形成外科Q&A (4)口唇 舌


Q1:私はホームページの例にもありました口唇口蓋裂です。生まれた時より23歳ぐらいまで1人の先生に担当して頂き、何度も手術を受け、随分ときれいになりました。唇の上の傷や上唇などは化粧をすれば、ほとんどわからないぐらいです。もう治療は終了ですと言われました。
傷はクリームファンデーションで、上唇は輪郭を実際よりも少し大きめに描けばわかりません。ですが、やはり横からの見た目、人中がないので平坦な凹んだような感じがします。写真を撮った時に角度によっては、鼻が曲がって写り、しょうがいないと思いつつも、やはり気になります。
1)こういう場合に、人中だとか横から見た感じの上唇のカーブなどが欲しい・・・などと言う手術を受ける場合は形成外科?それとも美容外科なんでしょうか?
2)費用は保険が効くのでしょうか?
3)今までの病院でなく、他の病院に通っても良いものでしょうか?

 A1:
1)基本的には形成外科と思います。美容外科の中には口唇口蓋裂の治療に携わったことのない先生もおられます。ですのでかかられる美容外科の先生がそういう経験を積んでいらっしゃれば幸いですが、そうでない場合には断られるかもしれません。
2)形成外科に行けば保険診療をしてもらえる可能性はあると思います。
3)治療が終了という様なことを言われているようなので、貴殿の判断で他の病院にかかることは差し支えないと思います。ただ、他の病院で何か治療を受けた後にまた今までの先生にかかることは貴殿にとって心情的に難しいことでしょう。

Q2:私は口唇裂で、今までに3回手術を受けました。 最後に受けたのは去年です。 今、経過を診ているところですが、あと1回手術して、綺麗にできると言われました。
1)あと1回、手術を考えているのですが、 形成外科と、美容外科とでは、どのような違いがありますか?もし、その美容外科で、口唇裂に携わり、経験のある方がいらした場合、美容外科での手術も可能なのでしょうか?
2)もし可能でしたら、その場合、保険が適応されない美容外科での治療は、どの程度をみておけばよいでしょうか?
3) 術前の検査から麻酔、手術内容、入院の有無まで、形成外科と、どのように違ってきますか?
4)仕上がり面や、その後のアフターフォローでの違いはありますか?

A2:1)形成外科と美容外科は、別物ではなく基本は同じです。広い意味の形成外科の中に美容外科が含まれるという考え方です。口唇裂の治療において、美容外科と形成外科の違いはありません。ある程度以上になったら美容外科に行けば更にきれいにできるという考えは誤っています。美容外科の先生でも口唇裂に携わったことのある先生であれば、治療は可能かもしれませんが、今まで治療を受けた先生に引き続き治療を受ける方が望ましいと私は考えます。
2)それは、その医院でお聞きください。自費治療の場合には、それぞれの医院において料金設定が違います。
3)一般的に病院における形成外科では、麻酔、入院設備などが整っています。美容外科では、ビル診療などが多く、入院などができない場合があります。もちろんケースバイケースです。
4)一般論でコメントすることはできません。

Q3:日頃気になっていることや、病院に電話して聞くのはちょっと、という問題がインターネット上でお答えして頂けるのは、とても嬉しく思います。現在12歳(中学1年)の長男のことですが、口唇裂(左側)と軽い歯茎の乱れがあって生まれました。某大学病院で生後3ヶ月に手術をし、半年〜1年の間隔で通院していましたが、就園してから現在に至るまで一度も診察を受けに行っていません。小学2年生から地元の矯正歯科で治療を受け、現在も通院中です。最近、学校で鼻が曲がっている事をからかわれたようで、本人が治したいと
言うようになりました。まる9年も診察を受けていませんし、カルテも残っていないと思います。他の病院(近く)の形成外科で手術を受けたいと思っていますが、何か支障があるのでしょうか。また、成長過程なので今手術をしてしまっていいものかどうか心配です。

A3:最初に治療した病院と違う病院に行くこと自体には、特別な支障はないと思います。行った先の病院で、今までに受けた治療についてわかる範囲でお話しすることでしょう。
 成長過程だから手術をしない方がよいという理屈はありません。むしろそのままにしておくと鼻変形も治しにくくなることもありますので、気になるのでしたら、積極的に治療を受けられたらいかがでしょうか。


Q4:私は28歳の女性ですが1ヶ月前に犬に唇(鼻の下から全部)噛み切られてしまい取れた部分を縫い合わせたのですが、うまくくっつかず胸の上の皮膚を移植しました。縫い合わせる為に少しまわりから肉をひっぱり鼻の横に切り込みを入れてあります。現在は笑うことが困難です。食事も大きく口が開かない為大きな物も食べれません。当然外出もできない状態です。
これは手術でなおるものなのでしょうか?何かいいアドバイスがあればよろしくお願い致します。

A4:診察していないので推測しながらお答えしますが、的はずれの回答となってもご容赦願います。
通常は、上口唇が欠損した場合、下口唇の一部を反転して移植するような手術方法を考えます。欠損した部分がどの程度かによって手術結果にもかなりの差が生じると思われます。
胸の上の皮膚では、かなり違和感が目立つであろうと推測されます。また余り皮膚を引っ張って寄せると、開口が困難となることもあるでしょう。手術により改善できる可能性はあると思われますが、これ以上具体的なコメントはできません。

Q5:私は29歳2児の母です。二歳8ヶ月になる娘が左口唇裂です。大学病院で生後4ヶ月に口唇の手術を受けました。診察で執刀された先生にも話したのですが、笑われてしまってそれきりになってしまったので、教えていただきたいのですが、娘の右の鼻 の穴が縦に長く、右の術後の穴とかなりの違いがあります。縦穴にはそろえてもらえないのでしょうか?もうひとつ、傷跡の瘢痕なのですが、マッサージなどしてもよいのでしょうか?お答え宜しくお願い致します。

Q5:左の口唇裂の方の場合には、左側の鼻変形が生じてきます。ですので、左の鼻孔の変形を修正する手術も通常行っています。その時期は人それぞれですが、4歳〜6歳ぐらいに行うことが多いと思います。(担当医にお聞きください。)
傷痕のマッサージが悪いとは言いませんが、何の効果もないと思います。

Q6:小生の2歳の男児のことなのですが、生下時より左側の舌肥大があります。舌を挺出させると、右側に編位します。 麻痺や味覚の異常はないようですが、因果のほどはわかりませんが、結構いびきをかきます。このようなケースに外科的な治療の適応はいかがなものなのでしょうか? 先生のような専門家と接する機会がないため、この場を借りておたずねさせていただきます。

A6:巨舌症という先天性の疾患があります。舌の全体または一部が、先天的に肥大している場合で、原因のいかんを問わないとされています。これには、筋肉性巨舌症のほか、血管腫、リンパ管腫によるもの、Recklinghauzen病、Wiedemann-Beckwith症候群、Greig症候群などいろいろものがあります。
症状としては、
1)言語障害
2)摂食障害
3)呼吸障害
4)う歯
5)顎発育の障害
6)美容上の醜形
などがみられます。
ご子息の場合は程度は軽いようですが、いびきをかくことと舌肥大は関係がありそうです。治療としては、肥大した部分の舌の切除です。舌のV字切除、辺縁切除、中央切除などいろいろな手術方法があります。


Q7:はじめまして。5歳の長女が巨舌症と診断されました。今後、発音が不明瞭になったりするかも、といわれています。大学病院を紹介されたのですが。治療法、家で気をつけたほうがいいこと、など、教えてください。

A7:治療は手術です。舌縮小術といって舌を部分的に切除して小さくする手術となります。先端部をV型に切除する方法、辺縁に沿って切除する方法、中央を切除する方法などいろいろあります。詳細については、治療を受ける病院でおたずねください。家で気をつけることは特別はありません。

Q8:こんにちは。はじめまして。主人の鼻は、曲がっており、鼻の下には傷があります。本人から、赤ちゃんの時にベビーベットから落ちたと聞かされており、本人は、その時の痛みを覚えていると言っていました。が、先日母親から生まれつきであるということを聞かされ、何回か手術も受けているので、その時の抜糸の痛みとかの記憶ではないかという事でした。本人は、事実をまだ知りません。今、妊娠を希望し努力中です。遺伝しますか?

A9:唇裂(いわゆるみつくち)の発生原因は、不明な点が多いですが、母体内環境因子と遺伝的素因の両者が関与しているとされています。母体内環境因子としては、胎児の位置、姿勢、母親の糖尿病、ホルモン失調、ウイルス感染、更に薬物の一部も疑いをもたれています。遺伝的素因に関しては、唇裂、口蓋裂合わせての発生頻度が500人の新生児に1人の割合なのに反し、両親のいずれかが患者の場合に、その子供での発生率は50人に1人というデータがあります。あくまで罹患の確率が上がるという内容であり、明確に「遺伝すると」とはされていません。