CANADA

ポール・スポング博士とオルカラボ

オルカラボ

 1970年、ポール・スポング博士はオルカの生活を脅かすことなく研究活動を行うために、ジョンストン海峡に浮かぶ無人島・ハンソン島にORCALAB(オルカラボ)を建設しました。オルカラボは、ジョンストン海峡周辺に暮らすオルカの活動を記録、研究するための拠点であるとともに、博士一家の住まいでもあります。

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ORCALAB Web Site
オルカラボのオフィシャルWebサイト

MapleTours
毎夏日本からのオルカウォッチングと
オルカラボ体験ツアーを行っている
東京の旅行社。
スポング博士からの信頼も厚く、
このツアーでのオルカラボ体験訪問自体が
ラボへの支援につながる。

ラボの役割

 ラボの活動目的は、オルカ社会の探求と彼らの生活環境の保護です。博士は、自身の活動がオルカの生活をおびやかすことを避けるため、決してボートでオルカを追い回すようなことはせず、ジョンストン海峡各所に設置されたハイドロフォンによる音声のモニタリングと、スコープによるオルカの行動記録を基本とした研究を行っています。24時間体制で収集されるこれらのデータはコンピュータにより分類、解析され、個体間の音声の違いや、音声と行動との対応が分析します。 また、1995年よりビデオ機材が導入され、映像によるオルカの水中、水上でのモニタリングも開始されました。

 
ビデオモニタリング

 1995年夏より、オルカラボはクレイクロフト島にあるオルカ観察ステーションに水中/水上ビデオカメラを設置し、音声のみならずビデオ映像によるオルカのモニタリングを開始しました。ここにお目にかけるのは、1995年から1996年夏にかけてのハイライトシーンの一部です。このシステムをインターネットに接続し、ジョンストン海峡の「今」をリアルタイムで世界に発信することがスポング博士の夢でしたが、2000年夏、日本の有志の手によりORCALIVEという形で実現しています。
(Copyright: Dr.Paul Spong 1995,1996 )

A42 "Holly"1995/8月撮影
(MPEG 363KB / 32K Colors )

この映像から、彼女が妊娠していることがわかった。


A25 "Sharky"1996/7月撮影
(MPEG 274KB / 32K Colors )

彼女は、そのサメのような背鰭から
"Sharky"と呼ばれている。


I15 "Liska" 1996/7月撮影
(MPEG 183KB / 32K Colors )

I15サブポッドの女族長。


I15 "Liska" 1996/7月撮影
(MPEG 819KB / 32K Colors )

水上カメラの間近に姿を見せたI15。



 近年世界的にクジラへの関心が高まり、ジョンストン海峡にもオルカの姿を一目見ようと多くの人が訪れるようになりました。人々が自然と関わることは非常に意義深いことですが、ホエールウォッチャーの増加は、海中のノイズなど、オルカの生活を脅かす一因として無視できません。一方、近年通信・映像分野のテクノロジーの発達はめざましく、私たちは家にいながら世界の様子を手に取るように知ることが出来るようになりました。ジョンストン海峡のオルカの生活をリアルタイムで世界に伝えるシステムを作りあげれば、人々は彼らの生活環境を脅かすことなく、自然界との絆を認識することができるのではないかとスポング博士は考えています。

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OSS Web Site

Tomokoさんのページ
ハンソン島日記

ボランティア・アシスタント

 こうしたオルカ研究には多くの人手が必要であり、オルカラボでは毎年ボランティア・アシスタントを募集しています。オルカがやってくる夏の間、世界中からやってきたボランティアが博士の元で研究の手助けを行っています。日本からも、OSS ( Orcalab Support Society )の紹介により毎年数名のアシスタントがオルカラボで生活しています。

オルカラボでのアシスタントに関心がある方はOSSにお問い合わせください。アシスタント以外にもさまざまな形でオルカラボの活動をサポートすることができます。
また、アシスタントとしての経験が長いTomokoさんもご自分のWebページ上で、アシスタント生活やアシスタントに興味がある人に向けた情報を提供しています。
 

Paul Spong Ph.D.

 1939年ニュージーランド生まれ。オークランド大学大学院で心理博士課程を終了後、アメリカ・カリフォルニア大学(UCLA)大学院でクジラ類の脳の心理学機能と行動の関係を学び、博士課程を終える。
 バンクーバー水族館で飼育下におけるオルカの視力と聴覚の研究にはいるが、研究を進めるうちに、オルカの能力に驚かされるとともに彼等を閉鎖環境下に置いた研究のありかたに疑問を抱き始め、水族館を退職。1970年、バンクーバー島内海、ハンソン島にオルカの野外研究基地「オルカラボ」を設立し、野生オルカの年間を通じた生態研究活動にはいる。
 1993年、OSSの招きにより来日し、「クジラの心・シンポジウム」などの講演活動を展開。1994年春にもアイサーチ・ジャパン主催、「第4回国際イルカ・クジラ会議」参加のために来日。1996年5月、OSSの主催により写真家水口博也氏との対談・「クジラの心Part2」、1997年5月、龍村仁氏らとの対談を行うなど、精力的な講演活動を展開。代表的な著作として、J・マッキンタイアー編「クジラの心」(平凡社刊)への執筆など。NHK制作の特番やTBS系「どうぶつ奇想天外」など、TV番組やCMへの出演も多数。

 

写真、図版:全て(C)Yoshi NAGATSUKA 1996-1998