最新レビュー


8号が一段落したので、ようやく前年度の残りを加えた1月分をアップ。続いて怒濤のリリース・ラッシュとなった2月を準備中です。

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Pal Shazar/ Woman Under The Influence (Shiffaroe/No Number)97

97年の夏頃にリリースされていたもの。ずっと探していたが、結局どこにもないので、直接レーベルに問い合わせ...って、またか。このパターンも段々面倒くさくなってきて、直接$20送ったら(もちろん手紙は添えた)、ちゃんと届きました(でも今から買う人は値段と送料聞いた方がいいよ。もっと安く手にはいるはずだから)。それにしても、届いたものを見たら番号がないし、これはひょっとして通販限定なのかも知れない。むこうでも人気ないのかなあ。日本盤も出ないようだし、まさかパルまで入手困難アーティストになろうとは...。

故カート・コバーンに捧げたEPから3年ぶりのフル・アルバムには、EP収録曲全4曲+新録音8曲が収められている。前作をひきずって暗めの作品になるのではという予想に反して、内容は以前と同じフォーキー・ギター・ポップ。再スタート宣言の@、歌詞は暗いけど思い切りポップな曲調のCなど、力強さに溢れていてまずは一安心といったところだろう。別れてしまったというジュールズは一応ヴォーカルで参加。プロデュースは前作から参加のダニエル・フェイとパル自身が手がけている。

Shiffaroe/ PO Box 1185, Woodstock, NY 12498


The Original Harmony Ridge Creek Dippers/ Same (No Label/No Number) 97

もう「Dig」にレビュー書いちゃったので、あんまり書くことがない。ファンなら買って損はないと言っておこう。ただし、思い切り地味です。

Reckless Kelly/Millican (Cold Spring/CSR97003) 97

オースティンでは人気の高い新人カントリー・ロック・バンド。今年のオースティン・ミュージック・アワードで新人部門とルーツ・ロック部門で1位を獲得した注目株である。SXSWに行ったときも、このバンドとTrish Murphyは絶対見ようと決めていた。実際見たライブでも躍動感溢れる演奏が楽しめたが、アルバムでもそれは十分感じられる。マンドリンやフィドルを効果的に使いながら、ロックンロールの醍醐味を見事に体現していて、とにかくノリがいいし、勢いがある。やや小粒だが、ウィスキータウンに続いて全国に飛び出す日も近いはずだ。

Trish Murphy/ Crooked Miles (Rythmic Records/No Number) 97

同じくオースティン・ミュージック・アワードの女性ヴォーカル部門で、ケリー・ウィリスを抜いて第4位にランクされたオースティンの女性SSW。どちらの要素もあるけれど、フォークにもカントリーにも偏らず、オーソドックスなロックが楽しめる。王道アメリカン・ロック路線を引き継いだ期待の新人。しいていえば、ルシンダ・ウィリアムズに近いけど、もっと声は若々しい。後にSXSWで見たライブでは、収録曲がかなりカントリーっぽくアレンジされてましたが、基本はロックです。ルックスもいいし、近日中に必ずやブレイクすることでしょう。してほしい。するかな?

Kacy Crowly/ Anchorless (Atlantic/East West/AMCY-2465) 97

こちらもオースティンの女性シンガー(ただし、移ったのは95年のことで、それまではあちこちを渡り歩いていた)。それにしても、11月に国内盤が出ていたとは知らなかった。あわてて買い込んだけど、全然国内では評判を聞いたことがない。果たして売れたのだろうか? もともと僕がこの人とTrish Murphyを知ったのは「Austin Chronicle」のホームページで、新世代女性シンガーとして紹介されていたのを見たからである。地元でも早くから注目されていたようだが、メジャー・デビューを機に全国規模でブレイクして欲しいものだ。内容はTrishよりも素朴でフォーキー。アコースティックな曲が多い。バックの演奏は割と質素にまとめられているが、一部メジャーを意識した過剰なアレンジには疑問も残る。ゲストにはJ.D.グラハムが参加。
ここからが98年の新作です。やはり1月の注目はこの3枚でしょう。

Victoria Williams/ Musings of a Creekdipper (Atlantic/East West/AMCY-2536)98

プロデュースをダニエル・ラノワのエンジニアであるトリナ・シューメイカーが手がけており、素人の耳で聞いても楽器の使い方や録音が見事。簡素なくせに一音一音に味があり、やたらとふくよかな音に聞こえる。かといってバックが彼女の歌声を壊すようなことは決してなく、聞いていて非常に気持ちがいい仕上がりだ。「Original Harmony...」にも収録されていた"Hummingbird"を聞き比べるとよくわかるが、善し悪しは別として、こちらの方が遙かに完成度が高い。ミュージシャンもさりげなく確かな人材を揃えており、マーク・オルソンはもちろんのこと、ジョン・コンヴァーティノ、ジョーイ・バーンズ(共にGiant Sand、Calexico)、ティム・レイ、アンドリュー・ウィリアムス、グレッグ・リーズ、バディ・ミラー、ジュリー・ミラーなどお馴染みの面子。意外なところでは、ウェンディ&リサや昨年ソロ・アルバムをリリースしたJ.C.ホプキンス(フロップハウスのリーダー)が参加。

Cheri Knight/ The Northeast Kingdom (E-Squared/1057-2)98

元ブラッド・オレンジの女性ベーシストによる2枚目。ESD出身アーティストとしては、Bottle Rocketsと並んで移籍成功の代表格である。(ビル・ロイドなんかは完全に失敗組。せっかく組んだスカイ・キングスもお蔵入りだし、次作の録音をしているのに契約がないそうだ...)プロデュースをスティーヴ・アールでお馴染みのTwangtrustが手がけ(これって結局レイ・ケネディとスティーヴ・アールの2人だそうです)、前作よりも若干ロック色を強めている。また、随分聞きやすくなっており、2なんかシングル・カットも出来そうなポップな曲だし、古いカントリー・ロックのファンにもお薦めしたい、充実の1枚だ。タイトなドラムは前作に引き続きウィル・リグビー(ex-dB's)が担当し、スティーヴ・アールやブラッド・オレンジのマーク・スペンサーがほぼ全曲に参加。その他のゲストはエミルー・ハリス(6のハーモニーなどさすが)、タミー・ロジャーズ、ブラッド・オレンジのジミー・ライアンなど。

Mary Lou Lord/ Got No Shadow (Work Group/OK 67574)98

もう随分昔のことだが、CMJ誌93年1月号(94年だったかな?)のおまけCDで初めて"Some Jingle Jangle Morning"を聞いた。これはすごい新人が出てきたぞ、と密かに注目し続けてはいたが、どうも決定打が出ない。今までのEPもそこそこではあったが、才能爆発とまでいっていなかったのが非常に歯がゆかったりしたのだ。それが、ここへ来てようやくブレイク。日本でも結構話題になっているようで嬉しい。アルバムとしては前出曲の新録も収録され、見事なフォーク・ロック路線でまとめられている。フォーク・ロックの神様ロジャー・マッギンやショーン・コルヴィン、ロスのマルチ・プレイヤー、ジョン・ブライオン(ex-Grays)も参加。曲作りで貢献しているニック・サロモンはBevis Frondというバンドの人らしい(未聴)。

インタビューも各誌に載りましたが、どこもフリーディー・ジョンストンについて聞いてくれなかったのが寂しかったですね。あと、フリーEPがおまけに送られてくるというので、早速同封の葉書を送ったが、今のところ送られてこない。ほんとに来るのか?