〔 あいたくて 〕
「夕日の色は、ハイネの色だね。」
は夕日にむかって両手を広げた。
「だからハイネがいないときは、夕日に抱きしめてもらうの。」
軍に籍を置き、赤服な上にフェイスなハイネ。
戦争が始まると、会える時間はほとんどない。
「今はいるだろ? 俺が抱きしめてやるよ。」
明日からは宇宙と地球。
二人が見る夕日も、別のもの。
地球降下の任務が急に決まり、準備のために与えられた休暇。
ハイネが連絡する前に、がハイネを訪ねてきた。
「なんだか会える気がしたの。」
笑ったを、ハイネはプラントの海へ連れ出した。
「明日から地球での任務になる。・・・また会うのが難しくなるな。」
海岸を歩きながらハイネが言うと、は「平気。」と笑った。
寂しいと言われるのも困るが、平気と言われるのも複雑で。
「何が平気だよ。俺は平気じゃない。」
ハイネはめずらしく冷たく言った。
ところがは、穏やかにほほ笑む。
「平気だよ。私はいつも、ハイネの傍にいる。」
言われてハイネはハッとした。
そもそもどうして、がここにいる?
が住んでいるプラントはここじゃない。
プラント間を行き来するシャトルは、先の戦闘の影響で再開されていない。
「。どうやってここに来た?」
ハイネが言葉にしたとたん、それまでの姿をしていたものは、色を失った。
「・・・・・・・・・・・・・?」
「ごめんなさい、ハイネ。」
色を失ってもなお、はにこりと笑った。
「地球軍の核攻撃で、プラントは撃たれなかったけど、私は撃たれたの。」
「うそだろ? 。」
あの時、はシャトルに乗っていた。
運悪く、地球軍の奇襲部隊に遭遇し、口封じのためにシャトルごと撃ち落されていた。
はただ、ハイネに会いたくて。
願ったら、ハイネに会えた。
触れたくても、ハイネはもうに触れられない。
「なんで、笑ってるんだよ。」
さっき抱きしめたぬくもりは、まだ残っているのに。
「ねえ、ハイネ。あなたは生きてね。」
そうしては、そこにいた香りだけ残して、消えた。
残されたハイネは、の死を現実と知る。
『ハイネ。
最期の願いはただ、あなたに会いたかった。』
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【あとがき】
西川クンばっかりBGMにしてるから、ハイネが浮かんでくる。
これはもう、しょーがないのか?
あぁ、初ハイネ夢も悲恋死ネタだよ。進歩ないな、ライナ。