最新レビュー


9/8

Amy Rigby / Diary of a Mod Housewife (Koch/KOC-CD-7922)

Will Rigbyの奥さんと言うと通りはよいが、こういう紹介の仕方は多分しちゃいけないんでしょうね。Last Roundap(87年にRounderからLP「Twister!」を出している)でギターを担当し、Shammsでは中心メンバーとしてほとんどの曲作りをしていた、才能あふれる女性アーティストによる初のソロ・アルバム。どちらかというとアマチュアっぽい素朴さが魅力だったシャムズ色は一掃され、マーティン・ジョーンズやシド・ストローにも比肩しうる(プロフェッショナルなアプローチで迫る)、落ち着いたアルバムに仕上がっている。プロデュースは元カーズのエリオット・イーストン。ゲストにアンディー・ペイリー(ブライアン・ウィルソン、NRBQ、リチャード・X・ヘイマン、J.W.ハーディング、グリーンベリー・ウッズ等を手がける)、グレッグ・リーズ、ドン・ヘフィントン、アイラ・カプラン(ヨ・ラ・テンゴ)、トニー・マイモーン(ペル・ウブ)、ダグ・ワイガル、スー・ガーナーらが参加している。ウィルの参加は2曲のみ。タイトルの解説を兼ねて、モッド・ハウスワイフとしての決意を語ったライナーつき。意外と地味な曲が多く、大推薦とはいかないものの6は傑作だ。


8/30

しばらく間があいてしまいました。これは6号の原稿に取りかかっているためで、しばらくこれくらいのペースになりそうです。

The Connells / Weird Food & Devastation (TVT/9010-2)

うーん。ずばり言ってしまえば、前作の方がはるかによかった。ちょっと大人しくなってしまった感じで、ざっと聞いただけではあまり印象に残らない。

Wake Ooloo / Stop the Ride (Pravda/PR6362)

いつの間にか出ていた新作だが、これは期待以上。今までと何が変わったというわけではないが、何かふっきれたような開き直りを感じさせる3枚目。今までの中では1番よい出来では?

Iain Matthews / God Looked Down (Watermelon/1055)

これは珍しい。他人の曲が一切なく、全部オリジナルではないか。まだ何となくぎこちなかった「ダーク・ライド」に比べると、すっかりオースティンに溶け込んでいる。リラックスした中に自信と満足感が伝わってくる気持ちのいいアルバム。


8/21

Terry Anderson / What Else Can Go Right (ESD/81152)

先月からようやく国内盤が出始めたESD。今月はゴー・トゥー・ブレイジズ、来月はボトル・ロケッツとうれしいリリースが続くわけだが、個人的にはビル・ロイド、エリック・アンベル、そしてこのテリー・アンダーソンまで何とか辿り着いてほしいと思っている。予定はあるようなので、今出ているビデオアーツ盤をみんなで買ってあげて下さい。と宣伝したところで、2枚目のソロは前作同様痛快なロックンロール・アルバム。ほとんどの楽器を一人で演奏し、4トラック・カセットで録音された1枚目と比べて、今回はきっちりバンドを組んでの演奏となっており、臨場感もサウンドも数段向上している。痛快度はかなり高く、このテンションで展開されるライブなら、是非見てみたいと思わせる出来映え。1曲だけストーンズのカヴァー(「Street Fightin' Man」)あり。

Martin Zellar & The Hardways / Martin Zellar & The Hardways (Ryko/RCD10359)

2年ぶりの2枚目。ハニードッグズのメンバーも参加したセッション形式の前作から、バンド編成に変わった本作はこれまた傑作。ギア・ダディーズ時代を思わせるエネルギッシュな曲あり、繊細なスロー・バラードあり、今までの集大成ともいうべき多彩なアプローチが功を奏し、貫禄あふれる力作を生み出すことに成功している。独特のダミ声には好悪が別れるところだろうが、はまるとこの声とシャウトがたまらないんだよね。今回新たに組まれた「ハードウェイズ」は、ギア・ダディーズ時代からの盟友ドミニク・シオラ(b)、前作から参加のジョン・ダンカン(key)とダン・ニール(g)、新顔のマーク・レティッシュ(ds)による5人組。信頼印のトム・ハーバーズ(ギア・ダディーズ、ランク・ストレンジャー、ハニードッグズ等を手がける)がプロデュースを担当している。

Jason Falkner / Author Unknown (Elektra/61941-2)

スリー・オクロック、ジェリーフィッシュ、グレイズと数多くの名バンドをくぐり抜けてきた有能アーティストが、ついに出した初ソロ・アルバム。ジャケットにはばーんと顔写真が使ってあって、露出度が高い(笑)。一発当てようというレーベルの意向がたやすく見て取れるが、内容は全くそんな狙いを意に介さず、思い切り趣味に走っている。まず、音的にはグレイズの延長線上にある、サイケな味付けを施して、ジェリーフィッシュ風のスパイスをふりかけた、ねじれポップ。オフ気味のヴォーカルにメロトロン風キーボード、ギター逆回転など、小技も出しまくり。EやP.Huxに通じる宅録マニアぶりが十分に感じられる。まあ、ここまでやれたのは、1曲を除き全ての楽器を一人で演奏し、プロデュースも自分で済ませているからだろう。ここは一つエレクトラ担当者の勇気ある決断に拍手を送りたい。本領発揮の2と7、割と素直な作りの10と11(間奏直前のギター・リフはどこかで聞いたなと思ったら「スペース・オデティ」ではないか。あ、全然素直じゃないな。)が気に入った。全体的にグレイズよりポップ度は高い。

Staplejack / Kitchen Radio (Dejadisc/DJD3227)

テキサスの新人4人組によるデビュー作。屈託のない正調カントリー・ロックを聞かせてくれる。曲によっては結構カントリー色が強いが、基本はロック。くせがなく聞きやすいのが長所と同時に短所かな。でも好きです。


8/20

Jimmy Silva's Goat 5 / Near the End of the Harvest (Popllama/PLCD53152)

今年の春頃出ていた遺作で、元々はESDからリリース予定だったもの。CDnowでも扱っていなくて、これまた直接問い合わせるしかないなと思っていた矢先、新宿バーン・ホームズに入荷したそうで、添野に頼んで買ってもらい、ようやく入手できた。今までの中では一番カントリー寄りで、しっとり聴かせる曲が多い。最初の印象はぱっとしないが、繰り返し聴く内に、じわじわと魅力が伝わってくるスルメ・アルバム。2nd収録の名曲"Tell It to the Raven"のリメイク・ヴァージョンが聞きもの。