スイス旅行(2002年8月)

   ユンクフラウ

 スイスへは初めての旅行でした。アルプス(同パノラマ表示[表示に時間がかかります])を目にすることと、若干の語学学習をもくろんでいたんですが、語学の方はまるでダメでした。僕は一応、大学でドイツ文学を専攻していたので、ドイツ語の単語は分かる方なのですが、それを口に出して発音されてみるとまるで分かりません。英語も同じような状況ですが、耳が慣れている分、少しは英語の方が分かりやすいかな、ということが分かっただけで、駅で切符を買うときも、最初はドイツ語を使ったのですが、そのうち、面倒になってもっぱら英語になりました。スイスの人たちは誰でも英語が分かる、という訳ではありませんが、観光客を相手にする部署の人たちは流暢なもので、こちらもその方が少しは分かりやすいので、ついそうなりました。
  スイスで使われている言葉は ドイツ語・フランス語・イタリア語 です。7割がドイツ語圏だと言われていますから、ドイツ語がメインだと考えていいのですが、地方によってはフランス語やイタリア語がメインになる、ということでしょう。そういう点で、語学を試してみたい人には便利な国ともいえます。
  二週間程度の滞在で、スイスという国の上っ面を少し眺めただけですが、こんな短い滞在でもスイスの人たちが「ゆったりと生活している(自足している)」 ことをかなり感じました。住居の広さ(特に庭)もあるのですが、買い物をしても応対がどこかゆったりとしているのです。日本ではお客様は神様、少しでも多くかってもらう努力をしていますが、「少しでもたくさん」という意識があまり感じられず(ぞんざいと言うのとは,全く違います)、「買ってくれてありがとう」みたいな感じで、皆さん笑顔が素敵でした。それに比べて、というと何ですが、グリンデルバルトで登山用のストックを買った店にいた「日本人店員」は旅行者を見下したような口をきいて、不愉快でしたね。向こうで仕事をしていれば言葉ができるのは当たり前で、そんなには自慢にはならないと思いますが、何故か横柄でしたね。たまたま入った店でしたが、外に「日本人店員がいる」旨の掲示が出ていました。無論これも人によるでしょうが、何故あんな店員を雇っておくのか、僕には不思議でした。
  花で飾った家それはそうと、スイスでは「庭やベランダには花を飾ること」が住民に義務づけられているそうで、どこに行っても花が花で飾った家たくさん飾ってあります。
















手入れが大変だろうな、とこちらが心配するくらい、本当にどの家も花をきれいに飾っています。(僕は花の名前には詳しくないので何の花かは分かりませんが、同行した連れ合いは、ゼラニウムが多い、と言っています。)
 
行程は

   NARITA - ZURICH - WINTERTHUR(二泊)-APPENZELL(一泊)-MAIENFELD(二泊)-
        GRINDELWALD(7泊)-GENEVE(一泊)-NARITA

  でした。天候に恵まれ、雨はGRINDELWALDで二回降られただけで、車でのアルプス越えの時も、ユンクフラウに行ったときも快晴で、実にラッキー。山国に行って山に行かない法はない、とばかり、ロープウエイを利用しながらの山歩きをふんだんにした旅行で、山を歩けばそこは牧場、牧場には牛がいて、という具合。カウベル(結構うるさいです)を聞きながら、花とアルプスの眺めを堪能した旅行でした。

  APPENZELL    

 アッペんツェルの町   教会を中心において町を作っていることが一目で分かるほどの小さな町です。名所がある
アッペンツェルの家        
 庭の白雪姫

わけでもなく、「古い小さな町」というだけですが、どこか風情がよくて、心が休まります。道をぶらつきながら家の作りや庭を見て歩いていたら、「白雪姫」の情景を庭にセットした家を見つけました。余裕と遊び心でしょう。銘柄は忘れましたが、ここで飲んだワインが旅行中で一番おいしかったです。








 MAIENFELD    

  ハイジ記念館「ハイジの里」です。スイスの片田舎と言っていいでしょうね。小さな町で、少し歩くとブドウ畑が一面に広がっています。町からハイジ記念館(民俗資料館のようなもので、古い生活用品が展示、というより、生活そのもののように置かれています。徹底性か凝り性かは分かりませんが、台所の食器棚の引き出しをあけてみると、今でもふつうに生活しているかのようにフォークなどが入れられていました。)とハイジの家(オリジナル)を結んで「ハイジの道(HEIDI WEG)」が作られています。

ハイジの道 ハイジの道 ハイジの道


ハイジ記念館内部ハイジ記念館内部      










「ハイジの家」は山の中腹にあり、牧場=お花畑になっています。隣町を経由して戻るルートは歩いてほぼ半日かかります。

ハイジの家(オリジナル)通りを行く牛                                                        
町に何かのためにつれてこられた牛が、夕方になると自分で山の方に歩いていくのを見ました。スイスらしい、というか、ハイジの里らしいというか、ユーモラスな情景でした。
  絵飾りのある消火栓                                                           
また、隣町で模様を描いた消火栓を見ました。こういう遊び心兼装飾好きは国民性なのでしょうね。











  アルプス越え   


    フルカ峠からの眺め                                                                                ほとんどは舗装された道ですが、道幅を広げるのか、工事中のところもありました。眺めはフルカ峠(標高2436米)からが一番いいでしょうね。グリムゼル峠には湖がありますが、特におもしろいとは思わなかったですね。






 アルプスへ行く途中の小さな町MAIENFELDからGRINDELWALDまで半日がかりのドライブでしたが、途中には5分で抜けてしまうような小さな町や、結構道幅の狭いところや、いろは坂のようなカーブの連続する箇所などがありますが、別に運転が難しいと言うことはありません。驚いたのは、結構ライダーが多く、年齢も多様だということ(バイクは車を抜いていきますが、運転マナーはいいですね)、それと自転車でアルプスを登っていく人が結構いたことです。車でもロウギアを使わないと登れないような傾斜を自転車で登るのですから大した体力です。チューリッヒでも自転車レースの大会に出くわしましたが、電車にも自転車を載せるスペースが確保してあるなど、サイクリングはスイスの人たちの国民的な余暇なアルプス越えの狭い道んでしょうね。

アルプス越えのライダー











アルプス越えのバイカーチューリヒのバイカー













 GRINDELWALD  
シャーレーの庭
 シャーレーの写真    

   アイガーやユンクフラウへの基地のような町です。日本人観光客も多いらしく、「日本語できます」という店も数軒あり、また日本語表記も多く使われています。私たちは隣駅のGRUNDに近いCHALETを借りました。隣駅と言っても歩いて15分くらいですが、店が集中しているGRINDELWALDの方が高みにあり、毎日、食事や買い物や外出に駅まで行くのに、結構急な坂を登りました。スイスは山国ですからどこに行っても坂は多いのですが、ここはアイガーの山の麓、標高千米くらいのところですから坂があるのは当たり前なんでしょう。CHALETはグリンデルワルト日本語観光案内所を通して借りました。一週間で九万円程度で、駅のそばに生協もあり自炊すれば安上がりです。シャーレーの一階部分(居間、寝室、台シャーレーからのアイガー所、風呂場)を貸してもらったのですが、庭に出るとすぐ目の前にアイガー(3970米)が聳えていて、アイガーの麓という形容がぴったりな町です。夜8時頃から夕焼けが始まり、8時半過ぎには暗くなります。その「夕焼け」の山の美しさにはいい知れないものがあります。レストランのテラスでワインを飲みながらそういう山を見て過ごすために来ている人も多いようで、10時を過ぎるとそういうレストランも閉まってしまいます。ここはそういう町です。















BRIENZ ROTHORN 鉄道   

   ユンクフラウに出かけるつもりで朝、外に出てみると曇り空、これはダメだと思って急遽行き先を変更、山岳鉄道で有名なロートホルンに出かけました。GRINDELWALDからINTERLAKENに出て、そこからBRIENZ,BRIENZの駅を出るとすぐそばにROTHORN鉄道の駅があります。
 ロートホルン鉄道の列車遊園地の鉄道みたいな感じの作りの鉄道ですが、何と1892年から蒸気を吐きながら走っているとは驚きです。(日本では1891年に上野−青森間が全通しています)作ったのが100年以上前のことですから、線路幅も狭く、またトンネルを抜けるときは手を伸ばせばトンネルの壁に触れそうなくらいギリギリの作り方ですが、それが逆に風情というか味わいになっていて、乗っているだけで楽しめる列車です。ブリエンツを出発すると間もなく、森の中に入り、
 カーブする列車
ロートホルン鉄道カーブを繰り返して徐々に高度を上げていきます。(高度差1678米、傾斜は25%、と同鉄道のHPに記載されています。)後はトンネルに入ったり、出たりしているうちに頂上駅に着くのですが、途中駅は一カ所(PLANALP)で、頂上駅からそこまで下るのに二時間近くかかります。
私たちが行った日は曇っていて頂上からの景色もよくありませんでしたが、晴れているとブリエンツ湖もよく見え、眺めは良さそうです。頂上ですでにぽつぽつと雨が降るような降らないような雲行きでしたが、途中駅まで歩いてみました。ここは山全体が牧場になっているようで、プランアルプロートホルンの牛

ロートホルン鉄道糞にまみれた道を下っていくだけで特におもしろいコースではありませんが、走っている列車を眺められるのがメリットでしょう。結局この日は、プランアルプまであと15分くらい、というところで雷、その後すぐかなり激しい雨に降られました。プランアルプ駅で下り列車を待っていると、頂上駅から来る列車がすべて満杯で、いつ乗れるのかと心配になりましたが、雨が降り出してすぐ増発したようで、それほど待たずに列車に乗れました。(行きは幌がなかったのですが、雨中を走るときは幌をかけていました。当然、ですか。でも、濡れて寒かったので、手配の早さには感心しました。)


 ユンクフラウヨッホ  

   ユンクフラウ鉄道                                                      ヨッホ(JOCH)というのは「鞍部」のことです。ここまで鉄道で来られます。前日は雨だったので、どうかな、と懸念があったのですが、当日行ってみると快晴でした。GRINDELWALDからKLEINE SHEIDEGGまではグリンデルワルト鉄道、クライネシャデックでユンクフラウ鉄道に乗り換えます(切符は通しで買えます)。片道二時間強。ユンクフラウ鉄道では途中で二カ所の展望駅があり、ガラス越しに景色が見えます。ここまで来るとかなり寒く、半袖ではとてももたないので、長袖のジャケットを着ました。終点がユンクフラウヨッホ駅、標高3454米、ヨーロッパの最高点(TOP OF EUROPE)です。駅の構内に展望タワー(スフィンクス、と名付けられています)があり、そこに行って終わる人もいるようですが、折角ここまで来たのですから、雪の上を歩いてレストラン(山小屋)まで行くべきだと思います。
 ユンクフラウ一面の雪原ですが、道は固めてあって滑ることもほとんどありません。ただ、標高が高いユンクフラウの反対側      

ので、リュックをしょって雪道を歩く(正確には、登る、です。勾配はそれほどありませんが、標高差は150米ほどあります)のは結構疲れました。休まず歩けば40分弱でしょうが、写真撮影をかねて休憩を二度もとりました。でもこの道からはユンクフラウがその姿をはっきりと見せ、犬ぞりなどの商売気も面白く、やはり「来た甲斐があった」という気がします。FAULHORNからもユンクフラウは見えましたが、ジュンクフラウ(犬ぞり)やはり遠くで見るのと、目の当たりにして見るのとでは感激が違いますね。ユンクフラウは標高4158米、高さではFINSTERAARHORN(4274米)に次ぎますが、アイガーと並んでこのあたりの看板の山ですからやはり一見の価値はあるだろうと思います。レストランで食べたSUPPE,野菜とソーセージが入った簡単なものですがおいしかったですよ。帰りはEIGARGLETCHERで下車、クライネシャイデックまで牧場の中を40分ほど歩きました。八月の下旬ですから花はもう終わっていましたが、7月なら満開の花の中でアイガーの絶壁ぶりなど山の景色が見られる良いコースでしょう。

   アイガークレッチャーからの道の眺め














 

フィルスト
(FIRST)
  

 フィルスト頂上駅グリンデルバルトのメインストリートを15分弱歩くと、フィルストのゴンドラの乗り場に出ま
す。フィルストの頂上駅(2168米)までに、BORD,SCHRECKFELDの二カ所の中間駅がありますが、夏はSCHRECKFELD(1955米)だけが利用可能なようです。







 フィルストからの道頂上駅からBACHALPSEE(標高2265米)まで、広い遊歩道が整備されており、植物
は説明の掲示板がついているものもあります。ゆっくり歩いて約一時間でしょう。BACHALPSEEからFAULHORN(2686米)まで登りで一時間半、かなりきつい傾斜もありますが、思ったほどには疲れませんでした。FAULHORNの頂上(山小屋とレストランがあります)からはFINSTERAARHORN(4274米)、JUNGFRAU(4158米)が眺望でき、僕らが行った日はよく晴れていて、午後三時くらいに着いたときもまだ雲が少なく、見晴らし(スライド5枚)は良好でした。下りは一時間もかからずにBACHALPSEEまで降りバッハアルプゼーてきました。FIRST頂上駅6時の最終ゴンドラに間に合うよう急いだのですが、FAULHORNを3:50に出、FIRST頂上駅に 5:15に着きましたから、まだ余裕がありましたね。頂上からGRINDELWALDまで歩道が整備されていて、歩く気力と体力があれば歩けますが、最初からそのつもりで朝早く出かけておかないと時間的に厳しいでしょうね。

山の花掲示


 WINTERTHUR

    ホテル代も高く、バスのある手頃な宿が少ないチューリッヒを避けて泊まった所で、チューリッヒから鉄道で15分くらいです。「芸術と工業の町」と言われる、こぢんまりした町で、僕らはここで美術館を二つ見て過ごしました。少し町はずれにあるレーマーホルツ美術館は道が分かりづらく、同じ所を何度か行ったり来たりしましたが、親切な老人が車から英語で声をかけてくれ、道を教えてくれました。礼を言ってその方向に歩いていたら、その老人が車をUターンして追いかけてきて、「坂道だから乗せていってあげよう」と言って美術館まで案内してくれました。実はその人が最初に連れて行ってくれたところは精神病院で、「あっ、ここは違う」と言って少し走り、今度は正しく、目的の美術館の前に停めてくれました。僕らがスイスの人の親切に触れた最初の出来事です。ヴィンテルチューアに着いたのが日曜日で、翌日の月曜日、ホテルの裏の通りで「朝市」をやっていました。魚、野菜、花など、車で農家の人が売りに来ていたようです。

 朝市   朝市ー野菜     朝市ー魚


  GENEVE

    大噴水最後に泊まった町です。駅の周辺など、少し薄汚れたところもあり、レマン湖の大噴水以花時計外は特に見所はなかったですね。もっとも、過ごしたのが半日で時間がなかったこともあり、湖畔とその近くの公園(イギリス公園の花時計が有名です)と町のぶらぶら歩きだけの印象です。GENEVEの発音についてガイドブックに「ジニーバと言えば通じる」とありますが、それはその通り
                        で、英語で発音すると「ジ
ニーバ」、フランス語だと「ジュネーブ」、ドイツ語だと「ゲンフ」です。



      スイス小話

 ○トイレ表示

        トイレ表示
 
 PFINGSTEGGロ−プウェイの終着駅で見たもの。スイスの人たちの「遊び心」でしょう。

 





  ○スーパーなどでのカートは錠で連結されています。二フランを入れると錠がはずれて使え、カートを返すときに錠をさしてつなぐと二フラン戻ってきます。こういうやり方は初めてでした。

 ○窓の開閉。
窓のハンドル独特の蝶番が使われていて、縦に上が少し開くのと、普通に横に開くのと両方が可能です。窓のハンドルを立てたり、横にしたりで調節しています。冬は寒く、そういう中で空気の入れ換えをする必要などからくる細工でしょう。

 





 ○野菜のばら売り。スーパーで野菜や果物をバラで買うときは、備え付けの秤にそ れを載せ、その野菜(果物)の番号を入力すると値段シールが出てきます。それを野菜(果物)を入れたビニール袋に貼ってからレジのところに行きます。最初は分からなくてまごつきました。でも、列の後ろの人が文句も言わずに作業を済ませて戻ってくるのを待ってくれていました。公共の場でのマナーがいいですね。

 ○都市部を除けば、交通信号はほとんどありません。交差点はイギリスのROUND-ABOUTと同じく、左から来る車が優先、というルールだけで円滑に流れています。高速道路でも料金はかかりません。高い料金を取る日本が異常(普通でな い)なんでしょうね。踏切には必ず交通信号がついていて、青なら一時停止せずに渡ります。(信号が青でも、踏切手前で必ず一旦停止を強いる日本のやり方は、日本の人にはごく当たり前のことですが、考えてみれば不合理ですね。)

 乾しわら車○冬に備えた干し草作りが夏の大きな仕事のようです。コンバインで草を刈り、それを専用の車でローラーのように丸めていって大きな束を作り、白いビニール袋をかぶせて置いておくようです。この白いビニール袋に入った干し草はよく見かけました。
    
 ○MAIENFELDで泊まったGASTHAUSの朝食に、パン・ジャム・ハム・チーズが出されました。ナイフはありますが、フォークがありません。ナイフで食べる訳にもいかないし、と思案してフォークを出してもらいました。でも、次の日も同じです。そこで、はた、と気がついたのは、チーズとハムはパンに挟んで食べるのです。FURKA峠での昼食もそうでしたから、スイスではサンドウィッチが普通の食べ方なんでしょうね。

  ○INTERLAKENのお薦めの店
                                           木彫り彫刻

   ANDRE LUYTEN

Hoheweg 133 CH-3800 Interlaken
phone 41-33-822-49-21
email luyten.interlaken@bluewin.ch

インターラーケンヴェスト駅からオスト駅に向かうヘーエベーク沿い
の大きなホテル(Victoria-Jungfrau)の先にあります。オルゴール・温度計・木彫り彫刻など、スイスの民芸品が揃っています。「日本語できます」の看板は出ていませんが、マダムは流暢な日本語を操り、親しみやすい人でした。他の店も覗きましたが、いかにも「お土産」という感じのものが多く、買う気がしませんでしたが、ここはスイスの家でも飾れそうな物を置いていたので逆にたくさん買い込みました。