形成外科Q&A (8)あざ・血管腫 


Q1:4歳5ヶ月の娘の右の頬にクロアザがあります。右耳から2,3cmの頬の部分に、縦3cm幅2cm程の真っ黒なアザです。表面はややざらざらした感じで、少しばかり盛り上がっています。又、少し毛も生えています。色からして相当深く、密度も濃いものであると、過日訪ねた皮膚科(レーザー治療専門)で言われました。又、アザの性質からして、レーザーでは治療不可であり、外科手術に頼るほか無いと言われました(レーザー治療は理論的に無理と)。しかしインターネット上の諸情報によりますと、クロアザでも、いくつかのレーザーを組み合わせて使用することで、治療は可能であると在りました。実際はどうなのでしょうか?皮膚科でいわれた通り、皮膚の伸びのいい今のうちに早速手術すべきかどうか迷っているところです。お教え願えれば大変助かります。

A1:母斑細胞母斑は、手術することをおすすめします。レーザーで治療可能とうたっている先生もいらっしゃるかとは思いますが、やはり客観的にはまだまだ効果不十分と考えます。もちろんレーザーをやって悪いという訳ではありませんが、時間と費用のことを考えれば、手術を最初から考えるのが妥当というのが私の見解です。皮膚の伸びがよいから早い方がよいと言う理屈はないと思います。これの手術時期に関して、特に最適な手術時期というのはありません。ただ周囲の方への影響等を考慮した場合、就学前の方が望ましいとは考えられます。

Q2:現在、30歳の女性です。小学2年生頃、右目の上と下に茶色っぽいしみができ、年齢とともに色が濃くなってきました。疲れているときや、生理の時はさらに濃くなっている気がします。大きさは、直径1センチより少し大きいくらいです。大きさは、変化していません。一度、レーザーで消えないかどうか相談しに、レーザー治療をしている形成外科へ相談しに行きました。診断の結果、扁平母斑というもので、レーザーでは消えないと言われました。手術も考えていますが、目のまわりは皮膚が薄いので、切り取って皮膚を移植しても、きれいになるのか不安です。きれいに治るまでどのくらいの日数がかかるのか、仕事をしているので心配です。それから、手術にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

A2:目の周りその扁平母斑を切除してそこに皮膚移植をする場合、耳の前とか耳の後ろの皮膚を用いることが多いですが、結構きれいに治るものです。もちろん傷は残るわけですが、比較的良好な結果が得られることが多いものです。また、皮弁術といって扁平母斑の近くの皮膚をうまく移動させて目がひきつれないように傷を閉鎖する方法も考えられます。後者の方法の場合には、他の場所の皮膚はとりません。
抜糸が終わって化粧が可能なのは、手術後1週間から10日ぐらいでしょうか。しかし、しばらくは傷痕が赤いです。傷の赤みがとれて本当に目立たなくなるのは、半年ぐらいかかるでしょう。
費用については、手術方法、麻酔方法、入院の有無、自己負担割合などによって異なります。診察を受けた病院でお尋ねください。

Q3:42歳女です。 私は右目の周りに太田母斑があります。これは、遺伝するのでしょうか?

A3:太田母斑は、頻度的には0.1〜0.2%の発生率で、男女差では女性に2〜4倍多いとされています。遺伝に関しては、病型により違います。
片側性のものに関しては、遺伝性はないといわれています。
両側性(正しくは遅発性両側性太田母斑様色素斑という)は、圧倒的に女性に多く、6%に家族性の発生を見たとされています。詳しい遺伝形式まではわかっていないようです。
従って、もし貴殿のものが片側のものであれば遺伝しないと考えて良いでしょう。

Q4:私のこども(男の子)に関して質問があります。頭部に指先ぐらいのハゲがあり、脂腺母斑と言われました。その件で、いくつか教えていただければ幸いです。
1)自然に、なくなることもあるのですか。一時的なものもあるのか。
2)手術が必要ですか。いつまでに必要でしょうか。
3)髪の毛は、生えてくるのですか。
4)脳、神経、等障害がでる可能性はないのですか。

A4:1)自然消退は期待できません。(なくならないと考えてください。)
2)治療方法としては、手術が唯一の方法と思われます。特に何歳までというのはないし、最適な手術時期というのもありません。ただし、全身麻酔をかける関係から生後3カ月を過ぎてから、担当医と相談ということでしょうか。小学校の高学年とかになれば、指先ぐらいの大きさでしたら局所麻酔でも可能かもしれません。
3)そのまま待っていても毛は生えません。手術により縫い縮める事により脱毛状態は改善されます。ただし、線の傷跡(手術痕)は毛が生えない部分となります。
4)神経系、骨格系の異常を合併するケースがまれに報告されています。ただ、脂腺母斑が単独で存在する方がずっと多いと思われます。従って、乳児健診等で小児科の先生に異常を指摘されなければ、心配いらないでしょう。それから、そのまま未治療で何十年と放置した場合に、悪性腫瘍など別の腫瘍の発生母地になる(わかりやすくいえば癌化する)可能性があるとも言われていますので、その観点からもいずれ手術はすべきでしょう。


Q5:“あざ(母斑)”の種類にはどんなものがありますか。

A5:皮膚の一部におもに色や形の異常を生じる形態異常を母斑といい、俗にあざと呼ばれています。生まれつき存在する場合もあれば、出生後のいろいろな時期に発生する場合もあります。ある程度の大きさまで拡大することもあれば、自然に消えてしまうこともあります。では母斑(一部は血管の奇形)のいろいろな病例をお示しします。(これがすべてではありません。代表的なもののみです。)

表皮母斑

面ぽう母斑

脂腺母斑

扁平母斑

母斑細胞母斑

青色母斑

太田母斑

白斑性母斑

単純性血管腫

イチゴ状血管腫

Q6:私の、息子(二歳)は、左目の、すぐ下に、茶色のあざがあります.医者に、扁平母斑と言われました.一歳半の時、レーザーをしたが余り効果は、ありませんでした。この間、二度目のレーザーをくと行くと切り取るほうがいいといわれました.レーザーでは、だめなんですか。きるのならどのようにするのですか.傷は、残るのですか.二回に分けてするそうです.。期間をあけて.あざには三ヶ月.のときに気が付いて、形成に行きました.その時、二歳まで待つように言われました.今、とても、不安です。どんなことでもいいのでアドバイスをください。

A6:扁平母斑は、レーザーが無効な場合が多くあります。1度、レーザーを当てた印象として、効果がほとんどなかったため、繰り返してやってもダメだろうとその先生は判断されたのだと思います。レーザー照射した時期は、効果には関係ありません。
手術の場合、傷痕は大なり小なり残ります。手術方法により傷痕も違いがあります。下眼瞼にあるとのことですが、正確にどの部位でどのくらいの大きさかによって手術法を考えます。通常は、
・植皮による方法
他の場所から皮膚を採取し、あざを切除したところに移植する方法です。耳の後ろの皮膚などを良く用います。
・皮弁による方法
近接した正常な皮膚をずらすように動かして、あざを切除したところを覆う方法です。
などが行われます。
それぞれの患者さんにふさわしい方法を選択して行います。

Q7:私の右のふくらはぎには、踵から膝に向かって長さ約15cm幅約22cmの茶色のアザがあります。数年前に県内の美容外科でレーザー治療をうけました。(治療を受けたのは一部です。)保険外の治療だったので費用も結構かかりました、しかし治療したところにまたアザがでてきました。一度治療したところにまたアザが出てきたという事でもっと他の治療法はないのか聞いたところ今のところはないという答えでした。素人考えではありますが皮膚を移植するとかできないものでしょうか。
このアザでずっと悩んできました。きれいになってミニスカートはきたいです。

A7:お話からすると、扁平母斑といわれるものではないかと推測します。
レーザーが無効な場合、手術で治療することは可能です。大きさからすれば、植皮術ということになるでしょう。ただし、手術するのが良いかどうかはよく検討しなければなりません。植皮をした部位は、境目が傷痕になります。それから、移植した皮膚と周囲の正常な皮膚との「色」や「きめ」の微妙な違いが生じるため、パッチ状(つぎあて)の印象を与えます。また、お尻などから皮膚を採取するのですが、(その場所は薄くとるのでそのまま皮ができるのを待ちます。)その傷痕が大なり小なり残ります。
従って、そのあざが非常に目立つような色調であれば、植皮術をするのが良いでしょうが、さほど目立つものでなければやらない方がいいということになります。

Q8:29歳の女性です。胸の中央(自分から見て少し右より)に茶色のアザがあります。直径は約14、5cmほどで形は丸くはありません。小学校5、6年生の頃に気がついたらできていて、だんだん大きくなり現在の大きさになりました。
5,6年前に形成外科で診察してもらい、レーザー(種類は不明)で試験照射(1cm角)して半年ほど様子をみましたが、色が元の茶色にもどってしまい、
その病院では「レーザーでは無理でしょう」といわれましたが、治す方法はないでしょうか?

A8:推測ですがそれは、「扁平母斑」とよばれるうす茶色のあざだろうと思われます。扁平母斑の場合には、
レーザーの有効率が一般的に2割〜3割と低く、貴殿の場合のように元の状態に戻ってしまうこともよくあります。
従ってレーザーに対する望みは薄いですが、それを承知で別のレーザーで再度試みるか、手術するか、そのままあきらめるかでしょう。
ただし、手術の場合、直径は約14、5cmということで結構大きいようですし、どういう方法であっても傷痕が大きく残るため、積極的にはおすすめできません。

Q9:昨年暮れに双子の女子が誕生致しました。しかし喜びもつかの間、長女の額に大きな黒色の母斑が。。。妻は突然の出来事にショックで、子供の誕生の喜びよりも将来への不安で、その日は一日中泣いていました。小児科の担当医の話では、獣皮様母斑との診断。産まれた病院は総合病院ではなかったので、そこで紹介された総合病院の形成外科で診察を受けました。そこでの診察は、”現段階ではなんともいえない。レーザーでの治療も効果的ではない。外科的治療も成人になってから”というもので、約一年後の診察予約を行って帰ってきました。しかしながら、女の子で額の真中に黒い大きなあざ、双子の女の子で片方にだけできている。このことを考えると、親として、彼女が物心着く前になんとかしてやりたいと思っています。特に子供は純心なだけに残酷で、いじめにも会う可能性が非常に高いと思います。このことを考えると、親として、彼女が物心着く前になんとかしてやりたいと思っています。特に子供は純心なだけに 残酷で、いじめにも会う可能性が非常に高いと思います。 産院の新生児室でも他のお子さんを見にきていた家族のなかの子供が、うちの娘をみて”なんで、あの赤ちゃんはおでこに 黒い粘土をつけているの?”というのを聞くと胸が締め付けられます。さらに悪性か?どうかも気になります。 お忙しいところ申し訳ありませんが、今後の治療法についてアドバイス頂けますでしょうか?


A9:確かにレーザー治療の効果は期待薄です。手術しかないでしょう。
手術法としてはいろいろ考えられます。植皮術、皮膚掻破術、ティシューエキスパンダー法、培養表皮移植などです。
私の考えとしては、成人までこのまま待つのは大変ですので早い時期に治療を開始するのがよいと思います。1歳ぐらいからでも可能でしょう。あざ全部を縫い寄せるのは困難ですが、そのあざの一部は縫い寄せることは可能ですので、まずあざの中で縫い寄せて面積を小さくします。さらに残ったあざをけずり薄い皮膚を移植します。その移植した皮膚は、周囲の顔の皮膚とは色合いは違い多少目立つ印象はありますが、黒いあざとは比べものになりません。その状態で思春期近くまで待ちます。場合により、カバーマークなどでカモフラージュします。そして、思春期ぐらいになってから、ティシューエキスパンダー法で(場合により植皮術を組み合わせて)仕上げの手術をします。
獣皮様母斑そのものは悪性ではないのですが、何十年と放置された場合に皮膚ガンが発生することもあるといわれています。そういう意味でも、完全に切除しておくことが望ましいです。

Q10:29歳の女性です。3月の終わりに顔にシミが出来たためレーザー治療を受けました。もうかさぶたも取れたのですが、あとが前よりも濃くなっています。これは色素沈着というものなのでしょうか?このまま残るといったことはないのでしょうか?とても心配しています。どうかよろしくお願い致します。

A10:炎症性の色素沈着が起こっているものと思われます。レーザー治療後1か月では肌色、ピンク色、少し赤い色、赤黒いなど、人により変化は様々ですが、赤い人でも3か月もすると目立たなくなってきます。また、レーザー治療後に紫外線にあたると前より黒くなることがありますので、肌色のテープを貼ったり、紫外線カットのクリームを塗ることをおすすめします。

Q11:私の顔の右頬骨下あたりに、薄茶色いシミのようなアザがあります。大きさは縦&横とも1cmちょっとあります。いつから出来ていたのかはっきり覚えていませんが、既に高校時代にはありました。現在は32歳になります。実は、ここ何日か前からそのシミの半分から上は表面はかさついている感じで、ザラザラしていて心持色も上の部分だけ薄くなった気がします。前に、皮膚がんの話を聞き、もしかしたらと思いメールさせて頂きました。
実は、現在日本に住んでおらず病院へ行こうと思っていますが、言葉の壁もあるのである程度自分で調べてから行こうと思ってます。
 

A11:生まれつきのものであれば「扁平母斑 naevus spilus」、あとから生じたものであれば「老人性色素斑 senile pigment freckle」(老人にできるという意味ではない)が考えられます。いずれも良性であり、皮膚癌の可能性は低いと思われます。

Q12:30才の女性ですが白斑性母斑で悩んでいます。出ている部位は右腕手首から上腕部〜右側背中〜右太股と地図の様につながっています。背中と太股は日に焼けていないのでまだ良いのですが、右腕の白斑はどうしても日に当たってしまいまだらになっているので非常に目立ってしまい気になっています。癖で右腕を隠す姿勢をとってしまうので、最近は右腕の痺れと痛みまで出て来て困っています。尋常性白斑については治療法がいくつかある様ですが白斑性母斑には何か有効な治療法があるのでしょうか?右腕の白斑だけでも何とか
目立たなくしたいと思っているので何か良い治療法があれば教えて頂ければ・・・と思っております。宜しくお願い致します。

A12:白斑性母斑(脱色素性母斑)は、先天性で拡大傾向はありませんが、尋常性白斑は後天的で拡大傾向があります。白斑性母斑であっても尋常性白斑と同様な治療法として、光線化学療法、表皮移植術、培養表皮移植術、メラノサイト移植術などが行われます。それ以外に切除術、植皮術なども行われます。
ただし、設備の関係から私は切除術、植皮術で治療可能なもののみ扱い、それ以外は他医に紹介するなどしています。

Q13:私は生後二ヶ月の娘を持つ者です。子供は生まれた時から、お尻上部から腰にかかるぐらいほぼ全体的にあざがありました。病院の診断では色素性母斑とのことでした。その病院では黒あざのレーザーはおいてなく、ティッシュエキスパンダーという治療法があると言っていました。始める時期は、夏ぐらい(娘は生後6,7ヶ月になっています)からとのことでした。写真で推測できるかは分からないですが、色素が茶色っぽい所もあり、早期にレーザー治療をすると効果的かもとも言われましたが。もし、ティッシュ法を選択した場合、全身麻酔とのこと、範囲が広いので3.4回に分けてするとのことです。約二ヶ月は腰が膨れた状態で生活しなければなりませんよね。注射をしてふくらますごとに注射以外の痛みはありますか?伸ばした皮膚とおおもとの皮膚との違和感はありますか?最後に、生後6,7ヶ月で治療を始めるメリットはありますか?色々質問してすみません。どうしても治してあげたいです。ご返答のほどよろしくお願いします。

A13:注射の痛みのほかにも皮膚が過度に伸ばされるとそれによる痛みも出ることもあります。伸ばした皮膚と元の皮膚の違いはほとんどありません。
乳児期に治療をするメリットはあまりないように思います。特にエキスパンダー法の場合に、痛みのため食欲がなくなったり、元気がなくなったりすることもあります。もう成長を少し待ってから治療を開始しても遅くはないと思います。それからエキスパンダー法以外の方法として、年齢の小さいうちは連続縫縮法という少しずつ縫い寄せてあざを小さくしてゆく方法を繰り返して行う方が、本人やご家族の負担が少なくてよいのではと個人的には考えます。

Q14:はじめまして。7歳9カ月の娘ですが、うまれつき右太ももの横に10円玉くらいの黒あざがありました。1さい半くらいの時にあざを小さくする手術を皮膚科でうけました。傷跡とあざの黒っぽいてんてんのようなものがまじってみためが汚らしくみえます。ほんとうは、もっとはやい時期に2回目の手術をうければよかったのだすが、1回目の手術があまり満足のいくものでなかったので、そのままにしておりました。が、最近娘が友達とかにあざのことをよく聞かれるのがいやで、あざを消したいと希望し、来年の3月に手術の予約をしました。今回は、形成外科です。先生のお話によると、30分くらいの手術だそうです。年齢的なことを考えて、全身麻酔でということなのですが、周囲の人がリスクが大きいのでもう少し大きくなって、局所麻酔でやってもらってはどうかというのです。もう少しまったほうがいいのでしょうか?3月には、娘も8歳になります。局所麻酔は、難しいでしょうか?お答えいただければとおもいます。

A14:一般的には局所麻酔は小学校の高学年ぐらいから可能ですが、当然個人差があります。8歳という年齢では通常は全身麻酔ですが。時にききわけのよい子の場合に局所麻酔が可能のこともあります。そのあたりは担当医が判断することになります。
特別な病気を持っていない子であれば、全身麻酔のことで手術をするしないの判断材料にするべきではないと思います。すなわち、特別な疾患を合併していなければ全身麻酔のリスクは大きくありません。
あざのことを気にしていて手術を希望しているのですから、やはり担当医の勧める方法で治療を受けることがよろしいと思います。

Q15:足の膝5cm上からかかとに向かって約30cm弱の獣皮様母斑があります。依然ある大学病院で診療を受けていた際にレーザー治療では効果が無いので植皮をするしかないのですがかなり大きいのと膝全体にかかってるので手術は少し難しいと言う事と植皮する皮膚をかなり伸ばしてネット上にするのでデコボコ感が残りそんなにはきれいにはならない。植皮用の皮膚も他の部位からとるのでそこにも後が残るなどの理由で結局手術を断念しましたが、他には方法が無いものでしょうか?そしてこれががんに発展する可能性があると聞いたのですが定期的に病院で検査を受けたほうがよいのでしょうか?お忙しいところ申し訳ありませんがお返事よろしくお願いします。

A15:最近は「獣皮様母斑」は「巨大色素性母斑」と呼ばれる方が多いので、ここではそのように書きます。このお話だけからの判断ですが、複数回に分けて母斑を切除して、植皮をその都度行うことがよいと考えます。膝の部分であっても固定をしっかり行えば手術は問題なく行えます。ネット状にする植皮(網状植皮といいます)は、外見的に良くないのと、膝関節周囲などは機能的にも勧められませんが、未治療の状態と比べれば、網状植皮を部分的に併用する方法の方ががまだよいと考えます。広範囲の巨大色素性母斑の場合には、他に培養表皮移植などの方法もありますが、ここでそれを適応するかどうかについては、判断できません。
悪性化についてご心配のということですが、定期的に検査を受けるということは一般的になかなか難しいので、その観点からしても 巨大色素性母斑を治療する方針をとった方がよいと考えます。

Q16:初めまして。3歳の男の子と2歳の女の子がいるのですが、産まれた時から二人ともあざがあります。上の子は単純性血管腫と両肩に蒙古班があります。血管腫は左のわきの下から手のひらまで広範囲です。生まれた時よりはだいぶ薄くなったのですが自然には消えないということで心配です。蒙古班は1cm程度です。下の子は両手の手の甲と両足首に蒙古斑があります。大きさはさほど大きくないです。2cm程度です。蒙古班は自然に消えるので気にしなくてもいいですよ。言われていたのでそれほど気にしてはいなかったのですが、消えるのでしょうか。レーザー治療をする場合、早い方がよいと聞いたのですが3歳と2歳では遅いのでしょうか。麻酔などのことを考えると少し尻込みしてしまいます。キレイに消えるものなのでしょうか。

A16:蒙古斑については消失する可能性が高いのですが、異所性蒙古斑(=通常にできるおしり付近の蒙古斑と異なる場所にできた蒙古斑)においては、自然消失しない症例も結構あるといわれております。幼少期の方がレーザーの治療効率が高いため、早期治療を推奨する先生もおります。しかし2歳や3歳で遅いということはないでしょう。ただし、必ずきれいになるということではない、すなわち色が少し薄くなるだけとか色むらが残るなどの場合もあります。

Q17:はじめまして、23歳の男性です。8月4日に頭に出来ていた脂線母斑の手術をしました。大きさは横2cm×縦7cmくらいの物でした。手術はうまくいったのですが術後現在までかなり頭皮が突っ張る感じがします。血流が悪くなったせいか頭の髪の毛も薄くなってきました。頭の突っ張りの方はよくなるのでしょうか?(頭皮はそのうち伸びて張りはなくなるのでしょうか?)あと術後私のように脱毛される方は結構多いのでしょうか?何か方法はないのでしょうか?本当に悩んでいます。よろしくお願いいたします。

A17:突っ張り感は徐々に改善してくると思います。皮膚は伸びる性質がありますので、大丈夫です。脱毛しているということですが、これについては診察しないとコメントできません。通常はそういうことは起こりません。

Q18:私はもうじき17歳になる女性です 。お尻の辺りに、小さい頃からずっとある蒙古斑らしきものが 左右1箇所ずつぽんとあります。蒙古斑とは普通は思春期にはほぼなくなると聞いたのですが、私はまだくっきりと残っています。このまま無くならないのでしょうか?良ければ教えてください。

A18:蒙古斑は、一般に10歳前後で消失するものですが、成人期まで残るものが全体の3〜4%あるといわれています。それは持続性蒙古斑と呼ばれます。貴殿の場合にはすでに17歳なので、たぶん消失しないだろうと考えられます。
もしそれを気にして治療を望まれる場合には、レーザーもしくは切除術ということになるだろうと思います。

Q19:こんにちは。25歳女性です。生まれたときから頭(生え際あたり)に1円玉より小さい黒っぽいあざがあり、幼少の頃からそこだけに白髪が生えています。髪型によっては目立つので、自分で白髪を抜いたりしていたのですが、最近少し大きくなったのではないかと思っています。放置しておいても問題がないのか最近不安になってきました。前々から両親にはレーザー治療のようなものをしてはといわれているのですが、どうでしょうか。あと、保険はききますでしょうか。ご意見よろしくお願いいたします。

A19:多分「色素性母斑」と呼ばれる黒あざだと思われます。
色素性母斑は、レーザー治療も行われていますが、効果不十分なケースが多いです。試みても良いでしょうが、大きな期待はできないでしょう。色素性母斑のレーザー治療は、保険の適応はありません。
他には、手術で切除する方法があります。傷跡は残りますが効果は確実です。一般的に傷痕は半年ぐらい経過すると、白っぽくなって目立ちにくくなります。一部の美容外科を除き、手術は健康保険の適応があります。

Q20:現在生後2ヶ月の女の子がいるのですが、生まれつき眉間から額にかけてひし形の様な赤いアザ(手で押すと肌色になります)があり、未だ消えていません。
出産した病院では大きくなるにつれて多分薄くなっていくよとの事で、初めはあまり気にしていなかったのですが、色々と調べたところ新生児によくみられるサーモンパッチのようなので、念の為皮膚科に連れて行きました。結果多分サーモンパッチだろうね。と曖昧な答えでした。神経系の病気ではないようで一安心したのですが、新生児に頻繁に見られるものなのでしょうか?また、眉間のものは消えにくいというHPなどもあり心配しています。今までのご経験からうちの子のような例があれば教えて頂けないでしょうか?赤アザにはレーザー治療が効果的とききましたそういった治療をされた赤ちゃんはいらっしゃいますか?また、その際にかかる治療費はいくらくらいでしょうか?

A20:サーモンパッチは、2歳ぐらいまでに自然消失することがほとんどなので、経過を見るだけです。まれに残ることもあるといわれていますが、その際にはレーザー治療も検討する場合もあると思われます。ただし、個人的にはサーモンパッチに対するレーザーの経験がありませんし、費用についてもここではお答えいたしかねます。

Q21:生後1ヶ月の赤ちゃんです。耳の上半分表裏全体に生まれつき黒あざがあります。耳という複雑な部分なので、除去手術などできますでしょうか?除去する方法、期間、料金を教えて下さい。お忙しいところ申し訳ありませんが宜しくお願いいたします。

A21:治療方法としては、黒あざの皮膚を切除して、その部位に自身の別の部位から採取した皮膚を移植する手術になると思います。手術以外の方法は、難しいと思います。
確かに耳の軟骨の形状は、複雑な形をしています。従って、皮膚が浮き上がらないようにうまく密着させる工夫をして移植する方法になります。
治療は、1回ですべてを終わらせることは難しいかもしれません。2回以上(複数回)にわたる手術を行う可能性もあります。1回の手術につきでは2週間前後の入院が必要でしょう。治療費のことはここではお答えできません。自治体により子供の治療費を公費負担(援助)してくれるところも多いです。個別に確認してください。