形成外科Q&A (9)傷痕・ケロイド


Q1:2歳6ヶ月の娘が階段から落ち、左目の上、眉毛あたり約3cmほどパックリ切れ、7針ほど縫いました。女の子なので傷が残らないか又、眉毛に傷がかかっている事もあり眉毛が生えてこないのでは、と心配しています。娘が成長すれば傷はある程度は、目立たなくなるとは、思いますが気にならないぐらいになるでしょうか。また、傷跡が目立つ場合、手術などで直すことができるのでしょうか教えて頂きたくよろしくお願いします。

A1:傷あとは3カ月〜6カ月位は赤くて目立ちます。しかしそれを過ぎると徐々に白くなってきて目立ちにくくなるのが通常です。眉毛の中に傷がある場合、その傷そのものには毛は生えません。半年以上経過して傷の赤みが消えてきてもまだあとが目立っている場合には、形成手術を行えばよいと思います。従って今のところはしばらく待つのがよいでしょう。
傷そのものを見ていないので一般的な回答となります。

Q2:7歳の女児で、1年6ヶ月前に、心臓の手術をし、傷口が、ケロイド状に膨らんだので、(1.5センチ幅ぐらいでY字形)同病院の形成外科にて、切除の手術を3月にしました。同じように、また膨れるのではないのですか?と質問したところ、今よりは、きれいになりますと言われ、お願いしたのですが、やはり、また前よりは、小さいけれど、膨らんでいます。しばらく、様子をみましょうと、「リザベンDS」という薬を1日2回飲んでいます。何か、信頼できなくて、形成の手術を受けさせたことに、少し後悔しています。将来的に本人が、その傷跡を気にするだろうと思うと、とてもかわいそうで、何かよい治療はないものかと思い相談させてもらいました。

A2:最近、インフォームド・コンセントという言葉がよく言われるようになりましたが、この場合にはそれが十分になされていないことが問題でしょう。インフォームド・コンセントとは患者の年齢、理解度などに合わせた平易な言葉で医師が丁寧に説明し、患者がこれを十分に理解、納得した上で、この医療行為に自由意志に基づき同意ないしは選択する(患者の自己決定権)プロセスを意味します。この場合に形成外科の先生が「今よりは、きれいになります」という説明をされたようですが、それがどういうことなのか、どの程度きれいになるのかについてしっかりわかっていたのか、わからなければもう少し詳しい説明(あるいは具体的に写真など)などをもとめて、納得の上で手術に同意してゆくのが理想的です。とはいうもの、実際には診察に十分の時間がとってもらえず、簡単な説明で手術するかどうかを決めなければならない状況もあるかもしれません。 さてご質問ですが、私は今回のような場合、その先生のいうように「リザベン」をしばらく飲んでゆくことがよいと思います。劇的な効果は期待できませんが、長く飲んでいても副作用は少ないですし、少しづつですが赤みが引いていわゆるケロイドの盛り上がりもなくなってゆくことが期待できます。それ以外には、テープ、シリコンシート、圧迫療法等が有効なことがありますので、それらも併用することも考えられます。ケロイド(厳密にはこのケースでは肥厚性瘢痕というのが適切だと思いますが、)では手術の技術ももちろんですが、それと同じくらいその後のケアーが重要です。
 とにかく担当の先生とよくお話しすることが肝要かと思います。納得と信頼の上でよい医療は成り立ちます。

Q3:初めてお便りいたします。5ヶ月の息子のことでご相談いたします。3週間ほど前、電気スタンドの電球に触って右手の指を火傷してしまいました。第2指と3指内側の症状が少しひどく、かさぶたは昨日全部とれたのですが、あとが白っぽくすこしかたいので、皮膚の収縮を押さえるためにということで、「リザベン」を処方されました。ただ三ヶ月ほど飲まなければいけないといわれ、小さい子供に長期に飲ませることにためらいを感じています。副作用もほとんどないとのことですが、現在指の動きに不自由さがみられることはなく、本当に飲むべきなのかどうかよく分かりません。赤ん坊に飲ませても安全なのか、またどのくらい一般化されている薬なのでしょうか。また、やはり「リザベン」を飲ませた方がよいのか教えてください。

A3:「リザベン」の副作用発現率は、2.4%と報告されています。主なものは、嘔気、腹痛、食欲不振、下痢、発疹などです。注意するべき副作用は、膀胱炎症状、肝機能障害ですが、それらの頻度はまれ(0.5%未満)です。いずれも、投与中止すればまず問題ありません。小児用にリザベン細粒、リザベンドライシロップがあります。
「リザベン」は、ケロイド、肥厚性瘢痕の治療に日常的に使用されています。この治療では、健康保険の適応のある唯一の飲み薬です。「リザベン」を飲ませるのがよいかどうかは、簡単にはコメントできません。診察する先生の考え方によりかわってきます。従って、診察をしていない私としては、これについてのコメントは差し控えます。


Q4:妻の両足には火傷の跡があります。幼児期に負った火傷の跡です。妻は現在36才です。両足共に膝のすぐ上部で、右足に15平方センチ、左に8平方センチ程度です。火傷から約30年も経過していて何ともしようがないのかもしれませんが、遠く目には目立たない程度まで回復する可能性はあるのでしょうか教えて下さい。これだけの情報量では不足であることは承知していますが、回答の程お願いいたします。

A4:熱傷(やけど)の瘢痕の修正についてご質問ですね。この場合3種類ぐらいの手術方法が考えられます。

1)縫い縮める方法

これは、面の傷跡を細い線の傷にしようという考えです。縫縮が可能な面積がある程度限られます。特に15平方センチという大きい方では皮膚に余裕があるかどうかによってこの方法ができるかどうかが決まります。1回に全部が縫い縮められなくても、期間をおいて2から3回行えばかなりの面積の傷の縫い縮めは可能になります。ただし、何回も行う場合少し太ももが細くなることがあります。

2)エキスパンダーを用いる方法

エキスバンダー法とは、まず1回目の手術でエキスパンダーという風船のようなもの(ぺっちゃんこの状態で)を傷跡のすぐとなりの正常な皮膚の下に入れます。傷の抜糸が終わってから少しづつ水を入れて膨らませて皮膚を伸ばします。ちょうど妊婦のおなかの皮膚がのばされるのと同じ理屈です。それで2回目の手術でそのエキスパンダーを取り除くと同時にやけどの皮膚を切除して、のばされた皮膚でそこをふさごうというやり方です。やはり面の傷跡を細い線の傷跡にかえるわけです。これはいい方法なのですが、1カ月以上にわたりエキスパンダーを膨らませるので結構時間がかかるのが欠点です。その間太ももが異常に膨らんできます。長期の入院が必要なこともあります。

3)皮膚移植をする方法

1)の方法では難しく、かといって2)の方法を行う時間的余裕がなければ例えば自分のおしりなどの皮膚を採取してやけどの傷跡の皮膚を切除して移植する方法があります。この場合は、お尻など別の場所に少し傷が残る(お尻の皮膚は薄く採取するので1〜2週間で自然に皮が張って治る)のと移植した皮膚は周囲の皮膚と色やきめが微妙に違うのでパッチ状になる可能性があります。
 これらのどの方法がよいかは、患者さんの希望と状態を考慮して決めます。皮膚のひきつれがある場合は、その治療を中心に考えることもあります。手術後の状態(どのくらい良くなるか)を説明して最終的に手術をするしないは、ご本人とご家族によることになるだろうと思います。 

Q5:私は24歳女子です。10年近く前に、左肩の肩甲骨の上を何かの虫に刺さたあとがひろがり『ケロイド』と診断されました。現在の状態は、縦1.5センチ、横3センチ、の長方形に近い形で厚み3ミリ程度です。色はかなり赤黒くなっています。痛む事も良くあり、触ると痛いです。どのような治療をすればいいのでしょうか。

A5:このようなケロイドないし肥厚性瘢痕の治療法についてご説明いたします。治療方法として挙げられるのは
・圧迫療法
これはスポンジなどで持続的に圧迫をするというものです。単純な方法ですが、扁平化させる効果は結構期待できます。ただそのスポンジをどのように肩のその部位にに固定するかが問題となります。通常しっかりしたテープなどを使って押さえるということになりますが、テープかぶれする場合には難しいこともあります。
・外用剤・被覆剤
ステロイド以外の軟膏(ヒルドイド軟膏など)を塗布するとかシリコンゲルシートを貼り付ける方法です。とくにシリコンゲルシートの方が有用と考えています。痛み・痒みを改善させる他に長期間の使用で赤み、隆起の改善も期待できる場合があります。
・ステロイドのテープによる密封療法
ステロイドホルモンのついたテープ(透明で薄いもの)を毎日張り替えるというものです。貼っていても目立ちません。これは、1日1回貼り替えなければなりません。痒み・痛みの軽減を期待して使いますが、これ単独で扁平化させるのは難しいといわれています。
・内服療法
リザベン(一般名トラニラスト)というケロイド治療の飲み薬があります。これを1日3カプセル飲みます。半年とか1年とか続けないと効果がありません。これの効果としては、色調の改善、痛みやかゆみを軽減させることです。長期服用でとりたてるべき副作用はありません。試してみる価値はあると私は思います。現在、ケロイド治療で認められている唯一の内服薬です。
・ステロイドの注射
注射ですので痛いのが難点です。硬いところに注射するため注射液が入りにくくやる側もやられる側も大変です。平らになったとしても、時間が経過すると元に戻ってしまうこともよく経験します。
・放射線照射
電子線を照射するのが一般的です。この方法を高く評価する先生とのちのちの放射線の影響を心配してやるべきでないとする先生に分かれます。
・手術治療
ケロイドを完全に切除するのではなく、正常な皮膚に切り込まないようケロイドの中央部をくりぬくように切除する方法を通常おこないます。その場合でも再発に十分注意しながら上のいくつかの方法を併用しておこないます。
以上のように数多くの治療方法があります。貴殿の場合にどのような治療をこれからするのが良いのかというところまでは言及できませんが、どちらにしても時間がかかる治療が多いのであせらず根気よく取り組んでください。



Q6:26歳、女性です。13年前にガラスで手首を切ってしまい、傷痕が残っています。傷のある場所が場所だけに、ためらい傷の痕だと勘違いされることもあり、出来るだけ目立たないようにしたいのですが。傷痕は約5センチ、幅は広い箇所で5ミリほどです。皮膚とほとんど同じ色です。

A6:傷痕の具合をみていないので明確には回答できないのですが、もし形成手術(傷痕を切り取り縫い直す)をするとすれば傷を細くすると同時にジクザクの傷痕に変えるという方法が考えられます。Z形成術とかW形成術といわれる方法です。それにより「ためらい傷」を連想することがないようにすることが可能と考えます。縫い寄せるのが困難な場合は、他の部位からの皮膚移植なども考えます。

Q7:40歳の女性です。顔の頬の打撲によるへこみ・窪みについて悩んでいます。家で立ち眩み、角の丸い漆のサイドボードの角へ思い切り頬を強打しました。1ケ月位過ぎて頬が窪んでいます。エクボのように左頬が笑わなくてもあり、笑うとかなり目立ちます。何とか元の右頬と同じふっくらした頬にもどしたいのですが。某美容外科で診察してもらったところ、頬を5ミリほどメスを入れ、死亡した脂肪細胞をとり脂肪を注入するしかないと言われて、手術すべきか悩んでます。私としては、今盛んに行われているコラーゲン注射を6ケ月周期で注射するのがデメリットがないと思っていたのですが・・・・
脂肪注入はやむなしとしても顔に自らメスをいれて、傷を作るのはかなり抵抗を感じてます。やはり死んだ脂肪細胞の摘出は必要なのでしょうか。また、口の内側から脂肪摘出は不可能ですか。また、この様に脂肪注入する場合、美容整形外科でしか手術は受けられませんか。形成外科でも行う手術でしょうか。また保険の適用はありますか。

A7:下部に骨が位置している頬のような部位で、打撲などの鈍的外力が加わると、皮膚の下の組織(脂肪、筋肉)が傷ついたり、裂けたりします。それが治癒して瘢痕となり、垂直方向にひきつれて凹むといわれています「死んだ脂肪細胞」というのは、瘢痕化した組織のことを意味しているのであろうと思います。私が、これの治療として考える方法は、
1)傷の目立たないところ(たとえば唇の付近)から皮膚の裏側をはがす方法
(これは頬に傷を付けずに治療出来る)
2)陥凹部の直上を切除する方法(これは皮膚表面に傷跡が出来ます)
などです。
凹んでいる部分の内側に当たる口腔側からアプローチするのは良くないといわれています。
1)をまず考えますが、効果不十分でであれば、、傷をつけても治す方法2)も検討します。場合により脂肪注入もしくは脂肪移植も考えることもあります。形成外科で治療は可能です。原則的には、保険の適応はありませんが、引きつれが顕著な場合に保険で行うこともあります。

Q8:私は19歳の女子学生です。1歳半ぐらいのときにひどい火傷をしました。そのときの跡はいまでも残っています。
なかでも一番気になっているのは頭の禿です。てっぺんよりも左のところに5cm×4.5cmくらいの禿があります。普段生活しているのには見えたりしないのですが、やはり自分では気になります。これをなるべく小さくするにはどのような方法があるのでしょうか?
大学病院に診察にいったところ頭にシリコンを入れ皮膚を少しずつのばして縫うのが一番だといわれました。しかしその方法だと頭にこぶみたいのができ、そのまま数ヶ月過ごさなければいけないと言われました。今は大学なので夏休みや春休みは2ヶ月ずつあります。その間にくらいで直せる手術方法とかはないのでしょうか?

A8:その病院で説明を受けたのは、「エキスパンダー法」というものだと思います。その方法は、長く時間がかかることとコブのように膨らむのが難点といえます。それ以外の方法として考えられるものとしては、「連続縫縮法」というものがあります。この方法は、禿の部分を何回かに分けて縫い縮めるやり方です。5cm×4.5cmぐらいの大きさとなると一度に縫い寄せるのは、困難です。そのためまず禿の中央部分で可能な限り縫い寄せます。3ヶ月ぐらい過ぎるとまた皮膚に余裕が出来てくるので再び縫い寄せます。2回〜3回ぐらい時間をおいて繰り返せば1本の線状の傷にすることが可能となります。1回の手術において手術から治癒までに要する時間は、1週間から10日ぐらいです。ですので、この方法であれば、例えば、春休みに1回目を行い夏休みに2回目を行うということ出来るわけであり、その間は全く普通に過ごせます。このような手術において普通、髪を剃ったりはしません。


Q9:ケロイド治療の、シリコンシートというのは、病院で手に入るのでしょうか? どこで手に入るか教えて下さい。
保険がきかないとも聞きましたが。

A9:シリコンゲルシートとして代表的なものは、「シカケアCica-Care」(販売元:スミス・アンド・ネフュー)、「エフシート」(販売元:富士薬品)などです。病院の外来や売店等で扱っている場合は、購入できます。(当然、扱っていない病院もあります。)
身近で購入が困難な場合は、「シカケア」は通信販売での購入も可能です。ミスミ(フリーダイヤル 0120-343155)というところで扱っています。健康保険は効きません。自費となります。

Q10:若い頃にイキがって、手の甲にタバコを押し付け、醜いケロイドになりました。20年近くも前のことですが、何故あんな事をしたのだろうと今でも後悔しています。痕は手の甲一帯に7箇所あります。15年程前に一度お医者さんに診てもらったときは「どうにもしようがないなー」と言われて、それ以来半分あきらめていました。
お尋ねしたいのですが、
1 お話のなかに、シリコンゲルシートがありましたが、こんなに年数が経ったケロイドでも効果がありますでしょうか?
2 電子治療等は有効でしょうか?
3 もちろん保険はきかないと思いますが、上記治療はどのくらいお金がかかるのでしょうか?

A10:診察してみないとわからないのですが、貴殿の手の甲の傷痕は、「ケロイド」ではないと推測します。一般的には、異常に醜いと感じる傷痕すべてを「ケロイド」と称しているようですが、医学的にいうケロイドは、次のように定義されます。
「赤褐色に隆起した表面平滑な硬い腫瘤で、炎症後、外傷後、あるいは特別な誘因無く発生し、一定の傾向をもって周囲に浸潤し、進行性に増大する。」
従って、赤く盛り上がっていて、元の傷痕の範囲を逸脱して拡大傾向にあるものを「ケロイド」と称しています。もし、貴殿の傷痕が扁平とか、少し盛り上がっている程度のものだとすれば、「ケロイド」ではなく「瘢痕」です。シリコンゲルシート、電子線照射は、上で申し上げた厳密な意味での「ケロイド」の治療法でありますので、貴殿の場合には無効であろうと思われます。万一、貴殿の傷痕が、「ケロイド」に相当するものであれば、有効かもしれませんが、あくまで診察をした上で判断し治療法を考えます。簡単に治療に関してはお答えできません。

Q11:私は26歳の女性ですが、19歳くらいに背中(肩甲骨周辺)に、にきびができ、その後、赤く膨らみやけどの跡のようになって、残りました。それが、数年かけて、広がり、ニキビ(吹き出物)ができると、ほとんど、キレイに治ることはなく、ニキビの大きさよりやや大きめに跡が残ってしまい、大変悩んでおります。部位は背中だけです。
何件か皮膚科にかかり、投薬や、塗り薬を試しましたが、いっこうに良くならず、肩などの出る服や、夏などは水着さえも着れず、かなり深刻です。試した薬は、リザベン、ヒルドイド軟膏、エリスロマイシン、アクアチムローション、アンダーム軟膏などです。ネット上で、シリコンゲルシートについて知りました。是非試したいのですが、まず病院で先生に診てもらってから、相談して、使用したほうがよろしいのでしょうか?キレイに治るまでいかなくても、自分の中で満足できるなら、あらゆる手をつくしたいのですが。いきなり薬局で、買ってきて使用してもいいものですか?教えてください。

A11:自分で手に入れて使うことはいけませんとは言いませんが、病院で診察を受けてから使用することが望ましいです。人によってはかぶれたりする場合もありますし、効果の判定も自分では難しいと思います。
一般的によく使われているものは、「シカケア」(スミス&ネフュー)もしくは「エフシート」(富士薬品)であろうかと思われます。最近、「クリニセル」というものもネット上などでは見られます。しかし、これは上の2つとはすこし異なりますし高額です。
ケロイド・肥厚性瘢痕に対して、これらのシリコンシート(クリニセルを除く)を自分で切って貼り付けます。最初は数時間から始めて、かぶれなどの問題がなければ、24時間装用します。簡単に貼ったり、取ったりできます。粘着力が無くなるまで同じものを繰り返し使えます。1〜2ヶ月ぐらいで赤み、痒み、痛みの軽快がみられ、さらには徐々に高さも減少してくるといわれています。ただし、全例で有効であるとは言えません。

Q12:ホームページ拝見いたしました。ありがとうございました。22才、女性です。お忙しいところ申し訳ございませんが、お聞きしてもよろしいでしょうか?熱傷後の瘢痕を目立たなくするために、腕にエキスパンダーを入れて膨らましてます。100cc以上いれたのですが、あまり膨らみません。どうしてでしょうか。どうやら漏れているようですが、そのまま膨らまして様子をみています。こういう場合どうなるのでしょうか?とても不安です。 普通に働いて普通に生活していますが、安静にしてたほうがよいのでしょうか?よろしければ、教えてください。お願いいたします。失礼いたします。

A12:瘢痕の大きさ、エキスパンダーの容量、皮膚の進展具合など総合的に判断しなければならないため、治療を担当している先生にしかわからない問題です。何も診察していない者としては、簡単に回答できません。仮に漏れていたとしても通常、生理食塩水を用いるため特に害はありません。安静度のついては、担当医に直接聞くべき内容です。

Q13:去年の暮れに1歳3ケ月の娘が保育園で、ねじくぎでひっかけるようになっているものを口にいれたまま倒れたために(壁についていました)口が裂けてしまいました。すぐに口腔外科の方で縫ってもらい現在は、あとが残っているものの治ってきているように思います。ただ何分にも小さいので今後のことが心配です。跡がとても残ったり、またこの先大きくなるにつれてひきつったりといったことがおこるのでしょうか、そんな事例はありますか。またそうなった場合には形成で綺麗にすることは可能ですか。するとしてですがやはり成長がある程度止まる頃がいいのでしょうか。あと費用のことですがそんな先でも保険はきくのでしょうか。現在は縫ったところが赤く硬くなっている感じです。回答をよろしくお願いします。

A13:診察をしていないのではっきりとはお答えできないのですが、きちんと縫えていて経過に特別問題がなかったのであれば、今後ひきつれてくることは考えにくいと思います。
一つの目安として半年経過して、赤みや硬さが消えても傷痕がなお目立つようであれば、形成外科で治療をすることも可能かと思います。成長過程であっても客観的に傷痕が目立つようであれば、積極的に手術をすることはあります。
単に傷痕が目立つだけでは、いつの時点であってもその修正手術に健康保険の適応はありません。ひきつれて運動障害があるもの、ケロイド上に盛り上がりかゆみや痛みを伴うものなどが健康保険の適応です。


Q14:8ヶ月の息子のことで相談します。2週間前にコーヒーメーカーをひっくりかえして火傷をしました。両足の甲とかかとが主な患部で、2度の軽度〜重度の火傷だろうといわれていたのですが、甲の部分は3度だといわれ皮膚移植を来週うけることになりそうです。どの部分からの移植になるのか、1回の手術ですむのか等詳細はまだわかってないのですが、事故後3週間の段階で移植をするというのは、そのほうが傷跡が目立たなくなるからなのでしょうか?あらたに傷を造ることにもなるのでそれがどの程度の痕として残るのかも気がかりです。

A14:傷跡の観点から3週間で皮膚移植するというのではなく、3度熱傷においては軟膏治療など保存的治療では治りにくいばかりか、長期にわたりかろうじて熱傷が治癒しても瘢痕拘縮(=ひきつれ)を来す可能性が高いため、担当医は手術を勧めたのだろうと思われます。傷跡のことについては、私がここでご説明することはできません。担当医に直接おたずねください。

Q15:12月はじめに傘の骨組みで顔面、鼻の斜め下に直径1センチの半円状の傷を負いました。傷口は、めくれるように剥がれた状態で、近くの形成外科に受診致しました。傷口は少し皮膚がはがれた部分もあったようです。その後、約一月が経過して傷の赤みはわずかに引きつつあります。しかし、傷の半円状の部分が数ミリ他の皮膚より山型に膨れ上がった状態で、近医からトラップドア変形になるかもしれないと言われました。現在はマイクロポアによるテーピングとリザベンの内服を行っています。また数ヶ月から一年後くらいに傷の修正を行った方が良いとのことでした。私自身テーピングは24時間続けているのですが、この様な方法で本当に傷のふくらみを抑えられる様に思えず、不安です。またテーピングはどの程度続ける必要があるのでしょうか?また傷の修正で膨らんだ部分を元の平らの状態にもどすことは可能でしょうか?その場合修正は受傷後どの程度経ってから行うのが良いのでしょうか?

A15:トラップドア変形は、受傷後だいたい半年ぐらいである程度自然に良くなりますが変形が残ってしまう場合もあります。テーピングの効果がどの程度あるか私にもよくわかりませんが、形成外科では好んで使われます。3ヶ月ぐらいはテーピングを指導していることが多いです。傷の修正手術を行えば、確実に治すことは出来ます。手術を行うのは、一般には半年ぐらい待って、尚目立つ際に行うのがよいでしょうが、患者さんの希望とか、担当医の判断によっては、もう少し早い時期に手術を行う場合もあります。

Q16:2ヶ月ほど前に自宅で転倒しテーブルに左頬を強打いたしました。その時はうっすらあざが出来た程度で鼻血や目の中の内出血も無かったので気にしていなかったのですが打った場所が筋のようにへこんで(横に2?3cm程)治りません。特に笑顔になったときに目立ちます。現在は痛がる様子もなく、普通に食事もできます。このへこみは自然に治るものなのでしょうか?また、手術する場合もう少し大きくなってからのほうがよいでしょうか?

A16:数ヶ月から半年ぐらい経過して自然治癒もしくは、軽快してゆくものもあります。陥凹が残ってしまうものもあります。手術時期に関してはその程度にもよるでしょう。さほど目立つものでなければ、局所麻酔で治療できる年齢(小学校高学年〜中学校ぐらい)まで待つことも考えられます。目立っているなどの理由で早期の治療を希望されれば、2〜3歳でも考慮する場合もあります。手術適応、治療時期などは、ご家族の希望と担当医の考え方によっても変わってきます。一概にはお答えできません。