Date: Tue, 9 Jan 96 03:07:05 +0900
From: "JJ1WTK Kazu Sakamoto" 
Message-Id: <26892.jj1wtk@os.gulf.or.jp>
To: jamsat-sarex@iijnet.or.jp
Subject: [jamsat-sarex 561] SPRE Info(4)

出所を明記しての転載可

 スパルタンで行われる宇宙実験とSPRE(1)

 さて、スパルタンで行われる宇宙実験とはどんなものか、またそれらと
SPREの関わりについて、お話しましょう。

 図1はスパルタンの構造図です。
と言っても、e-mailではどうしようもないのですが、JAMSAT NewsLetterでは、
ちゃんとした図を見てもらえるようにします。
急いで見たい方は、
URL:http://w3eax.umd.edu/spre/spre03.jpg
をご覧ください。

 スパルタンは、全体としてその大きさが 1m X 1.25m X 1.5m の箱型で、
次のような4つの実験モジュールを登載しています。
また、スパルタンの外面には、GPS受信用のアンテナが4個 X 2面(計8個)、
また SPRE のVHFとUHFのパッチアンテナアレーが取り付けられています。

 ・GADACS(GPS Attitude Determination and Control Experiment)
 ・REFLEX(Return Flux Experiment)
 ・SELODE(Solar Exposure to Laser Ordnance Device)
 ・SPRE(SPARTAN Packet Radio Experiment)

    GADACSは、GPSを受信して得られるデーターから衛星の姿勢を決定し、さらに
  それを制御することができるかどうかのデモンストレーション実験です。実際、
  GADACSは、スペースシャトルから放出されてから直ちにオンになり、GPSから得
  られたデーターで求めたスパルタン自身の姿勢データーと、GADACSに内蔵された
  ジャイロのデーターとを合わせて記録していきます。さらに、GADACSには、ジャ
  イロを軌道1周ごとに校正するためのスター・トラッカーも登載されています。

  REFLEXは、宇宙空間の軌道上で起こる材料の汚染についての計算機モデルを
 検証するための宇宙実験です。また、スパルタンの表面に施された被覆が原始状
 酸素との化学反応によって冒される腐食現象の実験でもあります。質量分析器や、
 精密に温度制御された磁気天秤などが、この実験のために組み込まれます。

    SELODEは、宇宙空間で使用するための発火材料についての基礎的な実験です。
  宇宙空間においても、発火という現象を起こすためには、車のエンジンに使わ
  れているプラグのように、高電圧を使ったスパークを利用しますが、これをレ
  ーザーを使って着火、爆発させることが考えられており、そのための基礎的な
  材料実験です。低高度の衛星軌道の環境で太陽のエネルギーによってレーザー
  用の発火材料が不用意に着火したりしないか、また宇宙環境にさらされること
  によって劣化しないかどうか、などが調べられます。

  SPREは、アマチュア無線のパケット通信を利用した実験です。その目的は、
 GPSとパケット通信を組み合わせた追跡システムを低高度衛星を使って実地試験
 することです。また、またその衛星と追跡システムを製作することは大学の学
 生たちにとっての教材であり、衛星と追跡システムを利用することは小学校か
 ら高校生までの子供たちにとって科学と工学(エンジニアリング)についての
 興味や関心を喚起することにもつながります。

 図2は、SPREのブロックダイヤグラムです。これも、お急ぎのかたは、
URL:http://w3eax.umd.edu/spre/spre02.jpg
をご覧ください。
 メインのCPUは、モトローラの 68HC11、それに TNCと2mの送信機、435MHzの
受信機、2系統のアンテナ、REFLEXとGADACSとの間は RS-422で結ばれます。


de JJ1WTK 坂本
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 73,de Kazu Sakamoto,JJ1WTK