クサボケ

 先のメッセージでボケのことを紹介しましたが、今回は玉川上水の道ばたに咲
くクサボケを取りあげてみました。 古いすくいラップを繰っていましたら、か
つて友人が伊藤 隼氏著の「東京の植物を語る」、昭和10年、文啓社の中から
「木瓜」の部分を送ってくれたコピーを見つけました。 玉川上水との関係が書
かれていますので、以下に紹介しましょう。

       木瓜

  武蔵野の草ぼけ:「草木瓜」と言ふのは俗に「しどみ」「しどめ」「こぼけ」
 など呼ばれ、春の小草の中に交わり、殆ど地上すれすれの処に、褪せかけた朱
 色の花を着けて咲く。<「古今要覧稿」の中に「草ぼけ」高さ、1、2尺、野
 に多し、花赤色、木に刺あり果少なし、武蔵野に「しどみ」と言う草木瓜あり
 其実の大きさ肥後梅ほどあり、土民共其醋(ス)を用ゆ>とある通り、武蔵野に
 は実にこの花が多く自生している。丁度、山桜の咲く頃、この花が咲くので、
 小金井の桜土手では、上に山桜あり、地上にしどめぼけありと言う有様で、杖
 を曳くものの心を一層賑かにしてくれる。

       木瓜も咲く目黒に住むや己が畑

 今では、目黒に住んでも、こんな風情は味はれなくなった。(原文のまま)

続いて、木瓜の種類、品種等の紹介がありますが、これは省略します。

 植物図鑑では、くさぼけの別名として「シドミ」の名が挙げられていますが、こ
の文献によりますと、武蔵野(東京)でも「シドミ」の名で呼んでいたようです。

                           うめだ よしはる

   春の花へ

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