ドクダミの花の咲く時期になりました。

 ドクダミは庭の日陰を好んで生育している植物との印象がありますが、日本橋の木
屋刃物店から昭和通りへの道筋、プラタナスの並木道の株元にドクダミの集落があり、
時期になると盛りに花を咲かせます。

一般にこの植物は樹冠下のやや日陰げになったところや、家の軒下などにひっそりと
群をなして咲くものですが、生活力の強さゆえか日本橋のド真中で

      どくだみや真昼の闇に白十字   川端 茅舎

とばかりに咲くのでしょう。

 御存知のように白十字と言う様に、十文字に白色の花弁が見られますが、これは花
びらではなく、花穂を包む苞と呼ばれる部分で、アメリカハナミズキの白色の花弁と
見えるものと同じになります。

 花は白十字の苞の中心から伸びた軸のうえに、沢山の小さな花を密に付けています
が、花と言っても雄蕊と雌蕊だけの不完全な花です。今が観察の時期ですから、お散
歩の折には気にしてみてください。

ドクダミの薬効を見ると、この草は十薬と呼ばれるほどに多くの薬効があるとされ、
利尿、便通に、また高血圧の予防に良く、更に、古くから腫れものが化膿したときに、
きれいな生の葉を和紙に包んで火にあぶり、軟らかくなったところで患部に貼ってお
くと、膿を吸い出す力があるとされていますが、これこそは民間薬としての典型的な
使い方でしょう。

                             うめだ よしはる

   晩秋から夏の花へ
   
   表紙へ戻る