りんごの花

暑さの中に忍び寄ってきた秋の気配も、朝夕の冷たさ、道端の草々、庭の木々、
にはっきりと見られるようになってきました。

秋の味覚の代表格は何と言ってもりんごで、懐かしいりんごの歌に見られる赤
いりんごも、「つがる」はもう収穫は終り、今は「千秋」の収穫期に入りました。
果物やさんの店頭に「千秋」の品種名で並ぶりんごは収穫直後のりんご、新鮮で美
味しいでしょう。
「陸奥」の収穫は10月下旬から、「ふじ」の収穫は11月上旬から、りんごも
それぞれの品種の収穫期にあわせて、店頭からお求めになるのが美味しくいただ
くこつといえましょう。

りんごは花の美しさも又格別。とくにりんご園の5月中旬の満開時期は赤と白の
花弁の色が混じり、一見に値しましょう。ご承知のように、りんごの花の花弁は
外側は薄赤、内側は白、蕾と花との混在は赤と白に彩られ、りんご園の美しさを
素晴らしいものにします。

NHKブックスの「ヨーロッパの森から」谷口幸男他共著に「りんごの花」をう
たった、フライリッヒラート(1810−1876)の詩が紹介されていました
ので、同書より引用させていただきました。

   おお輝かしい 四月の日よ
   早くめぐって来た 五月の日よ
   眼のとどくかぎりりんごの花だ

   木と木 枝という枝
   花のつくかぎり もう
   一面に 白と赤 赤と白
   そのすばらしさ ことばにならない

   昨日までまだ
   このすばらしさは 隠れていたのに
   何と たった一晩のうちに
   今朝はこのありさま

長い暗く、そして、冷たい冬に閉ざされていた人々にとって、春、りんごの開花
はこんな喜びで表現されたのでしょう。

日本では桜の花が春の代表、うめ、もも、なし、りんご、あんず等の花の美しさ
は、農村地帯だけのものではありません。
山梨の桃園の開花、長野のあんず園、そして青森のりんご園の開花、農業を営む
人々にとっても、その時期に巡り合わせた私達にとっても花の咲く喜びは何処の
国でも同じ様ですね。
                           うめだ よしはる

春の花