〔 こいしくて 〕





「何? どうした?」
手をつないで歩いていたら、が突然とまった。
俺はが気分でも悪くしたのかと、顔をのぞきこんだ。

ところが。
俺の心配なんてどこ吹く風。
は心ここにあらず、という顔で、ショーウィンドウを見ていた。

「あの服欲しいの?」
俺の問いかけにはっとして顔をあげる。
「違うの。ごめんなさい。」
いや別に。あやまることじゃない。
第一俺は気にしてない。
そして俺たちはまた歩き出した。


とつき合いだして三ヶ月。
学年が2コ下のとは、部活の先輩後輩として知り合った。
外見だけじゃなく、性格もやたらかわいい後輩は、俺を本気にさせた。

。俺とつき合って。」
俺の言葉に真っ赤になりながらうなずくは、どーしょもないほどかわいかった。


やっぱり今日のは変だ。
行く先々では立ち止まる。
パッグが欲しいのか?
靴が欲しいのか?
何だ、ここは? ペット用品?!

「おい、〜〜〜〜。何見てんの?」
さすがの俺もあきれて何度目かの声をかけると、はまた顔を真っ赤にしていた。
「ごめ・・・・・」
「いや、“ごめんなさい”はもーいいから。何見てんのか教えてくれよ。」
俺が言うと、は一呼吸おいて答えた。

「あの。・・・・映ってる、姿。・・・・・私と、ハイネの。」
最後のほうは、どんどん声が小さくなる。
「変だよね。でも・・・うれしくて。・・・・手をつないでる姿とか、見てるの。」
うつむきながら言うを、俺はたまらなくなって抱きしめた。
「変じゃないだろ、それ。」


片想いが両想いになっても。
気持ちはなにもかわらない。
恋しい。
一人だけが。
それが俺の、揺るがない気持ちだ。




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【あとがき】
 つき合いだして三ヶ月って、めちゃくちゃ初々しくてラブラブじゃありませんかぁ?
 うおぉぉぉっっ!! いいなぁ、ハイネとちゃん。
 部活って、なんでしょう。
 ライナのイメージは文芸部っす。(まじかよ)
 ハイネは現代文学がお好みです。(ライナの中では大まじです)
 ハッピィバアスディ、ハイネ!&レボ!・・・あ、ミゲルも?(一日遅れだけど)