スイカズラ、別名金銀花

 スイカズラは日本全国、どこの山野にも蔓性の植物として見られます。 植物
学者の宮脇昭著の「人間と植物」には林野の縁辺植物の代表として取り上げられてい
ます。 私が毎朝散歩する玉川上水遊歩道沿いの林やフェンスにもからみついて、対
生する葉の中央部から筒状の花を二つずつ行儀よく着けています。


 皆様もご存知のように、咲きはじめは白色をしていますが、次第に淡黄色に変
り、白い花と黄色い花がいり交じって咲き、濃い緑一色の背景に引き立ち、風情があ
り、私のお気に入りの植物の一つです。 鼻を近付けると甘い香が漂い、夜間の受粉
の手助けを蛾に依存している植物であることが分ります。 でも、何故にあんなにも
長い筒状の花になったのか不思議ですね。


 白と黄の花色が両方同時に見られることから、別名は金銀花とか金銀カズラと
も呼ばれているようで、この名の方が野の植物として、なにか大変に貴重なもののよ
うな気がします。 この植物は冬にも一部枯れないで耐えることから「忍冬(ニンド
ウ)」とも忍冬カズラとも呼ばれていますが、園芸種でアメリカ生まれで、赤い花を
咲かせるツキニキニンドウが、最近では住宅のフェンス等にからまって見られます。


 ツキヌキニンドウは名前の示すように、対生する葉の中央部をつき抜けるかの
様に花梗を伸ばし多数の花を着けますので、派手さがあり、鑑賞用の植物として人気
があるようです。 スイカズラはこれに比べて目立ちませんが、雑木林の林縁で緑の
木々を背景にして銀(白)から金(黄)へと花の色を変えて行く方に軍配を上げます。 


     すいかずらうす色の花葉にまぎれ
             光りにまぎれ風に吹かるる     戸川 早苗


 スカズラは、鑑賞用としてヨーロッパに持ち込まれ、常緑で花に香気があるこ
となどが好まれて、広く栽培されていると言われていますが、一方、アメリカにわ
たったスイカズラは、帰化植物の位置を占めて、先様を困らせているとも聞いてい
ます。

                       うめだ よしはる


晩春から夏の花へ