ネイ・マトグロッソ/NEY MATOGROSO

裸同然の衣装でバリバリに化粧して女性のような高い声で歌うネイ。たいていの人はそのビジュアルに引いてしまい、彼の音楽をちゃんと聴けなくなっているようですが、彼の歌の魅力に一度気付いた人は熱烈なファンになってしまいます。

その上で彼のライブビデオなんか見ると、妥協を許さないパフォーマーとしての徹底した自己演出であることがわかります。もう老人と言ってもいい年齢になりつつあるというのに、枯れもしなけりゃ渋くもならない。そして歌は完璧。もう圧倒されるのみです。

ソロデビュー前のセコス&モリャードスの頃から、彼のレパートリーは古いサンバから、MPB、ラテン歌謡、タンゴ、ロックと幅広く、世界を取り込みながら強烈なブラジリダーヂを感じさせます。

Ney Matogrosso (CONTINENTAL)

1975年、セコス&モリャードスを脱退後に制作された、初ソロアルバム。この時点で今に繋がるネイのスタンスは、完成しています。初回プレスには、ミラノで録音したピアソラとの共演を収めたEPが同梱されていました。

Seu Tipo (WEA)

1979年のアルバム。セコス時代に録音したヴィニシウス作詞の「広島の薔薇」を再録。

Pescador de Perolas (PolyGram)

1987年のアルバム。それまでの派手ないでたちから一転、白のスーツにスッピンでステージに立った。ヴォラゥン、サックス、ピアノ、パーカッション。4人の演奏家だけをバックに、カルトーラ、ドリヴァウ・カイミ、アリ・バホーゾ、そして「ベサメ・ムーチョ」、ビゼーのアリアまで。

Olhos de Farol (PolyGram)

1999年作。10年近く、作家集やカバー曲集などプロジェクト的なアルバムを作ってきたネイが、久々に出したオリジナルアルバム。ペドロ・ルイス&パレヂのカバー以外はこのアルバムのためのオリジナル曲。中でも亡きカズーザの残した詞にフレジャーが歌詞を付けた「ポエマ」は感動的。

Um Brasileiro (PolyGram)

ネイが作らなくてどうする、シコ・ブアルキ集。1996年作。ゼ・ノゲイラ、リカルド・シルヴェイラ、ウィルソン・ダス・ネヴィスなど強者揃いのバンドはこれ以降のアルバムでも完璧なサウンドで、ネイの音楽を支えている。