〔 俺が隊長 〕
−act.12:最強の悪魔、降臨−





「やあアスラン。久しぶりだね。」
ものすごく涼やかな口調に、どす黒い笑顔。
いろんな意味で最強のキラ・ヤマト。
フリーダムでボルテールに降臨。



「や・・・・あ、キラ。どうしたんだ?こんなところまで。」
「おいコラ、フリーダム。何しにきた?!」
および腰のアスランに、あくまで強気のイザーク。

「イザーク。キラです、キラ・ヤマト。」
イザークのとなりで、がこそっとささやいた。
そのを見つけて、ぱあっと顔が明るくなるキラ。
! 会いたかったよ!」
「きゃあ!」

言うなりに抱きつくキラ。
から見たら子犬のようで、カワイイ存在。
ハタから見たら、黒いオーラの狼。

「うわーっ、さんが喰われるーーーっ!」
シンの言葉はあながち間違いではない。


「そっ・・・それより、キラ。どうしてここに? オーブは?」
アスランがおそるおそる尋ねた。
ザフト伝説のスーパーエース、アスラン・ザラ。(いい加減ウザイ)
胸にはフェイスバッジをきらめかせ、ボルテールではもっぱら無敵。(ニコルには勝てない)

その彼が、最も恐れるもののひとつ、キラ・ヤマト。
いまやオーブのみならず、地球の政治すべてを取り仕切る帝王。
変態仮面いわく、最高のコーディネーター。
アスランは彼を幼なじみにもったことを、後悔しなかったことはない。

「なに? 遠まわしに帰れって言ってるの? アスラン。」
まるでヘビにニラまれたカエル。
ルナマリアは早々にアスランの写真を捨てた自分を、正しかったと誉めてあげた。

「たぶん、アスランは心配してるんじゃないかな? キラのこと。」
の言葉に、子犬はしっぽを振ってほおずりした。
「ありがとう。優しいね、は。僕は大丈夫だよ。国はカガリに任せてきたから。」

それも不安。
キラが帰る頃にはカガリ専用のトレーニングルームが出来あがっていそうだ。
なんせ前の大戦では、レジスタンスに入っちゃった彼女。
そこでマッスルな男たちに目を奪われ、なにを勘違いしたか自分もそうありたいと願ってしまっている。
現在カガリの趣味が「体力づくり」なのは、オーブ国民全員が知っている。
トレーニングに明け暮れて、国政を忘れなければいいのだが・・・。


「おいフリーダム! いい加減にから離れろ!」
隙をついてとキラの間に、さっと割り込んだイザーク。
一瞬凶悪な顔を見せ、「チッ」と舌打ちするキラ。

「イザーク。何度も言うけど、彼はキラ・ヤマト。」
あきれたようにイザークの後ろでつぶやく
イザークは物覚えが悪いなぁ、などと本気であきれている。

「フン! そんなもの、どっちでもいいだろうがっ!」
この言葉にはさすがにキラも言い返す。
あくまでもの前なので、猫かぶりのままだ。
「よくないよー。キミの機体、今はザクだっけ? もザク。ディアッカもザク。アスランもザク。
 これじゃ、『ザクー』って呼んだらみんな来ちゃうじゃない。」

くるか、アホ。
かわいらしく首をかしげて言うキラに、突っ込む者はいない。
それにしても―――。

「なんだかすごいことになってきたね、格納庫。」
キラがフリーダムに乗って着艦してきたことで、ボルテールには現在9機のモビルスーツ。
限界積載量をかるーく超えている。
モビルスーツの押し合いへし合いで、ディアッカの機体がつぶれているのには目もつぶろう。



「あ、僕ね、ラクスからこれ、預かってきたよ。」
はい、とに渡される手紙。
だが宛名は、
「俺じゃないか!」

丸っこい字で書かれていた『ジュール隊長へ』。
さすがラクス・クライン。
今月ボルテールが手書き推奨月間なのを知っている。

『わたくしのミネルバクルーを返してくださいな。』

はじまりも唐突なら、終わりも唐突だった。
「帰りませんよ! 俺はここにいてやる!」
「自分も同感です。ミネルバにはまだ、ピアノルームがありません。」
「そうよ! キラ・ヤマトがきたならアスキラ、シンキラ、イザキラ! ネタがこんなにっっ!」

ルナマリア、いつから腐女子に・・・・?
しかもキラ総受けですか。

「みんな・・・。そんなに私たちを慕ってくれるようになったんだね・・・。」
感涙。
まぁ、意味合いが違うとはいっても、ルーキー3人が残りたいと言っているのは事実だから。

。いい後輩ができましたね。」
ニコルがよしよしとの頭を撫でる。
当然ニコルはこうなることをすべて、ラクスから通達済みであった。


「ジュール隊長! こうなったらさんも一緒にミネルバへ連れて行きますよ?!」
「隊長、自分も同感です。」
「アスキラ、シンキラ、イザキラーーーー!」

ミネルバの赤服ルーキーたちが、だんだんエスカレートしてきた。
「きさまら全員ミネルバへ帰れっっ!!」
未練なんて微塵もなくイザークが切り捨てたのは、言うまでもない。





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【あとがき】
 お久しぶり、な、隊長シリーズです。
 ナスカ級の搭載機、何かで見たら6機とありました。
 ・・・・・・・9機って・・・・。