1999年 再び静岡県伊東市で行われたイルカ漁
(1999年10月)

1999年10月13日から14日にかけて、静岡県伊東市、富戸にて行われたバンドウイルカ漁を記録したビデオ映像が、以下のサイトにアップロードされています。2000年以後こうした漁は行われなくなりましたが、楽しげな水族館のイルカショウが何の上に成立しているのかは、イルカに関心を持つ者ならば、ぜひとも直視し考える必要があります。

このイルカ漁は本来食用を目的としたものですが、同時に都市圏の水族館へのイルカ供給源でもあります。
捕獲されたイルカの中には人工環境に適応し天寿を全うする者もいますが、多くは数年以内に死んでしまいます。水族館だけでの繁殖にも限度があり、定期的に野生から補充する必要があるのです。

このときの漁では、食用の屠殺に先だって、水族館向けの捕獲がまず行われました。
水族館のスタッフたちは、若く、体表に傷痕の少ないイルカをまず選んで捕獲を試みます。しかし、中には人間に無理矢理押さえつけられるストレスのため、捕獲したその場で死んでしまうイルカもいます。水族館のスタッフたちは、彼らの手中で死んで行くイルカに、何を思いながら作業を行っていたのでしょうか。彼らも、元々はイルカを愛する者であったはずです。結局、水族館向けとして捕らえられたイルカ4頭のうち、2頭が捕獲直後に死に、食用として解体されました。
水族館向けの捕獲が済むと、残された仲間や家族は食用として殺されます。

わが国は世界有数の水族館保有国です。そして、多くの施設が、一定の集客力を見込めるイルカを導入しようとします。多くの観客も、水族館のつきものとしてイルカショウを求めます。
水族館のイルカショウが、一般の人々のイルカや海の動物に対する関心や環境意識の向上に役立つのだという考えもあります。しかし、わが国の市民の、海や海の生物、地球環境に対する見識の高さが、水族館の数や、イルカを犠牲にするにふさわしいレベルであるか否かは、議論の余地があるでしょう。

●富戸イルカ漁の記録(イルカ・クジラ・アクションネットワーク)
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