形成外科Q&A (5)顔面骨・顔面麻痺


Q1:先日 バイクで転んで以来、右頬が笑ったりすると痛いのですが、もしも骨折していた場合は手術以外の治療法はないのですか?ほかに症状は、右頬、鼻(右半分)、こめかみ、右唇が麻痺(歯の麻酔をかけた感じ)がします。

A1:上記のような知覚異常があることからしてまず頬骨骨折はあるでしょう。骨折があり、かつ転位といって骨がずれている場合には、手術による整復術をおすすめします。それをしないとずれたまま骨が癒合し頬部の陥凹、知覚異常、開口障害などの後遺症を残すことになります。
 骨折があっても転位がなければ、そのまま骨癒合させてもよい場合もあり得ます。ですので、貴殿の症状を拝見し、またレントゲン検査などを行い、手術すべきかどうかを決めなければなりません。手術が必要なケースにおいて手術以外の治療はないといってよいでしょう。


Q2:先日酔った席でつい言い争いとなってしまい、右目を殴られてしまいました。その後一部視野が2重に見えるということで近所の眼科に診断していただいたところ、CT診断の結果眼窩底部に骨折があり、骨と下直筋が副鼻腔に落ち込んでいるとの診断を得ました。現在は骨折後3週間を経過しようというところのため、形成外科にて手術した方がよい旨アドバイスをいただきましたが、目ということもあり不安が残ります。そこで具体的にはどのような手術となるのでしょうのか。

A2:下眼瞼の睫毛近くの皮膚を切開し、眼窩底に達します。眼窩内容(脂肪・筋肉)が副鼻腔内に脱出しているのを確認し、これを眼窩内に戻します。骨折した眼窩底は薄い骨壁のため、腸骨(こしぼね)の一部を採取して、これを薄くして眼窩底に敷く(移植する)手術です。全身麻酔による手術であり、およそ7〜10日位の入院が必要でしょう。

Q3:息子(大学生)が昨年11月27日、バイク事故で、顔骨多発骨折にて、入院。12月10日手術しました。9時間におよぶ手術でかなりひどいとのことでした。その際、チタンでつないだため、半年を経て、そのチタンを取り出す手術をした方がよいかどうか迷っております。担当のお医者様は、チタンが人体に与える影響がまだよくわかってないので、どちらにするか本人しだいということです。本人はできればもう手術はしたくない、このままでよいと言っております。母親としては、ぜんせん知識も無く、判断できませんが、どうしたらよいでしょうか。

Q3:顔面骨骨折が治癒して、チタンが外からさわって異物感があるとなどの問題がある人の場合は、積極的に除去します。また、異物が入っていることに心理的に抵抗がある人もいますので、そういう場合も除去します。しかし、チタンに起因する問題が特に認められず、ご本人がチタンを取る手術を望まないような場合は、チタンを取らずにそのままにしてもよいと話します。実際、そのままの人もかなりいます。
一生涯にわたりチタンが人体に何も影響しないとまでは断定できないのですが、そのままでもまず心配はないと考えます。そのあたりは、担当医によっても微妙に考え方が違います。以上を参考にご判断ください。

Q4:30歳男です。5月3日にスノーボードで転倒して、ボードのエッジ部分で右頬骨を強打しました。エッジで受けた傷は当日、近くの病院で六針縫ってもらいました。一週間ほどで顔の腫れも引いて抜糸も行ったのですが、口が、指にして縦2本分くらいしか開かないままになりました。某総合病院の耳鼻科で再度レントゲンをとってもらったところ、右頬骨弓骨折ということで、入院、手術を行いました。術後の先生の説明によると、強打した部分の骨が中に落ち込んで、周りの骨から離れていたため、もとの位置に戻して、プレートで固定したとのことでした。手術する前よりは確かに口を開けるのが楽になりましたが、相変わらず縦で指2本分くらいしか開きません。(その先生は医学的には指2本分入れば問題ないとおっしゃっていました)
痛くて開かないのではなくて、ふつうの人が思いきり口を開けてそれ以上開かないようなそんな感じです。右頬骨弓が全体的に変形して顎の筋肉を圧迫している可能性はないでしょうか?またそのような場合はどういった手術が必要になるのでしょうか?

A4:頬骨弓が現在どのような状態なのかは、レントゲン写真を拝見しない限りわかりません。従って、開口が不十分という貴殿の症状が、頬骨弓の整復(元の位置に戻すこと)が不十分なためなのか、それとも整復はなされているがもう少し時間がかかるのかは判断しかねます。
担当医の先生のいわれるように、頬骨弓が元の位置の戻されているということであれば、多少痛みを感じてもどんどん口を開ける練習をしていけば、口はもっと開くようになると思われます。だいたい指が3本分入ることが望ましいでしょう。
整復が不十分だとしてどのような手術になるかという質問ですが、これに関しては既に一度手術も受けておりますし、診察やレントゲンを拝見しない限り簡単には言えません。以上が私のコメントです。

Q5:私はカナダに住んでいる女性です。2日前、スケートで滑走中に転倒し、リンク上で左頭および頬を強打しました。その後、すぐに冷やし、ウォークインクリニックで診察を受け、2日間様子をみるよういわれました。しかし、帰宅後、鼻血、目の中の内出血に気づき、その夜、救急病院に行きました。そこで、エックス線撮影をしたところ、頬骨骨折していることがわかりました。翌日、形成外科にいくよう指示され、そこで専門医にみてもらい、CTスキャンをとる必要があり、手術も必要になるであろうことを告げられました。そこでは、左こめかみから左ほほ、上唇の左半分が腫れており、麻痺症状があることもわかりました。幸い、眼科医にみてもらったところ、目に以上はないとのことでした。開口障害は認められます。次回みてもらえるのは来週になりました。CTスキャンもできるかぎり早くとったほうがよいとのことなのですが、予約でつまっているため、来週にしか予約がとれないとのことです。こういった場合、できるかぎり、手術を早くしたほうがよい、という風に聞いています。
今後、どういう選択ができるのか、どういう手術が行われるのか、また、どれくらい早く手術をするのがよいのかを教えていただけないでしょうか。また、日本で手術をすることも考えたほうがよいのかも教えていただけると幸いです。

A5:手術が必要かどうかは、診察をしてCTやレントゲンをみて総合的に判断いたします。頬骨骨折の全例が手術を必要ということではありません。手術の時期ですが、出来る限りと早くといわれているようですが、受傷後2〜3週間ぐらいまで経過しても大丈夫と考えます。
手術法の詳細についてここで述べることはできませんので、ご了承ください。
日本で治療をするかどうかですが、治療法そのもののはカナダと日本で本質的に違いがあるとは思われませんが、治療費や言葉の問題などを考慮してご自身やご家族で判断していただくほかないと考えます。

Q6: こんにちは。はじめまして。昨日、先生のHPを見付けました。兄のことで、お聞きしたいことがあります。兄(40歳)が、昨年の、11月4日に殴られて、陳旧性顔面多発骨折で、12月21日に手術をしました。陳旧性顔面多発骨折というのは、どういうことを言うのですか?顔面多発骨折は、HP上にも載ってるのですが、陳旧性顔面多発骨折のことは、検索してみても、見つからなかったので、お願い致します。

A6:陳旧性骨折とは、新鮮骨折に対して使う言葉です。骨折を受傷しておよそ1ヶ月までのものを新鮮骨折、それ以上経過したものを陳旧(性)骨折と区別します。しかし、その境界は明確なものではなく、2〜3週間とする場合とか、数ヶ月とする場合もありおよその目安です。陳旧性骨折は、骨折部が線維性に癒合し始めており、骨折による骨のズレを戻すのが、新鮮例より困難になっているため区別します。
顔面の複数の種類の骨に骨折が認められる場合、顔面多発骨折と呼びます。それが陳旧性となったものが、陳旧性顔面多発骨折です。

Q7:私は1ヶ月程前、殴られて鼻の横に突起物が出来てしまいました。外科と耳鼻科に行ったのですが、外科では耳鼻科に行く様にと言われ耳鼻科には手術しなければいけないと言われました。(もう硬くなっているので手術)この様な場合、手術しか直す方法はないのでしょうか、もし、手術以外の方法があれば教えて下さい。また、手術した場合、何日、入院するのですか教えて下さい。宜しくお願い致します。

A7:1ヶ月を過ぎると確かに骨折部が骨癒合してきているので、新鮮骨折のように整復するのは困難かもしれません。でも整復を試みるのも一つの方法です。整復とは、鼻の孔の中に金属の鉗子をいれてグッと持ち上げる操作です。(もちろん麻酔はします。)それでやはり整復が困難な場合には、鼻骨骨切術しかありません。
入院期間はそれぞれ医師によって違うでしょうが、私が治療するとすれば、1週間〜10日ぐらいの入院をおすすめします。

Q8:12年前にバイクの事故で右あごを骨折して、手術で耳脇を切り針金でとめました。その後、口をまっすぐ開けてるつもりでも、あごが横にずれます。物を食べてると、コキコキとあごがなります。右ほほが少し麻痺し右の眉毛が動きません。針金入ったままだしこれで将来どうなっていくのか気になります。何らかの処置をした方が良いのでしょうか? 

A8:骨折治療の時に挿入した金属が入ったままであることと、今の貴殿の症状が関連があるのかどうかは、何ともこれだけではわかりません。あごが横にずれるのは、顎関節の不安定性があるとか関節突起の変形・骨吸収などが考えられます。異常音も顎関節の問題です。頬や眉毛の麻痺は、顔面神経麻痺によるものと思われます。金属が入っていること自体が気になっているのであれば、それを除去する手術を受けることでしょう。また、顎関節や顔面神経麻痺のことについても、診察を受けて相談してみることでしょう。

Q9:41歳の女性です。30歳の時に顔面マヒになり、現在左瞼が下がり気味で眼のバランスが気になります。手術は可能でしょうか?また、費用についても教えて下さい。お願いします。

A9:顔面神経麻痺による眼瞼部の症状としては、
自覚症状:眼痛、流涙、視野狭窄(上の方の視野が狭い)
他覚症状:麻痺性兎眼(目が完全に閉じられない)、下眼瞼外反(あかんべー)、眉毛下垂(眉毛および上眼瞼が下がる)
等があります。お話からすると眉毛下垂なのだろうと思いますが、他の症状もあるのかもしれません。
眉毛下垂に対する手術としては、眉毛のすぐ上を切開して下垂した上眼瞼を上方につり上げる方法が一般的です。
費用については、健康保険の適応はありますが、手術法、麻酔法、入院期間などいろいろな要素がかかわっておりますので、簡単にお答えいたしかねます。診察を受ける際に担当医にお聞きください。

Q10:私はハント症候群による顔面神経麻痺を患って約10年になる34歳の男性です。 麻痺の程度を採点すると20点程度と思われます。 形成外科手術を考えていますが、手術についての知識が全くありません。インタ−ネットで調べたところ、神経や筋肉の移植等がある様ですが、私としては、運動機能的には現在の状態で慣れてしまっていて、特に不自由を感じていないので、外見をより良好にしたいと思っています。 麻痺側の顔が下に垂れる感じになっていて、左右アンバランスになっています。 麻痺側の眉や唇をつりあげて、アンバランスを緩和する方法はあるのでしょうか?手術の概要や、入院期間等の一般的な例を教えていただければ幸いです。お忙しいところすみませんが、よろしくお願いいたします。 

A10:
1)頬部・口角部の再建
年齢が比較的若く大きな合併症がない場合、神経血管柄付遊離筋肉移植といわれる動きを得ようとする動的再建術を考慮します。移植する筋肉としては、薄筋(太股の内側にある)とか広背筋(背中から脇にかけてある)を使います。この手術は、顕微鏡を使って、1〜2mm程度の血管を縫合する手技を伴い、比較的長時間の大きな手術となります。また、場合によっては、複数回の手術を要することもあります。完全な左右対称とはいきませんが、笑ったときに筋肉が収縮するので自然に近い表情が得られる見込みがあります。
比較的中高年や大きな手術を希望されない方の場合には、大腿筋膜などの筋膜を移植して口角を吊り上げることで、静止時に顔面のバランスをとることを目標とします。筋膜は動きがありませんので動きは得られません。静的再建手術です。貴殿のご希望は、この手術と思われます。

2)眼の周囲の再建
前頭筋といわれる額の筋肉が麻痺して眉毛下垂を来しているケースがあります。その場合には、眉毛上部の皮膚切除による眉毛挙上術、あるいは大腿筋膜による吊り上げを行い左右のバランスを取ります。いずれも静的再建術のみとなります。貴殿の眉に関しては、こういう方法が考えられます。
眼瞼が閉じられない人の場合(麻痺性兎眼という)には、側頭筋移行術、下眼瞼形成術、Gold Implantなどを行いますが、そういう問題がなければ、その手術の必要はないと思われます。

静的再建手術の入院期間としては、だいたい1週間から10日前後でしょうか。病院によっても異なると思われます。治療費についてですが、手術内容、麻酔方法、入院期間、保険の種類などいろいろな要素によって異なりますので、ここで細かい計算はできません。診察を受ける病院でお聞きください。

Q11:小生50才の男性です。三か月前に耳下線腫瘍(悪性)の摘出手術を受け、予防的治療として、放射線治療を22回受けました。顔面神経もとりましたが、同時に神経移植もしています。(頬はリフティングしています)その後、マヒ側のまぶたが閉じず眼帯で対応していますが、いろいろ不便が生じ困っております。
この様な症状を外科的に直す事はできるのでしょうか?もしできるなら、危険はないのでしょうか?

A11:こういう状態を「麻痺性兎眼(まひせいとがん)」といいます。麻痺性兎眼に対して最近しばしば行われる比較的簡便な手術法として、ゴールドプレート埋め込み術があります。それは、上眼瞼の皮下に金のプレートを埋め込んでその重みで閉瞼を可能にしようとするものです。金を用いるのは、金属アレルギーが比較的少ないためです。金に対するアレルギー以外に重篤な合併症はほとんどありません。除去することも比較的簡単です。
このゴールドプレートは、保険が利きませんので自費になります。費用についてはそれぞれの病院でお尋ねください。

Q12:私は約7ヶ月前にケンカをして病院(形成外科)で眼窩底骨折と診断されこのままでは失明する恐れがと言われた為、その数日後手術をしました。
術後1日目から物が二重に見えることに気がつきました。瞼も腫れて垂れ下がっていたのと手術の時やむを得ずついた傷が原因ではないかと聞かされました。手術ではかなり目が奥に落ち込んでいて骨も砕けていたので色々な筋肉や神経に細かいキズがついている。そのためだとも言われました。
術後、2週間して退院し瞼の腫れもわかりにくいほどに治りましたが複視だけは直りませんでした。それから1ヶ月に1回のペースで受診してはもらっていたのですが半年経っても治らないので再手術という選択肢を与えられました。
 そして今年3月4日に再度手術をしました。手術では目の奥の脂肪などを取った。目の神経のぎりぎりのところまで取ってさらに目が少し落ち込んでいたので、(頬骨の下の方の)骨を取って目の奥に敷いた。今は何もさえぎるものもなくなったから前よりはよくなると思う。そう言われました。しかし、症状は体感ではまったくといっていいほど変化がなくはたして再度手術をした価値があったかどうかは今の時点では疑問が残ります。術後2,3週間で結論はでないと自分自身でもわかっています。しかし、今年から就職があるためこのままならば目の疲れるような仕事は避けたりしなくてはならないと思います。現在車やバイクはドクターストップが(眼科)かかっています。そのほかにも色々束縛されるところがあると思います。今の時点では将来の不安しかありません。
このままいけば本意ではありませんが進路も変更せざるを得ないかもしれません。もし、よろしければ率直な意見をお聞かせ頂けたらと思います。
 今後、私の複視は治る可能性があるのか、どの程度治るのか、そして、どのように治していけばよいか注意点やリハビリの方法なども
教えていただけたらと思います。直接診察して頂いていないので答えにくい質問かもしれませんがどうかよろしくお願いいたします。複視は、左下が一番ひどく右上にいくほどマシになります。手術の個所は左目になります。前回の手術時間が約2時間。今回が約4時間でした。

A12:眼窩底骨折にもその部位、程度などいろいろがものがあり、さらに2回手術を受けられているということで、この文章からだけで推測してお答えすることはかなり無理があります。
大阪医大の(故)田嶋教授の本によれば、眼窩内骨折29手術例うち治癒18(62%)、略治6(21%)、不明・不良4(17%)ということになっております。ここでいう略治とは、最終外来時に一部の周辺注視野に複視を残したが、日常生活には支障無しと訴えたものです。治癒ないし略治までに要する期間としては、手術から10ヶ月ぐらいはかかっていることが大半です。(もちろん早いものでは2ヶ月ぐらいで治っていますが。)
あくまでも一般論として参考までに。

注意点やリハビリについては、担当医師にお聞きください。

Q13:初めまして。私は27歳の男性です。昨年ケンカをして眼底骨折をしてしまいました。眼球が落込んでいたので手術をして複視はなくなったのですが陥没が残って鏡を見るたびに落込みます。なんとか再手術をうけて陥没を治せないでしょうか? 

A13:骨欠損の大きな眼窩内骨折においては、再建の困難さや(骨移植をした場合には)骨吸収が起こり眼球陥没の遺残や再発が生じる場合があります。
貴殿の場合に眼球陥没が治療可能かどうかまではお答え致しかねますが、一般論では治療の可能性は0ではないと思います。つまり、ケースバイケースということになるでしょう。大学病院や基幹病院の形成外科を受診されて治療可能かどうかを相談してください。

Q14:僕は15歳男性ですが、喧嘩で頬を殴られて、3週間たった今でも触ると少し痛みがあります。顔の変形についてはよくわかりません。ただ、明らかな変形はないですその他の症状は見られませんが心配です。骨折でしたらもっと激しく痛むものでしょうか。

A14:痛みの具合で骨折があるかどうかは判断できません。口唇や頬がしびれていないか、口が大きく開くかどうか、ものが二重に見えるようなことがないか等の症状が重要です。これらが1つでも当てはまるようであれば、形成外科を受診することをおすすめします。


Q15:私の妻(44歳)のことですが、住宅地にある十字路の横断歩道を歩行中,右前方から右折してきたスポーツタイプの自動車にはねられ,道路に強くたたきつけられました。事故当時,顔面からかなり出血したようです。救急車でセンターに搬送され,CT等の検査をし,現在,その病院に入院中です。
今の症状は,意識ははっきりし,応答には支障がないようですが,医師の説明では,「右眼底骨折と右頬骨の骨折がある。視力はだいじょうぶだろう。」といわれています。しかし,本人は両目で見ると物が二重に見えるとのことです。また,右瞼の腫れは引いてきましたが,わずかしか開けることができません。口も開けづらく,右側は歯科で麻酔をした後のような感覚だといっています。現在は脳外科から形成外科に医師が代わっており,近日中に頬骨を戻す手術を,全身麻酔で実施するそうです。いま思い浮かぶ質問は次のとおりです。
1 眼底骨折自体の手術はしなくてよいのですか。
2 視力や眼球の動きに支障はでてこないのでしょうか。
3 現在,入院している病院で,右頬骨の手術を受けることになります。医師は,「頬骨を戻してプレートで留める。傷は残るが1年くらいで薄くなっていく。」とのことですが,元どおりの顔に戻るのでしょうか。手術痕は残らないのでしょうか。
4 手術は1回だけで終わるのでしょうか。何回かに分けることもあるのでしょうか。

A15:1)眼窩底骨折は手術が必要な場合もあるし、必要ない場合もあります。私がここでその必要性について回答することは出来ません。
2)視力にはまず支障はないでしょう。眼球運動の今後の改善見込みについては、状態を把握している担当医にお尋ねください。
3)手術跡が残る残らないかを厳密に言えば残ります。ただし、その先生の言われるように時間の経過とともに目立たなくなっていきます。
4)普通は1回の手術で完結するものです。ただし、金属のプレートを使う場合には、骨折が治癒してからそのプレートを抜く手術をする場合もあります。

Q16:今週、格闘技の寝技の練習中に、相手の肘が自分の右目眼球に強打しました。かなりの痛みと頭痛が酷かったので、仰向けで1時間くらいアイシングをしてました。右目下瞼の腫れが顕著になってきたので、近くの大学病院に救急で見てもらいました。
診断の結果、先生のHPの『形成外科Q&A』の2番目と同じことを医者に言われました。CT診断の結果眼窩底部に骨折があり、骨と下直筋が副鼻腔に落ち込んでいるため、一部視野が2重に見えているとの診断だったんですが、私の場合はそれだけではない のです。歯(上の歯の右側、前歯を含めて3本目の八重歯まで)と上唇の真ん中より右側がずっと痺れているんです。
感覚が全く無いと言うわけじゃないのですが、食べ物を食べても自分の歯で食べてる気がしないのです。医者は打撲による一時的な麻痺だから、そのうち元に戻ってくるから心配ないと説明してくれたのですが・・・。怪我をして2日も経つのに全く症状が変わらないのですが、ほんとに元に戻るのでしょうか?かなり心配です。もしよろしければ、先生のご見解をお伺いしたいのですが、よろしくお願いします。

A16:そのしびれ(知覚麻痺)も眼窩底骨折によるものと思われます。骨折によって眼窩下神経という神経が圧迫されたりはさまれたりして生じます。
その症状は時間とともに軽快してゆくものですが、貴殿が思っているよりずっと時間がかかります。半年から1年ぐらいかけてゆっくりと改善してゆくものです。必ずしも完全に元に戻るとはいえませんが、少なくとも今よりはずっとよくなると思われます。


Q17:私は打撲した訳ではないんですが、1年程前からあくびをして口を大きく開けると頬骨が痛みます。この頃ぐらいから左耳の耳掃除をする時、耳かきが耳奥の穴の側面にあたると痛みます。それに、顔の右側が全体的に少し下に歪んでいます。笑った時も頬骨が少しずれています。どのような所で、どのような治療をすればいいのか、教えてください。

A17:これは、顎関節症(TMD)と呼ばれる状態ではないかと思われます。
http://www.ofpcenter.com/home.htm
等が参考になります。
歯科(口腔科、補綴科、矯正歯科など)で顎関節症をよく扱っているところがありますので、そちらでご相談ください。形成外科では通常扱いません。

Q18:私の主人(32才)のことですが、10日ほど前に、自転車で転び左顔面を強打しました。某大学の歯学部の病院に行き診てもらったところ、左顔面に3箇所の骨折があることがわかりました。眼の動きや、顎の動き、顔面の動きには問題なく、すぐに手術をしなくてはいけない状態ではないので、少し様子をみましょうと言われました。腫れや痛みはだいぶ治り、日常生活には困らない状態になりました。ただ、現在も、左側の頬と鼻、上唇の感覚、前3本くらいの上の歯の歯茎の感覚が麻痺したままです。一週間後の経過観察で受診したとき、口腔外科の先生からは、眼窩下神経の麻痺による症状で、手術をしても治るかどうかはわからない、手術をしな くても時間がたてば、今よりは症状はよくなるかもしれない、と言われました。手術をするとすればその目的は、神経麻痺の改善のためというよりは、少しだけ陥没している左頬の状態を治す美容目的が主体の手術になるといわれました。
主人としては、顔の陥没はわずかで、他人から見ればわからない程度なので、それほど気にはしていないのですが、やはり麻痺が今後どうなるかを心配しています。
日常生活には支障はないのですが、感覚がないというのは、やはりとても気になるので、手術して治るものなら手術したいという気持ちだそうです。でも、手術しても治る可能性が少ないのなら、しないでこのまま様子をみたほうがいいのかなあ、と迷っています。
お医者さんとしても、積極的に手術を勧めるような状態ではない、ということは良く理解できています。お医者さんさえはっきり断定できないようなことなので、本人も、どう考えたらいいかわからなくて困っています。
先生にお聞きしたいことは、顔面骨折による眼窩下神経麻痺の場合、手術した場合、どのくらいの改善が望めるのか、手術しないで様子を見た場合、どのような経過で治っていくものか、治らないとしたら、将来、何か支障が起きる可能性があるのか、という点です。
ちなみに、口腔外科の先生から、あまり効かないと思うけど、と言われつつ、ビタミンB12が入ったお薬や、抗生物質を処方していただいたので、主人は一生懸命飲んでいます。

A18:頬骨の骨折による眼窩下神経の麻痺ですが、この神経症状の改善だけを目的として私は手術はしません。一部の先生は、手術をする先生もあるようですが、あまり一般的ではありません。こういうようなケースでは手術をしない場合でも、だいたい半年から1年ぐらい待っていると徐々に回復して、知覚鈍麻の範囲が狭くなってきます。必ず完全に回復するとは言えないのですが、仮にいくらか知覚鈍麻が残存したとしても大きな支障になるようなものではありません。もし手術をしたとしてもすぐに神経症状が治るというものでもありません。
ビタミンB 12については、積極的に投薬しています。いくらかでも回復の手助けになるだろうと考えるためです。

Q19:はじめまして。眼窩底骨折で検索して、こちらにたどり着きました。3週間前に手術をしました。私の場合、女性ということもあってか、目の下を切らずに、口の中を切って、ほおの骨を一部削って、そこから後ろ側の折れてる骨を取ってしまって目を元の位置に戻すために風船を入れていました。2週間と3日ほど入れていました。まだ術後日は浅い方だと思うのですが、やはり複視は治りません。先生は、経過は良好と言ってくださってますが、、、
目の骨も無いままなので、これから複視は戻るのか、骨は無くて大丈夫なのか、不安なことばかりです。口の中を切ってるせいか、口も開きにくく、失敗ではないけれども、目の下を切って人口骨を入れてもらったほうが良かったのではないか、、、と思ってしまってます。

A19:眼窩底骨折の術後の複視の改善には数ヶ月を要する場合も少なくありません。経過が良好と言われているようですので、あせらずに待つことだと思います。
手術法に関しては、それぞれの術者の経験や好みによりアプローチの方法や手術内容が異なります。貴殿の受けられた治療も一般的に行われているものですので、それについてここでどうこうとコメントすることはありません。
一般的には、形成外科では瞼縁切開や結膜切開など目の付近からのアプローチを、耳鼻科では貴殿の受けた口腔内の犬歯窩切開からのアプローチを行う場合が多いようです。専門的にはいろいろとディスカッションする余地はあると思いますが、どちらがより優れていると一概に結論づけることはできませんので、そのようにご理解ください。