最新レビュー

更新が遅れております。もう1月だというのに、ようやく11月分をアップ。今回はノット・レイムで買ったものが中心です。12月分はルーツ系でまとめる予定。

11/1 - 11/30


The Toms/ The Toms (Not Lame/NLA-001)

70年代後半に活躍した本家パワー・ポップ・バンド。79年にリリースされていた(たぶん)唯一のアルバムが、ノット・レイム・アーカイヴ第1弾としてリイシューされた。ペズバンドやルビヌーズ風のめちゃ甘ポップスが楽しめる。ボーナス・トラック7曲に、中心人物トム・マロルダの曲解説付き。デヴィッド・バッシュ(パワー・ポップ関係に無茶苦茶詳しいライター)やジョン・M・ボラック(ゴールドマインのパワー・ポップ記事を書いた人らしい)がライナーを書いてます。それにしてもまだまだいるもんですなあ。これからもどんどん発掘してほしいものです。

Michael Mazzarella/ Methods of A Mad Rock (Not Lame/NL-40)

NYのサイケ風ギター・ポップ・バンド、ルークスのフロントマンによる変則弾き語りアルバム。500枚限定リリースだそうだ。ファン以外の人にはちょっときつい内容かな。

Ice Cream Hands/ Memory Lone Traffic Jam (Not Lame/NL-041)

オーストラリアの90年代パワー・ポップ・バンド。カタログには「ポウジーズの"Dear 23"と"Frosting on The Beater"をつなぐミッシング・リンク」と紹介してあった。ちょっとほめすぎという気もするが、悪くはない。全体的には意外とゆったりとした曲が多く、決め手に欠けるのがちょっと残念。

The Sun Sawed in 1/2/ Fizzy Lift (Not Lame/NL-042)

St.ルイスのポップ・バンドによる4枚目。前作「Mind Flip」に比べると、少し落ちるが、相変わらずスクィーズやジェリーフィッシュ系のメロディアスなねじれポップが楽しめる。

The Pranks/ Floobie (Coachouse/CO69702)

ジェフリー・フォスケットの在籍していたパワー・ポップ・バンドとは同名異バンドなのでご注意を。イリノイのバンドのようで、たぶんこれがデビュー・アルバム。しかし、これが意外な拾いものだった。明らかにこのバンドのスタイルは初期チープ・トリックを意識しているが、それだけなら過去にもいくつか例はある。プランクスがすごいのは、何と言ってもヴォーカルのマーヴィン・アーデンの声である。普通に歌っているとそうでもないが、シャウトするとロビン・ザンダーそっくりなのだ。ロビンのヴォーカルって結構くせがあって、似せようと思って似せられるものではないから、もともとが似てるんですね。"Surrender"や"Voices"のシャウトにしびれた世代には是非聴いてほしい1枚。ほとんどの曲を手がけているダン・ルプレット[Dan Ruprecht]の才能も見逃せないし、今後が楽しみな新人バンドだ。

The Raves/ Past Perfect Tense (Hologramophone/ No Number)

80年代に活躍したアトランタの知られざるビート・ポップ・バンド。80年から89年にかけての音源を収録した編集盤。ジャケットはカラー・コピーだし、番号はないし、完全に自主製作なのだが、中身は最高。初期ビートルズを思わせる3分間ポップがぎっしりと詰まっており、録音はチープだけど、曲の粒もそろっている。スポンジトーンズやエルヴィス・ブラザーズのファンには絶対お薦め。

Chewy Marble/ Chewy Marble (Permanent Press/PPCD 52706)

元ワンダーミンツのブライアン・カッサンを中心にしたLAの4人組。ちょっと幻想味あふれるポップを演奏するのは確かにワンダーミンツに似ているが、こちらの方がストレートで骨がある。メロディーも聞きやすく、中期から後期ビートルズ(特にジョン)の持っていたけだるさに通じる魅力も。

Cotton Mather/ Kon Tiki (Copper/CPR 2249)

オースティンのポップ・バンドによるセカンド・アルバム。1st「Cotton Is King」(94)は国内盤も出ていた。前作より粗っぽい作りのようにも聞こえるが、よく聞くとバックにいろんな音が入っていて、録音は凝りまくり。それもそのはずで、プロデュースはブラッド・ジョーンズとメンバー2人が担当している。誰が考えたかはしらないが、この組み合わせは大正解だと言っていいだろう。中期ビートルズを現代流に再現するとこうなるという、一つのケース・スタディとしても楽しめる。そういえば、内ジャケのメンバー写真のうち、一人は顔もひげも「Sgt.ペパーズ」の頃のポールにそっくりだ。ベスト・トラックは"Password"。

Andrew/ Million Dollar Movie (eggBERT/ER80026CD)

LAのマルチ・ポップ・ミュージシャンによる6曲入りEP(1曲ビー・ジーズのカヴァーあり)。バーズ風の1のような曲もあれば、2のように弦楽器を上手く使った、初期ビー・ジーズ風の曲(こちらはオリジナル)もあり、かなりの才能が感じられる。ゲストがまた豪華で、ジョン・ブライオン(ex-Grays)が2曲目でハーモニウムを担当する他、レーベル・メイトのクリスチャン・ホフマン、ワンダーボーイのロビー・リスト、ジャイアント・サンドのジョン・コンヴァーティノらが参加している。3曲目で印象的なオルガンを弾いているのはピーター・ホルサップルだ。フル・アルバムが楽しみ。

Time Bomb Symphony/ If You See Kay (Chequered/CQD 1-4146-24754-2-7)

エルヴィス・ブラザーズが全面的に協力した「Steals Your Girlfriend」(88)のリリース後はタクシーの運転手をしながら曲作りをしていたという、シカゴのポップ・アーティスト、ダーレン・ロビンズによる新プロジェクト。9年ぶりの復帰作はタイム・ボム・シンフォニー名義ではあるけれど、ほとんどの楽器を一人で演奏しており、ソロ・アルバムに近い内容だ。音楽的にはトミー・キーンやアダム・シュミットに通じる、ラウドなギター・ポップ。ノット・レイムのコンピレーションにも収録されていた1曲目の出来が群を抜いてよいため、他の曲がかすんでしまうのは難点だが、全体的に水準はクリアしている。前作に引き続き、ロブ・エルヴィスとグラハム・エルヴィスが本名でサポートしているのも見逃せない。

The Flashcubes/ Bright Lights (Northside/NS503)

フラッシュキューブズは79年にアルバム「Christi Girl」(Bomp/40003)をリリースしていたNYの元祖パワー・ポップ・バンド。これは77年から80年の音源を収録したベスト盤。ライノのコンピで知って以来ずっとアルバムを探していたのだが、結局見つからず、あきらめかけていたところだったので、本当に嬉しい再発だ。内容は期待通りで、(読んでないけど)詳細な解説も付いている。メンバー4人のうち、ゲイリー・フレネイはソロで活躍し、アルバムも2枚出している。ポール・アームストロングはリチャーズというバンドで活躍。同じNorthsideから「Over The Top」が出ているが、残念ながら未聴。(後注:すみません。Flashcubesのアルバムというのは明らかに間違いです。当時出ていたのはシングルだけでした。文中にある79年のアルバムというのはさまざまなアーティストを収録した編集盤「Waves」(「Christi Girl」も収録)のことです。持っていた資料を読み間違えていました。)