パンジー
春を届けてくれる花としてロウバイを紹介させていただきましたが、皆様に最も親
しみ深い春を届けてくれる花はパンジー、三色スミレでしょう。
パンジーの名はフランス語のパンセ、考えるとか思索するという意味から来ている
とのことで、花が人間の顔に似て、物思いにふけっているように見える事からだと言
われています。 日本でも花が人間の顔に似ていることから人面草とも呼ばれていた
ようです。 人面草のいわれには次のような物語があります。
昔、天使キューピッドが愛の使命を帯びて春風に乗って地上に舞降り、広い
野原をさまよい歩き、疲れてふと足元を見ると、雑草の生い茂る陰に名も知
れない花がつつましく咲いていたといいます。
良く見ると花は小さいが、美しく可愛く、見れば見るほど色も香も何とも言
えずに優しかった。
天使はその花が大変に気に入って、そっとその花にささやいた。「お前の心
根の床しさと尊さに感心しました。私は今、お前の顔に私の面影を写してあ
げよう。どうかこれからはますます美しく、また、いよいよ気高く咲いてこ
の世に愛と希望を広げなさい。」 そう言って天使はその花にそっとキスを
しました。
この花が優しく可愛いのは、天使の面影を宿しているからだといいます。
・・「植物と神話」近藤米吉著編・・
五色のパンジーの花ひくく咲き
毛氈に似てひろき花園