エンレイソウ


    牧場の若草陽炎燃えて 森には桂の新緑萌し
    雲行く雲雀に延齢草の 真白の花影さゆらぎて立つ
    今こそ忘れぬ清和の陽光 小川のせせらぎさまよいゆけば
    うつくしからずや咲く水芭蕉 春の日の この北の国幸多し

 ご存知の北大、寮歌「都ぞ弥生」の四番の歌詞です。 この歌に歌われているエン
レイソウは、オオバナノエンレイソウで北海道の原野や広葉樹林の下草として、よく
目にについた草でした。 私の先輩の書いた植物の書物では、エンレイソウは種子が
落ちると、翌春は根だけを生長させ、翌々年になってはじめて発芽して葉をつけ、花
が咲くまで15年ぐらいかかるといいます。





 根を掘ってみると、一年に一つずつつけてきたしわがあり、その芽をはいで見ると
次ぎの年に咲く芽が出来ていて、更にはいでみると二年後に咲く芽がと5ー6代まで
芽がきちんと順番を待っているとのことです。

 ここまで書いて、佐藤達夫氏の著書「植物誌」にミヤマエンレイソウが書かれてい
たことを思い出し、出して見ました。 「ユリ科の山草で、和名は”深山延齢草”の
意味。 4月のはじめころ、まだ十分に葉がひらききらないうちに咲きはじめる。
三枚の白い花弁があるので、シロバナエンレイソウという名もある。 属名の
Trillium は、葉も花弁もすべて三数というこの仲間の特徴にちなんだものである。
ミヤマの名のとおり、すこし山奥の沢にそった傾斜地などで見かけるが、案外明るい
花のくせにひっそりとしたところがあって、肩にかけたトランジスターラジオのジャ
ズを道づれに、山を歩いているような人達には気づかれない。」と書いてありました。
何時の日かミヤマエンレイソウの観察に山歩きをしてみたいものと感を強くしました。

                             うめだ よしはる


   春の花へ