形成外科Q&A (2)耳


Q1:私の耳は、形が悪くずっと気になっています。手術して改善することは可能なのでしょうか。また年齢は関係ありますか。

A1:耳の変形は、多種多様なものがあり、どのように形が悪いのか見ていないので一概に答えられないことはありますが、おおむね手術により改善は可能です。子どもの場合、耳の変形の種類により手術にふさわしい年齢があります。成人のあなたの場合には年齢はあまり気にする必要はないでしょう。

Q2:わたしは、生まれつき片方の耳たぶがないのですが、それは手術で直るものなのですか。もし直るなら、どのくらい目立たないものにできるのでしょうか。

A2:耳たぶがないといわれていますが、多くの場合は耳垂裂(耳垂とは耳たぶのこと)というもので耳垂がさけるように割れていて小さく見える異常ではないかと思います。また耳垂欠損といって耳たぶが全くないものもあります。いずれにしても手術で改善は期待できます。どのくらい目立たないものか答えるのは表現がなかなか難しいのですが、耳垂裂の場合はかなり目立たないものに出来ることが多いです。耳垂欠損であると耳たぶ以外に耳の後下方に少し傷が残ります。

Q3:2歳になる息子の耳のことについてご相談します。息子の耳はいわゆる立ち耳といわれるもので耳が前にたっている状態です。特に片方の耳が立ち方がひどいと思います。以前、子供の場合就学前に矯正すれば直るというようなことをききました。本当なのでしょうか。もし直せるものであれば早めに病院に連れて行きたいと思っています。

A3:ここで言われる矯正とは、非手術的治療のことをいっているのでしょうか?立ち耳は、一般的には手術治療するものです。立ち耳に対する矯正治療(非手術的治療)がどの程度効果があるものなのかについては、私自身、矯正治療の経験はないのでわかりません。矯正治療については、埋没耳(袋耳)は効果的とされていますが、その場合でもなるべく早い時期(乳児期)が効果が上がるようです。
私の意見としては、この場合まず治療手段としては、手術を考えるべきでしょう

Q4:私の息子は6ヶ月になりますが、右耳が小耳症です。上部の耳介が少しと耳たぶが少し形成されているのみです。真中がくっついたままの状態です。まれに耳の穴がある場合があると聞きました。まだ小さいのでどのぐらい聞こえているのかという細かい検査はしていません。手術は10歳ぐらいでと言われていますが耳の穴があるかどうかもその時期まで解らないのでしょうか?また、耳の穴がない場合は全く聞こえないのでしょうか?

A4:耳の穴がない(外耳道閉鎖という)のかは、診察を受ければわかります。
耳には、外耳、中耳、内耳とあり、外耳および中耳は、内耳と発生起源が異なり、小耳症の聴力障害は、外耳道閉鎖とか中耳奇形など外耳から中耳までの異常に起因するものです。しかし、内耳は正常のことがほとんどで、外耳、中耳が機能不十分でも骨を通しての骨導により音が内耳に到達して聞くことが可能です。すなわち、聴力は落ちるけれども全く聞こえないわけではないということです。また左耳は正常のようですから聴力障害に関しては実際はあまり問題にならないと言えるでしょう。

Q5: 私どもの息子は5歳ですが 左耳小耳症、外耳道閉鎖で左側の骨の成長が少し遅く、1歳で前歯がはえたとき下の歯が1本分左へずれてはえ 将来顎の手術もあると 聞いております。手術をすると 運動に制限がでるーー格闘技やサッカーなどはぶつかって耳が壊れるとききましたがどうですか。 手術法や入院期間 手術年齢 などもお尋ねします。できる限りの情報を集めてやりたいと思っております。

A5:第1第2鰓弓症候群といわれるものでしょう。小耳症に対しては、肋軟骨を用いて骨組みを作る全耳介形成術、顎変形に対しては顎の骨切り術ないし最近では顎骨延長などが治療法として考えられます。確かに作成した耳の強度は、普通の耳より劣るでしょう。格闘技などはおすすめできません。診察、検査などをしないで寄せられた文章だけからこの質問に答えるのには無理があります。また、治療方法も担当医により異なります。普遍的な回答をすることは難しいものです。


Q6:5歳の男子ですが、袋耳に関してお聞きしたく思います。手術方法、全身麻酔かどうか?また、就学前までに直せば良いと本でみましたが、いつ位がよいのでしょうか?手術の場合、どれくらいの入院が必要なのでしょうか?よろしくお願いいたします。

A6:手術方法はいろいろなやり方がいわれています。私は、Z形成術を応用した方法をよく行います。全身麻酔で行います。
5歳とのことですのでそろそろ手術を行うのが良いと思います。小学校に入学すると給食などでマスクをかけることがあり、袋耳の子ではマスクがかけられないということで困る場合があります。友達などから耳の変形を指摘されるなどということも考えられます。従って就学前の手術が良いといわれます。入院期間は1週間ぐらいが普通ですが、病院によりそれより短期間で良いといわれるところもあるでしょうし、治療を受ける病院の先生の考え方で異なります。


Q7:HPで先生のページを見つけ、たくさんの方の相談に細かくお答えしていることに感銘を受け、早速メールを送ることにしました。よろしくお願いします。現在8ヶ月の娘の耳のことでご相談いたします。右耳の上の部分が頭の骨の下に埋まっており、3ヶ月検診の際に「袋耳」ということで形成外科にもかかりましたが、 小学校高学年で手術するまではほうっておくしかないとのことでした。ひっぱりだすと出ますが、皮膚が少し足りないようで、すぐにひっこんでしまいます。生後すぐならテーピングでくせをつけて引き出せるそうですが、もう遅いでしょうか。

A7:なるべくなら6ヶ月ぐらいまでに矯正装具を付けるのがよいとされていますが、1歳前であれば、試みてみる価値はあると思います。単なるテーピングではなく、熱可塑性プラスチックとか鋼線を用いた矯正具がよいと思います。ただし、本人がいやがって取ってしますとなかなか装用困難です。

Q8: 実は生後4ヶ月になる男児がいるのですが、生まれつき右耳の上部が側頭部に埋没しており、 病院では埋没耳と診察されました。 装具を用いて矯正する方法もあるが、針金で皮膚を傷つけるので、とりあえずやめておいてしょっちゅう耳を引っ張り出すことを心掛けるようにと言われました。ただ調べてみると出来るだけ早いうちに矯正した方が治りが早いという意見もあったので悩んでいます。アドバイスお願いします。

A8:袋耳の矯正装具としては、いろいろなものがあります。
・歯科矯正用サンプラチナ線
・Gemクリップ
・ピアノ線
・コバルトクローム鋼線
・熱可塑性プラスチック(熱を加えると柔らかくなり冷えると硬くなるもの)
などです。これらを耳の変形に応じて細工して装用します。針金状のものを使用する場合、耳に傷を付けないようにチューブ状のもので包んで使う場合が多いです。1回つければよいというようなものではなく、傷ついていないかを定期的に診察する必要はあるでしょう。
1歳未満で耳介に発育不全のないものが、矯正の適応とされています。1歳を過ぎても全く見込みがないとは言いませんが、成功率は低くなります。また、耳の軟骨の変形があるケースは、矯正は難しいと思われます。患者が装着をいやがってさわってしまうような場合も難しいです。
矯正が困難な場合には、手術しかありません。

Q9:私の娘2人とも埋没耳と診断されました。今、上の子は3歳2ヶ月で下の子は1歳3ヶ月です。女の子ですしできれば治してあげたいと思うのですが、今の時点だともう手術しか手立ては無いのでしょうか?そして、治す為の手術や矯正の費用はどれぐらいかかるものなのでしょうか?あと、埋没耳になる原因は妊娠中に何か問題があったのでしょうか?これからまた子供を生むかもしれないので...どうか教えていただきたいと思いメールいたしました。よろしくお願い致します。

A9:なるべくなら6ヶ月ぐらいまでに矯正装具を付けるのがよいとされていますが、1歳より前であれば、試みてみる価値はあると思います。しかし、その年齢となるとたぶん矯正は難しいと思います。手術治療になるでしょう。
治療費については治療を受ける病院でおたずねいただきたいのですが、東京都の場合には乳児医療が使えます。原因はよくわかっていません。

Q10:28才の男性です。小耳症は遺伝するのでしょうか。

A10:小耳症においては、ある程度の遺伝性が認められ、しかも多因子性といわれています。しかし、遺伝だけが原因ではなく、遺伝因子と環境因子が複雑に絡み合っていると考えられます。これ以上の詳細はわかりません。

Q11:26歳の女性です。昔から埋没耳であることに悩んでいました。インターネットなどで調べると、早期治療が有効である、とありました。この年齢で行う手術はどのようなものか、入院は必要なのか、費用の面について知りたいと思っています。

A11:乳児期の埋没耳の矯正治療においては、早期の治療がよいとはいわれていますが、成人例では手術治療しかありませんし、治療の時期はは特に考慮する必要はありません。
耳の軟骨を皮膚からはがして、軟骨の形を整え、不足する皮膚を皮弁術とか植皮術という方法で補うという手術となります。
通常入院を勧めています。入院期間は、それぞれの病院により異なりますので、治療を受ける病院でお尋ねください。費用についても、麻酔方法、入院期間、保険の種類などによって異なります。やはり、治療を受ける病院でお聞きください。

Q12:高校の頃開けたピアスの穴を大きくしすぎて切れてしまい耳たぶがふたつに裂けてしまいました。今は接着剤でくっつけているのですが、最近では血と一緒に透明な汁が出てきてしまうのし、見た目にも悪いのでくっつけたいのですがこの場合は形成外科で直すものなのでしょうか?その場合どのような治療になりますか?

A12:形成外科で治療します。治療法としては、裂けた部分を新鮮できれいな傷にして自然な外観にするように縫い寄せるという手術となります。

Q13:先月、8月29日に生まれました子どもの耳のことで、ぜひご相談したくメールいたしました。うちの子どもは、右耳は正常な形で生まれましたが、左耳は上部が折れ曲がって生まれてきました。その折れ曲がった左耳の上部は、右耳よりも皮膚が薄く、そしてあるべきはずの対輪(?)というか、軟骨がありません。そのため、左耳だけ少し前方に向いています。しかし、正面から両耳を見ますと、いわゆる左耳の中のひだがないぐらいで、今は右耳とそんなに大差はないようにも思います。私もインターネットでいろいろ調べ、いわゆる左耳だけ「立ち耳」ではないかと思っています。ですが、まだ形成外科などに受診して、きちんと判断をしていただいていません。ただ、生まれた直後に、小児科の先生に質問したところ、聞こえに問題はなく、形状だけの問題で、少し様子を見てください、との回答を頂きました。しかし、いろいろ調べますと、早めに形成外科にかかり、矯正器具で治る場合もあると知りました。ですが、私としては、手術でしか治せないのでは・・・と思っています。
1.もし立ち耳であった場合、対輪が無い場合でも、手術等で治るものなのでしょうか?
2.手術するとしたら、何歳ぐらいから手術したらよいでしょうか?
3.手術をしない場合、この対輪がないせいで、眼鏡がかけられない、
マスクができないなどの事態が生じる可能性は高いのでしょうか?

A13:
1.お話からすると「立ち耳」ではなく、「折れ耳」とか「垂れ耳」と呼ばれる変形かなと思います。いずれにしても耳の形を維持するに足る対輪を作る手術を行うことにより治療は可能です。
2.特にはっきり決まったものはないですが、一般的に3歳〜5歳ぐらいで手術をするところが多いと思います。
3.折れている耳の程度によります。可能性が高いか低いかという言い方はここではできませんが、そういう可能性はあります。

Q14:こんにちは。耳の形のことで調べていましたら、こちらのページにたどりつきました。是非ご相談したくメールをさせていただきました。相談は11月14日に誕生した息子の耳の形のことです。うまく説明できませんが、耳の一番上のところが普通くるんと巻いているのが息子の場合両耳ともくるんと巻いておらずぺらんと伸びています。形的にはその他に問題はないのですが一番上のところだけ巻いていません。手でくるんと巻いてやると1分くらい内側に巻くのですがまたすぐぺらんと戻ってしまいます。聴覚は誕生の時の聴覚検査では問題なしとでました。
 このような耳の形は治るのでしょうか?自然には治らないですかね?産院の先生はそのうち巻いてくるかもよっとゆわれましたが・・・。ネットなどで調べましたら生後1ヶ月以内や早めに形成外科を受診すればテープなどの非手術の方法で治るかもとゆうような話もありますが、巻いてない耳もそういったテープの治療で効果は期待できるのでしょうか?今まだ生後12日なのでもしそういった方法で効果が期待できるのであれば早めの受診をと考えています。

A14:診察しないで回答することには、ちょっと躊躇する点もありますが、多少でも参考になればというぐらいでお考えください。
貴殿のお話から推測するところでは、「立ち耳」「貝殻耳」「スタール耳」のいずれではなかろうかと思います。新生児期(生後1ヶ月以内)にはまだはっきり申し上げられませんが、これらの耳介変形は一般的には手術治療するものです。たとえば立ち耳に対する矯正治療(非手術的治療)がどの程度効果があるものなのかについては、私自身、矯正治療の経験はなく、また教科書的な記載も見あたらないのでわかりません。矯正治療については、埋没耳(袋耳)は効果的とされていますが、その場合でも確かに早い時期(乳児期)が効果が上がるようです。ですので、あまり矯正治療の期待はできないにしても、お近くの形成外科で診察を受けて診断及び今後の治療方針についてお聞きになれば安心かと思います。

Q15:こんにちは。私の息子は5月9日副耳つき生まれました。今もう1か月になりました。乳児期であれば、基部を結紮(しばる)だけで脱落させることができる場合がありますと聞きましたから,早いうちにするほうがいいと思っています。大きいの方は軟骨がはいってないですが,小さいの方は軟骨がはいっていますみたいのです。副耳の大きさは年齢とともに変わりますか?どうすればいいのですか。教えてください。

A15:副耳の治療で結紮することはあまり良くないです。簡便な方法ではありますが、副耳が遺残する場合が多いです。基本は切除することです。副耳の内部に軟骨は存在していることがほとんどです。その軟骨を残さないように切除することが治療の要点となります。年齢を重ねても副耳の大きさは、それほど大きくはならないと思いますが、成長と共に若干成長することは考えられます。お近くの形成外科のある病院で診察をお受けくださるようにお願いします。