MY AIM IS TRUE (DPAM1)
  • track listing---welcome to the working week/miracle man/no dancing/blame it on cain/alison/sneaky feeling/(the angel wana wear my) red shoes/less than zero/mystery dance/pay it back/i'm not angry/wainting for the end of the world
  • bonus track---watching the detectives/radio sweet heart/stranger in the house/imagination (is a powerful reciever)/mystery danse/cheap reward/jump up/wave a white flag/blame it on cain/poison moon


     1977年発表のエルヴィス・コステロのあまりにも有名な、記念すべきデビュー・アルバム。パンクの文脈で語られることの多い彼のデビュー作だが、今聴くとパンクというのはあまり感じない。どちらかというと、英国の伝統に根ざしたビート・ロックとほのかなロカビリー・カントリー臭が僕には感じられるんだけど。ただ、歌詞に関してはたしかに、パンク、というかひねくれたところがある。とくに「BLAME IT ON CAIN」の「俺を責めるな、ケインを責めろ。ホントは誰のせいでもないんだけど。でも俺達、誰か火炙りにする奴が必要なのさ」とか「LESS THAN ZERO」の「なにもかもがゼロ以下の世の中じゃんか」というラインなんかは、そのひねくれ根性が爆裂している。後にコステロは、「初期のアルバムには、世間で言う「軟弱」だとか、「負け犬」的な要素をたっぷり盛り込んだんだけど、それってパロディみたいなもんで、僕自身にとっては笑える部分が多かったんだ」なんて言っているが、たとえパロディだとしてもここまでいってくれると、ちょっと嬉しい。今作には、当人気投票でもダントツの人気を誇る名曲「ALISON」も収録。確か僕はワーナー以前の彼にはこれで入門しました。バックについてるのはまだATTRACTIONSではなく、急遽呼び寄せられた、後に「ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース」になることになるクローヴァーズ。そのため、バンド・サウンドがこのアルバムでは確立されてない。しかしだからこそ、このアルバムでは等身大の「素材としてのコステロ」が光輝いている。



    THIS YEAR'S MODEL (DPAM2)
  • track listing---no action/this year's girl/the beat/pump it up/little triggers/you belong to me/hand in hand/(i don't wana go to) chelsea/lip service/living in paradaise/lipstick vougue/night rally
  • bonus track---radio radio/big tears/crawling to the U.S.A./running out of angels/greenshirt/big boys


     前のアルバムは急造のバック・バンドで録られたものだけに、バンド・サウンドは確立されておらず、アンサンブルという点では取り立ててどうこう言えるレベルではなかった(もちろんだからこそ、デビュー作にふさわしく、素のコステロが写し出されていたのだが)が、このアルバムは違う。番号的に後になるから、ここではまだ紹介していないが、「LIVE AT ELMO CAMBO」というライヴ・(ミニ)アルバムもほぼ同時期に録音されている。つまり、それだけライヴをこなして、バンドのサウンドが確立していった時期なんだと思う。ファンの中で鳴っている「ELVIS COSTELLO&THE ATTRACTIONS」の音とは、つまりはこのアルバムの音である。本人は否定していたが、サウンドのヴォキャブラリーがこのアルバムと似ている(曲がある)「BRUTAL YOUTH」と、その時のツアーでこのアルバムの曲から9曲演奏したため、「原点回帰」と騒がれたのもそういうことである。1曲目の「NO ACTION」から、とにかく突っ走る。疾走感あふれるビートに、独特の虚無感を湛えた白目をむいたようなキーボード。サウンドはほぼ完成の域に達している。歌詞はひねくれから更に進み、底意地わりーと感じさせる所まで行っている。コステロの声も、最近の慈しみあふれる味わいとは違い、本当に意気地が悪そうに響いている。ちょっとゴダールなんかの佇まいに似てるかも(顔も似てないですか?)。一般的なそれのイメージとはだいぶ違うが、やはりコステロ史の中では一番パンクなアルバムだろう。コステロはこのセカンド・アルバムでひとつの完成を見た「コステロ・スタイル」を、次作からはやくも(時折回帰を交えつつ)解体していくことになる。



    ARMED FORCES (DPAM3)
  • track listing---accidents will happen/senior service/oliver's army/big boys/green shirt/party girl/goon squad/busy bodys/sunday's best/moods for moderns/chemistry class/two little hitlers/(what's so funny 'bout) prace,love&understonding
  • bonus track---my funny valentine/tiny steps/clean money/talking in the dark/wednesday week/accidents will happen(live)/alison(live)/watching the detectives(live)


     前作がPunkなら、今作はNew Wave。そう言い切ることが、このアルバムの性格を一番的確に、とはいわないまでも、一番飲み込みやすく表現しているのではないだろうか。このアルバムが出た1979年は、まさにNew Wave真っ盛り。そんな時代背景をもろにひっかぶったアルバムだ。というより、サウンド・ヴォキャブラリーを「わざと」New Waveの方に近づけたアルバム、と言った方が正しいかもしれない。もともと、そのような時代認識と自己の表現との鋭敏なバランス感覚を兼ね備えていたのだ、コステロは。言うなれば、自己の固まってきた音楽性を、当時の音楽的な動向にあわせて解体してみた、と言えるのでは。
     このアルバムには、「armed forces」というタイトルにふさわしく、軍隊に言及された歌詞が目に付く。とは言っても、決して直情的なものではなく、どちらかといえば「せせら笑ってる」ような感じ。特に「oliver's army」にそれは顕著。ちなみに、このアルバムのワーキング・タイトルは「emotional fascism」だった。そんな風にひねくれてたくせに、最後に「What's so funny 'bout Peace,Love & Understanding?」とマジにくるんだもんなぁ。しかも、nick lowe(正確にはbrinsley schwarts)のカヴァーで。とんでもないひねくれ者だよね、まったく。
     先程、「New Wave」的サウンド・ヴォキャブラリーに彩どられている、と説明したが、それはリズム・アレンジによるところが大きい。コステロの他のアルバムではあまり見られない、複雑なリズムで遊ぶ姿がとても印象に残る。ちなみに最新作で復活した「elvis coetello & the attractions」名義はこのアルバムから。もう一個ちなみに「oliver's army」はblurに、「two little hitlers」はtodd rundgrenにそれぞれカヴァーされました。



    GET HAPPY!! (DPAM5)
  • track listing---love for tender/opportunity/the imposter/secondary modern/king horse/possession/men called uncle/clowntime is over/new amsterdam/high fidelity/i can't stop for falling down/black & white world/5ve gears in reverse/b movie/motel matches/human touch/beaten to the punch/temptation/i stand accused/riot act
  • bonus track---girls talk/clown time is over no. 2/getting mighty crowded/so young/just a memory/hoover factory/ghost train/dr. luther's assistant/black & white world/riot act


     Armed ForcesではNWを大々的に活用したコステロ。その次作にあたる本作では、「180度」としか言えないような超大胆なターンを実行、なんとMotownやStaxなんかを参照したR&B/Soulスタイルに衣替えした。しかも結果がまた最高!正直に言うと、Armed Forcesなんかは一時期に比べると、いつの間にかあまり聴かなくなってしまっていたが(聴く度に「やっぱ、いいな」とは思うのだけど)、こいつは多分死ぬまで週一くらいで聴くと思う。スタイルと音の質感がベーシックというか、もともと古いというか、とにかく「時の裁判」もなんのその、「うわ、こりゃ今聴くと寒いな〜」なんて思わせるような部分は微塵もないし、おまけに曲は、大量に収録されているくせに全曲(「20曲」の意)粒よりで珠玉のポップ。パンク/パブロック通過者らしく、やけに足腰の軽いリズム隊。小学生の頃教室にあったような、値段が安そうなオルガンの音色。エモーショナルにシャウトもするが、決して重厚さは感じさせない、軽みに徹し切ったようなコステロのヴォーカル。それら全てが一体となって懸命に叩き出している、どっか人をなめたような軽妙さは、マジで聴いてて楽しくって仕方がない。しかし、こんなにスタンダードなスタイルでやってても、何故か正面切ってるような感じがしないんだよなぁ、この頃のコステロは。確実に斜めから、それもたぶん後ろ斜めから眺めてニヤニヤしてるような感じ。
     このアルバムは、発表された当時のアナログでは、ジャケ裏の曲クレジットがAB面逆で印刷されていた。最近リイシューされたCDでも、曲が逆順に印刷されている。そんな執拗に繰り返されるコステロのイタズラの中に、このアルバムに託された彼の狙いが何となく透けて見えてくるような気がする。言うなれば、そう、コステロ版ソウル・ジュークボックス!!これは、各曲が全体として一つの流れを奏でる「作品」であると同時に、たまらなく人をワクワクさせるようなシングルの「オムニバス」でもあるのだ。Love For Tenderから聴き始めるも良し。I can't stand up for falling downだけ聴いて止めるも良し。そんな佇まいも、このアルバムをより一層、魅力的なものにしている要素の一つ。さぁ、今すぐこれをプレイヤーに放りこんで、Now,Get Happy!!(←お約束)