Date: Sun, 7 Jan 96 06:31:07 +0900
From: "JJ1WTK Kazu Sakamoto" 
Message-Id: <38031.jj1wtk@os.gulf.or.jp>
To: jamsat-sarex@iijnet.or.jp
X-Sequence: jamsat-sarex 560
Subject: [jamsat-sarex 560] SPRE Info(1)

出所を明記しての転載可

 「SPRE」パケット通信実験の概要(1)


 1月11日に打ち上げられるスペースシャトル・エンデバー(STS-72)
では、「SPRE」というコードネームで呼ばれるパケット通信実験が
行われます。その概要を紹介します。

 STS−72打ち上げ: 1月11日  0918z(18:18JST)

 打ち上げから3日と2時間23分後:

 STS−72は、スペースシャトルのカーゴ・ベイ(貨物室)から
ロボットアームを使って、「スパルタンOASTフライヤ−」という実験用
の飛翔体を放り出します。
 放出後、スペースシャトルはスパルタンからある距離(100マイル、
約160km)をとって、飛行を続けます。

 スパルタンは、シャトルから離れて、2時間41分後、あらかじめ
プログラムされていたとおりに自動的に実験を開始します。スパルタンは
バッテリーを内蔵しており、当然、実験は無人で、コンピューター制御で
行われます。スペースシャトルからの操作や、制御は一切行われません。
実験は、46時間続きます。


 打ち上げから5日と30分後:

 実験の終了時刻が近づくと、シャトルがスパルタンに接近し、5日と
30分後には、再びロボットアームがスパルタンを捕獲し、カーゴ・ベイ
(貨物室)に回収します。放出から回収までの間に、スパルタンは地球を
33周する予定です。

 スパルタン自身は、推進機構を持ちません。したがって、スペースシャ
トルから離れたときに持っている速度ベクトルは、基本的にはそのまま
保存されます。したがって、スペースシャトルの後を、つかず離れずついて
回ることになります。


 スパルタンには、いくつかの実験モジュールが登載されています。
その中の「SPRE」というモジュールが、パケット通信の機能を持って
います。「SPRE」によるパケット通信実験そのものも実験ですが、
今回は、他の実験モジュールとも協調して、「SPRE」が実験データーを
地上に送信したり、あるいは必要に応じて「SPRE」を経由して他の実験
モジュールを地上からパケット通信でコマンドする、ということも行われます。

 また、世界中の何箇所かに管制局が設置されており、それらは、インター
ネットでリアルタイムにリンクを張ります。中央管制局はアメリカのメリー
ランド大学にあり、スパルタンが中央管制局から見て可視範囲にないときでも、
このネットワークによってリアルタイムにスパルタンの各種実験の進行状況を
モニターできるわけです。

 パケット通信実験は、以下のような条件で行われます。
モード: FM、AFSK 1200bps パケット、unproto mode のみ
周波数: 145.55MHz シンプレックス
コールサイン: W3EAX、unproto のみ、コネクトは不可

[注意]
 145.55MHzは、JAではバンドプランによりFM波によるデーター通信が
できません。興味のある方は、受信だけでこの実験に参加することになります。

de JJ1WTK 坂本
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 73,de Kazu Sakamoto,JJ1WTK