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ジョンストン海峡のオルカ
サケを追うオルカ カナダ・ブリティッシュコロンビア州沿岸に暮らすオルカは、一般にレジデントと呼ばれる定住性のオルカです。外洋を回遊し、アザラシやイルカ、クジラを補食するトランジェント(移動性のオルカ)と異なり、彼らレジデントは専ら、沿岸部を季節とともに移動するサケを追って暮らしています。6月の終わり頃、産卵のために故郷の川へと遡上してくるサケがジョンストン海峡付近に移動してくる頃、オルカもまた姿を現します。 バンクーバー島周辺のレジデント レジデントはその行動域から、ジョンストン海峡を中心としたバンクーバー島の北部海域に棲息する“ノーザンレジデンツ”、そしてアメリカ・ワシントン州ピュージェット湾を中心とした南部海域に棲息する”サザンレジデンツ”の2つに分類されています。この2つのコミュニティーはバンクーバー島中心部を境にそれぞれ生活し互いの海域を訪れ交流することはあまりありません。 個体識別 レジデントのオルカは多くの研究者たちの努力によって全て個体識別され、年齢や家族関係などが明らかにされています。個体識別の指標となるのは、背びれの形状とその後ろのサドルパッチと呼ばれる白または灰色の模様です。オルカの背びれは雌雄で大きさが異なる(成獣の場合)だけでなく、形や切れ込みの有無は個体によって千差万別です。識別されたオルカにはアルファベットと数字を組み合わせたID番号がつけられ、家族ごとに分類された家系図はカナダの一般の書店でも手に入れることが出来ます。 オルカの社会 20年以上にわたる個体識別調査により、オルカの社会は”ポッド”と呼ばれる家族群で構成されていることが分かってきました。ポッドはさらに数頭からなるより近い母子関係のグループである”サブポッド”に分かれ、サブポッドは常に行動をともにしています。オルカの社会は母親を中心とした母系社会で、子供は成長しても母親の元にとどまり、その家族は強い絆で結ばれているのです。
コール(鳴き声) オルカが発するコール(鳴き声)のパターンは、彼等の社会の最小単位であるポッド、サブポッドごとにユニークであり、親から子へ代々継承されていることが知られています。似通ったコールを持つポッド同士は血縁関係にあると考えられており、ブリティッシュコロンビア州沿岸のレジデントのポッドは、さらに大きなグループ−A,G,Rという3つのクラン(氏族)−に分類されています。ここに、いくつかのコールの例を示します。それぞれの違いを聞き分けて下さい。
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