ホトトギスとシュウカイドウ

 今年は、ホトトギスの花付きは上々です。 2年前から仲間入りをしたシロバナノ
ホトトギスも株数も増えて、それぞれの茎の先端に花を付けてくれています。 しか
し、ケムシの被害にあって葉が殆ど無くなってしまった株もあります。 気が付いて
箸で一匹一匹取り除きましたが遅くなり、葉が無くなった枝だけのものもあります。
 それでも、玄関までの道に枝を伸ばして上向きに花を咲かせていますので、踏まな
いように注意しています。



玄関までの道と言うと大げさですが、敷地と建物の位置の関係から、門から玄関ま
で十米程植え込みの小径があり、いつの頃からかしゅうかいどうとホトトギスが両側
の樹下に生え育ち、シュウカイドウは8月末から茎の上部にある葉の脇から花梗を伸
ばし、その先に優しいピンク色の花が垂れ下がるように咲きます。 黄色い雄蕊がピ
ンクの花を一層引き立てるかのようにキラキラと輝き、心を和ませてくれます。

      うす紅の秋海棠の花一つ
          木もれ日させばさやに目にたつ   横内 菊枝

 10月に入るとシュウカイドウも次第に元気が無くなり、花の数も減り、また、み
ずみずしかった葉の緑も衰えを見せはじめてきました。 代って、樹下の草花として
楽しませてくれるのは、ホトトギスです。 日当りの悪いところで丈だけが伸びてし
まいますので、雨や風に当ると倒れ易く、径をふさいでしまいます。 こんな風情を

      地(つち)の上に茎の葡たるほととぎす
             ならび咲く花みな仰向きぬ  赤井 哲太郎

と歌われていますが、歌人の鋭い観察力には驚かされます。

 夏から秋へ、足元の草花がこうして教えてくれます。 ホトトギスの花が咲くと、
冬の足音が聞こえて来る時期も遠くありませんね。

                             うめだ よしはる


    秋の花へ

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