファイルまたはRDFストアをローカルに範囲としており、空白ノードに対する永続的またはポータブルな識別子ではありません。実装間で空白ノードを共有しなければならない場合は、スコーレム化に関する概念および抽象構文の項を参照してください。 |
次の表は、リテラルの処理に関する違いを要約しています。
RDF 1.0 | RDF 1.1 | |
---|---|---|
言語タグ | 言語タグ付きリテラルにはデータ型URIはありませんでした。 | 言語タグ付きリテラルにはrdf:langString というデータ型IRIがあります。 |
シンプルなリテラル | 例えば「a literal」のようなシンプルなリテラルが直接出現できました。 | すべてのリテラルにはデータ型があります。シリアル化またはその他の実装は、シンプルなリテラルのために構文をサポートすることを選択できますが、xsd:string リテラルの同義語としてのみに限られます。 |
#x0~#x1Fの範囲の制御コードが認められていました。 | xsd:string というデータ型では#x0の文字は認められません。また、実装では#x1~#x1Fの範囲の制御コードは認められないかもしれません。#x0の文字を含んだxsd:string という型付きのリテラルは、不正な型です。 |
|
言語タグ | 言語タグの汎用的なタグ/サブタグ構文に従った言語タグが認められていましたが、[BCP47]に対しては整形式ではありませんでした。 | 言語タグは[BCP47]に準じた整形式でなければなりません。 |
計画されていたDOMバージョン4[DOM4]への更新は、執筆時点では完了していません。ワーキンググループは、新しいデータ型rdf:HTML
をサポートするために、DOMの変更に従うことにしました。DOMバージョン4が未完了のステータスであるため、rdf:HTML
とrdf:XMLLiteral
の両方がRDF 1.1概念では非規範的です。RDF 1.1概念および抽象構文は、RDFシリアル化フォーマットのXMLとHTMLコンテンツのフラグメントなどに役立つと考えられる機能を明確化します。
RDF 1.1は、RDFデータセットの概念を導入しています。RDFデータセットはRDFグラフの集合です。SPARQL 1.1[SPARQL11-OVERVIEW]もRDFデータセットの概念を定義していますが、RDF 1.1の定義は、RDF 1.1ではIRIか空白ノードのどちらかを用いてRDFグラフを識別できるという点でわずかな違いがあります。RDF 1.1概念および抽象構文でより多くの情報を入手できます。
RDFデータセットのセマンティクスは、RDF 1.1では最小限に規定されています。ワーキンググループは、データセット[RDF11-DATASETS]のセマンティクスに関連する課題を論じた草案ノートを公開しました。
RDFグラフは、IRIか空白ノードを用いて指定できます。そのようにして指定されたRDFグラフは、名前付きグラフと呼ばれます。
RDF 1.1には、複数のグラフを表現できる3つの新しいシリアル化フォーマットが含まれています。
RDF互換のXSDデータ型の表が、RDF 1.1概念および抽象構文に追加されました。この表で示されていないXSDデータ型は、RDFとは互換性がありません。次のXSD 1.1データ型がRDF互換のデータ型のリストに追加されました。
xsd:duration
xsd:dayTimeDuration
xsd:yearMonthDuration
xsd:dateTimeStamp
rdf:XMLLiteral
のサポートはオプションになりました。技術的に、個々のデータ型のサポートはオプションであり、したがって、実装には存在しないかもしれません。RDFに適合した仕様では、特定のデータ型マップが必須である可能性があります。
RDF 1.1では、多くの新しいシリアル化フォーマットを導入しています。RDF 1.1概念および抽象構文は、RDF/XMLが唯一推奨されるシリアル化フォーマットではなくなったことを明示しています。RDF自体は、特定のシリアル化ではなく、データ・モデル(抽象構文)であると考えるべきです。
RDFとRDF 1.1の変更のほとんどは、含意の実装には影響を与えません。
RDF 1.0セマンティクスのデータ型マップに代わり、データ型の含意は、「認識された」(recognized)データ型を形式的に参照します。しかし、これは実装には影響を与えません。
データ型の含意は、「認識された」データ型IRIを形式的に参照します。RDF 1.0セマンティクスは、データ型マップの概念を用いていました。新しいセマンティック記述では、これは、認識されたIRIからそれらが識別するデータ型へのマッピングです。この変更は、実装やセマンティックな含意には影響を与えません。
RDF含意には、認識されていなければならないxsd:string
とrdf:langString
の2つの必須のデータ型がありますが、これらの2つのデータ型はプレーン・リテラルに代わるものであるため、これによるRDF含意の追加はあまりありません。
含意に影響する1つの変更点は、不正なリテラルが含まれているグラフ(例えば、"a"^^xsd:integer
)は、サブRDFS含意レジームでさえ、認識されたデータ型とはすぐには整合性がないというものです。
RDF 1.1にはRDFデータセットが含まれています。しかし、RDF 1.1におけるRDFデータセットのセマンティクスは最小限であり、含意自体はRDFグラフ上でのみ定義されるため、ここに変更はありません。
編集者は、Richard Cyganiak、Gavin Garothers、Pat Hayes、Sandro Hawke、Gregg Kellogg、Markus Lanthaler、Peter Patel-Schneider、Eric Prud-hommeaux、Guus Schreiber、Manu Spornyを含む、このドキュメントに貢献したRDFワーキンググループのメンバーに謝意を表します。
RDFワーキンググループのメンバーは、Thomas Baker、Scott Bauer、Dan Brickley、Gavin Carothers、Pierre-Antoine Champin、Olivier Corby、Richard Cyganiak、Souripriya Das、Ian Davis、Lee Feigenbaum、Fabien Gandon、Charles Greer、Alex Hall、Steve Harris、Sandro Hawke、Pat Hayes、Ivan Herman、Nicholas Humfrey、Kingsley Idehen、Gregg Kellogg、Markus Lanthaler、Arnaud Le Hors、Peter F. Patel-Schneider、Eric Prud'hommeaux、Yves Raimond、Nathan Rixham、Guus Schreiber、Andy Seaborne、Manu Sporny、Thomas Steiner、Ted Thibodeau、Mischa Tuffield、William Waites、Jan Wielemaker、David Wood、Zhe WuおよびAntoine Zimmermannです。