トチノキあれこれ

 ロンドンでもデュッセルドルフでもまたパリでも一番に眼に付くのが街路樹のセイヨウトチノキです。 日本では、農林水産省などの官庁が並ぶ、霞が関の櫻田門通りに堂々としたトチノキが街路樹として植えられていますので、それの対比では、和名はセイヨウトチノキになってしまいます。 この霞が関のトチノキは明治45年、(1912年)に櫻田門から虎の門まで植えられて、パリのマロニエの並木のイメージがあったといわれています。 下の写真は東京都薬用植物園で今年咲いたセイヨウトチノキの花です。

 話しがそれてしまいました。 パリのシャンゼリーゼはマロニエの並木で有名ですが、ロンドンは市内はプラタナスが主ですが、公園や郊外ではセイヨウトチノキの大木が大方を占めています。 丁度果実が熟して風で大きな音を立てて落ちる頃になると、日本のトチノキとは違って果実の果皮の表面に角の様な突起があるのが分かります。 果実の写真をご覧下さい。
左下の写真はセイヨウトチノキの花です。 右下の写真はセイヨウトチノキの果実です。 表皮の刺に特徴があります。



 英名は Horse Chestnut(直訳すれはウマグリ)と言われ、花期は4ー5月でトチノキと同じで白い花房を立ち上がらせて咲きます。 参考書では、1550年頃(一説では17世紀)にアルバニアあたりからイギリスに渡来したという比較的新しい樹木のために、まだ森に馴染むことが出来ず、もっぱら街路、公園などに植えられ、亭々たる大樹に育っているのが現状です。

 トチノキにはこのほかにアカバナトチノキとベニバナトチノキの名前があげられています。 アカバナトチノキはアメリカ南部のバージニア、ミズーリ、オクラハマやフロリダ州に分布して、樹高は3ー4メートルと言いますので、トチノキとしてはやや小型のように思えます。 花は赤色で園芸品種として花色の濃いものが開発されて日本にも導入されているようです。

 ベニバナトチノキはセイヨウトチノキとアカバナトチノキの交配種で高さもトチノキのように大木になり、10ー20メートルにもなるようです。 緑の葉の中に赤い花を咲かせているベニバナトチノキの画像を上に紹介しました。 日本でも公園や街路樹としても多く用いられていて、ちょっと気にして街を歩くと出会いのある樹木です。 花の時期は5ー6月です。
                            うめだ よしはる

    晩春から夏の花へ

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