ユリの花は一般に清純のシンボルとされて、中でも白ユリは花言葉でも「無邪気、
清浄、純潔、高貴等」と最高の言葉が与えられています。 テッポウユリはキリスト
教の復活祭(イースター)には欠かすことが出来ない花です。 しかし、そのルーツ
は明治時代に沖縄原産のこのユリがヨーロッパに持ち込まれ、本格的な栽培と品種改
良がなされて今日に至ったもので、イースターの時期に合わせて花を咲かせる品種も
創生されたのです。 欧州ではではマドンナリリーが人気の品種でしたが、テッポウ
ユリがこれに代わろうとしています。
琉球諸島原産のユリが長い間を経て品種改良され、今日の姿になったのですが、こ
の花の美しさは他のユリと違って、花弁が全部開ききることなく筒型の清楚な花姿に
あります。 庭に植えたテッポウユリは長く伸びた茎の先端に筒型漏斗状の白い花を
咲かせてくれました。
鉄砲百合のつぼみ大きくゆらぐまま
ひらくとすらむ重たくなりぬ 高田 浪吉
今年はテッポウユリの他に、ハイブリッド系の白色系のカサブランカや紅色系のル
レーブ等も植えましたので、以前から植えっぱなしのカノコユリに加わり、夏の庭を
飾ってくれました。
日本原産のカノコユリはテッポウユリと違って、花弁の中央部を紅色に染め、濃紅
色の斑点を撒き散らし、この色合いを鹿の子絞りに見立てて名付けられただけに、派
手なユリの花といえましょう。 花弁は開くと反り返り、ややうつむき加減に咲くの
は何ともいえない風情が感じられます。
ひょろひょろの鹿の子百合また咲きいでぬ
茎を撓めて花は窓に向かわず 山下 清
日本のユリは欧米諸国での評価が高く、明治初年から輸出が始まり大正初期にはピ
ークとなり、ユリの球根が1000万球も輸出されたといいますから、外貨獲得には
当時の絹の輸出と並んで、大きな役割を果たしたのですね。 しかし、現在では輸出
先の国々での改良が進み、逆に改良されたハイブリッド系の品種を輸入しているのが
現状です。
庭に咲いたテッポウユリ、ハイブリッド系のカサブランカ、ルレーブ、日本原産の
カノコユリ、などの画像をご覧下さい。
うめだ よしはる
晩春から夏の花へ
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