シロバナとアカバナのムラサキツユクサ

 三宅島から送っていただいたダンドクの冬を越した株を六っつに分けて育てて友人
に分けてあげたのはもう三年も前になります。 野草の愛好家の友人だけに大変に喜
ばれました。 植物の愛好家達は自分で育て増殖に成功したものを他の愛好家に自慢、
そしてあげたくなるのが常なのでしょうか。

 お返しにと、多くの野草を戴いきました。 白花と赤花のムラサキツユクサ・・ち
ょっとおかしい表現ですが・・庭の植物の仲間入りをして、それが咲き始めて来まし
た。 家内共々、朝、庭に降りて「これがシロバナのムラサキツユクサ、今年も白い
花が咲たね」などとあたりまえの他愛のない会話を交わしています。

 ムラサキツユクサは宿根草の中でも丈夫で長持ちするもので、一度植えただけで年
々勢力範囲を広げます。 一般に白花系のものは弱いとされていますが、この3年、
毎年のように見事な花を咲かせてくれます。 増えすぎて掘り上げてしまう第一候補
ですが、毎年今ごろに見せる白と紅紫色の花を見ると、盛期を過ぎてから多少の刈り
込みをする程度で終ってしまいます。

 いつも咲いているので花の寿命が長いように思えますが、一日花で朝に開いて夕に
は閉じて終る花です。 歌人の観察はまことに見事で

      夕されば紫露草花閉じて
            明日の朝目をうながすらしも      岡 麓
と詠んでいます。

 この花の見所は6本の雄蕊で毛がブラシのように生えているところです。 是非と
も出会いがありましたら、ゆっくりと観察をして下さい。 ものの本では原産地は北
アメリカで明治初年に渡来してきたとあります。 薮のように茂った庭ではシランの
花もムラサキツユクサに負けじと花をつけ始めました。 ボタンが終り、フジが咲き
そしてムラサキツユクサ、シラン、シラーが咲き始めると、もう初夏の季節に入って
きます。 春は駆け足で走り去ってしまうようです。

                             うめだ よしはる

    晩春から夏の花へ

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