中銀カプセルマンシオン-あるいは70年代の亡霊-


『カプセルとは、「ホモ・モーヘンス」のための住まいである』黒川紀章

「EXPO'70において建築業界に大きな波紋を投げかけたカプセル住宅。 
(中略)
 これはまさにカプセル住宅時代の幕明きといっても過言ではないでしょう。」

  

新橋から浜離宮の方へ歩いていくと左上の妙な箱を組み合わせたビルがある。
70年代に想像された21世紀そのものという風情を漂わせた異形の、高度成長期の亡霊である。
1階にさらされているサンプルには「黒川紀章建築・都市設計事務所」とある。
昭和46年に未来の「マンシオン」として考え出された「カプセル」だったのだ。
考えてみたら、当時のSFにはこういった「カプセルを組み合わせた巨大立体都市」がよくでてきたもんね。

では、ほったらかしにされている室内を丸い窓から覗いてみよう。
パイプ椅子は愛嬌として、玄関を入って左手に簡単なカウンター。右手にユニットバスへの出入り口。
左手中央には掛け時計があり、その奥にテレビ。窓際にベッドがあり、枕元には電話とラジオ。
そして、オープンリールのテープデッキがあるのだった。いやああ、すげぇーーっ。
70年代の安手のSF映画にでてくる未来の住宅そのまんまやないけ。
でも、これを笑えないんだよな。
だって、今のラブホとワンルームマンションを合体させたらこんなのが容易にできあがるもの。
残る謎は、このカプセルを組み合わせたビルの入居者である。会社やら個人やらが入居しているのだ。
うーん。見てみたい。

Fuji FinePix700+0.65xワイドコンバータで撮影

 



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