第7章 電源

直流電源を用いる場合、商用交流の50[Hz]または60[Hz]を電源変圧器で適当な電圧におとして、 整流器、フィルタ(平滑回路)、定電圧回路などを用いて直流に変換する。 このような、交流から直流を得る装置を整流電源という。

整流電源の構成

• 電源変圧器
  AC100[V}または220[V](50[Hz]または60[Hz])の商用交流を、適当な電圧とする。 損失の少ないものを使用しないと、負荷電流の大小により、直流電圧の変動が大きくなる。
• 整流器
  電流を一方向だけに流す弁作用をもつ。普通シリコンダイオードを使用する。
• フィルタ(平滑回路)
  整流出力のうちの脈流分を取り去り、完全な(脈動分のない)直流電圧を取り出す。

リプル率と電圧変動率

• リプル率
  整流電源は脈動分(交流分またはリプル)を含んでおり、出力電圧の平均電圧(Ed)、 リプルの実効値をEaとしたとき、(Ea / Ed) * 100 で表す。
• 電圧変動率
  電源整流回路の出力電圧が、負荷の大小によってどの程度変動するかを表す。 無負荷のときの端子電圧をEo、定格負荷のときの端子電圧をEnすると、 ((Eo - En) / En) * 100で表される。

整流回路

• 単相半波整流回路
  • 最大値に比べて電流(電圧)の直流分が少ない。
  • 出力に含まれる交流分の周波数(リプル周波数)は電源の周波数と同じである。
  • 直流分に比べてリプルは大きい。
  • 電源変圧器の二次コイルを、一方向にのみ電流が流れるため、鉄心が直流磁化により飽和する。
• 単相全波整流回路
  • 最大値に比べて電流と電圧の直流分は半波整流回路より大きい。(半波の2倍)
  • 出力に含まれるリプル周波数は電源の周波数の2倍である。
  • 直流分に比べてリプルは半波より小さい。
  • 電源変圧器の直流磁化はない。
• 単相ブリッジ形整流回路
  • 同一直流電圧を取り出すとき1個のダイオードに加わる電圧は半分なので、高電圧を取り扱うときに便利である。
  • 電源変圧器にセンタータップが不要のため、巻線は半分、電源変圧器の構造が簡単になる。
  • ダイオードは半分の逆耐圧に耐えればよいので経済的である。
• 単相半波倍電圧整流回路
  • 昇圧変圧器が不要。
  • 高い電圧が得られる。
  • 大電流は流せない。
  • 交流電源入力端子の一方を接地することができるから、ハムの出る恐れは少ない。
  • リプル周波数は電源の周波数と同じ。
• 単相全波倍電圧整流回路
  • 昇圧変圧器が不要。
  • 高い電圧が得られる。
  • 大電流は流せない。
  • 交流電源の両端子とも浮いているから、ハムの出る恐れがある。
  • リプル周波数は電源の周波数の2倍である。
• 単相3倍電圧整流回路

フィルタ(平滑回路)

定電圧回路

• 並列形定電圧回路
  • 回路効率が悪い。
  • 回路電圧は、トランジスタの耐電圧より低くしなければならない。
  • 電圧調整範囲が狭い。
  • 保護対策を必要としない。
  • 低電圧で小電流の定電圧電源に使用される。
• 直列形定電圧回路
  • 回路効率が良い。
  • 回路電圧は、トランジスタの耐電圧以上でもよい。
  • 電圧調整範囲が広い。
  • 保護対策を必要とする。
  • 大電流で高電圧の定電圧電源に使用される。

インバーターとコンバーター

• インバーター
  電源回路のインバーターは、直流電圧をトランジスタ等を用いて交流にし、 これを変圧器で昇圧または降圧して、所要の交流電圧を得る装置。
• DC-ACコンバーター
  低い直流電圧(DC)をインバーターによって一度交流に変換し、変圧器によって 昇圧または降圧して、所要の交流電圧を得る装置。
• DC-DCコンバーター
  低い直流電圧(DC)をインバーターによって一度交流に変換し、変圧器で適当な 交流電圧とし、さらに整流器と平滑回路によって再度高い直流電圧(DC)に 変換する装置。

電池

• 一次電池と二次電池
• 一次電池
  • マンガン電池-起電力は1.5[V]
  • 水銀電池-起電力は1.3[V]
  • 酸化銀電池-起電力は1.5[V]
  • リチウム電池-起電力は3[V]
• 二次電池
  容量をアンペア時[AH]で表す。すなわち、放電電流と放電時間の積。
  • 放電と充電
  • 鉛蓄電池-起電力は2[V]
  • ニッケルカドミウム-起電力は1.2[V]