まず大きなポイントは、「掘る」のではなく「探して歩き回る」ことが化石探しの第一歩だという点です。
そしてどうやら単なるモンゴル砂漠のローカルルールというわけでもなさそうです。
特に、ツアーで訪れたような「化石が出てくるのは分かっている」という土地では、
ただやみくもに掘って化石にぶちあたろうなどとも考えがちですが、実は間違いなのです。
自然の風化によって、その一部が地表に出てきている化石を見つける「作業」が大事です。
要は、「せまく深く」ではなく「広く浅く」探し、見つけてから初めて「掘る」のが正義です。
(などと偉そうに言ってますが、ツアー中の自分も「深く掘りたがる」タイプでした。
なんとなく、「あと少し土をかけばそこに化石があるかも」という根拠ナシ高揚感につき動かされてしまいました…。
頭で分かっていても体はなかなか…)
さてここで、モンゴルローカルかもしれないけれど、このツアーでの化石探しのなかで化石とまぎらわしくて、 興奮と落胆の立役者となったものをいくつかまとめてみました。
地中に半分埋まった状態でも、カギ針状の道具で引っかいたりたたいたりして、即座に判別します。
どうやら音やひっかいたときの感触で分かるみたいです。さすが。
モンゴル語で石のことを「チョロ」といいます。
地中から掘り出したものや、地中から一部がのぞいているものを見せて、化石かどうかをたずねます。
「チョロ」と言われると、さっきまでこわごわと扱っていたものの価値は急落。その場に捨てたり容赦なく乱暴に掘り起こしたりしたものです。
特に、すでに掘り出されていて、地中にないもののときの判定はすばやくて、一瞥しただけで結果が下るので、なかなかスリリングです。
また、こうした化石掘り職人のスタッフは「この地方から出る化石の種類」「この発掘ポイントの地層の年代(以前に見つかった化石からの概算)」
によってあらかじめある程度は、出てくる生物の種類を限定して頭に入れているようです。
さらに、フィールドノート(その地方で出たことのある化石のたくさんの図版のコピーを束ねたもの)も持っているので、化石の鑑定は迅速で迷いがありません。
見つけた化石がたとえ一部の破片でも、「何の」「どこの」骨なのかをすぐに判別します。
いやホント、専門家は違います。