ユッカの花が盛りです

 ユッカは庭園や公園などで良く見かける先端が剣のように鋭い葉を放射状に重なり
つける常緑の庭園樹です。 北米から南米にかけてが生まれ故郷で明治時代に日本へ
入ってきて、関東大震災の後に洋式庭園の増加と共に広がったと言われ、日本名をキ
ミガヨランと言います。 ランの名が付されていますがスズランの場合と同じで、ラ
ン科の植物ではなく、ユリ科の植物です。

 最近ではユッカの仲間が室内の観葉植物としてもてはやされ、「青年の木」と称す
るユッカ・エレファンティペスが、ドラセナの仲間の幸福の木と同じように太い丸太
のような棒から覆輪の入った剣状の葉を放射状に伸ばしているのに良く出会います。
このユッカはキミガヨランと違って先端が鋭くはありません。

 花のことに戻らなければなりませんでした。 ユッカの花は株毎に一本の長い花茎
が伸びて白い大きめの釣鐘状の花を下向きに多数集まって咲かせていて、近くで眺め
ると迫力のある花です。通常は春に花を咲かせますが、秋にも花を咲かせてくれます。

      下向きに咲けるユッカの花序の筒
               一つ一つが白きかげをもつ 小野 昌繁

      この駅のユッカを賞でていふことば
               しずかなれども心より出づ    服部 直人

 歌を詠む人は、この花の特徴をしっかりと捕らえて、そしてなお詩情に富んだ表現
をされています。 キミガヨランには葉が厚く硬くて垂れないアツバキミガヨランが
あって混同されていますが、ユッカと呼んでいる限り、細かなことは良いでしょう。

 皆様の身の廻りをちょっと気にして眺められますと、ご覧になれる花です。

                            うめだ よしはる
   
    秋の花へ

  表紙へ戻る