形成外科Q&A (6)指 趾


Q1:私は20代後半の女性です。指の損傷について質問したいことがあります。約10日前、旅行先でスポーツをしている最中の事故で、左手の中指の第一関節を落としてしまいました。ちょうど爪のある部分、約2.5センチくらいありません。落とした指は回収できませんでした。現在は、手術をせず、保存的治療(軟膏を塗って、アルミホイルで覆う治療法)ということで通院しています。なくなった部分を皮膚の移植手術等で元に近い状態にすることは可能でしょうか?

A1:このような外傷を指の末節部切断といいます。切断した指を良好な状態で保持して持参され、適切な再接着手術を受けられる患者は幸運で、あなたのような短縮した指となってしまうケースも多いと思われます。あなたのような切断指の場合の再建(指先を作りなおす)手術として方法は次のようなものが挙げられます。
1、足指から手指に指を移植する方法
この方法は、足指の犠牲が伴います。最近やられている足の親指の一部を持ってくる方法では、親指の酬状変形は残りますが、指が1本なくなるほどの犠牲ではありません。ただ、1mm位の血管をつなぐ手技が必要となり、結構大きな手術となります。
2、鼠径部皮弁を用いる方法
鼠径(そけい)部とは太もものすぐ上の脚の付け根のあたりをいいます。そこの皮膚をチューブ状にして切断された指に縫いつけます。指が鼠径部に縫いつけられた状態で2週間ぐらいしてから鼠径部からチューブ状の皮膚を切離します。更に後から人工骨などを移植して支えとします。この方法の欠点は、手が鼠径部に縫いつけられた状態で2週間強いられること、複数回の手術が必要となることです。利点は他の場所(この場合では鼠径部)の犠牲が少ないことです。1本の傷跡が残るだけです。
3、義指
手術以外の方法ではこれをつけるという方法があります。しかし色調差が目立ったり、皮膚炎を生じたり、破損したり、汚れたりということで患者さんの満足度は低いとされています。


Q2:私は右の親指の右側が巻き爪なのですが、普段生活していて何か注意するようなことはありますか。また、やはり病院にいって手術をした方がよいのでしょうか。

A2:爪切りをして傷が露出すると感染を起こしやすいです。感染を起こすと赤く腫れたり、痛みを伴います。従って深爪をしたと思ったときは、市販の消毒薬などで2〜3日、消毒をするのがよいでしょう。お風呂はむしろ入った方が清潔を保つのによいと思われます。お風呂の後に消毒をすればよいでしょう。
 爪がかなり刺さっていて、爪切りに困難を伴うような場合は手術をおすすめします。また、感染を繰り返し、病院でよく爪を剥がしてもらっている人も手術すべきでしょう。そうでないときは、上の注意を守っていれば大丈夫かと思われます。判断に迷うのであれば、診察を受けるしかないでしょう。


Q3:巻き爪を自分で長年処理してる内にどんどんひどくなってしまいました。根本的に治す為には爪を抜いてもらうだけでは駄目なのでしょうか?両足の親指なのですが、入院は必要ですか?又、以前、別の怪我で足の指に麻酔をした時、とても痛かったのですが、やはり同じように指えの局部麻酔しか方法はないのでしょうか?

A3:爪を抜いているだけでは、また爪が伸びてきて同じことを繰り返すだけです。爪の根に当たる「爪母」という部分を処置する根治術が必要と考えます。両足を一度に手術するのであれば、原則的には入院が必要です。片側ずつ時期をずらして行うのであれば、外来手術が可能です。麻酔の方法は通常局所麻酔ですが、入院をするつもりであれば、腰椎麻酔とか硬膜外麻酔などの方法もあります。(腰のあたりに注射する方法です。)わたくしの病院で治療する場合について書きました。他の施設では、違う点もあるかもしれませんので参考までに。


Q4:3月に子供が産まれましたが右手親指が多指症でした。親指の横に小さい指がついています。形成外科に受診をしたところ、手術は出来るが10キロにならないと麻酔が使えないのでそのときにまた来てくださいとのことでした。やはりどこの病院でも、同じ事を言われるのでしょうか?10キロというと、1年先にはなると思うのですが、現在も左親指に比べると肉ずきが細いのですがこのままだと手術するころには右の親指の肉ずきが左に追いつけるのか心配です。それにその先生は、手術後指が弱くなる可能性があるので左利きにしておいた方がいいと言われました。横に開きにくくなるのだそうです。手術が出来るだけでよしとしなくては行けないのですが、このことはかなりショックをうけてしまいました。小さい指にも神経がとおっているので完全とはいかないのはわかっていたつもりですがある程度でいいので右も使わせたいのです。多指症の手術は、表面的だけでなく機能に関しては難しいのでしょうか?リハビリとかしても無理なのでしょうか?もしよければ、多指症についてくわしく教えて欲しいのですが。

A4:
・手術時期に関して
手術時期に関していえば、従来1歳といわれていましたが、最近はやや早まる傾向にあります。生後6ヶ月〜9ヶ月ぐらいです。ただし、母指多指症といってもいろいろなタイプがあって一概にいつがいいとは決められません。あまり早い時期では指が小さすぎて腱移行(下に述べています。)などの細かい手技がやりにくくあまり望ましいとはいえません。ですので1歳ぐらいまで待って行うのは決して遅いとはいえません。早く行えば反対側の親指の大きさに追いつくとかいう根拠はありません。

・左利きにするかどうかに関して
母指多指症の手術は、余分な指を切除するだけでなくその余分な指についている腱(いわゆるスジ)を残される親指に付け替える必要があります。それによって親指の横開きが可能になります。そういう手術を行うのですから左利きに矯正した方がいいとは私は考えておりません。子供の場合、リハビリといっても特別のことをさせるわけでもなくむしろどんどんその手指を使わせる方がいいのではないかと考えています。外見面、機能面ともに正常になるべく近づけることを目標にしています。ただ親指の動きのいくらかの制限が残ることもありますし、反対の親指に比べて細い指になることも仕方のないことです。他の第2指〜5指とのバランスがとれていれば、日常生活で左右の親指を比べることは普通ありませんからそれほど気にならないと思います。

Q5:7ヶ月の男の子がいます。左手の親指が二本あります。病院では一歳以降になれば手術してきれいになると言われました。どうして多指になったのかずっと気になります。先生に聞いても分からないといわれましたが本当に原因はわからないのでしょうか?一ヶ月半ごろから下痢だとか中耳炎にかかって入院したりとか今では7キロから全然 体重が増えなくなってきました。先月は40度の高熱がでて熱せいけいれんを起こしました。どうしても指の他に何か異常があるのではと気になります。大丈夫なんでしょうか。

A5:「母指多指症」といわれる手の先天異常です。原因に関しては、はっきりしていません。多指症の一部には遺伝性を認めるケースがありますが、すべてを遺伝で説明できません。妊娠のかなり初期に手は形成されてきますが、その時期に何らかの異常があったとしか言いようがありません。
熱性痙攣、体重が少ないなどと母指多指症との直接的な関連は、まずないだろうと思います。他の全身疾患に関しては、小児科の先生から特別何もいわれていないのであれば、余り気にかける必要はないと考えます。


Q6:私は、29歳の主婦で5歳の娘がいます。私が5歳の頃に右足の薬指だけが少し短い事に母が気付いたそうです。足が大きくなるにつれて、薬指だけが成長しないで(太くはなるのだけど短い)薬指の足跡が付かない(上についてる)状態でした。その時に診断されたのは、<幼少の時に足の薬指を強くぶつけた為で遺伝性はない>と言われて、足の成長が止まるのを待って、高校2年の時に腰の骨を使って、形成手術をしました。遺伝性はないと言われたのですが、私と同じように娘の右足の薬指が浮いてる感じで、左の薬指より短い様に思います。足が小さい時は全然気にならなかったのですが・・・。
 娘が異常と気付かないうちに治してあげたいのですがやっぱり、成長が止まるまで手術はできないのでしょうか?今は、まだ見た目ではハッキリと短いと分からない状態ですが、娘の薬指の付いてる所とか、私の時と同じなので多分間違いないと思います。これはやっぱり、遺伝だったのでしょうか?今後、2人目3人目と子供が欲しいのですが、必ずこのような指になってしまうのでしょうか?

A6:これは、「第4中足骨短縮症」といわれるものです。女性に圧倒的に多いといわれています。短縮に気づくのは、8歳前後のことが多いようです。しかし、多くの病院で実際に手術が行われれているのは、やはり高校生ぐらい以降のようです。それは、足の成長がおおよそ停止して、どの程度長さが短縮しているかを見極めた上で短縮している分だけ骨移植などにより延長量を決めるからなのです。希望すれば、もう少し早い時期(たとえば中学生ぐらい)でも可能の場合もあるでしょう。しかし、異常と気づかないうちに手術するというのは難しいと思います。
 確かに遺伝も原因の一つとしてあげられていますが、それだけで説明がつくというような単純なものではなく、多くの要因が関わっているようです。文献的にいわれているのは、遺伝、感染、外傷、梗塞、腫瘍、放射線、特発性(よくわからないときに特発性ということをいいます。)などです。そして、その人が持っている何らかの原因により中足骨の発育が抑制されて起こるとの考え方をしています。従って、2人目3人目の子供が必ずそうなるとも言えません。重傷な症状を呈する病気ではありませんし、あまりそのことを中心にして考えるのもどうかと思います。しかし、その点についてこれ以上のアドバイスは差し控えます。

Q7:私は以前、第4中足骨短縮症について相談させて頂きました24歳の女です。
実は、やっと今年に入ってその手術を受けました。その手術には2つの選択があり、1つは腸骨を移植するという方法、もう1つは、『骨延長術』という方法だと言われました。最近では、後者の延長術の方がよく使われ、見た目は従来の移植手術よりきれいで、骨も丈夫になるという理由で、こちらの手術を受けました。しかし、手術は成功したのですが、術後2ヶ月もするのに私の骨がなかなか延びてくれず、結局はまだ短いままです。もう一度手術をうけるように進められてます。今度は従来とおりの腸骨を移植するという方法なんですが、不安です・・・。もちろん、主治医の先生にもこうゆう場合があるという説明は少しは聞いてたのですが、結果的にこうなるのなら、初めから移植手術にしてればよかったと後悔してます。今後、どのようにしていったらベストなのかはっきりわかりません。もしよかったら、アドバイスを頂けませんでしょうか?
できたら、指を延ばしたいです。腸骨の移植手術を受けてもまた骨がくっつかなかったり、あとあと後遺症がでてきたりしないか、ディメリットの部分を色々教えていただきたいのですが。お忙しいとは思いますが、よろしくお願い致します。

A7:延長器を用いる方法は、腸骨を採取しなくても良い、延長量を調節できる等のメリットはあるものの、治療期間が長い、傷痕が目立つ、延長器の破損、感染、骨癒合不全などの可能性があるなどのデメリットもあります。
お話からすると腸骨移植する方法しかないでしょう。残念な思いは当然でしょうが、このままでは目的は達成されませんので、その手術を受けるしかないでしょう。骨切りはされているのですから、その部分に骨を移植し固定するという手術をすることになります。よほどのことがない限り、骨癒合不全や大きな後遺症などは起こらないと思います。今の状態を診察していないので、これ以上は詳細にはお答えできません。


Q8:我が家に待望の男の子が誕生しましたが、その子供のことで教えてください。実は、左手の指が4本しかない奇形で何とか直してあげたいと思い、先生ののホームページをみつけました。左手の親指と小指は正常で、残り2本の指が少し長いような気がします。市販の本で見て見ましたが、裂手症のような感じです。今日で生後5日ですが、とくに妻が不憫でなりません。このような奇形は治せるのでしょうか?ちゃんと5本指にしてあげられるのでしょうか?また、いつ頃から形成外科に連れて行ってあげられるのでしょうか?もし可能ならば、私の指を移植してあげたいです。

A8:裂手症は中央裂隙(割れ目)が特徴的なのですが、必ずしもそれがあるとは限りません。中指の成分の全くないものでは、基本的に新しく指を作るのは困難です。どうしてもといえば、お腹の皮膚などを使ってソーセージのような指を作ることは可能でしょうが、動きませんのでかえってじゃまになり良くありません。指を5本にすることにこだわることより、4本でも使える指(機能的に満足度の高い手)を目指すのが目標になると考えます。
生体肝移植のような意味でお父さんの指を移植することを考えられているのかもしれませんが、指移植においては全く不可能です。拒絶反応が起こり、移植指は必ず脱落します。その子本人のものしか移植できません。その子の足指を手に移植することは、考えられなくはないでしょうが、お話からすると良い結果を期待するのは厳しいと思います。
形成外科へは、生後1か月ぐらいになって診察に行かれたらいかがでしょうか。

Q9: 4月で5歳になる娘の足の指(左足人差し指)の爪についてです。 生まれたときからなのですが,指の先の方が右と比べやや太く,そして爪が2つに割れているような状態です。割れていると言っても正確に言えば,「2本分の爪」が生えているという感じです。ある種の奇形だと思うのですが,本人が言うには痛みのようなものは感じていないそうです。 まだ幼く,本人はちょっとみんなと違うので「変だな?」と思っている程度ですが,娘であることもあって将来のことを考えると心配です。この>ような爪の奇形は治すことが可能なのでしょうか?治そうと思えば「手術」ということになると思いますが,手術に適する年齢・正常な形態になる可能性・手術の方法・費用等も併せて教えていただければと思います。

A9:お話からすると「合趾症」といわれるものです。第2足趾が重複していてくっついている状態と理解してください。治療は手術です。年齢は何歳が最適ということもないのですが、5歳ということであれば、もう手術しても良いと思われます。就学前の治療が良いのではないでしょうか。しかし、治療しないからといって外見を除けば、特に大きな問題はないと思われます。
 手術方法は、診察していないので推測でいうのは良くないのですが、簡単にいえば骨も含めて真ん中の部分を切り取って、残した部分を寄せ合われて1本の第2足趾を作るというような手術になるでしょう。
費用に関しては、入院期間によって変わりますので、治療する病院で聞いてください。健康保険は使えます。

Q10:10ヶ月になる娘のことです。生まれた直後から、左手の人差し指が外側(右側)に曲がっているのに気がつきました。保健所の検診では、「左手示指の低形成」と診断され、その後、都内の形成外科に行きましたが、「今はなんとも言えない。一年後に来てくれ、手術をするなら6歳になった頃。」と言われました。親としましては、一年を待つのはとても長い事です。どうぞ良きアドバイスをお願いします。

A10:これは、斜指(しゃし)といわれるものです。原因としては、指の骨の発育異常、関節面の変形などがいわれています。治療法としては、小児では副子固定(板を当てる)で矯正する方法がまず行われ、それで効果のない場合には手術による治療が行われます。矯正は、早い時期の方がよいと思われます。手術の時期としては、3〜6歳ぐらいが適当といわれています。ご両親のご心配を考えますと、何もしないで待つより副子固定による矯正を試みられたらいかがと思われます。装用をいやがる場合もありますが、夜間だけ装用するという方法もあります。

Q11:私は19歳の女です。ずっと前から親指の付け根があったったときに痛く、ここ2,3日で急にはれて何もしなくても痛くなりました。6年前に親指の付け根を彫刻とうで切り三針縫いました。それが関係するのかとも思いました。昨日近くの病院へ行きレントゲンを撮ったところレントゲンに影のようなものができていると診断され、その日は祝日だったため血の検査ができませんでした。腫瘍(カルシウム)ができていると診断されました。6年前のけがは関係ないとおっしゃいました。そしてその日の夜になって、いたみがひどくなり他の病院に行きました。そこではRSD(RSDとは何でしょうか?)だろうと診断され、腫瘍はできていないといわれました。で、6年前のけがが関係あるかもしれないと言われ、けがしたときに切れた神経が伸びてきてそれがだまになったのではといわれました。私の病気はなんでしょうか?お願いします。それとRSDとは何でしょうか?教えてください。

A11:RSDとは、reflex sympathetic dystrophyの略です。
その特徴的な症状は、末梢神経傷害の後に生じる
1.激しい焼け付くような痛み
2.皮膚に機械的刺激や寒波、温熱、振動、音、光などの物理的刺激を加えたときの痛覚過敏
3.発汗、浮腫、チアノーゼ安堵の交感神経の機能異常
4.爪、皮膚の栄養障害
5.筋肉と骨の萎縮、関節拘縮を伴う罹患四肢の機能喪失
6.精神的刺激による疼痛の増強
などです。
「けがしたときに切れた神経が伸びてきてそれがだまになったのでは」というのは、神経腫といわれるものです。神経が切断された断端で、神経線維がふくらみ、腫瘤状になったものです。やはり、知覚過敏とか痛みの原因となることがあります。
貴殿の場合に何であるかは、診察しないとお答えできません。

Q12:今月、私に女の子が生まれました。ところが、右足の甲が半分しかありません。指は飾り程度についているだけです。レントゲンを撮ったところ、左足は骨がありましたが、右はありません。この足は、一生直らないのでしょうか、どうか教えてください。
 現在入院しているところでは、「ここでは、これ以上できないので、自分で探してみてください。」と言われたので、メールを書きました。最近は、臓器移植などができる時代ですから足の指だけでも移植ができないものかと考えてしまいます。その辺の意見もいただきたいと思います。

A12:手指の欠損においては、本人の足趾を移植するという方法も考えられますが、足趾の欠損では、本人の組織で足趾らしく作れるものはありません。足の場合には、外見的なことには目をつぶり、安定的な歩行が出来るようにすることに主眼をおかなければなりません。右足の甲が半分しかないということですが、右足で荷重したときに踵だけでうまくささえられなければ、義足を作って安定的に荷重が出来るように考えてあげることです。
海外では、手の切断症例に本人でない人の手を移植する(=同種移植)というような報告もあるようですが、今の日本では基本的に生命維持に不可欠な臓器に限って、同種移植が行われているのが現状です。生命維持器官でない四肢複合組織の同種移植では、致命的な合併症を招来する危険性のある免疫抑制療法を生涯続けなければならないなど、まだ解決するべき問題が多く未だ行われていません。

Q13:私の弟の娘(生後4日)についてご相談があります。外見に異常があり、両手の指がありません。両手とも親指と人差し指はありますが、右手については中指、薬指、小指とも付け根からなく、左手は小指はあります。それぞれきれいになかったり、変色して小さく団子みたいになってたりさまざまです。私も含めて、何の知識をなく、悲しみや不安で悲劇的な状況になっていますが、今後のためにも、今の状況を正確に知ることによって将来の覚悟であり判断が持てると思います。このような異常の場合、一般的にどこまで回復できるのか。あるいは義指みたいなのはあるのでしょうか?また例えば足の指を移植などはできないのでしょうか?
他にどのような異常の可能性があるのか教えて下さい。こういうことはすぐには分からないのでしょうか?こういった事例は滅多に無いと思いますのが、こういった事例の場合の可能性として教えて下さい。

A13:この内容から判断すると「絞扼輪症候群」ないし「短合指症」と思われます。どこまで治療できるかはここでは簡単には言えませんが、少なくとも形成されていない指を手術でつくることはできません。団子状の痕跡指が外見上問題になるときは、くびれを治すとか切除することになります。つまみ動作に支障があれば、それを可能にする手術を考えます。指同士がくっついている場合には、分離したり、指間を深くすることを行います。指の形はあるが短いというケースであれば、指延長が出来る可能性はあります。
義指もありますが、使い勝手の悪さ、色調の違いなどから使っている人はかなり少ないようです。
足趾の手指への移植は方法としてはありますが、母指と示指(人差し指)が健常であれば、通常は行いません。足趾を移植する目的としては、つまみや握り動作が不能な場合にそれを可能にするために行うものです。手指の本数を増やすためには通常行いません。手指の形状と、足趾の形状は大きく違いますので、足趾を犠牲にまでして移植したとしても、奇妙な手しかできないためです。また、足趾も複数なくなってくると、歩いたり走ったりするのに多少支障があります。
仮に、絞扼輪症候群であるとして合併症として言われているものは、内反足、血管腫、色素性母斑、唇裂、口蓋裂、副耳などです。これらは、体表面の異常であるために、出生時からあきらかです。それ以外の内臓の異常については、特に合併しやすいとは言われていませんが、1ヶ月健診などで小児科の先生に診察を受けて異常がなければ、特に心配ないでしょう。

Q14:生後3ケ月の男の子ですが、左手の親指の爪が2つあります。 ニ本に別れてはいないのですが、指が右手に比べて太くなっています。手術の必要性とその時期をお教えください。このままで特に支障がなければそのままでもよいのですが、 目立つ場所なので考えています。ご診断をお願いいたします。

A14:「左母指多指症(末節型)」と思われます。末節骨といわれる先端部の骨が2本あると推測されます。(一部癒合しているものもある)レントゲンを撮影してみればはっきりします。
このままでは特に外見上好ましくないので、手術をおすすめします。手術時期は、1歳ぐらいでしょうか。それより遅くてもかまいません。手術法は、2分接合法というものを行うことになろうと思いますが、レントゲンを撮影しなければ、はっきりは言えません。詳細は、病院で診察を受けられる際にお聞きください。


Q15:私の子でものことで相談です。現在、1歳10ヶ月の男子です。今年の2月末、加湿器で左手人差し指から中指との付け根の部分を火傷。(当時1歳2ヶ月)救急車で総合病院に運び込まれ、3度の火傷と診断されました。水疱と傷がある程度落ち着くまでは、毎日その総合病院へ通院。その後家の近くのクリニックで毎日の消毒を行って頂きながら、色々とアドバイスを頂戴しました。傷口が乾いたのが、3ヶ月経過後の5〜6月頃。と同時に引きつれもはじまりました。一旦皮膚が固くなってから、徐々に柔らかくなる。機能障害の心配はないし、子供の回復力もあるので、あと半年は様子をみてみることになりました。辛抱強く待ってはいるものの、現在の状況は左手の人差し指が曲がったままの状態で、中指との間の水掻きも第2間接と指の根元の中間位までくっついた状態。そろそろ、今後どうするかを決める時期に来ています。今後、どのような治療法が考えられますでしょうか?
そして、植皮した場合、黒変してしまう可能性は一般的にどの程度あるのでしょうか?

A15:瘢痕拘縮(ひきつれ)が生じているので、なるべく早く手術(植皮術)しておいた方がよいです。そのままにすると指(骨、腱、神経など)の成長障害が懸念されます。私の意見としては、指の3度熱傷であれば、瘢痕拘縮を生じさせる前に、植皮手術をすべきであったと考えます。それを今言っても仕方ありませんので、早期に手術するべきと考えます。水掻き変形は診てみないとわかりませんが、時期をずらして後で手術するのが良いかもしれません。
植皮部の色調は、どこから皮膚を採取するかによって決まります。足底とか内くるぶしあたりから採取すれば、色素沈着(黒変)は起こりません。それが、鼠径部とか腹部、臀部、大腿部などから皮膚を採取すると必ず色素沈着します。ただし、足底とか内くるぶしの場合、採取できる面積にある程度、制限がありますので、ケースバイケースです。

Q16:
1)生後1ヶ月の娘のことで相談します。生まれて右足の指が6本ある事がわかりました。小指の次に並んでもう1本ついています。生まれたとき産婦人科の誰もがわからなくて私が見つけたほどきれいに並んでいます。ある病院の形成外科へ行ったら「1年待ってから」といわれました。1年たつと普通は歩くようになると思うのですが、歩けるようになってから手術してもそのあと何か歩き方に問題はでてこないのでしょうか?

2)小指(5本目の指) が左足に比べて細く短いような感じがするのです。だいたいでいいのですが手術は基本的には6本目の指を取るのですよね?1年待って手術したころに左右の小指に差が出てしまうではないかと思うのですがどうでしょうか?それと6本目の指があるために5本目の指が成長しないのでしょうか?

3)それと足が奇形だとほかにどこか先天的な異常がある確率は高いのでしょうか?

A16:
1)「小趾列多趾症」といわれる先天異常と思われます。この異常があったとしても歩行に影響はありません。手術法にもよりますが、大体1ヶ月〜1ヶ月半もすれば全く普通の生活が出来ます。手術により特に歩行に影響を与えるということは考えられません。
ケースバイケースなのですが、一般的に1歳より前では足指が小さいので細かい手術がやりにくいということがあります。

2)書かれた内容から判断する限りにおいては、第6趾を切除することになると思われます。
第5趾に左右差が生じる可能性はあります。しかし、その側の足ゆびの全体的な形態がより重要であり、左右の第5趾の大きさを日常で比較することはありませんし、極端なものでない限りはそれは気にしないことです。
本来あるべきでない第6趾のゆえに第5趾の大きさが正常より小さいということはあるでしょうが、早期に第6趾を切除すれば、第5趾の成長が早まるという考え方は、適切ではありません。 

3)確率で云々するより、乳児健診などで小児科の先生からその他の異常を指摘されなければ大丈夫です。それを優先的に考えてください。

Q17:はじめまして、私の、子供の指についての質問です。子供は、10歳になり,先天性の短合指症です、現在、右手が小さいため、将来、左手の大きさに近づけるける手術は、可能なのですか?又、娘の右手は、親指以外、細くて短いのですが、今のところ 普通の生活には、支障は、ありません。

A17:左手の大きさに近くすることは、難しいでしょう。骨移植、骨延長、合指の分離などの手術により、少しでも外見的に改善させることは可能かと思われます。診察をしなければ、これだけのお話でどのように良くできるかをお答えすることは無理があります。


Q18:28歳男性です。私の手の小指(特に左手)は生まれつき内側(拇指側)に曲がっています。いろんなホームページを探した結果、斜指と呼ばれる状態である事が分かりました。私は楽器のコントラバスを弾くのですが、小指の湾曲が原因で左手のフォームがうまく作りづらく悩んでおります。手術を行う場合は小指の中節骨を切断するとの事ですが、もし手術を行った場合、楽器を弾いていくのに十分な機能および感覚を取り戻せるのでしょうか。手術によって余計小指が不自由になったらあまり意味がないと思っております。普段生活する分には全く支障がないだけに、非常に迷っています。

A18:骨切りによる斜指の修正についてですが、機能、感覚は元の状態が基本的に維持されると考えられます。しかし骨癒合するまで比較的長期間、指の動きが制限されるため関節が固くなったり、神経に微妙な影響があってしびれがでたりする可能性は考えられます。そうであっても日常生活にはほとんど影響はない程度のものでしょうが、楽器を使うとのことでその指先の微妙な機能や感覚に影響がでないとは言い切れません。そのあたりのこともありますので、病院で診察を受けられてよく検討された後に、手術を受けるか否かを決められることをおすすめします。

Q19:現在9ヶ月半になりますが、右手の中指が無く4本で生まれました。出生時の診断では【欠指症】と言われ、5本にすることは無理で機能性をみていき行うなら1歳以降に手術をしましょうと言われました。 しかし先日、別の病院で受診したところ【裂手症】と言われ1歳までに手術したほうがいいと言われてしまいました。裂手症とは手のひらまで裂けてしまったものを言うのではないのでしょうか?うちの子の場合手のひらは普通にあり、中指のみない状態です。 レントゲンも撮りましたが手のひらにちゃんと5本骨が写っていました。 これでも裂手症というのですか?

手術についてですが中指の骨と人差し指のほねを接合して、人差し指を中指の位置に移動させると言うことです。 中指の骨を取らず人差し指を中央に寄せることもできると言われましたが、どちらで も機能的に変わりはないのでしょうか?また他に選択肢はないのでしょうか?

それから遺伝について教えていただきたいのですが。他のホームページで裂手症は「優性遺伝」と書いてあるのをみたのですがどういう意 味ですか?また多指症からの遺伝で裂手症がでる場合がありますか? (私の父と弟が多指でした。そのせいで娘がこんな風になったのではないかと・・・)

A19:裂手症というと手の中央が裂けている(=中央裂隙)というイメージがあると思いますが、必ずしもそういうものばかりではありません。中指の基節骨以遠(手のひらより先)がないものを一指列遠位欠損型といって裂手症の基本形の一つです。裂手症といってよろしいと思います。

手術法は、前者の方法が主流です。 後者は、再発や指交差をおこしたりするのであまり行われません。お話から推測する限りでは他の選択肢はないと思います。

裂手症では、一部に常染色体優性遺伝をするものがあるといわれています。この遺伝については、
http://members.tripod.co.jp/sirayuu333/iiden1.html
をご覧ください。
遺伝的素因は否定できないものの、まだ未知の部分が多いです。多指症と裂手症の関連性についてはわかりません。

Q20:6ヶ月になる男の子の右手親指なのですが、いつも中に折れていて親指だけが開かず、あまり動きません。親指を開いてあげれば開きますが直ぐに折りたたんでしまいます。痛みはなさそうです。外観上は特に異常が見られないので、発見が遅れてしまいましたが放っておいて自然に治るものでしょうか、治療が必要でしょうか?ご意見をお聞かせください。

A20:これは、弾発母指とか剛直母指などと呼ばれます。先天的に母指(=親指)の曲げる腱の一部がこぶ状に太くなっているため、腱鞘というトンネルを滑って腱が動くときに、引っかかりが起こるために生じるといわれています。

一般的には、6歳ぐらいまでに80%は自然治癒するともいわれます(札幌医大、石井清一教授)が、必ず治るとは言い切れないので、やはり診察を受けることをお奨めします。(整形外科もしくは形成外科)治療としては、夜間のみ母指を伸ばした状態で装具で固定するとか手術を行う等の方法があります。


Q21:今年四月に女の子を出産しましたが、産まれた時から左手の指が短いのです。親指は正常。小指はやや貧弱ではありますがほぼ正常。残り三本の指は第一関節ほどの長さで
1ミリ〜3ミリくらいの爪もあります。生後4日でこども病院の診察を受け『羊膜索症候群』と言われました。今7ヶ月に入り左手でも物を掴んだりおもちゃを回したりとしっかり使えてるとは思うのですが、やはり、女の子というのがあって、見た目を綺麗にしてあげたいと思うのです。やはり、私も女ですから。  しかしそれは無理な事なんでしょうか?
もちろん使える指が使えなくなるような手術は望みません。あと、病院で見てもらった時に手のレントゲンも撮らないんですけど、そうゆうものですか?

A21:「羊膜索症候群」というのは私にはちょっと理解しにくいですが、その手指に対する診断としては「先天性絞扼輪症候群」もしくは「短指症」といわれるものではないかと思われます。指の長さを健側の長さまで長くすることはかなり困難ですが、ある程度の長さの延長は可能であると思います。その方法は、骨移植による延長術、骨延長器を用いた骨延長術などです。基本的に指の機能はなるべく温存するような程度の延長にとどめざるを得ないですが、それでもいくらか動きが悪くなることもあります。
だだ、爪に関しては小児期にはよい方法がないです。成人になって足指の先端部を犠牲にするのなら、それらを移植する方法はあります。
新生児期には、レントゲンを撮影しないこともあります。ただその先生のお考えまで推測することは出来ません。

Q22:足の多合趾症と診断された子どものことで質問します。最初の病院での診察では骨は出てなかったのに後で診察を受けた病院では、骨が出ていると言われました。骨というのは後から出てくるものでしょうか?また30分程で終わると言われた手術が別の病院では2時間かかると言われたのですが、それほどかかるのでしょうか?また2つ目の病院は指定育成医療機関と分かり、後日電話で問い合わせたところうちの息子の場合は適用されないと言われてしまいました。どこの病院でも同じなのでしようか?また術後とうぶんは歩くのに不自由になるのではないでしょうか?先生の意見をお聞かせ願えればと思っております。よろしくお願いいたします。

A22:・子どもの場合には年齢が進むにつれて今までレントゲンで見えなかった骨が、徐々にはっきり映ってくることはありえます。
・手術時間、入院期間は、それぞれの担当医の考え方、治療方針、手術方法により大きく違ってくることがあります。この場合にどちらがよいという言い方は簡単に出来ません。
・育成医療に関しては、この多合趾症で歩行障害などをきたすとは考えにくいので、適用は一般に難しいと思います。
・手術後にギプスなどによる副子固定を行う場合があります。その副子をつけているときは、当然歩けないですが、それを外せばすぐに立ったり歩けるようになると思われます。仮に固定をするにしてもせいぜい2〜3週間ぐらいだろうと思います。

Q23:私の次男のことですが、H16年1月25日に生まれましたが、両手足の指が3本ずつしかありません。右手は、親指とひとさし指はやや小さいが、普通にあり、中指と、薬指がなく、小指が細長く、通常の倍以上のながさです。左手は、親指とあと2本(私には、どの指かわかりません)あり、くるぶしの下のほうまで裂けています。右足は、普通の人の薬指と中指がない状態で、左足も同様でしかも、薬指と、小指の間が裂けています。この様な場合の治療方法として、自分の骨の移植する方法があるとききますが、そうした場合移植してつけた指は動くのでしょうか。また先日、テレビで筏義人先生の再生医療の治療方法をみましたが、その方法で、もともとない箇所に移植をすることが可能なのでしょうか。

A23:書かれている内容からすると「裂手(れっしゅ)」、「裂足(れっそく)」と呼ばれる先天異常だと思われます。
裂手はその程度によっていくつかの型に分類されますが、貴殿のお子さまの場合には、手の中央の指が完全に欠損し、左手(左足)は深い裂隙(れつげき)があるようなタイプだと思われます。この場合には裂隙を閉鎖する手術や指列移行(=指の位置をずらすこと)術を行います。しかし残念ながら指の数は不足したままです。本数にこだわるより使いやすい(機能面で優れた)手とすることのほうが重要です。動かなくてもよいからどうしても5本にしたいというのであるなら自家組織を移植する可能性はありますが、しかし指というより爪のないソーセージがくっついているという様なものであり、邪魔になるのであまり薦められません。
 裂足においても裂隙を閉鎖する手術が中心です。足指の本数のことは最初から考えません。

Q24:私の娘(8ヶ月)は、多合指症で右足の薬指と小指の間に指があり、3本が合指になって生まれました。次の点について悩んでおり、ご相談に乗っていただきたくメール致しました。
(1)最も良い手術の時期について
(2)遺伝性について
夫の父が同じ右足の薬指と小指が合指になって生まれ、1歳くらいの時に手術したそうです。義父の母も亡くなっていて、詳細がわからないのですが、指がもう一本あったとは聞いていないとのことです。 ただ、足の同じ場所ですので、遺伝の可能性が高いのではないかと感じています。もし遺伝性の障害であった場合、「足の多合指症」だけの遺伝でおさまるのでしょうか?手に発症したり、その他の手足の先天性奇形になる可能性もありえるのでしょうか? 私の第二子、娘の子などへの遺伝がどのような形ででてくるのかについて、非常に不安に思っております。

A24:(1)もっと良い手術時期という言い方は難しいのですが、一般的に1歳を過ぎた頃から2歳ぐらいまでに手術をしている施設が多いようです。
(2)足の多合趾症の場合、一部に遺伝があるということはいわれていいますが、詳細はわかりません。ですので、遺伝の可能性は否定はしませんがここでははっきり申し上げられません。さらに今後のお子さまやその子孫の方に対することなども私にはわかりません。
遺伝のことで詳しい情報がほしい場合には、大学病院などの小児科で遺伝相談を行っているところがありますので、そちらを受診するようにお願いします。

Q25:妻は妊娠4ヶ月の時に追突事故をされ、腰痛を生じその腰痛を抱える中で幼稚園児の世話、家事洗濯を行い非常に厳しいものがありました。このように事故及びその後遺症を抱える中で、生まれた娘が先天性短合指症と診断され、専門医に原因について相談したところ、事故によるものとは考えにくいとのことでした。原因について遺伝的なもの、環境によるものと大きく区別されますが、遺伝的なものには全く心当たりがありません。環境的な部分に事故が該当するのであれば教えてください。また、「羊膜裂傷」で短合指症を引きおこすことがあると聞きましたが、事故により羊膜裂傷になることも考えられますか。以上、よろしくお願いします。

A25:短合指症は、羊膜裂傷続発症の一つといわれていますが、だいたい妊娠5週という早い時期に起こるとされています。遺伝性でなく、環境が原因でおこるものが殆どであると考えられています。妊娠4ヶ月時の追突事故で羊膜裂傷があった可能性は否定はしませんが、それによって短合指症が生じたとは考えにくいです。
一般的にはこういう手足の先天異常において環境、遺伝のいずれにしてもその原因を特定できないことがほとんどです。

Q26:お忙しいところ失礼いたします。HPを拝見させていただきました。
早速ですが、私の甥(現在、7ヶ月)が多指症で産まれてきました。手と足、どちらも片方ずつ指が6本です。典型的に手は親指、足は小指が1本ずつ多い状態です。産婦人科からの紹介で一度、形成外科で診てもらっていて、その時に手と足両方一度に取ってくれるとの事だったそうですが、大丈夫なのでしょうか?両手、多指症の子供を持つ方のHPを拝見したのですが、その子は片方ずつ手術したそうです。手と足の両方、多指の場合の手術は通常一度に出来るのでしょうか?それとも別々に手術した方がいいのでしょうか?
お忙しいとは思いますが、ご返答いただけると幸いです。よろしくお願いします。


A26:これは担当医の判断によるところだと思われます。例えば、両手の多指症の場合には、これを同時に手術すると両手がしばらく使えない状態となるので、患児本人にとってストレスが大きくなります。両足の場合には、年齢にもよりますが歩行ができないなどでやはり負担が大きいです。
片手と片足の場合には、両手や両足の場合ほどのストレスはないので一回の手術でも可能だと思われます。私は診察していないのでこれ以上はっきりとは申し上げられませんが、担当医が一度に手術できるということでれば、それでお願いすればよろしいのではないかと思われます。

Q27:私は女の子を出産しましたが、その子の右手の指が短く、手のひらも少し小さめで、指の間がきれいに窪んでいなく、小指と薬指がくっついていました。
形成外科で見てもらったところ短合指症(ポーランド症候群)と診断されました。だいたい一歳半ぐらいで2回に分けて手術すると言われました。
切り離しと皮膚移植についてはよく理解したのですが、指の延長はあまり期待できないと言われました。インターネットで調べていたところ、あるサイトに短合指症のことが書いてあり、
(15mm程度までの短縮であれば十分な効果が期待できます。)
と書いてありました。書いてあることが間違いではないのか、もしそうであれば、それは、今の時点で左の指より15mm短いということなのか、成長が定まってのことなのか、いまいち理解できません。そして延長できた場合指は曲がるようになりますか?
大胸筋の欠損も伴っています。広背筋から移植する方法もあるといわれたのですが、早くにその手術をすれば胸は発達するのでしょうか?もし移植する場合皮膚移植と同じで本人の物だけなのでしょうか?
不安で不安でしかたありません。お返事お願いします。

A27:指の骨延長という方法は確かにあります。その年齢は大体6・7歳以降ぐらいになってから検討するべきことでしょう。15mmというのがそのまま貴殿のお子様に当てはまるとは限りません。指の延長は一般的につまみ動作が不良な手指で考えます。外見上の改善という目的でははあまり満足する結果は得られないでしょう。(推測ですが)担当医師が指の延長に消極的なのはそういう理由かもしれません。指の延長で関節の動きも悪くなる可能性があります。

広背筋を移植するような方法は、反対側の乳腺が十分発達してから行います。早期に手術しても胸の発達は期待できません。広背筋のような自家組織を使う方法以外に人工物(乳房プロテーゼ)を使う方法も選択肢の一つです。
診察していない立場であまり詳細にはお答えできません。焦らずに少しずつ担当医師より説明を受けてください。


Q28:私は、2児の母で上は3歳の女の子、下は現在7ヶ月の男の子がおります。
下の男の子の左手の親指が先天性母指形成不全で指が動かずついている状態で
5段階の3B(悪いほうの3)と診察されています。レントゲンでみても他の指に比べて骨が細く付け根の関節(CM関節)がない状態です。現在のかかりつけの医師から治療方法として親指を切除して人差し指を親指化する事が一般的である事、5本残す事は出来なくはないが前の治療方法に比べて機能性が落ち保障できない事、足の関節・腱の移植する、手術回数等リスクが伴う事を言われており今後ゆっくり考えていきましょうといわれています。親としては何とか5本指を残す形でと希望していますが子供の将来を考えると多少不自由でも5本残すのか良いのか、機能性の面で考えと4本にするのか決断がつかない状態です。
やはり5本指を残す事はむずかしいのでしょうか?残す事で弊害等もあればご教授願います。
それから現在整形外科に診察して頂いていますが形成外科との違いは何でしょうか?色々インターネットで調べていると整形外科・形成外科・脳外科何処にいくのがよいのか分からなくなります。

A28:母指形成不全の治療方針としておおよそコンセンサスが得られているのは、
type1:特別な治療を行わない
type2:母指外転筋移行、環指浅指屈筋腱移行など(詳細は割愛します)
type4&5:母指化術
です。
type3については、低形成母指を温存、再建する考え方と低形成母指は切除し母指化術を行う考え方に分かれます。我が国においては、家族の母指の温存希望が強く前者が選択される場合がしばしばあります。
しかし、特にtype3Bの母指の温存は決して容易なものではなく、(専門的ですが)血管付き第2趾MTP関節移植が必要となります。これは、足の第2趾のMTP関節(足指の付け根の関節)を手のCM関節の所に移植する方法です。しかし、足指が犠牲になること(=第2趾を失うということ)や万一、つないだ血管が詰まると移植した関節もダメになる可能性を含んでいます。
母指形成不全に関しては、整形外科と形成外科に決定的な違いはありません。境界領域であり、治療を担当する診療科として整形外科と形成外科がオーバーラップしています。その先生が母指形成不全を扱っているかどうかによります。(脳外科はこの疾患には直接は関係ありません

Q29:生後4ヶ月の娘の右足の小指に、もう一本指らしきものがあります。触った感じでは、骨はないように思います。出産した病院から紹介を受け、産後すぐに大きな小児病院の形成外科を受診しました。その際、もう少し大きくならないとレントゲンが撮れないとのことで、4か月になってから受診。するとすぐに、生後5ヶ月になって間もない日での手術の日程を告げられました。様々なものを読むと、手術は1歳くらいが適当と書いてあるのを目にしますし、麻酔などの影響も不安です。ほかの受診されていたお子さんより、軽傷なのかも知れませんが、レントゲンの結果の説明もなく、手術の日程のみを言われたので、このまま手術に臨んでいいのか、不安が募っています。手術の前にもう一度受診しようと思いますが、どのようなことを確認するのがよいか、教えていただけないでしょうか。

A29:麻酔については、形成外科の医師からは詳細には説明はないかもしれません。小児病院ならば、乳児の全身麻酔も慣れたものだとは思いますが、ご心配ならばまずは担当医にお尋ねください。
あくまで推測でしかありませんが、5ヶ月ぐらいで手術をするというのは、多分平易な手術だからだと思います。将来の足指の変形の可能性とか、傷跡の具合などを確認されたらよろしいかと思います。また、1歳ぐらいまで待ちたいならば、それでもよいかもしれませんし、手術時期などについても確認されたらよいと思います。

Q30:生後2ヶ月(3月30日生)になる長男の事で相談です。生まれた時から、両足6本あり、右手が6本ありました。いずれも小指側です。右手右足の6本目は骨が無かったので、生後1週間に糸で縛り、自然に落としました。しかし、左側小指の6本目は骨がしっかり入っていたので、今回生後5ヶ月となる9月初旬に出産した大学病院の形成外科で手術する事になりましたが、少し不安があるので相談させて頂こうと思いメールさせて頂きました。
1.生後5ヶ月での手術ですが、全身麻酔のリスクは無いのでしょうか?あるとしたらどのようなリスクなのでしょうか?
(担当医師に聞いたのですが、”大丈夫でしょう”との説明だけだったので)
2.6本目の指を取り、5本目の指に筋肉がつくようにする手術、との事ですが、素人の私には5本目の指の方が小さく弱そうに見えます。レントゲンは撮ったので医師の判断に任せて良いとは思いますが、場合によっては6本目の指を残し、5本目の指を切断するという事もありえるのでしょうか?(写真の添付がありましたが割愛)
3.根本的な質問ですが、6本目の指を取る手術は必要あるのでしょうか?(取らない方が良いということもあるのでしょうか?)また、取った場合のメリット、デメリットがあれば教えて頂けますでしょうか?”靴が入りずらくなる”、”見た目が悪い”、という理由以外に機能的な問題で取る必要はあるのでしょうか?担当医師に聞いたところ、”本来は5本指のはずなのだから、6本目は取った方が良い”という説明だったのですが。。
4.もし手術が失敗した場合、どのようなリスクが考えられるのでしょうか? 歩行困難になったりする可能性もあるのでしょうか?

A30:
1.これは、厳密には麻酔科医師に尋ねてほしい質問です。形成外科医としては、このことをあ
まり細かく説明しないことが多いですし、結論から言えば、まず心配は要らないとのお答えとなります。
http://www.neuroanesth.com/masui/faq.htm
という麻酔科医師のHPのQ&Aのページの下の方に似たような質問があります。参考にしてください。
2.この写真から判断する限りでは、第6趾の切断がよいと思います。第5趾を切断すると軸を矯正しても変形が残存する可能性が高いと思われます。
3.手術しなくても歩行という機能には、直接的な影響はないでしょう。しかし、靴の問題、外見上の問題は決しては軽視できません。切除によって何かデメリットが生じるとは考えにくいです。確かに多趾症でもいろいろな程度があり、軽度のものは未治療のケースもあるでしょうが、貴殿のお子様の場合には治療は必要と私は考えます。
4.何をもって成功/失敗と定義するかが曖昧ですが、歩行困難になるようなことはまず考えられません。

Q31:生後6ヶ月の男の子の足指に関してのご相談です。息子の左足指ですが、生まれつき、4本が第一関節より上がありません。レントゲンをとりましたが、4本は第一関節より上の骨がなく、爪もありません。また、人差し指と中指は、上のほうが、曲がった状態です。
(写真を2枚添付あるが割愛)出産をした病院では、足指が成形される時に、羊膜がはがれたものが、足指に絡み付いて、成長を止めてしまったのではないか?ということを言われました。出産をした病院では、将来的に足の機能には問題がないと思われるので、(歩行には、第一関節より上はなくても問題がないと言われました)特に、何も施さないほうがいいのでは?という診察でした。
@骨や爪は移植できないのでしょうか?
A歩行には、第一関節より上はなくても問題がないのでしょうか?
Bせめて、曲がった人差し指と中指をまっすぐにできないでしょうか?
 (手術とまではいかないとしても、矯正のようなことはできないでしょうか?)

A31:
@骨移植については、曲がりを矯正する手術を行う場合に行う可能性はあると思いますが、指の長さを伸ばすための骨移植はどうでしょうか??最終的には、成長ををみて判断することになると思います。爪の移植は、まず不可能です。
A問題はまず起こらないと思います。
Bもし、足趾(あしゆび)が曲がっていることにより圧迫されて痛みの原因になったり、タコなどを生じるようであれば、矯正手術は可能だと思います。また外見上からもその治療対象となるだろうと思います。手術以外の矯正としては、夜間のみの副子固定(棒状のものをテープで貼る方法)をする方法が考えられます。しかし、その効果は不確実かもしれません。また、足趾の間が浅いので、これを深くする「趾間形成術」と呼ばれる手術も行うことで外見上、足趾を長く見せる手術も考えられます。

Q32:私は20代後半の女性です。生まれつき左足の人差し指が短い(右足は中指と同じぐらいの長さ)のが嫌で夏なのにサンダルがはけません。
中指との差が5mmほどです。この場合の手術の内容と入院日数と歩けるまでの期間を教えて頂きたいのですが。

A32:推測ですが中足骨短縮症と呼ばれる病態かと思われます。これに対しては、骨移植術、骨延長術などの手術方法があります。私は骨移植術を行っています。腸骨(自分の腰骨の一部)をとって中足骨(足の甲のあたりの骨)を切ってその間にに移植して長さを補うする方法です。入院期間については、それぞれの医師の判断にもよりますが、私は2〜4週間ぐらいをおすすめしています。松葉杖などで手術翌日からなんとかトイレぐらいは歩くことはできますが、普通に歩くには、1ヶ月ぐらいはかかると思います。

Q33:小学生の頃から両足共外反母趾です。年齢とともに骨の出っ張りがひどくなってきました。普段からヒールを履かず、スニーカーなどを履いています。最近靴を履いていない時も、親指の付け根が痛み、外反母趾が悪化してきているように思えます。ちなみに、母親、祖母、伯母、いとこも外反母趾で、遺伝的な要素が大きく関係してい
るのではないかと感じています。先日整形外科を受診し、レントゲンを撮って頂いた所、外反母趾角が22度(左足)と言われました。そちらでは、手術はせず、悪化しないよう予防策を勧められました。 私としましては、これ以上ひどくならないうちに手術を希望したいのですが、外反母趾の手術法、入院期間、通常生活までの期間、手術における危険性、費用(両足手術)など手術をした場合について詳しくお聞きしたく思い、メール致しました。お返事宜しくお願いいたします。

A33:手術を行うべきかどうかはここでははっきり申し上げられません。手術方法は、いろいろあるのですが、私はミッチェル法といわれる中足骨の骨切りを行う方法を行っています。
入院期間については、一概には申し上げられません。2週間ぐらいから遠方の方に至っては、6週間ぐらい入院されておられる方もあります。通常生活をどの程度のものとするかにもよりますが、普段通りに歩くまでには2ヶ月ぐらいかかると思います。また両足となると同時に行うことはおすすめできませんので、片側が治癒してから反対側を手術することになると思います。(そのあたりは担当医による見解の違いもあるかもしれません。)
危険性と呼べるようなものではないかもしれませんが、母趾のしびれや関節の動きの悪化、痛みが残る、外反母趾の再発などは一応考えられます。
費用については、様々な条件を加味しなければなりませんので、診察をお受けになる医師に直接お尋ねください。

Q34:私は東京都在住の女性なのですが、指の関節について質問があり、メール致しました。
最近、人差し指の第一関節から先が、内側(中指の方向)に曲がってきてしまい、左右両方の人差し指において同じような症状が見られ、少しずつ進行しているような気がします。また、母もしばらく前からそのような状態にあり、曲がり方は私よりも深刻です。
インターネットでも調べたのですが、なかなか該当するような症例が見当たらず、質問にお答え頂けたらと思っております。お忙しい中御迷惑とは存じておりますがよろしくお願いいたします。

A34:診察しないで回答することは無理がありますが、あくまで可能性の一つとしてお考えください。「Heberden 結節(ヘバーデンけっせつ)」という病気があります。指をよく使う人の年齢的な変化と考えられます。
http://www.nurs.or.jp/~academy/igaku/o/o42c.htm
をご覧ください。
しかし、必ずしもそれとも言い切れません。お近くの整形外科(もしくは形成外科)で診察をお受けください。

Q35:はじめまして。お忙しいところすみません。私は生後10日の女の子の母です。初めての出産したのですが、娘の右足の薬指と小指が半分くっついていて小指の爪は2つあるような形で左足の小指より1.5倍大きい形をしています。産院の先生も小児科の先生もはじめてみたときには気付かなかったのですが、先日足指をじっと見ていたところ気付きました。左足の指は正常です。
 先日小児科の先生にみせたところ機能的には問題がない、他の体の部分に関しては異常はないようだ、形成外科にて手術をうければ見た目も普通になるといわれました。とはいっても他に障害がないか等心配です。小児科の先生に紹介してもらった形成外科に行って診断してもらうよていですが、下記に関して質問させてくだ さい。
1)形成外科に行くタイミングと質問したほうがよい内容を教えてください。
(小児科の先生はすぐにでもいって診断をうけてもよいし、数ヶ月後でもよいといっていたのですが、こういう場合早くに診断を受けた方がよいのでしょうか?)
2)手術のタイミング (小児科の先生は形成外科の先生と相談して子どもがあるきだすころの1歳でよいのではないかといっていました)
3)女の子ですので、手術後見た目や歩く機能に問題は残らないか?
4)1歳の時期に手術した場合、成長とともに再度手術が必要になるか?

A35:
1)私もその小児科の先生と同意見で、ご心配ならば早めに診察を受けられるのも良いでしょうが、急ぐ必要は必ずしもないと思います。生後3か月から半年ぐらい先でも良いと思います。
2)この手術は通常、1歳ぐらいで行っています。
3)外見上、完全に反対側と同じようにになるとは言えません。ケースバイケースですが、やや短くて太い小指になるケースが多いです。機能的には問題にはなりません。
4)最初から再手術を想定はしないですが、成長を見て修正手術を必要とする場合もないとは言えないでしょう。

Q36:私の妻の怪我についてです。1年半ほど前に、右手の人差し指の腹をカミソリで1cmほど切ってしまい、その瘢痕がひきつれを起こしている状態だったので、形成外科に相談をし、手術を行うことにしました。昨日の午前中に形成外科で、指先のみの局所麻酔をし、手術(おそらくZ形成術)をしました。今日の夜になってガーゼを替えるために皮膚を露出したところ(はがさないで欲しいと言われた一番内側の(軟膏入りの?)テープはそのままですが)、指の皮膚の感覚が変だと訴えてきました。具体的には右手の指の腹の親指側は感覚があるのに、中指側の指の腹の感覚がないというのです(麻酔が残っているような状態だと言います)手術の際に指の神経を切ってしまうようなことはあるのでしょうか。また、そのような場合に指先の感覚は戻らないままなのでしょうか。お忙しいところ申し訳ございませんが、一般的な例でかまいませんのでご教授いただければ幸いです。手術をした病院は月曜と金曜にしか形成の医師が来ないので(しかも同じ医師は同じ曜日)、次回は(1週間後の)来週の月曜日と言われております。妻は精神的な病もわずらっており、これがいったいどういう状態なのか(一生戻らないものなのか)が分からない状態で月曜日まで耐えることは難しそうな状況です。早めに他の形成外科を受診した方が良いのでしょうか。よろしくお願いいたします。

A36:指の腹側には固有神経という比較的太い知覚神経が両端に走っていますが、それを切ってしまうことは普通はないと思います。ただ、その枝の細い神経などは手術に伴い切れることもありますし、それにより傷の周囲の知覚がなくなることはあります。また神経は引っ張っただけでも一時的に痺れを起こす場合もあります。
あわてずに手術を担当した医師にお尋ねください。また、神経症状の回復のためには、ビタミンB12の内服をすることもあります。それの処方についても確認してみてください。