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入門書編
研究書編

入門書編

[英語史概説比較言語学大学教科書レベル言語学入門中世英語解説付き読本エッセイ風読物]

英語史概説

アンドレ・クレパン著 1980.『改訂新版 英語史』西崎愛子訳 白水社、文庫クセジュ. [フランス人による英語史概説。固有名詞の仮名表記が独特で、初心者には戸惑うところもあるが、短くまとめられた良書]

アルバート・ボー、トマス・ケイブル共著 1981.『英語史 第三』永嶋大典他訳 東京:研究社. [現在は原著は第四版になっており、20世紀の記述が大きく改訂されています。英語を巡る社会的な変化やその影響、また逆に英語が社会に及ぼした影響を詳しく記述しています。この点に於ける専門情報は秀逸です。英語の構造や文法の歴史については概説にとどまります。]

H. ブラッドリ著 1982.『英語発達小史』寺澤芳雄訳 東京:岩波文庫. [まずは基本的知識を、という人にはこれがお薦め。Bradley, Henry. The Making of English. Rev. ed. Simeon Potter (1968);最近復刊されました。英語の歴史の最良の入門書。文庫です。少々古いところも多いけれど、今でも入門書としては絶品です。英語史に悩んでいたjinnの目から鱗を落としてくれた懐かしい思い出もあります(^^;;;]

ロバート・マクラム他著 1989.『英語物語』岩崎春雄他訳 東京:文藝春秋.[BBCの番組 'Story of English' (1986)のノベライズとも言うべき英語通史。英語のこれまでのあり方、また今後の可能性について、わかりやすく解説しています。絶版が惜しまれる入門書です。]

R・W・バーチフィールド著 1990.『オックスフォード英語史概論』加藤知巳訳 オクスフォード大学出版局.

比較言語学入門

風間喜代三著 1978.『言語学の誕生:比較言語学小史』東京:岩波新書. [文献学といわれるphilology、また比較言語学、歴史的言語学とはどういうものでしょう、という問いに対する答えです]

---. 1993.『印欧語の故郷を探る』東京:岩波新書.[上記『言語学の誕生』の続編。インド・ヨーロッパ語族について広く概説した入門書です。]

W・B・ロックウッド著 1976.『比較言語学入門』永野芳郎訳 東京:大修館. [文字通りの比較言語学入門。きちんと学びたい人はこれをまずはじめに読みましょう!名著です。]

高津春繁著 1950.『比較言語学』東京:岩波書店. [日本語で書かれた入門書としては最長老です。誰も彼もが高津先生にはお世話になりました。]

大学教科書レベル英語史入門書

厨川文夫著 1981.「英語発達史」『厨川文夫著作集』下巻 安東伸介、岩崎春雄、高宮利行編 東京:金星堂、 785-994. [英語の歴史とは何だろう、英語はどういう風に成り立っていったんだろう、という疑問に根本から答えてくれる研究書をそのまま転載したもの。すべて英語に携わる人に一読を薦めます]

岩崎春雄著 2003.『改訂 英語史』東京:慶應義塾出版会. [慶應義塾大学通信教育学部の教科書として最初執筆されたものの、第3版で一般入門者用に読みやすく改訂されました。内面史を中心に詳細に記述されています。この薄さで驚くほど内容は厚い!]

松浪有編 1986.『英語史』英語学コース1 東京:大修館書店.[大 修館の英語学入門者用の全集の第一巻。言語の変化の背景となる歴史や文化を着実に辿って、言葉と人間の歴史教科書となっています。但し、所々に古いままの 記述があるのが難点ですが、基本的に英語の歴史を追うのであればこれほどまとまった本は他になかなかありません。]

松浪有編 1995.『英語の歴史』テイクオフ英語学シリーズ1 東京:大修館書店.[大修館の英語学入門者用の全集が全体的に改訂され、現代言語学の流れを主流にした英語学入門書全集の第一巻。背景となる歴史事実よりは、言語の内的変化の記述に主眼を置く。特に統語論を中心に論じている。]

宇賀治正明著 2000.『英語史』現代の英語学シリーズ8 東京:開拓社. [外面史と内面史とを分け、言語学の各分野毎の視点から英語史を切る。新しい研究の成果を大いに採り入れています。上掲書二冊の倍の値段がするのが難点といえば、難点ですが、その分、倍の厚みを持っています。]

中尾俊夫、寺島廸子共著 1988.『図説英語史入門』東京:大修館書店.[多くの図表があり楽しめる一冊。英語史への関心が高まり、勉強意欲は大いに刺激されるような、入門書として格好の書物。但し、一部に多少の誤解を招く記述がありますので、他の入門書とともに読むことをお勧めします。]

中尾俊夫、児馬修編著 1990.『歴史的に探る現代の英文法』東京:大修館書店.[英文法を考えるときに、どうしてだろう?と疑問を持つ点を英語史の観点から説明した画期的な一冊です。]

大学教科書レベル言語学教科書

田中春美、樋口時弘、家村睦夫、五十嵐康夫、倉又浩一、中村完、下宮忠雄共著 1978.『言語学のすすめ』東京:大修館書店. [今日の言語学を目指すものが持っているべき基本的な知識、問題意識、研究課題を提示していてくれます。示唆に富んだ本。ただ、活字のためか、目の弱い人には読みづらいと思われるかも知れません]

中島平三、外池滋生編著 1994. 『言語学への招待』東京:大修館書店.

中村捷、金子義明、菊池朗共著 1989.『生成文法の基礎:原理とパラミターのアプローチ』東京:研究社. [タイトル通りの書。現代言語学について知りたいと思う人は一読をお薦めします]

中世の英語の解説付読本

市河三喜、松浪有共編著 1986.『古英語・中英語初歩』東京:研究社. [古英語の文法や中英語の文法を簡単にまとめたイントロダクションや古・中英語の語彙集のついた入門者用の読本。作品紹介もためになります。]

近藤健二、藤原保明共著 1993.『古英語の初歩』荒木一雄監修 英語学入門講座 第4巻 東京:英潮社.

水鳥喜喬、米倉綽共著 1996.『中英語の初歩』荒木一雄監修 英語学入門講座 第5巻 東京:英潮社.

上野善和編著 1997.『古英語の世界へ:モルドンの戦い』 東京:松柏社.[西暦991年にイングランドのエセックス、モールドンでのヴァイキングとの戦闘を歌った古英詩の読本。古英語初心者のための教科書の体裁を取っています。文法もある程度判ってから読むと、「へ〜っ、古英詩ってこうやって読むんだ」というのがわかります。]

英語史に関連した読み物・エッセイ

オウエン・バーフィールド著 1978.『英語のなかの歴史』渡辺昇一、土家典生共訳 東京:中央公論社. [インクリングズの一人でもあった、バーフィールドの名著。意味の変遷を中心にしたエッセイ的読み物。英語史を学ぶ楽しみは此処に極まれり?]

小野茂著 1981.『フィロロジーへの道』研究社選書19 東京:研究社. [中世の英語とはどのように学んだらよいのだろう、と思う人への入門書。文献を読むことの楽しみとスリルを、学者のまなざしを通してどのように味わうか、その一端を垣間見せてくれます。]

---. 1998.『フィロロジーの愉しみ』東京:研究社. [前半は研究ノート、後半はエッセイの体裁となっています。若い研究者へのメッセージとなっています。]

鈴木孝夫著 1996.『教養としての言語学』岩波新書. [英語を学びつつ、誰もが出会う問題を言語学的な考え方から解説したもの]

ビル・ブライソン著 1993.『英語のすべて』小川繁司訳 東京:研究社. [実は英語の先生の虎の巻的ネタ帖です(笑)。これは笑って楽しめる愛読書です。]

 

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研究書編

小野茂、中尾俊夫共著 1980.『英語史 I』英語学大系第8巻 東京:大修館.[なんと言っても古英語に関して日本語で書かれた書物としては、これまでのところこれが一番詳しいのです。基本的な知識を得た人が、もっと知りたい事柄が詰まっています。]

中尾俊夫著 1972.『英語史 II』英語学大系第9巻 東京:大修館.[中英語に関する体系的な専門書。中英語研究はこれ以後飛躍的に発展したけれど、基本的な知識に関しては、この書物に当たるのがもっとも有益でしょう。]

寺澤芳雄、川崎潔共編 1993.英語史総合年表』東京:研究社.[英語史を年表として通覧するにはもってこいの良書。内面史的な記述も充実しており、外面史と合わせて読めることで、立体的な英語史理解を可能としている。]

柏野健次著 1993.『意味論から見た語法』東京:研究社.[普段私たちが経験的に感じている英語の語感を学問的にはどう言うのだろうか、と思ったら、読んでみることです]

ヘルベルト・コツィオル著 1988.『英語史入門』2訂版 小野茂訳 東京:南雲堂.[英語の内面史。項目ごとに詳しく解説していて、英語史の勉強とはこういうものかということも教えています。]

小野茂著 1990.『英語史研究室』東京:南雲堂. [前半は著者の研究ノート、後半は文献学、中世英語学についての書評となっている]

カール・ブルンナー著 1973.『英語発達史』松波有、小野茂、忍足欣四郎、秦宏一共訳 東京:大修館.[英語の歴史を初めから詳しく論じた基本通史。一番の基礎の基礎から専門的に学ぶ人の必読書。]

フェルヂナン・ド・ソシュール著 1940.『言語学原論』小林英夫訳 東京:岩波書店. [かつて文献学者であった筆者が、現代言語学の基礎を築いたと言われるその考え方を記した教科書]

 

エミール・バンヴェニスト著 1986. 『インド=ヨーロッパ諸制度語彙集 1経済・親族社会』前田耕作監修 東京:言叢社.[その名の通り、印欧語族の語彙集とその解説。とても勉強になります。]

---.  1987.『インド=ヨーロッパ諸制度語彙集 2王権・法・宗教』前田耕作監修 東京:言叢社.

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欧文入門書

宮部菊男編 1974.『中英語テキスト:A Middle English Prose Reader』東京:研究社.[日本から出た欧文の入門者読本。中英語の散文テキストとグロサリー。'Introduction'には中英語に関する概説と文法初歩の記述があります。これを読むと、私たちの諸先輩方が、文献を読むことをどのように勉強したかが伝わってきます。]

Sweet, Henry. Anglo-Saxon Primer. 5th ed. Rev. Norman Davis. Oxford: Clarendon.[古英語入門の古典的名著。この短くまとめられた文法をマスターすれば、もう貴方も古英語読者!]

Mitchell, Bruce. 1995. An Invitation to Old English & Anglo-Saxon England. Oxford: Blackwell. {「古英語への招待」というタイトルからも察せられるように、古英語の世界の何が、どこが、どんな風に面白いのかを、古英語の世界に耽溺した筆者がその深く広い知識と愛情を注いだ名著。}

Lass, Roger. 1987.The Shape of English: Structure and History. London: J. M. Dent.[英語史の音声学的側面と構造論の側面とを見事に融合した中級者用の英語史。特に方言学的なアプローチは、今後の英語史理解の先鞭となるのでは。]

Lass, Roger. 1994. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP.[世の中にいろいろな古英語入門がありますが、読んだ時どうもわからない言語学的説明を、とてもわかりやすく解説してくれる中級者用の古英語の言語学的解説書。この本が出た時の嬉しさは未だに忘れられません。]

Baugh, Albert C. and Thomas Cable. 1993. A History of the English Language. 4th ed. London: Routledge.[英語史の教科書の古典的名著。文化史的な背景への言及が充実しています。初心者向けですが、詳しい言語学的説明は省略気味で、歴史をひたすら追い続ける、といった感じです。随所にユーモアの感じられ、学生にはお勧めです。]

Mitchell, Bruce and Fred C. Robinson. 1992. A Guide to Old English. 5th ed. Oxford: Blackwell.[文法とテクストとを組み合わせた「スウィートの古英語入門」と同じ体裁ながら、新しい時代のための古英語教科書として編まれた、古英語入門書。文法解説も詳細となった。またテクストには、以前は中級者用と思われた頭韻詩作品が幾つも入っている。]

Burrow, J. A. and Thorlac Turville-Petre. 1996. A Book of Middle English. 2nd ed. Oxford: Blackwell.[上の「古英語案内」の大ヒットに触発されて、中英語の入門書として新たに編纂された文法とテクストの両方がセットされた、大変素晴らしい教科書タイプの入門者用の本。]

Sisam, Kenneth, ed.. 1955. With Glossary ('A Middle English Vocabulary') by J. R. R. Tolkien (1921). Fourteenth Century Verse and Prose. Oxford: Clarendon,[中英語文学の最も華やかだった時代の文献を入門者用に註と語彙集をつけた読本。サイザム教授とその弟子たるトールキンの見事な師弟関係の結実です。]

Bennett, J. A. W. and G. V. Smithers, ed., with Glossary by Norman Davis. 1968. Early Middle English Verse and Prose. 2nd ed. Oxford: Clarendon. [『ピーターバラ年代記』や『梟とナイチンゲール』など、初期中英語の読本。'Introduction'はとてもよい中英語文学案内になっています。]

 

 

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