二度楽しめるユキヤナギ


ユキヤナギは春、三、四月、明るい陽を浴びて「枝下垂する故柳と云、花多き故雪と
云。」との名の由来のごとく、垂れた枝に多数の白く小さな花を咲かせ、雪が降り積
もった様子は庭の植物として眼を楽しませてくれます。


しかし、花が過ぎ、柳のような小さな緑の葉をいっぱいにつけ、長くしだれた枝を風
になびかせていたのも夏の間、やがて霜がおりる初冬の今、葉は紅色を帯びて紅葉し
色の少なくなった庭に色を添えてくれています。
今年は例年になく紅葉がきれいで、朝夕雨戸の開けたてに美しい姿が眼に入ってくる
のがユキヤナギの紅葉です。

      雪柳のいや久しくもたもちゐる
           渋きもみじのひとむらの垂り      土田 耕平

ある人は「来し方の栄華がしのばれてあわれである。」とユキヤナギのもみじの葉が
落ちて行く有様を表現していますが、春は花、夏は緑、そして初冬の紅葉と何度も楽
しませてもらえる喜びが先で、私は風流心に欠けるようです。
ユキヤナギの株に近くでは、クロッカスの芽が伸び始め、芽の先に黄い花の先っぽが
のぞき始めています。これからが本格的な冬だというのに大丈夫かなと心配しながら
も、次ぎの季節へ準備をしている植物達のエネルギーに驚くばかりです。

うめだ よしはる


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