「街角」という名前の建物:Gardshorn, i.e. A corner of the city

>>index

10. レイキャヴィークの建物の色は基本的にはトタンの壁にペンキの色、という感じであったのが、経済が良くなるにつれ、どんどん高そうな建物が郊外に出来ていきました。

もともとの市街には、昔からの金持ちの家か、そうでなければアパートのような家が多く建ち並びます。この建物は壁の色が禿げたように見えますが、それはわざとでして、結構デザインに工夫がされていて目立ちました。建物に名前があるものがレイキャヴィークでは随分ありますが、この建物の名前は「GARDSHORN」すなわち「街角」です。その名の通り、角っこに立っています。たしかこの隣の建物の一階にパン屋さんありました。

ボクが昔通っていた世田谷の小学校の近くのパン屋が「角屋(かどや)」とか「かどパン」という渾名で、角っこにありました。そういうパン屋さんは結構いろいろなところにあるらしいということに大人になってから気がつきました。ちょっとそれと似ていませんか?

レイキャヴィークのパン屋さんのデニッシュパンは甘くておいしくて、菓子パン好きのボクにとっては、値段さえ安ければ毎日でも買いたいと思うくらいでした。ここのパン屋も美味しかったと思いますが、店のご主人は「一見さん」には愛想がなく、いかにも地元のパン屋さんという感じでした。

パン屋と言えば、今は日本もイートインが増えましたが、留学した当時はあまりレイキャヴィークにもなく、イートインが出来るパン屋さんを町の真ん中に見つけたときは嬉しくて、お昼ごはんやおやつにコーヒー&菓子パン一個をほおばり、窓から降る雨の風景を見ながら、よく葉書を書いたものでした。甘酸っぱい思い出です。

「街角」のパン屋さんは今も健在ですが、残念ながら、そのイートインのできるパン屋さんの方はなくなってしまい、単なる観光客相手の土産物屋さんになってしまっています。ちょっと哀しい現実でした。

>>TOP