マリア・ベターニャ / maria bethânia

どこか取っ付きにくい印象を持っている人も多いかも知れません。特に若い頃のものは、エキセントリックな面が強くて初めて聴く人にはちょっと刺激が強すぎるかも知れません。80年代に入ってからのものは、ぐっと落ち着いて、柔らかく包み込む母性のようなものを感じさせるようになり、どのアルバムもおすすめできます。

特にここ数年は、神がかってるんじゃないかと思える程の神々しさで、とんでもない世界に入っちゃってます。やっぱりこの人は巫女さんなんだ。

Ciclo (Plygram)

大ヒット作「ALIBE」のあと、少しぱっとしなかった時期があって心機一転取り組んだのが1983年のこのアルバム。数百の候補曲から選んだレパートリーをじっくりと歌っています。表題曲は、兄カエターノが初めて作曲したもの。詩は当時の語学の先生。モラエス・モレイラの「ポルトガルの夢を見た」は、ファド調の原曲をトニーニョ・オルタのギターだけをバックにぐっとテンポを落として語るように歌い感動的。他にアリ・バローゾ、ルピシニオ・ロドリゲスの古い曲から、ゴンザギーニャ、アンジェラ・ホホなどの曲まで幅広いレパートリーを歌っています。

Dezembros (RCA)

1987年の作品。僕がもっとも愛聴しているのがこのアルバム。冒頭ジョビンの「黄金の歳月」から、最後のミルトンの「歌と瞬間」まで、完璧な歌を聴かせてくれる。それでいて、聴く側は決して緊張することなく暖かさに包まれて至福の時間を過ごすことができる。

A Força que Nunca Seca (BMG)

ハッキリ言ってただ事じゃないです。歌の女神が降臨してきたかと思わせるほど。これほどの存在感と透明感と広がりと暖かさと....あぁ、もう何でもありです。