「全員整列!」
ミゲルの声に全員が思わず反応し、壁際に一列に並んだ。
あぁ、悲しいかな軍人生活。

「さて、ザフトの優秀なるパイロット諸君。今日ここにbPメイドが誕生した。」
整列したパイロットを前に、ミゲルがさも重大そうにもったいぶる。
「発表しよう。・・・・イザーク・ジュール!」
「ハっ!」
敬礼するイザーク。条件反射だ。

その後に気づく。
bPメイド???
オレは何を敬礼までしてるんだ!!

もう怒りを通り越してやけくそである。
「イザークには、特別にこれを。」

そう言ってミゲルがイザークにつけたモノ。
ネコミミ。

ディアッカとラスティはもうガマンの限界らしく、泣きながらバンバン床を叩いて笑っていた。

「いいなー、イザーク。」
「欲しいならくれてやるわ!! おのれ〜〜〜、ミゲルッ!」
つかつかとミゲルに歩みより、胸ぐらをつかむ。
「お前、こんっなことのために地球へ行ったのか?!」
「情報収集だよ、イザーク。ほらほら笑えってー。」

ブチン!!
イザークの中で何かが切れた。
突然声もなくミゲルを投げ飛ばす。

「―――うげっ! おい、イザーク!」
ふらり、と次はラスティに。
「ちょっ・・・! まてよイザ・・・・うわっ」

「イザークやめろ!」
あまりの暴走ぶりにあわてて止めにかかるディアッカ。
「うるさあぁぁぁぁい! だまれだまれだまれだまれぇぇぇぇぇ!!!」

「うわ。切れちゃったよ、イザーク。」
「取り押さえろっ アスラン右うで! ニコル左足! 右足!」
自分でも左うでを押さえながら、ディアッカがすばやく指示を出す。
そのとき――――・・・。


シュンッ
「何を騒いでいるのだね?」
予想だにしなかった人物の登場に、メイド服姿の3人だけでなく、全員が凍りついた。

「おやおや、ミゲルの部屋はずいぶんとにぎやかだね。」

「た・・・・いちょー・・・・。」

我らがラウ・ル・クルーゼ隊長。
仮面のむこうに、どれほどの怒りがあるのだろう。
あぁ、終わりだ。
謹慎? 減俸?
俺たちの・・・・世界は・・・・?(キラに聞け)

全員の不安をよそに、クルーゼ隊長は口元に笑みを浮かべていた。
「ほほう、これは・・・。美しいな。」
「・・・・。」
「ネコ・・かね? すばらしい!」

隊長、イザークを大絶賛。
「あのう・・・隊長?」
「ん? あぁ、までそんな服を着て。この2人は君の知り合いか?」
「知り合い?! そりゃあ・・・。」

同意を求めてアスランを見る。
けれどアスランは首をふった。
もしかしなくても、隊長は気がついていない。
コレがニコルとイザークだと。

「はい! アカデミーの同期です。ニコラちゃんとイザーラちゃんです!」
「そうか。ぜひ同じ艦に乗りたいものだな。では失礼するよ。」
しゅんっと扉が閉まり、カツカツと靴の音が遠ざかるのを確認すると、全員が緊張の糸を解いた。


「何がイザーラだ! 俺はイザーク・ジュールだ!!」
「いいじゃないか丸く収まったんだから。それとも、隊長に本当のことを言いたかったのか?」
「なんだとおぉぉぉ!! アスラン貴様!」

「おいおいイザーク。そろそろ落ちつかないと血管キレちゃうぜ?」
「誰のせいだ! 誰の!! こんな服、とっとと地球へ送り返せ!!」
「似合ってるのに・・・。」

怒り心頭でどーにもこーにもいかなくなったイザークは、服を脱ぎ捨てた。
元の男にもどり、ミゲルの部屋を無言で出て行く。

「あちゃー。あれ絶っ対部屋で大荒れだぜー? 後始末はやっぱ俺なのかよー・・。」
ディアッカがあーあとため息をつく横で、が青ざめている。
「ど・・・・どうしよう・・・。」

「何? どうした? こっちむけー。」
事態の張本人は、せめてとニコルだけでも写真に収めようと必死だ。

「イザーク、ちゃんと赤服には着替えたのに、ネコミミつけたままだよ!!」
の言葉に、全員が固まった。



10分後。
ミゲルの部屋はふたたび戦場と化した。



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【あとがき】
 スイマセン。こんなんで終わりです・・。
 ネコミミ赤服イザ、ディアッカ同様はげしく萌。